蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第六章 対よろ!!!
第66話:スランプ


それは去年……。姫芽ちゃんが動画配信で、初めて蓮ノ空学院のスクールアイドル、〈みらくらぱーく!〉と出会った頃に遡る。

 

姫芽『なに、これ………』

 

初めて慈と瑠璃乃の配信を見た時、姫芽は言葉がでなかった。

 

姫芽『えー!なにこれなにこれなにこれ!』

 

姫芽がスマホを胸に抱えながら、家の自分の部屋の中を転げ回る。

 

姫芽『なにこれ!かわいい!!』

 

姫芽『めっちゃ、かわいい!! そして――めっちゃ、たのしい!!!!』

 

初めて二人の配信を見た姫芽は、言葉が上手く出なかった。

 

姫芽『んーーーー……………』

 

姫芽『うああああ〜〜〜〜〜』

 

姫芽『たのしすぎた………あまりにも…………。み、みみみ、なんだっけ、そう、「わたしたちのテンションはここからここまでみらくらぱーく!、です!」 …………!出てきた!』

 

そして、その所属学校の名前を知ることになる。

 

姫芽『スクール、アイドル……。蓮ノ空、学院………。対戦よろしくお願いします!!!!』

 

姫芽『とりあえず……アーカイブ全部見るか!!』

 

そして、みらくらぱーく!のアーカイブを見終わった姫芽は、

 

姫芽『すごい……なんでこんなに……。アタシまで楽しくなるんだろ………』

 

姫芽『めぐちゃんと、るりちゃん………かあ。アタシもこんな風に、楽しいを伝えられたら……いいなあ』

 

こうして、姫芽はみらくらぱーく!と出会い、後に蓮ノ空に入学することになる。

 

 

………そして時は、現代へ。

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

月日は9月の中盤に差し掛かったとある日の夜、姫芽は、瑠璃乃といっしょに、FPSゲームのランクマッチを一緒に遊んでいた。

 

姫芽「やばい……ランク落ちる………!今度こそ全力で勝つぅ〜…………!」

 

瑠璃乃『ま、まあまあ、今回こそ頑張ろうよ。だいじょうぶだいじょうぶ』

 

装着したヘッドホンから、瑠璃乃の声が聞こえてくる。

 

姫芽「うう……がんばりますぅ〜。ありがとうございます、るりちゃんせんぱい……付き合ってもらっちゃって…………」

 

瑠璃乃『いいよいいよー。ただ、まさか同じランク帯になるとは思ってなかったケド……』

 

そう。このゲームの熟練度やプレイヤーの腕的に、瑠璃乃よりも姫芽の方が遥かに上手く、二人が同じランク帯に居るということはまず起こらない筈なのだ。

 

瑠璃乃『ひめっち、ルリ右のエリア行くねー』

 

姫芽「はーい」

 

姫芽・瑠璃乃『……………………』

 

無言になる2人。

 

姫芽「はあ………勝てるといいなあ」

 

瑠璃乃『調子悪そうだねえ』

 

姫芽「お恥ずかしい限りです〜。ゲームだけじゃなくて、部活でもちょっと調子悪いじゃないですか〜」

 

瑠璃乃『んー、まあ、そう、かな?』

 

お茶を濁す瑠璃乃。

 

姫芽「ダンス中うまく体が動かなくて、こう、ゲームみたいにドラッギングできればいいのにーとか思っちゃって」

 

瑠璃乃『そう、うまくは、いかない、よね!』

 

通話越しに、敵プレイヤーをkillしていく瑠璃乃。

 

姫芽「あれ、今思ったんですけどこのフィールド、ステージにしたら凄い楽しそうだと思いません〜?」

 

姫芽が気を抜いた瞬間……!

 

瑠璃乃『ひめっち!?そんなことより前前!!』

 

姫芽「にゃ!? クリアリング忘れた!?あ、待って待っ……また負けた〜!?」

 

クリアの証になるアイテムを取り忘れた上に、前からの敵の攻撃で倒されてしまう姫芽のキャラ。

 

 

GAME OVER

 

姫芽「………………」

 

瑠璃乃『あ〜………大丈夫?』

 

姫芽「ルリちゃん先輩……今日は、休みます……」

 

瑠璃乃『う、うん……。おつかれ〜〜〜…………』

 

そして姫芽はログアウトした。

 

 

次の日の朝、スクールアイドルクラブの朝練の時間……。

 

姫芽ちゃんがみらくらぱーく!の練習部屋にやって来た。

 

淳平「おっ、おはよう姫芽ちゃ………ん?」

 

なんか、空気がどよ~んとしてる……。暗い……。

 

瑠璃乃「あ、おはよーひめっ、ち………?」

 

ルリちゃんも気づいて挨拶すると、

 

姫芽「ふぇ〜ん……………」

 

姫芽ちゃんはもう泣きそうだ。

 

瑠璃乃「ああ……ひめっちがひものっちに……」

 

慈「ええっ、どうしたの?ひものっち!」

 

淳平「バカ! 落ち込んでる相手にそういう悪ノリするな!!」バシッ!

 

慈「痛った!彼女を叩くってなに!?」

 

淳平「状況考えろ状況を!!」

 

すると、皮肉を込めたのか……、

 

姫芽「ひものっち、昨日から10連敗かましてランク落ちしましたぁ〜」

 

淳平「姫芽ちゃんが!?」

 

姫芽ちゃんってかなり強いんじゃなかったっけ?確か入部する時に学生大会優勝経験あるって………

 

慈「10連敗だあ?そんなの、相手チームの首根っこ捕まえてリベンジ挑むしかないじゃん!やられっぱなしじゃ終われないよ!」

 

瑠璃乃「ランクマッチは仲間も対戦相手も毎回ランダムなんだよ、めぐちゃん…………」

 

慈「え?あ〜、そっか。じゃあ姫芽ちゃんが単純に弱かったってこと?」

 

姫芽「うっ……!」

 

淳平「………めぐ、殴って良いか?」

 

慈「ひどっ!ま、まあ元気出しなよ。そういう時もあるって。あれだけずーっと好きでやり続けてるんだから、山あり川ありだよ」

 

瑠璃乃「それただの悠久の大自然だよめぐちゃん………でも、そうだね、調子の悪い時はあるよ。ゲームも練習も」

 

淳平「あんまり気にして思い詰めたらダメだよ?」

 

姫芽「せんぱぁい……」

 

慈「ほら、今から始まるのは姫芽ちゃんのもう1個大好きな、みらくらぱーく!の練習タイムっ。楽しんで、嫌なこと塗りつぶしちゃお!」

 

瑠璃乃「そうそう、楽しいが一番!だよ、ひめっち!」

 

姫芽「れ、練習………」

 

ん………?

 

瑠璃乃「調子悪いならフォローすっからさ。ゲームもスクールアイドルもチーム戦だよ!」

 

姫芽「チーム……分かりました。がんばります〜!」

 

そして、練習が始まる。

 

淳平(ん〜〜……姫芽ちゃん、なんか動きが硬いんだよな。前はそんな事なかったのに……)

 

慈「はい、ワン、ツー、スリー、フォー。はいそこで姫芽ちゃんが前に出て一?」

 

めぐが姫芽ちゃんに指示するが、

 

慈「姫芽ちゃん?」

 

姫芽「わ、あ、すみません〜!」

 

上の空だったのか、中断してしまう。

 

慈「うーん、やっぱり調子悪い?前はこんなミスなかったし、寝不足とか?」

 

姫芽「寝てる時間は、変わらないと思うんですけど〜……」

 

慈「じゃあやっぱ、10連敗のショックが尾を引きまくって…………」

 

姫芽「それは……いや、でもあれです。アタシがほんとによくなくて〜……………」

 

慈「よくなくて?」

 

姫芽「ゲームも負け続きだし、しょーじきここ最近スクールアイドルの練習も自分で納得いってないんです」

 

瑠璃乃「ルリは、そこまで気になってないけど。めぐちゃんとジュン兄ぃは?」

 

淳平「そうだなぁ……確かに、最近前よりも動きが硬い気がするんだよな……原因が分かれば良いんだけど」

 

姫芽「うっ……」

 

慈「ま、初心者ってのはそれだけなんでも伸びやすいからねぇ。私がツマヨウ寺軍曹にしごかれたときみたいに。よく言うじゃん?勉強も30点から80点はすぐいくけど、80点を90点に伸ばすのは大変だって」

 

瑠璃乃「めぐちゃんが言うとものすごく説得力がないんだけど………!」

 

淳平「ああ。正直俺がいなかったら本当に説得力皆無だったと思う」

 

慈「2人共酷い!!」

 

憤慨するめぐ。はあ………。

 

瑠璃乃「いや、でも、そういうことかもね。スクールアイドルとゲーム、伸び悩みの時期が、たまたまたかぶっちゃったとか?」

 

姫芽「そう……でしょうか〜」

 

慈「とりあえず、頭で考えるより体使ってみよっか。結局、行動しなきゃうまくなんないしね!」

 

淳平「何か思うことあったら、何でも言ってくれていいから」

 

姫芽「はい〜」

 

姫芽「だと………いいなあ」

 

淳平(………?)

 

 

 

ー つづく ー




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