蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第61話:夏の海合宿 映画撮影②

梢の別荘に海合宿に来ていた俺たち蓮ノ空スクールアイドルクラブ。

小鈴ちゃんの友達へと贈る自主制作映画を作成しており、配役は………

 

小鈴ちゃん…主人公

 

吟子ちゃん…ヒロイン

 

梢…小鈴の先輩

 

綴理…ライバルスクールアイドル

 

さやかちゃん…綴理の先輩

 

となった。

 

この映画の脚本は花帆と姫芽ちゃんが共同で作成しており、花帆の、本の物語の言い回しや、姫芽ちゃんのゲームのキャラの心情表現など、それぞれの表現を掛け合わせて書かれていた。

俺もさっき読ませてもらったけどとても良いものになっていた。

 

さやかちゃんと綴理の先輩後輩関係が普段と逆転することになるうえ、台詞には綴理をタメ口で呼ぶシーンもあるため、さやかちゃんは綴理にすごく申し訳無さそうにしていた。

 

綴理はまったく気にしていなかったが。

 

そして、映画の脚本に沿って撮影を始める。まずは大会で小鈴ちゃんが綴理に敗れるシーンだ。

 

 

花帆「よーい! アクション!!」

 

俺がカメラの撮影モードを入れてカメラを回す。ところどころズームやアップなどの機能を切り替えて見栄えが良くなるように撮影する。

 

綴理『今日、キミは敗れた』

 

小鈴『くっ』

 

綴理『でも、もしもキミに、それでもやりたいことがあるというのなら……やってみせるといいさ。私は、キミたちの活躍を楽しみにしている。ラブライブ!の舞台で』

 

淳平(しかし……綴理迫真の演技だな。こんな才能があったとは……)

 

綴理『ただ……折れるというのならそれもキミのものだ。何かを諦めるということは、開違いというわけでもない』

 

小鈴『……………満ち潮って知ってる?』

 

綴理『うん?』

 

小鈴『今は潮が引いて、何度打ち寄せてもあなたの足元にも届いてない。でも、潮が満ちれば、今あなたの立っているところにも届く』

 

綴理『キミは、何度も打ち寄せる波になると?』

 

綴理と小鈴ちゃんの演技に、シーン待ちのめぐたちも見入っている。

 

小鈴『あたしは、何度だって諦めない!必ず、いつかあなたに勝つ!教えてもらったんだ、挑戦することは何よりも尊いこてゅおだって!!』

 

噛んだ……。

 

小鈴「っ!ご、ごめんなさい!また台詞噛んじゃった」

 

綴理「……ぎりそのまま行けた気もする」

 

慈「ダメダメ!台詞噛んだことは、意外とみんな気付くんだから!特にこういう台詞で魅せるシーンはね!」

 

小鈴「でも、もう結構撮り直しちゃって、綴理先輩も何度も同じ台詞を」

 

綴理「大丈夫、暗記はそこそこ得意」

 

梢「スケジュールに関しては、今は考えなくて良いわ。 焦りに繋がってもよくないし」

 

淳平「それに、前回よりよくなってるのは確かだよ。表情も良いし、リテイクしたところはちゃんと直ってるから、地道にやっていこう」

 

小鈴「あ、ありがとうございます!」

 

姫芽「にしても、つづりせんぱいは映えますね〜。これはラスボスの風格〜」

 

綴理「いえい。でも……うん、良い話だからだよ。ボクも、自分の役割の子がどういう気持ちなのか分かるし……何より、すずの役を応援したくなる話だ」

 

淳平「ホント良い脚本書いたよなふたりとも」

 

花帆&姫芽「「いや〜」」

 

 

ふたりが頭を掻いて照れる。

 

 

さやか「小鈴さん」

 

小鈴「はい!」

 

さやか「リテイクがかさんで焦る気持ちも分かりますが、 良いものにする方が大事です。小鈴さんのご友人に贈るものだから、というのもそうですが………もう、みんなの夢が乗っているのですから」

 

小鈴「みんなの、夢?」

 

花帆「実はその、誰にも言ったことがなかったんだけど……あたしね、子どもの頃は、お話作る人になりたいなーって思ってたりもしてたんだ。だから、なんだろう。今ね、すごく楽しいんだよ」

 

姫芽「アタシも、かほせんぱいに、こんなにアタシの好きなゲームの話を、楽しく聞いて貰えたの初めてで。こういうお話を通してなら、もっと誰かの“好き”に届くんじゃないかって、すっごく勉強させてもらってるよ〜」

 

梢「この夏に、みんなでひとつの映画を撮った……私にとっても、別荘に残すとてもいい思い出になりそうで嬉しく思っているわ」

 

慈「ま、めぐちゃんは小鈴ちゃんに頼られてしまったからには、これまでの経験を活かして支えてあげるよ。小鈴ちゃんの幼馴染ちゃんのためにもね!」

 

さやか「この場にいない瑠璃乃さんと吟子さんもです。瑠璃乃さんはロケ地をひとりで探すのがとても楽しいと、幾つも写真を送ってきてくれていますし」

 

花帆「吟子ちゃん、もうなかなか着る機会がない衣装がたくさんあったからって、楽しそうに一生懸命修繕してくれてるよ」

 

さやか「だからこそ、良いものにしましょう。そのためのリテイクは決して、無駄ではありません。頑張ることは、無駄ではありませんよ」

 

小鈴「………はい!」

 

綴理「ありがとね、すず」

 

小鈴「え?なんで綴理先輩がお礼を?」

 

 

 

 

 

 

そしてなんとかオッケーを撮り、次のシーンは敗けて戻ってきた小鈴が先輩の梢に慰められる所。

梢はスクールアイドル部の先輩だが、足首を痛めて今回の大会には出ていなかったという設定だ。因みに綴理の側もさやかちゃんが似たような設定となっている。

 

淳平「お〜」

 

梢は演技も上手く、小鈴ちゃんを立ち直らせる演技をしてみせた。

 

綴理の側のシーンも撮影すると、さやかちゃん……先輩後輩逆でも全く違和感がなかった。むしろコッチのほうがしっくりくる。

 

花帆「カット! さやかちゃん、カッコイイ!!」

 

姫芽「凄い〜!」

 

さやか「いえいえいえ。綴理先輩すみません……」

 

綴理「? なんで謝るの?」

 

 

 

 

 

 

そして今日は日が落ちかけてきたので、今日の撮影は終了して梢の別荘に戻る。

 

淳平「あ〜……シャワー浴びたい……」

 

花帆「あたしも〜」

 

まぁ汗もかいたしみんな風呂入りたいよなぁ……

 

淳平「先にみんなで風呂入って来いよ。俺は後で入るから」

 

瑠璃乃「おー、ジュン兄ぃありがと……」

 

梢「遠慮なく先に入らせてもらうわ」

 

慈「いってらっしゃ~い……」

 

ん?

 

さやか「慈先輩入らないんですか?」

 

慈「後でジュンといっしょに入るから♡」

 

すると、梢がめぐの頭を凄まじい握力で掴む。

 

慈「痛だだだだだぁっ!! 梢っ!頭が潰れる!!」

 

梢「バカなこと言ってないで行くわよ」ズルズル

 

梢はめぐの頭を鷲掴みにしたまま引きずっていった。

 

スクールアイドルクラブ(怖ぁっ!!)

 

全員の心が一致した瞬間である。

 

 

 

 

 

 

 

 

淳平「はぁ~……」

 

みんなが風呂から上がったあと、俺も風呂に入っていた。気持ち良い……。

 

淳平(ヤバい、眠くなってきた……)ブクブク

 

意識が遠のいた瞬間……

 

淳平「ハッ! 危ない危ない……そろそろ上がるか……」

 

そして風呂から上がると、みんなが夕食を作っていた。

 

吟子「あっ、淳平先輩お帰りなさい」

 

淳平「俺も何か手伝うことある?」

 

さやか「いえ、もうできるので待っててください」

 

淳平「ん」

 

俺がリビングに目をやると、めぐと小鈴ちゃんが今日撮影した分を編集していた。

この部で編集作業ではめぐの右に出るやつはいないからな。

 

俺は鞄から飲み物を取り出すとぐびっと1杯。めぐに話しかける。

 

淳平「めぐ、小鈴ちゃん。どんな感じ?」

 

慈「ん〜とね。中々良い撮り方してると思うよ?編集のしがいがあるね!」

 

淳平「そっか」

 

小鈴「はい! 撮るアングルとかもすごく良くて!」

 

すると、

 

さやか「皆さ〜ん。ご飯できましたよ〜」

 

そしてみんなで夕食をいただいた。なんか花帆とめぐが去年のシャッフルユニットの一晩限定復活配信やるって言ってたな……

 

俺はスクコネを使って『かほめぐ♡じぇらーと』の配信を見ていたら、配信を使って部屋に呼び出された。あいつ、スクールアイドルの配信で男の名前出すなよ!!見ろ!コメント欄が『淳平ってだれ!?』『男!?』とか荒れてるじゃないか!!

 

めぐがヤバいと思ったのか「アタシの幼馴染でスクールアイドルクラブのマネージャーしてくれてる人でーす」って言ってくれたけど、すると『めぐちゃん、瑠璃乃ちゃん以外にも幼馴染いたんだ』とびっくりするコメントが。

 

やれやれ。俺が部屋に行くと、声だけが音声に入る。姿が映らなくてよかったよほんと……。

 

このあと結局全員集合してベッドに全員で寝そべることになった。

コメント欄を見ると……。

 

『羨ま』『殺』とか嫉妬に狂ったコメントが見られた。

 

俺、大丈夫かな?

 

 

ー つづく ー




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