小鈴さんを探しに夜の街に出た私。必死に探し回るが、中々見つからない。
さやか「ハァハァ…小鈴さん、どこに……」
見つからなくても探して走り続ける。すると、先程私たちがライブをしていたステージの辺りに人集りができていた。
さやか「あれは……人だかり?」
私は気になり、その人だかりに近付く。すると、
小鈴「……リベンジしに来ました!!!」
さやか「…………小鈴さん!?」
先程のライブ衣装に着替えた小鈴さんが、ステージに立っていた。
小鈴「か、徒町はっ………は、蓮ノ空学院の、スクールアイドルクラブで、えと。今からっ……ライブを、します!」
小鈴さん………
小鈴「伝え方なんて、まだ全然分からない。徒町ごときが、すぐ正解なんて出せると思ってない。でも……!どうしても伝えたいことなら――今はあるんです!!だから見ててください、徒町のライブを!」
ライブを始めようとする小鈴さん。しかし、
小鈴「あぅっ!」
転んでしまう小鈴さん。
さやか「小鈴さん!!」
小鈴「あう。ぐ。…………失敗なんて、全然平気!徒町は失敗ばっかりだけど……、でも――届いて……徒町の気持ち!!行きます!!曲はDOLLCHESTRAの――Sparkly Spot!!」
しかし、それでも立ち上がり、音楽がなる。踊り始める小鈴さん。その出来は、先程とは比べるまでもなく全然ダメ。何度も転び、振りもまちがえてしまう。
さやか「…………」
しかし、
さやか「…………? っ! これ……は」
小鈴『間違いなんかじゃないっ……………間違い、なんかじゃっ』
出来は悪くとも、小鈴さんの思いがひしひしと伝わって来る……。
小鈴「"――決めるのはっっ!! 自分だ!!!!"」
さやか「!!」
小鈴さんが歌詞を叫ぶ。その歌詞が、今の状況と重なる……。
さやか「ああ……そっか――」
さやか『わたしも、おねーちゃんみたいになりたいんだ!』
私も初めは、お姉ちゃんの背中を目指してフィギュアを始めたんだ……。
さやか「…………がんばれ」
気づいたら、声が出ていた。
さやか「がんばれっ、がんばれぇ!!」
その声がどんどん大きくなる。
さやか「がんばれっ……がんばれ、小鈴さん!!」
そして、音楽が終わった。
小鈴「はぁ…………はぁ……。全然、ダメだった……転んだし。振りも間違えたし、最後もきめられなかった」
小鈴さんは、ちゃんとライブできなかった事に落ち込んでしまう。
小鈴「…………もっかい。もっかいやって――あ」
小鈴さんが力尽きて転びかける。私は、急いで駆け寄る。
ガシッ!!
さやか「いいえ。全然ダメなんかじゃ、なかったですよ」
小鈴「あ……さやか、先輩」
小鈴さんが、抱きかかえられながら私を見つめる。
さやか「ねえ、小鈴さん。わたしは昔、ほんとうによく転ぶ子だったんです。小鈴さんよりずっと」
小鈴「え……?」
さやか「お姉ちゃんを追いかけて、お姉ちゃんのまねばかりしようとして。失敗しては笑われて……でも、楽しかった。よく……こうして起こしてもらいました」
なんで、忘れてたんでしょう……。
さやか「痛みはありませんか?」
小鈴「は、はい」
さやか「今のライブは、失敗なんかじゃありませんよ」
私がそう言うと、小鈴さんは戸惑う。
小鈴「で、でも。ダメだって言われた方のライブより、ずっとへたっぴで……」
さやか「へたっぴだって、良いんです。だって……伝わりましたから。あなたの気持ちが」
さやか「――"間違いなんかじゃ、ないんだ"って」
小鈴「……はいっ……さやか先輩に憧れることは、それだけは……!」
さやか「はい。がむしゃらに、まっすぐに。頑張りたい気持ちを伝えてくれた。それはね、小鈴さん。あなただけの、応援したくなる魅力なんですよ」
小鈴さんは、無言で私を見つめてくる。
さやか「「さやとボク」と、「さやとすず」は違う。綴理先輩の言葉は……あなたのライブが、意味を教えてくれました。憧れを追いかけたい……あなたの気持ちは、間違っていないって」
小鈴「さやか先輩…………」
さやか「わたしも、気づかされました。きっと――あの日お姉ちゃんの背中を追いかけていたことそれだけは、間違ってなかったんだって」
さやか「あなたのライブはきっと、わたしの過去を救ってくれた。そんな人の心を打つライブをする、"スクールアイドル"が、間違っているだなんて言えるわけがない」
――だから、
さやか「だからね、小鈴さん」
小鈴「はい」
さやか「わたしは――あなたの目標であり続けます。あなたが、追い続けてくれる限り!」
小鈴「あ………………はい!」
さやか「ありがとう、小鈴さん。わたしは、あなたのライブで――大事なことを思い出しました」
小鈴「あ……あはは。あれ、なんか、なんで……」
小鈴さんの眼が、キラキラと耀き始める。
小鈴「失敗したはずなのに、できた時みたいに、胸の底から熱いものがこみ上げてきて……なんかすごく、すごい――!」
さやか「今なら、すごいことができそうな気がしませんか?」
小鈴「あ……はい!!」
さやか「いきましょう。私も――最高の歌詞が書けそうです!」
ー つづく ー
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