蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第73話:対よろ!!!

その日の夜、姫芽は段ボールに片付けたパソコンを引っ張り出した。

 

姫芽「捨てるなんて言って、ごめんね」

 

姫芽は、パソコンを大事な友達であるかのように語りかける。

 

姫芽「アタシ、分かったよ。みんなに教えて貰ってたんだ。アタシだけは、分かってなかった」

 

姫芽「アタシは人百倍ゲームが好きで、スクールアイドルが好き。でも……みんなみたいに分かってなかった」

 

姫芽「アタシがなんで……あなたのことが大好きなのか」

 

そして、姫芽ちゃんはパソコンのスイッチを入れた。

 

姫芽「今、それを知りたい!」

 

そしてゲームを開く姫芽ちゃん。自分のルーツを再確認するため、再びゲームに身を投じる。

 

 

 

ー 次の日の朝 ー

 

朝練の時間に、めぐとルリちゃんは姫芽ちゃんを待っていた。

 

瑠璃乃「ひめっち、大丈夫かな」

 

慈「………大丈夫でしょ。うん、姫芽ちゃんなら大丈夫。私は、そう思ってるよ」

 

淳平「そうだな。こんな所で、つまずく様な子じゃないよな」

 

瑠璃乃「うん」

 

すると、姫芽ちゃんが部屋に弾丸のような勢いで駆け込んできた。

 

姫芽「淳平せんぱい、めぐちゃんせんぱい、るりちゃんせんぱい!!」

 

瑠璃乃・慈・淳平「「「!」」」

 

姫芽「聞いてください!分かったんです!」

 

淳平「よく分からないけど、なにか掴んだのか?」

 

姫芽ちゃんは大きく頷く。

 

姫芽「はい!……アタシ、分かったんです。昨日はスクールアイドルに集中できた。それは好きなものをひとつに絞ったからだと思ってました。でも、違った。アタシの好きなものは、最初からぜんぶひとつだったんです!」

 

瑠璃乃「ん?ひとつに絞ったんじゃなくて、ぜんぶひとつ?」

 

慈「よく分からないけど、姫芽ちゃんの中ではもう、分かったの?」

 

姫芽「はい!だから……今ならお見せできると思うんです!スクールアイドルのステージで、もう一度アタシを見てください!」

 

姫芽「そして――アタシは胸を張ってエントリーシートが書きたいです!」

 

コレはもう大丈夫そうだな。

 

淳平「分かった。じゃあソロライブするために手続きしておくよ」

 

姫芽「お願いします!淳平先輩!」

 

姫芽「対戦、よろしくお願いします!!」

 

 

 

そして、淳平が姫芽ちゃんのソロライブの為に音楽堂使用の手続をして2日後、いよいよライブ当日になり、会場にはファンの生徒たちが大勢詰めかけていた。

 

瑠璃乃「………はじまるね、めぐちゃん、ジュン兄ぃ」

 

慈「うん……見せてもらおうじゃん、姫芽ちゃんの気持ち!」

 

淳平「ああ!」

 

瑠璃乃「ひめっち………頑張って」

 

ルリちゃんが祈っていると、姫芽ちゃんが出てきた。観客席からは歓声が上がる。

 

姫芽「皆さん、こんにちはー!みらくらぱーく!の、安養寺姫芽です!!」

 

姫芽「今日はみなさんと、"対戦"しにきました!」

 

観客席からは「え?」と、どよめきが上がる。

 

姫芽「あはは、何言ってんだって感じですよね〜。 ――でも!アタシにとっては、それがライブなんです!」

 

姫芽「みんなと作る…………みんなと繋がる、全員巻き込んだ楽しいイベント!!それがアタシの大好きな、アタシがやりたいライブ!!」

 

姫芽「みんなに熱を届けて、みんなの想いを受け止める!アタシがなりたいのは、そういうスクールアイドル!!」

 

姫芽ちゃんはまっすぐな眼を向けて、

 

姫芽「さあ……………対戦、よろしくお願いします!!!」

 

そして行われた、姫芽ちゃんの本気が籠もった全力ライブ。その姿には、もう何も迷いなど無かった。

 

 

 

 

そして、ライブ後――、

 

 

◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

姫芽「楽しかった〜〜〜―――。……………うん、うん。やり切れた気がする」

 

そこに、俺とめぐ、ルリちゃんがやってくる。

 

姫芽「あ……淳平せんぱい、めぐちゃんせんぱい、るりちゃんせんぱい」

 

慈「……………見てたよ、姫芽ちゃん」

 

姫芽「はい!ありがとうございました〜!」

 

姫芽「ゲーム大会の時と違って、アタシはアタシの全力を出せたと思います。どうか、裁定のほどを!」

 

淳平「すごく良かった!」

 

慈「うん、ジュンの言う通り、すっごく良かったよ!」

 

瑠璃乃「良いステージだったよ、ひめっち。集中してるのもそうだけど、なんていうかひめっちらしかった」

 

姫芽「あ、はい!ありがとうございます!」

 

慈「私もね、ゲームとスクールアイドル、両方の熱があった気がするよ。ほんとに、良いライブだった!」

 

淳平「あ、でもさ?」

 

ここだ俺は気になったことを聞く。

 

淳平「好きなものが1つって、どういうことだったんだ?」

 

姫芽「……アタシが好きなものは、"対人戦"なんです」

 

瑠璃乃「言ってたね、ライブで。みんなと繋がることが、姫芽ちゃんにとっては対戦だって」

 

姫芽「はい。アタシは、ゲームでなら色んな人と繋がれた。ただのいちプレイヤーとして。ゲームさえあれば、みんなと遊べる。ゲームが好きな理由は、そこなんです!」

 

姫芽「みらくらぱーく!が好きなのは、みらくらぱーく!と一緒に居ると、るりちゃんともめぐちゃんとも、一緒にいるみんなとも、遊べるからです。ゲームとスクールアイドルに、限らないんです。ギターでセッションしたい、誰かと釣りをしたい、誰かにお弁当を作ってあげたい……アタシは最初から、人と繋がれるものが好きだった」

 

姫芽「だから全部まとめて、アタシが好きなひとつが……対人戦なんです!」

 

淳平「なるほど……それで対人戦か」

 

瑠璃乃「確かに、みらくらぱーく!は世界中のみんなで作る時間だからね!ひめっち的には、そうなのかも!」

 

姫芽「はい!」

 

姫芽「…………めぐちゃんせんぱい」

 

慈「ん?」

 

姫芽「今回のことを通して、思いました。めぐちゃんせんぱいは、楽しい場所を作ってくれる人です。るりちゃんせんぱいは、誰かに楽しいを作ってあげられる人です。世界中を夢中にする、アタシが大好きなみらくらぱーく!…………」

 

姫芽「だからアタシはるりちゃんとめぐちゃんが作りあげた場所を、誰より盛り上げたい。みらくらぱーく!っていう、最高に楽しい場所で……。集まった人と繋がる、みんなと対戦する、そんなスクールアイドルになります!」

 

慈「いいじゃん!ひとりすごく楽しんでる人がいると、その場所ってすっごく楽しそうに見えるから!」

 

姫芽「あ……………はい!めぐちゃんとるりちゃんが、世界中を夢中にするなら――アタシがいっちばん楽しんで、その楽しいをみんなと一緒に繋げる」

 

姫芽「それができたら……ほんとのほんとに、みらくらぱーく!は最強のスクールアイドルだと思いませんか!」

 

 

ー つづく ー




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