蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第五章 不完全で未完成
第58話:小鈴の友達


それは、トゥインクルスターフェスティバルを終えて数日後だった。朝の学院の中庭で、小鈴は………。

 

小鈴「景色、よし!角度、よし!録画ーーっとと」

 

小鈴はスマホを録画モードにして三脚にセットして動画を撮っていた、

 

小鈴「録画、よし。それじゃあ、あくしょん!」

 

小鈴『かちまっ………あぁあえっと、あたしの名前は小鈴!蓮ノ空学院に通う一年生。特技は決まってないけど、好きなことはチャレンジ!頑張れば、なんだってできるって信じてる!』

 

?(ん~……?)

 

その様子を、ある人が見ていた。

 

小鈴『これから見せるのは、あたしがチャレンジを成功しまくる一大ヒストリ――』

 

姫芽「なにしてるの〜?」

 

そこへ姫芽が声を掛ける。

 

小鈴「どわぁ!?ひ、姫芽ちゃん!?」

 

姫芽「どうも〜、姫芽ちゃんで〜す。それでそれで〜?さっきから見てたけど……」

 

撮影中に声をかけてきた姫芽ちゃんに驚く小鈴ちゃん。姫芽ちゃんは何をしていたのかを聞いてくる。

 

小鈴「え、えっと。これはね、映画を撮ろうとしてるんだ!」

 

姫芽「ほう、映画。楽しそうなことしてるね〜」

 

小鈴「そ、そうかな?」

 

姫芽「? 楽しいからやってるんじゃないの?」

 

小鈴「あーいや、えっとそれは……うん、やりたいことでは、あるかな?」

 

姫芽「そっか。アタシ、カメラマンやろっか?」

 

姫芽ちゃんがカメラマンを申し出る。でも……、

 

小鈴「ううん、大丈夫!姫芽ちゃんも練習あるだろうし!またあとでミーティングでね!」

 

姫芽「ん、わかった。それじゃああとでね〜」

 

小鈴「がんばらないと………!」

 

そして、朝のスクールアイドルクラブのミーティングの時間になり………、部室では

 

 

小鈴「ふにゅ〜………」

 

姫芽「………頑張りすぎだね〜?」

 

吟子「小鈴、ミーティング始まるよ?」

 

小鈴「アイオキマス」

 

虚ろな目をしながら起き上がる小鈴ちゃん。

 

小鈴「すみません。ご迷惑を」

 

淳平「俺が来た時姫芽ちゃんがいたよね?その時にはすでに寝てたけど……ずっと寝てたの?」

 

姫芽「アタシが部室に来た時にはもうぐっすりでしたね〜」

 

何してたんだろ…………?

 

小鈴「ミーティングに遅れるわけにはいきませんので、体を引きずってやってまいりました。そして……気づいたら意識が」

 

綴理「! なるほど」

 

淳平「なるほどじゃねぇよ?!」

 

さやか「そうですよ! 先輩が何を考えているのかうっすら分かりますが、遅刻しないように先にここで寝ておこうっていうのはダメですからね?」

 

綴理「さやもジュンも、ボクのことよく分かってくれてるね………」

 

淳平「今の話の流れなら誰でも分かるわ!」

 

ったく……。

 

瑠璃乃「体調悪いの?今日は休んでおく?」

 

小鈴「あーいや、すみません。ちょっとやることがあって、それに追われてただけです。体調悪いとかじゃなくて」

 

やること……?

 

淳平「こないだのテストの補習とか?なら見てやるけど……」

 

小鈴「あ~いや、勉強関係じゃないんです」

 

淳平「そっか……」

 

慈「すぐに勉強に話を持ってくのはジュンの悪いところだよ?「え?」それで、疲れ果てるくらい頑張るようなことがあるの?」

 

淳平(ほぼ9割お前のせいだろうがめぐ!!)

 

口にすると喧嘩になるし話の腰を折ることになるので言わないでおくけど……。

 

小鈴「それはその、映画を撮ろうとしてただけなんですけど………」

 

花帆「映画!え、すごいね!なんでなんで!?」

 

映画を撮ると聞いて花帆は目をキラキラさせる。『楽しそう!』とか考えてるんだろうな……。

 

小鈴「た、大したことじゃないんですけど。ちょっと事情がありまして」

 

花帆「……………あれ、もしかしてあまり聞かれたくなかった?」

 

小鈴「そういうわけじゃないんですけど!でもミーティング前に徒町が時間取りすぎてるような気がしてまして!」

 

さやか「それでも、あなたが突っ伏してたら気になるものなんですよ。さ、そういうわけじゃないなら話しちゃいましょうね」

 

さやかちゃんが諭して話を進める。

 

小鈴「え、は、はい。わかりました!実はその、昔の友達から久しぶりに連絡がきたんです」

 

瑠璃乃「お、幼馴染だね?」

 

小鈴「中学からは別々ですし、やり取りもそんなに頻繁じゃなかったんですけど。でも、徒町にとっては、チャレンジを教えてくれた大事な友だちなんです」

 

へぇ。そんな友達がいたんだな……。

 

綴理「すずに、チャレンジ。じゃあ、すずがお世話になりました」

 

綴理が頭を下げる。いや、今言ってもしょうがないと思うが……。

 

小鈴「は、はい。お世話になりました。でもその子が……自分はもうチャレンジを……夢を諦めるって言ってて。映画監督になるっていう、昔からの夢を」

 

そして小鈴ちゃんはスマホのメッセージ画面を見せて来る

 

花帆「『小鈴が頑張っているのが分かって、とっても嬉しいわ。昔から転んでもすぐ起き上がって頑張るあなたは――』」

 

淳平「いい手紙じゃん」

 

綴理「ん」

 

小鈴「わ、わー!そ、その辺は良いんです!もっと下、もっと下なんです!」

 

花帆「もっと下…………『家族と、外国にいくことにしたの。新天地で新しい夢を探すね』」

 

ふむ?

 

姫芽「外国に行くことが、夢を諦めることになるの?」

 

小鈴「その子……雪佳(せっか)ちゃんっていうんですけど。雪佳ちゃんが外国に行くっていうのは家業を手伝うことと同じなんです。心配になって昨日確認したら、これまで撮ってアップしてた動画とかも全部動画サイトから消してて」

 

慈「なるほど……それは確かに諦めてるやつっぽいなあ………」

 

小鈴「……………雪佳ちゃんはなんというか、チャレンジに全部成功する徒町というか、なんでもできて完璧で、そういうとこはさやか先輩に似てて」

 

さやか「あ……似てますかね???」

 

戸惑うさやかちゃんに、小鈴ちゃんはコクリと頷く。

 

小鈴「徒町がチャレンジをするようになったのも雪佳ちゃんのおかげというか。そんな雪佳ちゃんが、締めるって選択をしたのが、徒町にとっては…………」

 

なるほど………。

 

小鈴「だから!徒町、頑張ろうと思ってるんです。徒町が映画を撮って、雪佳ちゃんに届けたい。諦めないでほしいって、その気持ちを届けたいんです!」

 

瑠璃乃「ん、いいじゃん!その子が夢を諦めるほど、家族の手伝いが凄い大変なのかもしんないけど…………小鈴ちゃんは、その子が頑張ってたのが好きだったんだもんね。なんか分かる気がするな」

 

ルリちゃんはめぐを見る。俺もその話を聞いたときにはめぐを見ていた。

 

俺とルリちゃんから見られためぐは少し顔を赤くして……、

 

慈「……………ま、まあ、言いたいことは分かる。その子にも事情があるのかもしんないけど……小鈴ちゃんの知ってるその子は、楽しそうだったんでしょ?」

 

小鈴「はい、誰よりも!」

 

慈「ん、なら良いと思う」

 

花帆「よし、じゃあ手伝うよ小鈴ちゃん!」

 

淳平「そうだな!」

 

俺達がそう言うと、小鈴ちゃんは申し訳無さそうな顔をし、

 

小鈴「えっ!?で、でもさっきも言いましたけど、これは徒町の問題で。それにライブの練習だってありますし……みんなに迷惑はかけられませんから」

 

梢「そう………?」

 

花帆「え、全然手伝うよ!?」

 

小鈴「気持ちは嬉しいです!でもどのみち、雪佳ちゃんが外国に発つまで、あんまり時間がないんです。だからやっぱり、そこまで皆さんに迷惑はかけられません。それに、DOLLCHESTRAとしても、徒町が一番練習頑張らなきゃダメですから。足を引っ張るのは最小限にしたくて」

 

綴理「……? 引っ張られたことはないけど」

 

花帆「本当にいいのー?」

 

小鈴「ああうーん……はい」

 

淳平「………まあ、小鈴ちゃんの気持ちも分かる気はするんだけどね。俺達に何かできることがあったら、いつでも言ってね」

 

小鈴「はい!みなさん本当にありがとうございます!練習ももちろん、頑張ります!強化月間!!」

 

梢「………分かりました。それじゃあ、今日の練習を始めましょう!」

 

 

そして、スクールアイドルクラブの朝の練習が始まった。

 

淳平「…………めぐ」

 

慈「なに?」

 

淳平「めぐには悪いんだけどさ、しばらく小鈴ちゃん見てていいか?小鈴ちゃん、まだまだ今の状態だと空回りして大惨事になったりすると悪いし……失礼かもしれないけど」

 

慈「あ~たしかに言ってることは分かる。分かった。その代わり!小鈴ちゃんの件が終わったらめぐちゃんを思いっきり甘やかすこと☆」

 

淳平「了解です。お姫様」

 

慈「ん!くるしゅうない♡」

 

 

ー つづく ー




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