さやかが熱を出して倒れて、もうすぐ3時間が経過しようとしていた……。
さやか「んっ……」
さやかの手の指ピクリと動き、少しずつ瞼が開いていく。
さやか「ここは」
小鈴「ぐすっ、うう………………あ、さやか先輩」
さやか「小鈴さん……。あ、あれ?わたしは…………」
小鈴「食事のあと、倒れて」
小鈴がさやかに事情をせつめいすると、さやかはハァと息を吐く。
さやか「……………そう、でしたか。これは……熱が出てるんですかね。かなりぼーっとして…………。申し訳ありません、自己管理をないがしろにしてしまい」
小鈴「そんなことないです、さやか先輩のおかげで撮影は」
さやか「いや、夕食の準備を誰かに任せて、とっととお風呂にでも入れば良かったんです。すみませんでした」
小鈴「謝らないでください!もとはと言えば、徒町がもっとうまくやれてたら、雨の降る前に終わってて」
さやか「そんなの、チャレンジを成功させるためなら、当たり前です。今、何時ですか」
小鈴「夜の10時を回ったところです。その……スケジュール的にはもう」
さやか「………ごめんなさい」
小鈴「だから先輩の謝ることじゃ。そもそも、こんな無茶なスケジュールで徒町のわがままに付き合ってもらうだけで、徒町は………、だったら、最初から…………」
やらなきゃ良かった。そう言おうとした小鈴を、さやかちゃんが止める。
さやか「やらなきゃよかったなんてことはありません!この映画は、みんなの想いを……夢を、乗せられる………本当に――うっ……く!」
さやかは無理に起き上がろうとする。だが、すごく苦しそうだ。
小鈴「先輩!寝ててください、凄い熱なんですよ!」
さやか「く、うう……!」
小鈴「さやか先輩…………うう。な、なんとかします!絶対、なんとかしますから!」
小鈴「徒町は諦めないことだけが取り柄なんです、だから、絶対……絶対!」
そして、小鈴はさやかの部屋を飛び出した。すると、
綴理・淳平「「あ」」
小鈴「あっ」
綴理「……さやは、どう?」
小鈴「……目は、覚めました。でもやっぱり熱は……」
淳平「まあ、あれだけの熱がすぐには下がらないよなぁ……」
さっき熱を測ったら、39℃近くあったし……。
綴理「そっか」
小鈴「えっと……看病とか……行きます?」
綴理「ボクじゃ何もできないから。寝てるさやの、邪魔もしたくない」
淳平「今日はもう時間的に病院も開いてないから、 明日になったらすぐ連れてく」
小鈴「…………ごめんなさい」
綴理「……なんですずが謝るの?」
小鈴「こんなことに、なっちゃって」
綴理「……こんなことに、なっちゃったね」
小鈴「はい…………。でも」
淳平「でも?」
小鈴「………どうにか、したくて」
綴理「映画を?」
小鈴「……どうにかする方法は、わかんなくて。みんなが思いつかないものを、徒町が思いつくわけもなくて」
淳平「そっか」
小鈴「先輩………先輩!」
小鈴「どうにか、できませんか?これでダメだったら、きっと、さやか先輩も……!」
綴理「ん……そうだね。さやはきっと、自分のせいだって」
淳平「言うだろうな。さやかちゃん、自分で背負い込むタイプだし……」
小鈴「さやか先輩は、徒町の思いつきに、もうみんなの夢が乗ってるって言ってくれたんです。徒町も、この合宿でそれを痛いほど感じました。映画を作る中で見た、みんなの楽しそうな顔を……憶えてるんです……!なのに、終わっちゃう…………!」
綴理「すず、ボクにはどうすればいいのかは、分からない」
小鈴「うう」
綴理「夢が終わるって、つらいね」
小鈴「あ」
小鈴ちゃんは、今回のきっかけになった雪佳ちゃんとのやりとりを思いだす。
小鈴「そっか。雪佳ちゃんも、同じ気持ちだったのかな……。こんな風に、どうしようもなくなって、それで……もう、終わりだって」
小鈴ちゃんは、すこし考え込む。
小鈴「なら。だったら」
綴理「すず?」
淳平「小鈴ちゃん?」
小鈴「だったらなおさら、諦めちゃだめだ!終わらせちゃだめだ!だって、諦めたくないからあの映画を撮ったんだもん!たとえ何度失敗したって認めない、そういう気持ちで頑張ったんです。だから、だから……!」
綴理「………ああ、そっか」
小鈴「…………綴理先輩?」
綴理「あの映画がすずなんだとしたら。あの映画にすずの気持ちが込められているんだとしたら。すず。これはきみにしか思いつけない」
小鈴「先輩、なにを」
綴理「今、ボクたちは失敗したんだ」
綴理「「次」、どうすればいい?」
小鈴「あ、考えろ、考えろ!失敗したんだ、すぐに次に行けるのが徒町の唯一の……これは終わってない、失敗しただけ。これまでやってきたことは、終わってない……!!」
小鈴ちゃん、何か閃いたか?
淳平「閃いた?」
小鈴「………先輩」
綴理「何か、思いついた?」
小鈴「はい。これは、スクールアイドルの映画なんです」
綴理・淳平「「うん」」
小鈴「たとえどんな失敗をしたって……諦めなければ何度だってチャレンジできるのが スクールアイドルだと思うんです!」
小鈴「まだ、まだ終わってません!お願いします。協力してください!」
綴理・淳平「「分かった!」」
そして、小鈴ちゃんはリビングに向かった。
淳平「綴理、お前ももう立派な先輩だな?」
綴理「なれてるかな?」
淳平「ああ、先輩として1年生だった去年より、ずっと良く出来てるよ」
綴理「そっか……」
そして俺と綴理は、さやかちゃん以外のメンバーを全員リビングに集めた。
◇
◆
◇
◆
◇
吟子「でも小鈴。まだって言ったって」
吟子ちゃんがまだと言ってもどうするのかと聞く。
小鈴「これを、見てください。今まで出来た………みんなで作った映画です」
小鈴「伝えたい想いは、全部込めました。それは……諦めないってこと。どんなことがあっても、諦めないってことです!」
姫芽「それは……でも」
小鈴「もう終わりだって、思いました。でも、きっと雪佳ちゃん……徒町の友だちも、 同じ気持ちになったと思うんです。それを励ましたくて作って……その気持ちも分かった」
小鈴「だからこそ、出来ませんでしたで終わっちゃいけないんです!大事なのは、終わらないこと。いつか成功するって信じること!」
花帆「……………うん、なんとなく、言いたいことは分かったよ!」
瑠璃乃「えっ?…………ど、どうするの?」
小鈴「はい、だから……作りたいんです。“終わらないエンディング”を!」
吟子「終わらないエンディング……?」
小鈴「このままでは終わらない。まだまだ続く……スクールアイドルみたいに!」
慈「一度その映画のエンディングは作る。でも、まだまだ続く。そういうこと?」
小鈴「はい!………どう、でしょうか!」
梢「……………待っていて、考えるから。そうね。これは、ラブライブ!に挑戦するスクールアイドルたちの映画」
淳平「続きは……本当のラブライブ!で」
梢「は、少し大げさだけれど……でも、そうね。私たちの挑戦はこれから。いえ、チャレンジ、かしらね」
瑠璃乃「ルリは小鈴ちゃんの気持ちがその友だちに届くならなんでもいいよ。まだ終わりじゃないよって、伝えてあげたいんだね?」
小鈴「ぁ………はい!」
綴理「任せて、すず。頑張るから」
小鈴「はい!さやか先輩のためにも……徒町も、できることを全力でやります!それが、みんなの夢を乗せたチャレンジだから!」
ー つづく ー
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