蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第85話:Link to the FRIENDS!

あのあと、吟子と淳平は2人を探し回っていた。

 

――そして、

 

吟子「姫芽!小鈴!」

 

淳平「いたいた……」

 

二人を見つける。

 

姫芽「………………」

 

吟子「あ、私」

 

俯いている姫芽ちゃん。吟子ちゃんは思っていることを話す。今度は、正直に……自分の全部を。

 

小鈴「うん」

 

吟子「……………私、ふたりに言ってなかったこと、あった」

 

姫芽「……………」

 

吟子「ほんとは苦手なステップがあって、でも見た目でわからないように、なんとなくごまかしてたりとか……バトンタッチするところが近づくと、いっつも周りを窺って、自分のダンスに集中できなくなったりとか……」

 

小鈴「ええっ?そうだったの!?」

 

驚く小鈴ちゃん。

 

吟子「ヘンだって思われたくなくてすぐ周りに流されたり、そのせいで妙に意固地になったり………。実は金沢おでんじゃなくて普通のおでんも好きだったり、たまに着物じゃなくてスウェットで出歩いてたり…………」

 

小鈴「ちょっと脱線してきた!?」

 

淳平「……………」

 

吟子「まだまだ他にもいっぱいある。だけどなにより……。「またうまくいかないんじゃないか」って。…………いつも、そう思ってた」

 

吟子「事前準備が必要なのだって、そう。失敗したらどうしようって、怖かった。だって、裁縫は失敗しても、何度でもやり直せるから………」

 

吟子「一度きりのステージは、始まる前から、失敗したときのことばっかり考えて……」

 

話しながら、涙を流す吟子ちゃん。

 

小鈴「あ………でも、それは……」

 

吟子「私、言えなくて……。言い出して、うっとうしいやつだって思われたくなくて……。嫌われたくなくて、黙ってたんだ。ほんとに、ごめん」

 

吟子ちゃんは本音を全てふたりにぶつけた。すると、

 

姫芽「……………知ってたよ」

 

淳平「!」

 

姫芽「吟子ちゃんがそう思ってることも、小鈴ちゃんがまた次があると思ってることも、ずっと、知ってた」

 

吟子「……姫芽は、どうして?」

 

姫芽「アタシは………」

 

姫芽「アタシね、チームでやる前は友達同士で一緒にゲームやってたんだけどさ………。でも、そういうところで、うまくなるために声を掛け合ってたら、ひとりが、その、ゲームを辞めちゃって」

 

姫芽「言い方が悪かったのか、アタシが熱くなりすぎちゃったのかわかんない。だけど、アタシが本気なことと、人に本気を押し付けることって、違うのかなって、いろいろと悩んじゃって……」

 

姫芽「それから、あんまり人には言わないでおこうって思ってたら…………肝心なときにも、言えなくなっちゃった」

 

淳平(姫芽ちゃんの過去に原因があったのか……)

 

姫芽「模擬店のときだって、吟子ちゃんと小鈴ちゃんに。もっとできることがあったのにさ」

 

姫芽「アタシのほうこそ、ごめん」

 

姫芽ちゃんも思っていたこと、偽りの無い本音を話す。

 

それをふたりは、黙って……優しい顔で聞いていた。

 

すると今度は、

 

小鈴「そ、そんなこと言ったら!徒町なんて、なんにも気づいてなくて!」

 

小鈴「徒町、こんなだから、弱音をはく暇があったら少しでも練習して、何度転んでも、立ち上がるんだって思って………」

 

小鈴「でも、ラブライブ!大会の本番で、転んじゃだめだから……ただ、がむしゃらにがんばるしかなくって…………」

 

小鈴「まず最初に、気持ちを言わなきゃいけないのは、徒町だったんだよ」

 

小鈴「なんにももってない、徒町が言わなきゃいけなかったんだ……」

 

吟子「小鈴……」

 

淳平(小鈴ちゃん……)

 

すると、

 

姫芽「……………二年生のせんぱいって、みんな自然体だよね。仲が良くて、でもワーワー言い合ったりして。いいところも悪いところもみんな知ってて、ほんとに、信頼し合ってるって感じがする」

 

姫芽「アタシも、あれがいいな」

 

小鈴「……………うん、徒町も」

 

吟子「…………そんなこと言ったら、三年生の先輩なんて、ものすごいストロングポイントも、ウィークポイントも一緒にもってるよね」

 

 

ん……?

 

吟子「慈先輩は勉強ダメダメで、梢先輩は機械が苦手で、綴理先輩なんてできないこといっぱいあって、淳平先輩は女心に鈍感すぎて……」

 

淳平「ちょっと!?」

 

飛火した!?

 

姫芽「あ、吟子ちゃん言ったな〜。淳平先輩の事はそのとおりだけど〜」

 

淳平「姫芽ちゃんまで!?」

 

俺が慌てていると、

 

吟子「……だけど、お互いを支え合ってて……ううん。だからこそ、お互いを支え合って、繋がってる」

 

吟子「私たちも、あんなふうに、なれないかな?」

 

小鈴「なれるよ! ……もう1回、最初から話そうよ。みんなの苦手なところも、恥ずかしいって思ってるとこも…………」

 

小鈴「大丈夫だよ、ぜったいに嫌いになんて、ならないから。だって、ふたりがどんなにがんばってるのか、徒町は誰よりも知ってるから!」

 

小鈴「その上でさ、いいところは尊重して、だめなところはお互いちゃんと、今度こそ!フォローし合って!」

 

小鈴「そうしたら、きっとぜんぶうまくいくよ!この3人なら、きっと!」

 

3人が、思いを新たに、今度は心からの信頼で結ばれる。

 

姫芽「……ほんとにごめん、ふたりとも。竜胆祭はもう、やり直せないけど……」

 

吟子「いいよ」

 

吟子「これもそのうち、思い出になるよ。私たちの、恥ずかしい思い出に」

 

吟子「それに、今までの姫芽ってちょっと大人っぽすぎたし。かわいいとこも見れて、ちゃんと同じ一年生なんだーってわかって、よかったかな」

 

姫芽「え〜。そんなこと気にしてたなんて、吟子ちゃん子どもっぽいかも〜」

 

吟子「な、なにそれ!」

 

吟子ちゃんが頬を膨らませてむくれる。

 

小鈴「徒町は、ふたりのこと大好きだよ!蓮ノ空で出会った、親友だから!」

 

小鈴ちゃんの言葉に笑う2人。

 

吟子「ふふふっ」

 

姫芽「あはは」

 

小鈴「えっ、なんで笑うの!?」

 

吟子「ううん、小鈴はかわいいな、って」

 

姫芽「いいこいいこ〜」

 

小鈴「本気で言ってるんだけどー!」

 

吟子「なんだか………《Link to the FUTURE》の歌詞の意味……。ようやく、わかった気がする」

 

姫芽「『出会えて嬉しい。本当にありがとう』って?」

 

吟子「………じゃあ、そう」

 

姫芽「あ、ありゃ……」

 

吟子「たぶん、お互いを理解することが大事なんじゃなくて………ほんとに大事なのは、その先にある『信頼』だったのかな、って…………」

 

吟子「いいところも悪いところも知っているから、背中を預けられる。別々だけど、一緒にがんばることが『繋がる』ってことなら……。『信頼』だって、繋がることなんだ」

 

小鈴「うん!徒町たち、繋がった、って感じした!今!」

 

3人は、もう大丈夫そうだな……。

 

小鈴「あ、もしかして姫芽ちゃん。さっきの泉さんって」

 

姫芽「…………あ〜、そ〜かも」

 

吟子「え、ふたりもなにか言われたの?」

 

淳平「2人もなにか他の二人を貶すようなこと言われたのか?」

 

姫芽「はい〜。あたしは小鈴ちゃんと吟子ちゃんが足を引っ張ってた…って」

 

小鈴「徒町はできてたのは徒町だけだったと……」

 

アイツ………。

 

少しイラッと来るが、それよりも呆れが勝ってしまった……。

 

小鈴「吟子ちゃんも?」

 

姫芽「わざと悪役をやってくれたのかにゃ〜……。味な真似を〜……」

 

吟子「そっか……。いい人だったね、泉さん」

 

小鈴「あとでお礼を言わなくっちゃ!」

 

姫芽「それもだけど〜。恩返しするなら、やっぱライブでしょ〜!」

 

姫芽「今度こそ最強の《Link to the FUTURE》を見せてやろうよ〜!」

 

小鈴「見てくれるかな、ラブライブ!予選!」

 

吟子「てか見せる。なんなら動画を送り付ける」

 

姫芽「吟子ちゃん、目が据わってる〜」

 

淳平「あっ、そのことだけど……」

 

3人が淳平を見る。

 

淳平「たぶんあの子、どこかのスクールアイドルだよ。予選が近いのに俺たちにアドバイスくれたところを見ると、たぶん石川の学校ではないと思うけど……もしかしたら北陸地区予選、もしくは全国大会でぶつかるかもしれない……」

 

3人が息を呑む。だが、

 

小鈴「じゃあそのためにも、完成させなくっちゃね!」

 

小鈴「今ならきっとできるよ!徒町たちなら、きっと!りんくとぅーざー!」

 

小鈴・吟子「「ふゅーちゃー!!」」

 

姫芽「えっ、なにそれ〜?」

 

吟子「帰って、さっそく練習だよ!ふたりとも、遅れないように!」

 

姫芽「なんか吟子ちゃん、キャラ変わってない〜??」

 

小鈴「あはは、急げ〜!」

 

淳平(大丈夫だな。今の3人なら。どんな壁だって……乗り越えられる!)

 

走っていく3人を追いながら、淳平はそんな事を考えていた。

 

 

― つづく ―




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