翌日から、スクールアイドルクラブはまずはユニット練習。その後で全体練習で合わせるという方針をとって練習していた。
花帆「わんつ一、わんつー!はい、そこでぼーず」
吟子「…………はい!」
ピシッと決める吟子ちゃん。
花帆「うん……いいよ、できてる!さすが吟子ちゃん!ですよね?ね、センパイ!」
梢「そうね。今の段階でここまで踊れているのなら、竜胆祭にはいいものをお見せできるかもしれないわね」
吟子「ほ、本当ですか?」
嬉しそうな吟子ちゃん。
淳平「あとは、他の皆と合わせられれば……だな」
梢「そうね……」
吟子「………あ」
落ち込む吟子ちゃん。ここ数日、どのユニットの1年生もユニット練習はできてるのだが、【Link to the FUTURE】の合わせ練習が上手くいってないのだ。
花帆「だ、大丈夫だよ!きょうこそは、うまくいくって!」
吟子「……はい、がんばります」
すると、
姫芽「吟子ちゃん〜」
小鈴「ちょっとしか見えなかったけど、すっごく上手になってるね!すごいすごい」
DOLLCHESTRA、みらくらぱーく!のメンバーが到着。
吟子「あ、うん。ありがとう。……でも、ユニット合同になると、なんでうまくいかないんだろ………」
姫芽「ん〜…、それはアタシと小鈴ちゃんの課題でもあるからね〜………………」
吟子「意思疎通がうまくいってないのかな。練習場所の確保も、かぶっちゃったし……」
姫芽「それな〜。息を合わせるためにもっと声出しとかしたほうがいいかも〜?」
いろいろ考える1年生。そうやって自分たちで試行錯誤して考えられる人は成長できる人間だからな。
すると小鈴ちゃんが、
小鈴「チャレンジの数が足りないんだよ、きっと!チャレンジあるのみ!ちぇすと!ちぇすとー!」
……ふふっ。
みんなに笑いが漏れる。
吟子「ふふっ。そうだね。ん、がんばろ、小鈴」
姫芽「小鈴ちゃんは、アタシたちのUSBハブだね〜」
小鈴「どういう意味!?」
1年生のコントにみんなが笑う。さてと!
淳平「それじゃあ、高まったユニットのパワーを、合わせてみるか!」
さやか「はい。では、始めましょう!」
吟子・小鈴・姫芽「「「はいっ!!!」」」
そして、今日のユニット合同練習が始まる。
そして練習終了後の部室には吟子ちゃんが1人でいた。今日も息が合わなかったのだ。
吟子「はぁ………何がダメなんだろ……」
考えても答えが出ない。そこに……、
綴理「ね、ぎん」
吟子「あ………綴理先輩、お疲れ様です。あれ………梢先輩も、慈先輩も、淳平先輩も………?」
綴理「ちょっと今、いい?」
淳平「綴理が話したいことがあるんだってさ」
吟子「えっと……。合同練習のこと、ですよね。私が、うまくできないから」
淳平「それは吟子ちゃんだけじゃない。1年生は、みんな同じところで手こずってるしな」
梢「そうね。どの子も、ユニットごとのパフォーマンスはよくできているのだけれど……だけど、パート切り替えの際に、前後のユニットと息が合っていないことが問題かしらね」
慈「まー、難しいことを要求してるわけだからねー。ってわけで、ひとりずつ話をしてみよっかって、綴理が」
そう。この相談を持ちかけてきた発端は綴理。俺も考えてた事だったし、梢と慈に相談したら二人も考えてたらしい。
2年と半年も一緒にいると、何も言わなくても伝わるんだな……。
吟子「綴理先輩が?」
慈「大丈夫。言葉が足りてないなって思ったら、私と梢とジュンがフォローしてあげるから」
綴理「……………うん。ありがとう、こず、めぐ、ジュン」
そして綴理は深呼吸ひとつすると、
綴理「あのね、ぎん。ぎんはどう思ってるかな?」
吟子「え?」
綴理「ボクはね、幸せだよ。みんなとスクールアイドルをしてる毎日が」
綴理「みんなが混ざり合った色は、どこか不格好で、でも、それがきれいだと思うから。……だから、ボクはこのままでもいいんだ。これがボクたちだって、胸を張れるなら」
吟子「私は…………今のままじゃ、胸を張れません!」
キッパリと言い切る吟子ちゃん。
吟子「みんなの足を引っ張りたくないし、もっともっとうまくなりたいし、それに……。私にだって、ラブライブ!の優勝を目指す理由がありますから!」
吟子「金沢の伝統を世界に広めて、そして、この蓮ノ空に新たな伝統を打ち立てるっていう、夢が。みなさんのために……そのときのために作った衣装を、ラブライブ!の舞台で披露して……その上で、勝ちたいです!」
綴理「…………うん、そっか」
吟子ちゃんの想いを聞き、俺たちもならばしっかりと指導しないとと気合を入れ直すことにする。
すると、
綴理「あのね、ボクは今までたくさんのステージにあがったけど、 一等賞以外をもらったことがなくて」
ん? なんか変な方向に行きそうだぞ?
慈「お?おー?」
淳平「めぐ、気持ちは分かるけど落ち着け。その、「喧嘩売ってるのか?」みたいなポーズやめい!」
綴理「でも、去年初めて、負けたんだ」
吟子「それは、去年のラブライブ!全国大会で……」
綴理「うん。そのとき、わかったんだよ。ボクは蓮ノ空のみんなが好きだ。つながった姿は完璧じゃなくて、完璧じゃないから、凸凹だから、きれいなんだ」
淳平「言ってたな。そう言えば……」
綴理「うん。……なのに負けると「そうじゃないよ」って言われてるみたいで、悔しかった。初めて、悔しい気持ちになった。だから、ぎんが勝ちたいなら、ボクもできる限りのことはしたいから。なにができるかわからないけど……。でも、きっとできるって信じてる。だから……」
綴理「がんばろ、一緒に」
慈「そこは『ボクたち』でいいんだよ」
綴理「ボクたちはね幸せだよみんなとスクールアイドルをしてる毎日が」
淳平「戻りすぎ!そうじゃない!」
綴理「難しい……」
ったく……。でもまぁ、
淳平「幸せなのは間違いねぇな…………ひとまず、竜胆祭に向けて頑張ろうぜ」
梢「そうね。最初ができないのは当たり前よ。あなたたちは、よく努力をしてくれている。だから、きっとできるようになるわ」
梢「期待しているから。なんでも頼ってちょうだい。みんなで、がんばりましょうね」
3年生の話が終わった頃には、吟子ちゃんの顔にあった暗さは取れていた。
吟子「あの、私……」
綴理「伝わった………かな?」
吟子「はい……伝わりました」
吟子「これからもどうぞ、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします!」
そして、吟子ちゃんは明るい顔で帰っていった。
淳平「綴理、お前……伝えるの上手くなったじゃん」
綴理「……ほんと?」
淳平「ああ。成長してるよ」
梢「ほんとにね」
慈「うん!」
ー つづく ー
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