翌日、1年生たちは2本目の勝負として今度は2年生を呼び出していた。
吟子「あ、なんか安心する」
花帆「なにが!?」
吟子の言葉に花帆が突っ込む。
姫芽「レベルを下げてみたよ〜」
吟子「うん、勝てそう」
さすがに失礼じゃない……?
瑠璃乃「なにこれ謀反?謀反?」
小鈴「でも向こうにはさやか先輩がいますよ!?」
小鈴「スクールアイドルとフィギュアスケートを両立させながらも、日々たゆまぬ努力を続けて先輩としても人間としても余すところなく尊敬する部分だけでできてるあのさやか先輩が!」
さやか「なんですか!?なんなんですか!?」
尊敬する先輩のことになると途端に饒舌になる小鈴と、それを聞き戸惑うさやか。
吟子「うわ、みらぱ!語りするときの姫芽みたいになってる」
姫芽「やるね〜、小鈴ちゃん。吟子ちゃんも負けてらんないね〜?」
吟子「負けてていいよ別に!」
姫芽「ハイ吟子ちゃんもどうぞ〜。せんぱいの大好きなところを、1億文字以内に〜」
吟子「やらんよ!」
姫芽に煽られるが、恥ずかしがってやらない吟子。
花帆「わくわく」
花帆は何を言ってくれるのかとわくわくしている。
吟子「わくわくせんで!……じゃなくて!」
吟子は本題を切り出す。
吟子「勝負だよ!花帆先輩!」
花帆「だって。さやかちゃん、瑠璃乃ちゃん」
瑠璃乃「ん、なるほど。この学年対抗戦は、勝敗を競うっていうより、勝負自体が目的って感じのやつとみた」
さすが周りを見る力に長けた瑠璃乃。一年生たちの目的もしっかりと読んで把握している。
さやか「ああ、そういうことですか。大会を目前に控えたこの時期………型破りでもなにかを掴もうと、小鈴さんたちなりに一生懸命なんですね」
姫芽「しゅっしゅっ、しゅっしゅっ」
姫芽はシャドーボクシングのポーズをしてやる気十分。
さやか「でしたら……コホン。いいでしょう!不肖この村野さやか、全身全霊であなた方のお相手をして差し上げましょう!命が惜しくなければ、かかってきてください!」
ノリノリなさやか。
小鈴「ひぃいいいいーーっ!!!」
怯える小鈴。
瑠璃乃「さやかちゃん、めちゃキマってる〜」
花帆「『命が惜しくなければ!』だって!もう1回言って、もう1回!」
さやか「なんでおふたりがハシゴ外してくるんですか!もう!」
二人に背中から撃たれて慌てるさやか。
さやか「それで!なにで勝負するんですか?」
姫芽「やっぱガチるってんなら、アタシたちのストロングポイントをぶつけて〜。みるみるうちに自信をつけちゃいたいから〜。そうだな〜」
すると、
吟子「待って。…………そもそも、私たちのストロングポイントって、なに?」
姫芽「それは……ええっと」
小鈴「し、しばしまたれよ、です!」
一旦集まって話す1年生。
吟子「どーする……?」
姫芽「ってことは、勝負しつつ自分たちのストポも見つけられたら、一石二鳥じゃない〜?」
吟子「まあ、それしかないか……」
小鈴「おっけー!……おまたせしました!」
姫芽「やっぱガチるってなら、相手の土俵でやんなくっちゃね〜。せんぱい方のいちばん得意なもので、勝負しましょ〜!」
花帆「さっきと言ってることが違う!」
驚く花帆。が、
花帆「というか、あたしたちのいちばん得意なもの……?」
瑠璃乃「ソロ活動、お料理、それに……お花のお世話とか、読書?」
さやか「スクールアイドル、あんまり関係ありませんね……」
花帆「…………あっ、じゃあはいはーい!あたし、思いつきました!」
花帆「その名も……『変則カラオケ対決』だよ!」
そしてやってきたのは街のカラオケ店。外出届を出す時にたまたま淳平と会ったので淳平も引率として一緒に来ていた。
花帆「わぁい、みんなでカラオケだ〜♪」
吟子「遊びに来たんじゃないからね、花帆先輩」
淳平「吟子ちゃんはシッカリしてるなぁ……」
吟子「い、いえ……」
花帆「む。それじゃあ、勝負の内容を説明するね」
花帆「1曲選んで、その曲をパート分けして3人で歌うの。点数が高いチームが勝ち!」
小鈴「な――なるほど!」
小鈴「一見、なんてことのない遊びのように見えますけど、お互いの得意なリズムや音域をしっかり理解してないと、割り振りが難しい……!これは、ストロングポイントの発見に役立つ特訓ですね!」
花帆「ふふふ!」
淳平「いや、花帆はなんにも考えてないと思う」
吟子「私もそう思う……」
まあ、結果オーライか。
花帆「よーし、それじゃあ作戦会議だよ一。集まれー」
瑠璃乃「わー!」
さやか「わ、わー!」
さて、1年生たちは、
姫芽「こっちはなんの曲にしよっか〜。アタシは、有名どころだったら一通り知ってるけど〜」
小鈴「徒町は、最近の曲はあんまり詳しくなくて………。あ、でもね、お姉ちゃんたちがよく聞いてた曲なら、なんとか!」
姫芽「ふむふむ〜。じゃあ定番ソングとかがいいかな〜」
吟子「昭和の、歌謡曲とかなら……」
姫芽・小鈴「「…………………」」
1年生に沈黙が流れる。
吟子「な、なんか言ってよ!」
小鈴「どーしよう。 童謡とかにする………?それか、授業でやった曲………」
吟子「うう……」
泣きそうな吟子ちゃん。
姫芽「だいじょぶだいじょぶ。これは本番じゃないんだし〜。負けて得られる経験値って大きいんだよ〜。気楽にいこ〜」
吟子「姫芽……やさしい……………!」
姫芽ちゃんの言葉に吟子ちゃんが感動していると、
姫芽「もちろんやるからには全力で勝ちにいくんだけどね〜!うおおおおいくぞおおおおお〜〜〜〜!!」
吟子「人の感動返して!!」
そして、勝負の結果は………
花帆「いえーい!大勝利一!」
2年生の勝利だった。
吟子「知らんもん………流行りの曲とか………」
あはは……これはさすがに言葉を掛けられないなぁ……
小鈴「で、でもこれで、お互い普段どんな曲を聞いてるのか、わかったよね!そこから、お互いの慣れてる音域とか割り出せないかな?」
淳平「たしかにね。小鈴ちゃんよく見てるなぁ……」
小鈴「え、えへへ」
1年生たちが早速反省会していると、
花帆「ふっふっふっ〜……」
花帆・瑠璃乃「「おーっほっほっほ!」」
花帆とルリちゃんが調子に乗りだした。
さやか「息ぴったり!?」
花帆「やっぱり、センパイが後輩に負けるわけには、いかないもんね〜!あたしはさやかちゃんのことも、瑠璃乃ちゃんのことも、信じてるもん!二年生の絆は、カボチャよりも固いんだから!」
何故カボチャ……?
瑠璃乃「ざぁこざ〜こ〜。身の程を知ったら尻尾を丸めてとっととおうちに〜〜、あ、だめだルリこういうのニガテだあ」
自分でやっていてバッテリーが切れかかるルリちゃん。
さやか「ムリしてまで煽らないでください!」
すると、
吟子「くっ………………ぐぬぬぬ!」
吟子「私、今から曲覚える!」
よほど悔しいのか、そんな事を言い出す吟子ちゃん。
小鈴「今から!?」
吟子「30分ください、先輩!そうしたらお礼に敗北を味わわせてあげますから!」
吟子「リベンジマッチだよ!小鈴、姫芽!」
吟子ちゃんて……意外と……?
姫芽「わ〜お、燃えてる〜。でも、そっかぁ………吟子ちゃんのストロングポイントは、しっかり準備したことを発揮できる……なんだろ、マジメさ?なのかも〜」
小鈴「うん、きっとそうだよ」
小鈴「次は。いい勝負ができそうだね!」
花帆「望むところ〜!きょうは徹夜で歌っちゃうよ〜!」
吟子・小鈴・姫芽「「「おーー!」」」
淳平・さやか「「いや、門限までには帰るからな(りますからね)!?」」
ったく、
淳平「あっ、それとも花帆とルリちゃん、梢に言って練習倍にしてもらうから」
絶望の表情を浮かべて崩れ落ちる二人だった。
さやか「あんな腹立つ煽りするからですよ………」
ー つづく ー
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