蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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前話と前前話を少し活動記録に合わせて修正しました。
修正版を見ていただけると違和感は少なく読めるかと思います。

ではどうぞ!


第62話:映画撮影 ハプニング

あれから撮影も順調に進んでいよいよ合宿での撮影は最終日。明日には蓮ノ空に戻ることになっております、今日はクライマックスの小鈴ちゃんがヒロイン役の吟子ちゃんをスクールアイドルに誘うシーン。

 

このあとは天気が怪しいため、なるべく早く撮ってしまいたい。

 

梢「分かってはいたことだけれど」

 

淳平「………ぎりぎりだな」

 

梢「……あとのことがあるから、ここは任せてもいいかしら。このシーンは吟子さんと小鈴さんだけよね?」

 

慈「うん。てゆか外の収録はこれで最後。だからぎりぎりだけど間に合ったと言えなくもない」

 

梢「そうね。それじゃあ一足先に、編集の様子を見てくるわ」

 

慈「あっちには、めぐちゃん直伝テクニック満載のるりちゃんと、姫芽ちゃんがいるから、大丈夫だとは思うけどねー」

 

梢「分かったわ」

 

そして、梢は編集組の様子を見に別荘へと先に戻っていった。

 

さやか「いってらっしゃい。さあ、ちゃきちゃき撮っていきましょうね!」

 

小鈴「はい!!」

 

吟子「……はい。ふう、緊張してきた」

 

吟子ちゃんは緊張気味に息を吐く。少し震えてる……?

 

俺が声をかけようとすると、

 

小鈴「だいじょーぶ、失敗するのは徒町なので!」

 

吟子「そんなこと言ってる場合?雨降り始める前に撮り切らないとなんだよ」

 

小鈴「……がんばる!」

 

吟子「ん、頑張って。私も頑張るから」

 

………杞憂だったな。

 

吟子「でも、私の役、ちょっと私には可愛すぎるんだけど……」

 

慈「はーいそれじゃー行くよ!3、2、1、あくしょん!」

 

めぐの合図でカメラを撮影モードにする。2人をフォーカスに収めて、少しずつ状況に応じて動かしながら撮影する。

 

吟子『お、お待ちください。本当に、吟子なんかでいいのですか?』

 

小鈴『うん、吟子が良い。吟子と一緒じゃないとあの人には勝てない』

 

吟子『でもっ』

 

小鈴『いや、違うな。あたしは……吟子とスクールアイドルがしたいんだ』

 

吟子『小鈴さん…………』

 

小鈴『あたし、ずっと吟子に支えられてきた。ようやく気付いたんだ。ひとりで戦ってると思ってたけど、傍にずっと吟子が居たんだ。だから……』

 

慈「カット!!ごめん!」

 

めぐ……?

 

カメラを停止させる。

 

さやか「慈先輩?今ちゃんと台本通りだったと思いますが」

 

慈「そうなんだけど……そうなんだけど〜!違うの!主人公とヒロインは幼馴染で、ずっとヒロインが支えてくれてたわけでしょ。その彼女をスクールアイドルに誘う。一緒にだったらどんなチャレンジもできる、そういう話でしょ。花帆ちゃんのストーリーはとてもいいんだけど」

 

さやか「はい」

 

慈「だからこそもっとこう……熱が、足りないと言うか」

 

さやか「ふむ………なんとなく、言いたいことは分かりますが」

 

慈「ここは大事なシーンだから、めぐちゃん妥協したくない!」

 

吟子「えっと、どうしましょう?」

 

小鈴「何度だってやります!」

 

淳平「いや、何度もやる時間はさすがに………」

 

すると、ポツリポツリと雨粒が降り始めてきた。

 

さやか・慈・吟子・小鈴・淳平「「「「「あ」」」」」

 

慈「あ―――ごめん!!急ごう!えっと小鈴ちゃん!」

 

小鈴「は、はい!」

 

慈「ピンと来てなかったらごめんだけど、このヒロインに――いや、吟子ちゃんにもっと感情移入して!」

 

小鈴「吟子ちゃんに……熱…、熱…………!」

 

吟子「え、えっと」

 

さやか「……慈先輩」

 

淳平「小鈴ちゃんがその主人公と同じ境遇に立ってると思って自分だったらこう気持ちを届けるって感じでやるといいかも!」

 

慈「っ!そう、それ!…………小鈴ちゃん、できそう!?」

 

小鈴「はい……考えろ、考えろ……あっ!!」

 

小鈴「分かりました、やってみます!やれそうです!」

 

慈「よし!私も全力で見るから!」

 

吟子「傘とってきた方がいいんじゃ」

 

さやか「いえ、幸いふたりの居る位置は木陰です。小鈴さんが何か掴めたのなら、今やるべきです」

 

吟子「わ、分かりました」

 

慈「それじゃあ、3、2、1、あくしょん!」

 

小鈴『あたし…………………あたしね』

 

小鈴『ずっと、吟子に支えられてきたんだ。あたしのことを、いつも気にかけてくれて、なのにその気持ちすら口にしたことがなくて』

 

っ!アドリブ……

 

吟子『こ、すずさん………………?』

 

小鈴『ひとりで戦ってると思ってた!でも傍にずっと吟子が居た!だから!』

 

ここで、小鈴ちゃんは吟子ちゃんにハグする。

 

小鈴『あたしと一緒に、スクールアイドルになってください!』

 

吟子『はい。吟子も、あなたの夢を叶えたいです。たとえどんなに時間がかかっても』

 

ここで小鈴ちゃんはハグを解いて吟子ちゃんをまっすぐと見つめて笑顔で、

 

小鈴『うん。一緒なら、どんなことだって、いつか叶うよ!』

 

慈「カット〜〜〜!!」

 

小鈴「ど、どうでしたか?」

 

慈「文句なしおっけー!!やれば出来るじゃん、我が弟子小鈴よ!!」

 

小鈴「はい!熱ってどう表現すればいいんだろうって思ってたんですけど、雨の中立ってる吟子ちゃんを見て、自分がどうにかしなきゃって思えたんです!」

 

慈「えらい!偶然をアドリブで使いこなす力!うん、実際もとの脚本よりもぜったい迫力出たよ!これが役者の力なんだよ小鈴ちゃん」

 

小鈴「は、はい師匠!ありがとうございます!」

 

吟子「び、びっくりした……………」

 

淳平「吟子ちゃんもすごかったよ!あそこで小鈴ちゃんに合わせて演技続けられたのがえらい。アドリブにすぐに対応できるのも、また役者の才能だと思う」

 

吟子「あ、ありがとうございます……。でもほんとに私で良かったのかな、この役……………」

 

小鈴「ううん。吟子ちゃんに今まで色々してもらったこととかを思い出したからできたんだよ。ばっちりだった」

 

吟子「そ、そう」

 

慈「よし……ジュン、撮れたー?」

 

淳平「バッチリだ!雨の中でも綺麗に撮れたよ。 良い機材を持ってきてくれたさやかちゃんに感謝だな!」

 

小鈴「はい!さやか先輩、ありがとうございます!」

 

さやか「いえ、お役に立てたなら良かったです。では、戻りましょうか」

 

淳平「そうだな。みんなびしょ濡れだ……」

 

吟子「は、早く戻りましょう!」

 

そして、俺たは急いで別荘へと戻った。

 

俺や吟子ちゃんたちは順番で風呂に入ったのだが、さやかちゃんが夕食の支度があるとタオルで拭いただけでご飯の方に行ってしまった。

 

淳平(……大丈夫かな)

 

そして夕食時、みんながそれぞれ食べ終わると、みんなで談笑をし始めた。

 

瑠璃乃「ありがとさやかちゃん、今日も美味しくいただきました」

 

さやか「いえいえ。ひとりひとりの時間が貴重ですからねー。やるべきことは、やらないと」

 

慈「いや、本当にごめん、結構わがまま言った」

 

花帆「でもでも、録画見ました!雨の中のシーン、すっごく良くて!」

 

慈「あれはまあ、私の無茶ぶりもあるけど、ふたりが頑張ったんだよ」

 

淳平・瑠璃乃「「めぐ(ちゃん)が素直に……」」

 

慈「そこ!うるさいよ!」

 

睨まれてしまう俺とルリちゃん。

 

小鈴「いえいえ、もともと徒町のリテイクが多かったせいでスケジュール押しちゃったので……でも、うまくいって良かったです!」

 

姫芽「スケジュールって言えば、淳平せんぱい。どうですか?」

 

淳平「うん。相変わらずぎりぎりなんだけど……でも、言った通りあとは屋内のシーンだけだし、同時並行の編集も順調だからね」

 

慈「うん、確認させてもらったけど……るりちゃんも成長してるねえ」

 

瑠璃乃「花帆ちゃんとひめっちが見てくれてたしね。ここはもっと、とかは色々言って貰えたんだ」

 

綴理「ボクはなにもできないけど、応援はしてたよ」

 

花帆「いえいえ、綴理センパイはなんたって一番難しい役ですからね。それをやってもらっているだけで十分というか。むしろ、綴理センパイの演技が良すぎて、ラスボスっぽいことをいっぱいしてもらいましたし!」

 

綴理「そう?でも……うん、本当に楽しかった。……楽しかったな」

 

姫芽「あはは、実感ない辺りがさすがですね〜」

 

梢「とはいえ、今日中に撮り切らないといけないのは変わらないわ。まだまだ終わりじゃない――」

 

すると、さやかちゃんがふらついて机に倒れ伏した。

 

綴理「さや!?」

 

淳平「さやかちゃん!!……あつ。熱出てる!」

 

さやか「あれ…………?あぁ…淳平先輩?」

 

瑠璃乃「ちょ、ちょっとちょっと。大丈夫?」

 

場が騒然となる。早く処置しないと!

 

淳平「花帆!さやかちゃんを部屋に連れて行くから手伝ってくれ!」

 

花帆「っ!うん、分かった!!」

 

淳平「とりあえず俺と花帆でベッドに運ぶ!ルリちゃんは桶に水汲んで、吟子ちゃんはタオル持ってきて!」

 

瑠璃乃・吟子「「うん(はい)!」」

 

綴理「ボクは!?」

 

花帆「綴理センパイは、さやかちゃんの着替えを!」

 

綴理「分かった!頑張る!」

 

さやか「淳平先輩………花帆さん……、わたしは……………」

 

淳平「話はあとだよさやかちゃん。ベッドに行くのが先。花帆、運ぶの手伝ってくれ」

 

花帆「もちろんだよ!」

 

そしてさやかちゃんが俺と花帆に連れられて寝室へと向かい、いったん落ち着きを取り戻したリビング。

 

梢「ふう」

 

姫芽「淳平せんぱいと、かほせんぱい、頼りになりますね………」

 

梢「そうね」

 

姫芽「たいしたこと、ないといいんですけど」

 

慈「これは私のせいだな………」

 

少し落ち込む慈。すると、

 

梢「誰のせいということもないでしょう。そう思うなら、あとで出来ることをしてあげて」

 

慈「そーする」

 

梢「ただ」

 

姫芽「ただ?」

 

梢「まずいことはもうひとつね。屋内だからスケジュールは大丈夫だと思っていたけれど、あとのシーンはさやかさん出ずっぱりよ」

 

慈・姫芽「「!!」」

 

 

ーつづくー




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