スクールアイドルクラブの初代衣装が見つかった。だが、着るだけでも不可能なほどボロボロになっており落ち込んでいたら、吟子ちゃんが「私のおばあちゃんなら直せるかもしれない」と言うので、次の休みにスクールアイドルクラブの全員で吟子ちゃんの実家に向かっていた。
吟子「ここまでくれば、もう、あと少しです」
淳平「でも大丈夫?こんなに大人数で押しかけて……」
吟子「祖母に聞いたら、ぜひみんなで遊びに来てくださいって言ってましたので!特に淳平先輩はおばあちゃんが芸学部のOBとして男子のマネージャーに興味があると言ってましたので」
淳平「品定めか……」
淳平が憂鬱になると、
吟子「そこまで大事にはならないと思いますけど……」
吟子ちゃんも確信は持てないらしい。
花帆「へ~。このあたりが吟子ちゃんの地元なんだね〜」
吟子「はい、そしてこちらが――」
花帆「ここが!」
吟子「到着しました!『金沢くらしの博物館』です!」
慈「ってなんでだー!」
やって来たのはとある博物館。どういうこと?
慈「私たち、吟子ちゃんのおうちに向かってたんでしょ!?」
吟子「す、すみません、慈先輩。おばあちゃんとの約束の時間まで、まだ間がありますし、せっかくの機会なので、どうしても皆さんに見てほしいものがありまして!」
慈「見てほしいものぉ〜……?」
そして、吟子ちゃんの案内で博物館の中に入り、とある展示室に入る。
吟子「こちらでは、なんと……ご覧ください!」
俺達が展示してある写真を見ると、それは………
淳平「これって……当時の、蓮ノ空芸楽部の写真か?」
吟子「はい!ここは金沢の様々な民俗文化財や歴史が集められてるんですけど、その中には、芸楽部のコーナーもあるんです!」
梢「蓮ノ空からこんなに離れているのに」
淳平「驚いたな……」
冗談抜きでマジで驚いた……。
吟子「祖母から聞いたんですが、当時の商店街が地元を盛り上げるために、誘致をしてたみたいですね。だから、写真が多く残ってるんですよ」
吟子「これから伝統の衣装を着ることになるので、こういったものに触れておくのも大事かなと思いまして……!」
淳平「そうだね。あの衣装を着る前に蓮ノ空スクールアイドルクラブのルーツを知っておいて損は無いね」
吟子「さすが淳平先輩。私の言いたいことはそういうことです」
すると、写真を見ていた小鈴ちゃんが、
小鈴「はっ、こっちの写真、《Sparkly Spot》の衣装にちょっと似てませんか!?」
吟子「あ……ほんとだ」
さやか「すごい、こんな昔から面影が………!」
綴理「たぶん、中身はちょっとずつ変わってるんだ。『逆さまの歌』のときみたいに」
瑠璃乃「なんかおもしろそうかも! よーし、ひめっち!めぐちゃん!ジュン兄ぃ!みらぱ!っぽいのさがそー!」
姫芽・慈「「らじゃ〜!」」
淳平「オッケー!」
花帆「すごいなあ………。スクールアイドルって、こんなにずっと前から、たくさんの人たちを笑顔にしてたんだねえ。ね、ね、吟子ちゃんは、昔からここに来てたの?」
吟子「あ、うん。初めては、5歳ぐらいのときに、おばあちゃん……祖母と一緒に。それからは、ちょこちょこと」
花帆「そっか~。あたし、吟子ちゃんが芸楽部にこだわってた理由が、ちょっとわかった気がするなあ。だって、ここに飾られてる写真、みんな楽しそうだもん!吟子ちゃんもこんな風に、スクールアイドルになって、みんなの笑顔を花咲かせたいって思ったんだね!」
吟子「…………う、うん。まあ、それも、あるかな……ハイ」
吟子ちゃんが少し恥ずかしそうに答える。
梢「………素敵ね。これは、スクールアイドルクラブができる前、もっと、もっと昔から、蓮ノ空に綿々と紡がれてきた歴史そのものだわ。ありがとう、吟子さん。ここに連れてきてくれて」
淳平「だなぁ。教えてもらわなきゃずっと知らないままだったよ」
吟子「あ、いえ………。ただ単に、私がスクールアイドルクラブの方々に見てほしかっただけなので。淳平先輩と梢先輩にそんなに響くなんて、思ってませんでした」
淳平「分かってるつもりだったけど、改めて俺達は先人達の色んな物を背負ってるっていうのが分かったよ」
梢「そうね。それに、音楽の歴史は文化の歴史でしょう。クラシックやジャズをやるときに、たくさん勉強したから。過去を学んで未来を作る。その繰り返し。蓮ノ空の音楽の歴史を知れるのは、大勢の先人の想いに触れることができるみたいで、純粋に嬉しいわ。それにね、自分たちはその先頭に立っているんだって、胸を張れるような気がしてくるのよ」
吟子「梢先輩、淳平先輩………。で、では、時間の許す限り、私が館内をご案内いたしますね!」
花帆「はーい!お願いします、吟子せんせい!」
吟子「ちょっと!」
梢「それじゃあ、お願いするわね、吟子先生」
吟子「梢先輩まで!?」
そしてある程度博物館を見終わると、吟子ちゃんのおばあちゃんとの約束の時間が近づいていた為、博物館を出て今度こそ吟子ちゃんの実家に向かう。そして、
吟子「長旅お疲れさまでした!こちらが、百生家です」
花帆「隣にお店があるよ!」
さやか「加賀繍を使った、様々なお土産が売っているみたいですね」
瑠璃乃「えーすごい!あとで見ていこー!」
淳平「こらこら、遊びに来たわけじゃないんだぞ?」
綴理「違うの?」
俺達がそんなやり取りをしていると、背後から声が掛かった。
?「いいええ。遊びに来たつもりで、ゆっくりしていきまっし」
吟子「あ、おばあちゃん!」
吟子祖母「おかえり、吟子。それに、スクールアイドルクラブの皆さん。よくいらっしゃいました。そして……」
吟子ちゃんのおばあちゃんが俺を見る。
淳平「初めまして。今回はよろしくお願いします」ペコリ
吟子祖母「これはご丁寧に。吟子の祖母です」ペコリ
小鈴「こんにちは!徒町です!」
姫芽「お世話になります〜」
吟子「今の時間は、ワークショップのお手伝いやなかったん?」
吟子祖母「ええ、もうじき出るところや。先にい、衣装だけ受け取っとくわ」
優しそうなお祖母さんだな。すると。
梢「もし、かして………、先生ですか?」
吟子「えっ?」
吟子祖母「あら………?梢さん?まあ、ずいぶんと大きくなって」
梢「その節は、ご無沙汰しております。そう、吟子さんのおばあ様だったのね」
吟子「梢先輩とおばあちゃん、知り合いだったんですか!?」
梢「昔ね、七五三のときに衣装を作ってもらったのよ」
吟子祖母「懐かしいわ。あの頃の梢さん、こんなに小さかってんよ」
ほう、昔の梢か。にしても世間は狭いというかなんというか………。
小鈴「梢先輩が、小さく……!?」
花帆「ええー、そのときのお話、聞きたいです!」
淳平「ほら、今出かける所みたいだし、帰ってきて時間ありそうな夜にでも聞けばいいだろ?」
吟子祖母「そうやね。夜にでもゆっくり。ま、とりあえず、入りまっし」
ー つづく ー
感想・評価よろしくお願いします!!