第32話:蓮空祭 みらくらぱーく!
季節は6月に入り、もうじき蓮ノ空には蓮空祭が開催される。
今日も部活を終えたスクールアイドルクラブの2年生3人は、瑠璃乃の部屋で全員スマホを持ち寄り、通信機能を使ってレーシングゲームで勝負していた。
瑠璃乃「1着!」
さやか「に、2着です!」
花帆「うわーん、3着だぁ!」
勝負が決まり、花帆ちゃんが悔しがる。
瑠璃乃「へっへっへ。また勝っちゃったね」
ルリが勝って喜んでると、
さやか「ゲームお上手ですね、瑠璃乃さんは」
花帆「う〜っ……こうなったら、さやかちゃん!ふたりで協力しよう!2対1だよ!」
さやか「に、2対1!?」
花帆ちゃん、何がなんでも勝つ気だねぇ〜
瑠璃乃「よし、かかってきやがれ〜!」
花帆「あたしがスマホの左を持って動かすから、さやかちゃんが右を持ってボタン係ね!」
さやか「2対1ってそういうことですか!?やりづらいだけかと思いますが!」
瑠璃乃「あははっ」
花帆ちゃんは本当に面白いなぁ……。一緒にいて飽きないっていうか……。
さやか「でも、楽しいですね。たまにはみんなでワイワイとゲームを遊ぶのも」
花帆「そうだね。のんびりしてられるのも今のうち……なんたって、もうすぐ蓮空祭だもんね!」
もうじき開催される3大文化祭の1つ、蓮空祭。ルリは去年は転入してくる時期の関係でいなかったからなぁ……。
カリフォルニアで動画として観た花帆ちゃん、さやかちゃん、梢先輩、綴理先輩たちが踊った曲、『DEEPNESS』は今でもルリの心のなかに残っている。
瑠璃乃「おおー!ウワサの蓮空祭!」
さやか「そういえば、瑠璃乃さんは去年、蓮空祭のライブを見てくれたんですよね」
瑠璃乃「そおそお!梢パイセンと綴理パイセンの共演、すごかったな〜!」
花帆「だよねだよね!あたしは今でも昨日のことのように……あれ、ちょっと思い出せないかも!楽しいことがありすぎて!」
瑠璃乃「ルリ、参加するのは初めてだからさ〜、蓮空祭。なんか出し物とかあるのかな〜。あるならラジオとかやってみたいな〜。楽しみだな〜」
蓮空祭の告知をしたり、当日来てくれた人に校内放送を使って蓮ノ空の魅力を話したり、イチオシイベントの案内したり……。
さやか「蓮空祭は、大まかには竜胆祭や蓮華祭とそう変わりませんが、3つの文化祭の中では、いちばん1年生の活躍の機会が多い場かもしれませんね。それと、クラスや部活ごとに出店などの出店や出し物を出したりします。去年の最優秀店舗賞は淳平先輩と慈先輩のいる2年B組でした」
瑠璃乃「ほうほう!それじゃあ、ふたりは去年なにしたの?あー、ライブや出店以外に!」
さやか「わたしたちは、スクールアイドルクラブの記事を書きました。毎年、1年生が記事を書くのが伝統だそうで」
花帆「そうそう。センパイの魅力をぞんぶんに伝えたんだよ!」
へええ〜、楽しそうだなぁ。
瑠璃乃「ええ〜、めちゃめちゃ楽しそうじゃん!じゃあ今年は、姫芽ちゃんと吟子ちゃんと小鈴ちゃんが書くってこと?」
さやか「そうなりますね」
花帆「えっ、じゃああたしたちのことも書かれちゃう……!?」
さやか「そうなる、かもしれませんね」
花帆「どうしょ、あたしたちの悪いところが書かれちゃったら!『先輩としてまだ実力不足は否めません。☆ひとつ』みたいな!」
さやか「! そんなことは!」
花帆チャンなんて嫌な想像を……。そんなこと書かれたらルリ立ち直れないヨ……。
花帆「さやかちゃんは大丈夫かもだけど〜!」
瑠璃乃「いやいや、ふたりとも大丈夫っしょ。いい先輩やれてるよー!」
と、思いたい……。ルリも本音では言い切る自信は無い。
花帆「そ、そうかなあ?」
さやか「で、でも、瑠璃乃さんにそう言ってもらえると、安心しますね」
瑠璃乃「そお?」
ルリ、すごく信頼されてるなぁ……
さやか「はい。瑠璃乃さん、みなさんのこと本当によく見てくれてますから」
瑠璃乃「まぁ、みんなのこと見てなかったらルリはそもそも充電切れとか無いだろうしね……」
花帆「そういえばこないだ、あたしがタオル忘れたときも、なにも言わないのに貸してくれた!」
瑠璃乃「ええ〜?あれはたまたまだよ〜」
花帆「たまたまじゃないよ。だって、ヘアゴム忘れたときだって」
さやか「ふふっ、いっぱい忘れてますね」
瑠璃乃「確かに、花帆ちゃんのことは、気を付けて見ちゃってるかも〜?」
良くも悪くも、目が離せないんだよね〜。
花帆「えー、それどういう意味?」
花帆・さやか・瑠璃乃『あははっ』
花帆「いいなー、瑠璃乃ちゃん。きっとセンパイ活動もうまいんだろうなあ。姫芽ちゃんいっつも瑠璃乃ちゃんのそばでニコニコしてて、かわいいよねえ」
瑠璃乃「あの子がもともと、みらくらぱーく!大好きっ子だからねえ〜」
さやか「あ、一緒にゲームで遊んだりもするんですか?姫芽さんもすごくゲームが上手なんですよね?」
瑠璃乃「え?ああ……あの子はホント楽しむと言うより全てを賭けてるガチ勢だからなぁ……」
ルリは姫芽ちゃんのゲームしてる時の姿を思いだす。
姫芽『っしゃあ!今日もゴキゲンに勝ちに行くぞ〜〜!!』
ホント、人が変わったようになるからなぁ……。
花帆「それに、蓮空祭が終わったら、いよいよ淳兄ぃが私たちの中から選んでくれる……。フられた時が怖いけどね……」
さやか「そうですね……でも、この時をわたしたちは待っていたんです」
瑠璃乃「ルリの小さい頃からの恋が実るか、緊張するなぁ……」
3人がそれぞれその状況を想像する。
瑠璃乃「う〜〜ん!まあ、うん!その話はおいおいとして!どっすか?ゲーム、もう1戦!」
花帆「そ、そうだね。その時まで楽しみに待とっか。もう近いんだし!」
さやか「今度は負けませんよ!」
瑠璃乃「よーし、勝負だー!」
そして、その晩は3人で思い切りゲームで遊んだ。
―― 瑠璃乃 Side out ――
〜 翌日 〜
慈「勝負なんだよ」
瑠璃乃「…………なにが?」
淳平「スクールアイドルクラブの、正確にはユニットの蓮空祭の出し物のことだってさ」
瑠璃乃「あ、やっぱり出し物あるんだ」
慈「そう、せっかくの自由参加だからね。今年はスクールアイドルクラブも、3ユニットそれぞれで申し込もうって話をしてたの」
瑠璃乃「えー!合同のライブやるだけじゃなくて!?メッチャ楽しそうー!」
慈「もちろん!やるからには、本気だよ!狙うは文化祭の最優秀賞!みらくらぱーく!が蓮ノ空を制圧するのだ!」
瑠璃乃「わーわー!で、なにやるなにやる?あ、だったらルリもやりたいことひとつあって、みんなを楽しませるようなラジオをしてみたいっていうか〜」
ルリちゃんの言葉を聞いた俺とめぐは気まずそうな顔をし、
淳平「…………それなんだけど」
瑠璃乃「ん?」
慈「みらくらぱーく!の出し物についてはぜんぶ任せたよ、るりちゃん」
瑠璃乃「え…………ええっ!?」
ルリちゃんはめぐの言葉に目を見開く。
瑠璃乃「ど、どうしたのめぐちゃん!?やりたいことはなんでも自分でやらなくっちゃ気が済まない、あの天上天下唯我めぐ尊が!」
慈「私も、気づいたんだよ。そっか、るりちゃんはもう2年生で、先輩なんだな、って」
瑠璃乃「えっ?」
慈「いろいろあったよね。引っ越しで離れ離れになったり、カリフォルニアにいって、ビッグになって帰ってきたり。……私の手を引いて、前を走ってくれたり、さ。あれは、嬉しかったな」
瑠璃乃「めぐちゃん…………」
慈「るりちゃんは、大きくなった。私の足りないところも、埋めてくれる子になった。そろそろね、任せてもいい頃合いだよ。だから今回は………、るりちゃんが姫芽ちゃんとふたりで、最強の出し物を考えてくれる?」
瑠璃乃「ええっ!?」
淳平「はぁ〜〜………」
俺は盛大なため息を付く。
淳平「心配しないで、ルリちゃん。ただ大袈裟に言ってるだけだから」
瑠璃乃「えっ?」
慈「ちょっ!? ジュン!!」
瑠璃乃「どういうこと?」
淳平「めぐ、授業態度が悪くて先生がキレてな。補習授業になったんだ。だから準備に参加できなくなった。それだけ」
瑠璃乃「めぐちゃん………」
何かあったのかと思ったルリが馬鹿だったか……。
淳平「とにかく、めぐは準備に参加できない。俺も先生から補習で教え役として先生から依頼されてる。だから直接的には関われない。勿論、相談ならいくらでも乗るけど」
瑠璃乃「………分かった。頑張るよ」
慈「ルリちゃんなら、そう言ってくれると思った!それじゃあ行ってきます!バイめぐ〜!」
瑠璃乃「少しは反省しなよ!!」
お気楽なめぐの背中に、ルリちゃんの呆れた怒鳴り声が突き刺さった。
瑠璃乃「はあ……ほんとに?みらくらぱーく!めぐ抜きなの?ルリひとりで大丈夫かなあ〜」
姫芽「あ、るりちゃんせんぱぁい〜。あれ?めぐちゃんせんぱいは、どこ行っちゃったんですか?」
瑠璃乃「そうだね。近くて、遠い場所かな…………」
姫芽「?」
瑠璃乃「……ところで、姫芽ちゃんって、ベンキョーはしてる?」
姫芽「え?してますよ〜。だって、ゲームばっかりしてるのに成績下がってたら、学生としてまずいじゃないですか〜」
瑠璃乃「そう!だね!」
瑠璃乃(コレが普通の感覚だよ………めぐちゃん……)
ルリちゃんは、心の中でめぐに対して『どうすりゃ良いんだ』と、涙を流していた。
ー つづく ー
感想・評価よろしくお願いします!!