蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第71話:ゲーム大会

姫芽ちゃんのスランプに、好きな物を逆に増やす作戦で挑んだみらくらぱーく!。昨日の夜、るりちゃんと姫芽ちゃんで一緒にゲームをした感じでは、感触は良かったらしい。

 

俺とるりちゃん、めぐがその事を話していると、

 

姫芽「めぐちゃんせんぱい、るりちゃんせんぱい、淳平せんぱい!」

 

姫芽ちゃんが走って来た。

 

淳平「おっ、どうした?」

 

姫芽「――今度の大会、見に来てほしいんです〜!」

 

慈「今度の大会?なんか予定あったっけ」

 

淳平「スクールアイドルクラブでは無かった筈だぞ?」

 

姫芽「スクールアイドルじゃなくて、ゲームの大会です〜。運営から招待していただいた大会に、しっかり出ようと思って〜!」

 

慈「おお、すごいじゃん!」

 

淳平「招待されるなんて、分かってはいたけどやっぱり名の知れたゲーマーなんだな……」

 

瑠璃乃「ひめっちクラスになると招待もあるんだねー!」

 

るりちゃんの言葉に姫芽ちゃんは「あはは」と、笑うと、

 

姫芽「元々行くつもりはなかったんです。今回の招待は、過去のアタシの実績を買ってくれてのものだったので〜。このままじゃとても受けられないなって」

 

姫芽「でも!だからこそ今は出たいんです〜。そして、先輩方に見に来てほしいんです。アタシが不調からちゃんと脱したことを、示したい。これなら、アタシもラブライブ!に出られるんだって!」

 

姫芽ちゃんの生き生きとした顔。大丈夫そうだな。

 

慈「なるほど、そういうことね」

 

瑠璃乃「ゲームで大丈夫だったら、スクールアイドルでも大丈夫。ルリもそう思ってるよ!」

 

淳平「よろこんで観に行かせて貰うよ」

 

姫芽「はい〜。勝って、ちゃんと先輩方の前でラブライブ!の、エントリーシートにアタシ自身の名前を書きたい。だからどうか、よろしくお願いします〜!」

 

瑠璃乃「ん、もちろんルリたちも見に行くよ!なにを差し置いてもね!」

 

慈「他ならないみらくらぱーく!のメンバーの活躍、しっかり見届けてあげよう!」

 

姫芽「あ…………はい〜!よーし、頑張りま〜す!」

 

姫芽ちゃんは本当に嬉しそうな顔になり、気合が入る。

 

慈「よかったね、姫芽ちゃん」

 

瑠璃乃「うん。昨日、ゲーム勝てて良かったなー。ルリがなんかミスって負けてたら、今頃どーなってたかと思うと……ちょっと怖くなってきたな?」

 

淳平「昨日のゲームしてる時のルリちゃん、実は責任重大だったんだな」

 

慈「そうだね。でも、良いせんぱい、してんじゃん」

 

瑠璃乃「めぐちゃんとジュン兄ぃこそ。今回の好きなもの増やすって、素敵なことだったと思うよ。ルリもひめっちが釣り好きになってくれて嬉しかったし。ナイスアイディアとルリ思う。やるじゃんふたりとも!」

 

慈「ま、私が良いせんぱいなのは、言うまでもないことだしね〜!」

 

分かり易く調子に乗るめぐ。

 

淳平「調子に乗らない!」パコッ!

 

慈「痛っ!もう、ジュンってば……。でも、姫芽ちゃんは自分の好きなことにまっすぐだからさ。見ててかわいいし、こっちも刺激をもらえるよね」

 

淳平「まあ、それは確かにな。メンタルのせいでがんばりきれないっていうのは、 かなりキツイと思う。本人にはどうしようもないし。できることはしてやりたいな」

 

瑠璃乃「ジュン兄ぃ……」

 

慈「ふふっ、やさし〜」

 

2人が優しい目で見てくる。

 

淳平「からかうなよ……」

 

瑠璃乃「からかってないよ?」

 

慈「ともかく、せんぱいとしてしてあげたいことはしてあげよう。今度のゲーム大会も、ね」

 

瑠璃乃「ふふっ!そうだね!」

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

数日後、姫芽ちゃんの招待されたゲームの決勝大会の当日になり、俺たちは会場に来ていた。

 

慈「ゲームの大会って、すっごく盛り上がるんだね!?」

 

瑠璃乃「ひめっちのやってるゲームは、決勝とかじゃないと、こういうオフライン大会ってやらないんだけどね。だからこその盛り上がりでもある、かもしんない」

 

慈「オフライン?あーオフラインね、わかるわかる」

 

淳平「絶対分かってないだろ……」

 

ルリちゃんが軽く説明してくれる。

 

瑠璃乃「……ネット繋げばできるゲームを、極限までプレイヤーに平等な条件にしてあげるのがオフラインでの対戦なんだよ。そこまで場を整えてあげるってことが、プレイヤー同士の力量差がほとんどない証、かな?」

 

慈「なるほどねー!知ってたけど、一応ありがと!るりちゃん」

 

瑠璃乃「どいたまー。 !…あ、見て見てめぐちゃん!出てきた!」

 

俺達がステージの対戦席に目を移すと、姫芽ちゃんが出てきて対戦相手と挨拶していた。

 

姫芽「今日はよろしくね〜」

 

対戦相手「よろしく!」

 

観客席の大歓声。姫芽ちゃんも対戦相手も界隈では有名なんだろうな。姫芽ちゃんは『ツマヨウ寺』で知られてるし。

 

淳平「うお………姫芽ちゃん、大人気だな」

 

瑠璃乃「そりゃーなんてったって、元学生チャンピオンチームだからね。ここではみらくらぱーく!より全然、ツマヨウ寺を知ってる人のが多いよ」

 

すると、

 

慈「ふむ………………1曲かますか?」

 

淳平「やめろバカ!」

 

瑠璃乃「やめよーよ!?」

 

とんでもないことを言い出すめぐ。こんな所でいきなりライブし始めたらつまみ出されるわ!

 

慈「冗談だって冗談。でも……今ちらっと聞こえたけど、今回の大本命だって」

 

瑠璃乃「みんな言ってるねえ。……なんか誇らしいね、めぐちゃん、ジュン兄ぃ」

 

淳平「そうだな」

 

慈「だねー。大きくなったね、私の弟子……………」

 

瑠璃乃「ゲームでは、めぐちゃんが弟子だけど……。あ、そろそろ始まりそう!」

 

淳平「試合開始か」

 

瑠璃乃「ひめっちー。がんばれー!」

 

慈「やっちゃえやっちゃえー!」

 

 

そして、ゲームで対戦が始り、結果は………

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

大会からの帰り道で……

 

姫芽「……ごめんなさい」

 

結局、姫芽ちゃんは負けてしまった。

 

淳平「まあ、勝負は勝つことがあれば負けることもあるだろ?実力が似たようなものなら尚更……」

 

姫芽「…………でも、あんなふうに勝つつもりで偉そうなこと言って……これじゃあ、アタシは結局…………」

 

慈「ジュンの言った通り、みんな勝つために死ぬ気でやってきてるんだから、戦う以上は負けることもあるって。ね、るりちゃん」

 

瑠璃乃「……………」

 

慈「……………るりちゃん?」

 

瑠璃乃「ひめっち今日………ゲームは、楽しかった?」

 

姫芽「っ………え?やってる時は……楽しかった…と、思います………。大好きなゲームですし、おふたりが見に来てくれて、アタシは……」

 

瑠璃乃「今、ルリ……負けたひめっちがかわいそうだなって思っちゃって」

 

姫芽「……せん、ぱい?」

 

瑠璃乃「ひめっちはさ、勝負が好きじゃん?それに言ってたよ。勝ち負け両方あって楽しいんだって。………少なくともひめっちは今日、大本命って言われるくらい強くて」

 

瑠璃乃「負けた時のひめっちも、いつもは悔しいからすぐにリベンジだって言ってた。だからルリは、負けても楽しいってことを教えてもらった、つもり。でも、今日は………」

 

瑠璃乃「……ルリたちが見に来てたせい、かな?」

 

ルリちゃん………。

 

姫芽「そ、そんなことは……………。あの、ゲームをしているアタシすら、楽しそうじゃなかった……ですか?」

 

瑠璃乃「それは……………」

 

慈「ゲームをしてるところは、楽しそうだったと思うよ?でも、」

 

姫芽「……でも?」

 

淳平「言われてみれば、いつもみたいに『うおおおおおっ!』てなってる姫芽ちゃんじゃ、なかったな」

 

姫芽「ぁ………」

 

慈「というより、最近うおおおおっていう姫芽ちゃん、見てない、かも?」

 

姫芽「!!」

 

姫芽「……………」

 

蓮ノ空の寮の自室に戻った姫芽は、スマホで自身のスクールアイドルの練習動画を見ていた。

 

姫芽『見ててください!うおおおおお!!』

 

瑠璃乃『おー、ひめっち燃えてきたね!』

 

慈『スクールアイドルでも始まった……まあ、盛り上がるのはいいことだよ!』

 

淳平『やる気があって良いことだ……』

 

 

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

姫芽「 最近、うおおおおってなってない……か。じゃあ、アタシ本気になれてないじゃん……」

 

姫芽ちゃんは、ベッドに寝転がる。

 

姫芽「好きを増やす、じゃ……ダメだったってこと…………?」

 

姫芽「じゃあ、もう、どうしたら……」

 

姫芽は、蓮ノ空に来る前の事を思いだす。

 

 

その日も、姫芽はゲームでバーサーカーモード全開で無双していた……。

 

姫芽『うおおおおお!!負けねーー!!!』

 

姫芽のお姉ちゃん『ただいま帰りました……と、聞こえてなさそうですね』

 

姫芽『っしゃああああ勝ちぃ!!勝ち勝ち勝ちぃ!!ん?』

 

姫芽が声がしたことに気づく。

 

姫芽『わ、お姉ちゃん。帰ってたの?』

 

姫芽のお姉ちゃん『ええ、今さっき。今日も楽しそうですね。なによりです』

 

姫芽『うん、おかげさまで〜。楽しいよ。すっごく』

 

姫芽のお姉ちゃん『それは良かったです。……………本当に』

 

姫芽『うん、全部お姉ちゃんのおかげ。友達も増えたんだよ〜。もう寂しくない』

 

姫芽『だから、ありがとね、パソコン買ってくれて』

 

姫芽のお姉ちゃん『あなたには苦労をかけましたからね。ここまでハマってくれるとも、思っていなかったんですが』

 

姫芽『…………居心地が、良いんだ』

 

姫芽のお姉ちゃん『?』

 

姫芽『なんていうんだろ、ゲームしてる間は、アタシがアタシで居られるって言うか……アタシが認めて貰えるっていうか〜』

 

姫芽のお姉ちゃん『そう、ですか。うん……姫芽にも、好きな場所が見つかって良かったです』

 

姫芽『好きだよ、大好き。好きすぎて困っちゃうくらい!』

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

そして、時は今に戻り、

 

姫芽「好きを増やして……やっぱり、だめなら……アタシは」

 

姫芽「………よし」

 

 

そして、姫芽はとある決心をした。

 

 

ー つづく ー




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