レッスン室に移動した3人は早速練習を始める。だが、その前に、
綴理「練習を始める前に、かほには謝っておかなきゃならないことがある」
花帆「へ?なんですか?」
綴理「ボクは、こずみたいにはできない。だいぶ勝手が違うと思うから…ゴメン」
花帆「えー、そんなのぜんぜん気にしないでくださいよー。2人がいつもしている練習がみたいです」
さやか「そ、その……結構特殊ですけど、頑張りましょうね」
花帆「特殊……?大丈夫!なんでもこい!です!」
綴理「じゃあ、まず、えだまめ……」
そして綴理は前屈する。さやかもそれに習って前屈する。
花帆「おおーっ!さやかちゃんも体すごく柔らかい!!」
さやか「まぁ、フィギュアスケートやってますからね……」
花帆「よ、よ〜し、あたしも……。え、えだまめ!」
花帆も二人に習って前屈するが、
花帆「と、ところでえだまめってどういう意味?」
さやか「ま、まぁ、夕霧先輩の世界観は独特ですけど……」
綴理「じゃあ、そらまめ……」
そして綴理は、次はスケートのビールマンスピンのフォームを取る。
さやか「ストレッチです」
花帆「無理無理無理!あんなの無理!」
さやか「夕霧先輩、花帆さんは柔軟も始めたばかりですから……」
綴理「じゃあ、できる範囲でそらまめ……」
花帆「ひ〜ん!」
そしてストレッチが終わると、次はダンスレッスン。綴理は花帆には拍をうってもらい、スリーズブーケのダンスを踊った。
花帆「わん、つー、すりー、ふぉー!」
綴理「いえい!」
花帆「凄い!綴理センパイのダンス綺麗!!」
綴理「そう?ありがとう……」
さやか「……………」
綴理「さや?どうしたの?」
さやか「ああ、いえ。夕霧先輩、どうして花帆さんたちの振り付けを?」
花帆「あっ、そう!でも、すっごく勉強になりました!」
綴理「そう、だね。うん。気がついたら踊ってた」
さやか「夕霧先輩……?」
綴理「…ねえ、かほ」
花帆「はい?」
綴理「よかったら、踊ってみてくれないかな?この前のライブのやつ。とっても良かったから」
花帆「あたしがですか?え、ええと、分かりました!日野下花帆、全力で踊らせていただきます!」
綴理「うん。お願い」
さやか「あの……どうしたんですか?なんだか先輩、最近やっぱり少し変ですよ?」
綴理「ゴメン…さや」
さやか「………先輩?」
そして次の日……
綴理「――やめておくよ」
梢「本気で言ってるの?」
花帆「そんな〜、勿体なくないですか……?」
さやか「おはようございます!何かあったんですか?」
淳平「えっと、それが……」
俺は今あったことをさやかちゃんに説明する。
先日行われた部長会で、今度の蓮ノ空の学校見学のときにスクールアイドル部にパフォーマンスの依頼があったので、この間花帆と梢がやったので、今回は綴理とさやかちゃんでどうかと話したら、綴理が断ったこと。
さやか「そうですか…じゃあ、私練習行ってきます」
花帆「あっ、さやかちゃん!!」
淳平「花帆、さやかちゃんに付いててやってくれ。コイツは俺と梢でなんとかする」
花帆「う、うん。わかった!」
そして花帆はさやかちゃんを追いかけていった。
梢「それで、綴理、どういうつもりなの?」
綴理「離れないんだ。こずとかほが、頭から離れてくれない……。キミたちのライブが、目に焼き付いて、痛いんだ……。あの日のこずは、スクールアイドルだったよ」
梢「……この前のライブ、そんなに良かった?」
綴理「とても。こずとかほが、2人で1つのユニットだって、誰が見ても分かる。カンペキじゃないのに、カンペキ、ユニットでつくる、芸術。うん。スクールアイドルだったよ」
梢「そ、光栄ね」
淳平「綴理は、相変わらず自分のことはスクールアイドル失格だと思ってるのか?」
綴理「失格、とは……違うかな。一度だって、その資格を手にしたことはない。ボクはいつだって、夕霧綴理でしかないみたいだ」
梢「それで…でも村野さんだって、あなたのライブを見て入ってきてくれたんじゃないの?」
綴理「それは、たぶん、ありがたいことなんだと思う。ボクにはよっぽど、さやの頑張りの方が綺麗なものに見えるけど……さやはそれでも、ボクのパフォーマンスを褒めてくれる」
淳平「だったらライブの出演依頼、断る必要あったかよ?さやかちゃんは本当に頑張りやで、綴理のことも慕ってくれて……面倒まで見てくれてる。お前と一緒にライブに出たいとがんばってる子に、お前がしてるのはなんだ?」
綴理「そう、だね……。さやはいつも、どうしたらいいかボクに聞いてくれる。でもボクが、うまく言えなくて。なのにさやは、一生懸命ボクに合わせてくれようとしてる。頑張ってくれてる。まるで……。去年のこずとジュンみたい」
梢「――綴理」
綴理「ゴメン……」
梢「去年の話はもうしないって約束したはずでしょ?」
綴理「えっと……」
淳平「綴理、だったらなおさらだ!そんな風にがんばってる子が今、お前の都合でライブの1つもできない。それでも泣き言1つ言わずに1人で練習しに行って。たぶん、ライブができないのは自分が不甲斐ないからだと思ってるんじゃないか?」
綴理「そ、そんなことは思ってない!!」
淳平「綴理、お前が下手なのは説明じゃない。自分の気持ちを伝えること、相手の気持ちを想像すること。両方だ」
綴理「……ジュン?」
淳平「オレだって、お前や梢、それに花帆やさやかちゃんとだって、もっと信頼関係を築ける様に努力してるんだ。もし、もしもさやかちゃんと、去年の俺と梢が似てるって言うなら……綴理も、去年とは変わるべきなんじゃないのか?」
梢「そうね。少なくとも私は、あなたの気持ちを知りたかった。あなただって、私にしてほしいことがあったんじゃない?私と花帆さんが、素敵なスクールアイドルに見えてるのなら、あなたにだって、できることはあるはずよ?あなたは、村野さんにどうなってほしいの?」
綴理「それは……それは」
梢「やっぱり、差し出がましいことを言ったみたいね。でも、今も求めるものがあるなら、あなたは伝えるべきだと思うわ。たとえその言葉が、どれだけ拙いものだとしても。きっと村野さんも、あなたのことをよく知らない。あなたも、村野さんのことをまだよく知らないでしょう」
綴理「………」
梢「……あなたも周りが言うような、完璧でもなんでもないわ」
そして梢は行ってしまった。
綴理「こず……、ボクは。ボクは……」
そして、綴理はあの勧誘のときに、さやかちゃんと初めて会ったときを思い出した。
綴理「……さやに、どうなって欲しいかって。それを分からないで片付けてたのは、ボクの方だ。行かなきゃ。今度こそ……」
そして、綴理はさやかちゃんのもとへと向かった。
ー つづく ー
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