蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第八章 Not a marionette
第88話:3年生の進路


ラブライブ!石川県予選の結果が発表された翌日、スクールアイドルクラブの面々は蓮ノ空の屋上庭園に集まっていた。

 

みんなが静かになると、梢が話し始める。

 

梢「さて………みんな」

 

梢「改めて、蓮ノ空学院スクールアイドルクラブ……ラブライブ!県予選突破しました!」

 

その言葉で、それぞれユニットのメンバーやそれぞれの学年同士で顔を見合わせ――

 

瑠璃乃・姫芽「「よっしゃー!!」」

 

小鈴「やった、やったね!」

 

吟子「うん、やった……!」

 

歓喜の輪に包まれるメンバー。俺も内心一安心している……。

 

小鈴「先輩方の目にくるいがなくて、よかった……」

 

さやか「ふふ。良かったです」

 

足を引っ張らずに済んだと安心している小鈴ちゃんに声を掛けるさやかちゃん。

 

花帆「改めてもう一度、地方大会に歩みを進められた……ここからだね、さやかちゃん!」

 

さやか「はい、もちろんそうです!」

 

そんな後輩たちを、俺達3年生は眺めていたのだが、

 

綴理(………………)

 

慈「お? つーづりーん。なにエモい顔してんの?」

 

綴理「してた?」

 

淳平「去年も県大会の結果を話す時こうしてたよな。綴理は、この景色が好きなんだよな……」

 

慈「え、なに?ふたりの世界に入ろうとしてる?今」

 

淳平「ちげぇよ……そう言えば去年は同じタイミングでめぐは学力テストなんて人類の敵でしょ!?って、花帆たちに力説してたからな。俺たちが話してたのは聞いてなかったか……」

 

慈「えー?!マジかぁ……」

 

淳平「マジ」

 

慈「そっか…。ま、去年より人数も増えたし、綴理は賑やかな輪の中にいるのが、なにより幸せそうだからね」

 

綴理「そうだね。去年と違って悩みもないし……うん。良い景色」

 

梢「でも。去年と今年じゃ違うのよ綴理。ほら」

 

3年生が感慨に耽っていると、小鈴ちゃんが、

 

小鈴「綴理せんぱーい!徒町、なんとか足を引っ張らずに済みましたー!」

 

姫芽「小鈴ちゃん、あっち三年生だけで何やら会議中っぽいよ〜?突っ込んじゃう?」

 

吟子「だったら邪魔しちゃダメでしょ……………!」

 

淳平「綴理、声かけてやったらどうだ?」

 

綴理「……うん」

 

綴理は後輩たちに近寄り、皆に声をかけていく。

 

綴理「みんなすごくいいパフォーマンスだったと思うよ」

 

花帆「綴理センパーイ!あたしは、あたしはどうでしたかー?」

 

綴理「明るさはそのまま………去年よりもっと良かった」

 

花帆「やったー!」

 

綴理の言葉に喜ぶ花帆。

 

慈「お、褒められたがりか〜?」

 

花帆「えへへー。あとで慈センパイも褒めてくれていいんですよー?じゃなくて!」

 

花帆「あたしは綴理センパイの正直な評価を聞きたかったんですー!今後を見据えて!」

 

花帆の言葉に吟子ちゃんも「それは分かる」と、同意する

 

吟子「確かに……。綴理先輩って、なんというか、物事をちゃんと見てくれている気がします。私も、聞きたいです」

 

淳平「確かに、綴理は物事を俯瞰的に見れてるよな……」

 

綴理「そっか……。――ぎんもひめも……すずも。3人の色が混ざり合って調和して…………。ボクは、なんだか感動してた。これが今の蓮ノ空なんだなって思ったよ」

 

綴理「……ボク、ちゃんと見てるんだ?」

 

梢「あら、自覚がなかったの?みんなそう思っているんじゃないかしら」

 

綴理「それは、嬉しい」

 

梢の言葉に、笑顔を浮かべる綴理。

 

慈「綴理は、私たちが大好きちゃんだからね〜。一年の頃より、雲とかアリとか眺めてる時間、減ったでしょ?」

 

綴理「なんでわかるの?」

 

慈「その分の時間、いちばん大好きなもの……スクールアイドルのことを、眺めるようになったってことだよ!」

 

綴理「それは、そうだね。うん」

 

めぐの言葉に頷く綴理。

 

綴理「ボクも………スクールアイドルのみんなが大好き」

 

綴理「ありがと、めぐ」

 

慈「?」

 

綴理「去年、見てるだけでも幸せだった。でも今は――」

 

綴理は皆を見渡し、空を見上げる。

 

綴理「――ああ、うん。今が、一番楽しい」

 

 

その日の夜、俺とめぐは寮の噴水前で話していた。

 

淳平「高校生活も、もう、半年もないのか……」

 

慈「あっという間の3年間だったね〜」

 

淳平「ああ」

 

俺は手に持っていた飲み物を一口飲む。

 

淳平「めぐは、進路どうする予定?」

 

慈「そうだな〜、取り敢えず卒業して……ジュンがちゃんと就職して仕事が軌道に乗るまでは芸能界に復帰しようか……それとも実家でお母さんたちに教えてもらいながら花嫁修業するか……」

 

淳平「っ/// そこまで考えてくれてたんだな……」

 

慈「言ったでしょ?私はジュン以外とは結婚しないって…。せっかく選ばれたんだから、手放したりしないよ……」

 

そっか……なら、

 

淳平「なら、大学卒業したら早く就職しないとな……」

 

慈「ジュンは、何かやりたい事あるの?」

 

淳平「……教師になろうかなと思ってる」

 

それを聞いためぐは、

 

慈「だいさんせー! ジュンの教え方分かりやすいなんてレベルじゃないし、きっと良い先生になれるよ!」

 

淳平「だと……いいな」

 

さてと――、

 

淳平「戻るか……」

 

慈「うん。また明日ね!」

 

淳平「めぐ!」

 

俺はめぐの手を掴んで引っ張り、

 

慈「えっ?」

 

チュッ!

 

こちらを向いためぐにキスした。

 

淳平「じゃあ、また明日……///」

 

俺はさっさと寮に入った。

 

慈「………//// ハッ!こらー!やり逃げかぁ〜!?」

 

 

 

――翌日、

 

スクールアイドルクラブ部室――、

 

さやか「ああ、もう!提出物が!多すぎます!」

 

今回は、来年のことを見据えて梢がサポート、さやかちゃんがメインで提出書類を片付けていた。

そろそろ部長の引き継ぎとかも考えなければならないからな……。

 

小鈴「徒町たちも、お力になりますよ!徒町は右から、花帆先輩は左から読み上げてください!」

 

花帆「それだ!左右から音読することで、さやかちゃんの書類処理速度を、3倍に……!」

 

淳平「それだと逆に気が散るだろ……」

 

ジト目で突っ込む俺。

 

吟子「そうだよ。それはさすがに邪魔だよ……えっ、できませんよね?もしかして、さやか先輩なら、できるんですか……………?」

 

さやか「そうですね!さすがにそんな聖徳太子みたいな事はできませんね……!お気持ちは嬉しいので、1枚ずつ、頑張ります」

 

吟子「花帆先輩も小鈴も、やり方は考えてよね?」

 

さやか「あ、あはは……いえ、お気持ちは嬉しいですよ。頑張ります」

 

姫芽「分かりますよ〜。応援は力になりますよね〜」

 

さやか「そう、ですね!」

 

そういうのってパフォーマンスに限った話じゃ……

 

すると、

 

梢「みんな、書類の方はどうかしら」

 

花帆・瑠璃乃「今、がんばってます!」

 

吟子「花帆先輩は、邪魔してたでしょ」

 

吟子ちゃんに突っ込まれる花帆。

 

さやか「あはは……。年末までにやっておかないといけないことは、多いですね……………!」

 

梢「そうね。未提出書類のリストを貰ってきたから、優先度順に潰していきましょう。あ――、」

 

梢「提出物といえば、綴理。あなた、進路調査票が未提出だと聞いたのだけれど」

 

さやか「え!?綴理先輩!?」

 

綴理「……………」

 

さやか「……………綴理せんぱーい?」

 

綴理「あ、うん。なに?」

 

心ここにあらずだった綴理が気づく。

 

梢「なにではなくて。あなた、進路調査票は?」

 

綴理「なにそれ」

 

さやか「卒業後の進路を学校側に知らせる提出物です。もう11月ですし……………11月!?なんでまだ出してないんですか!?わたしが代わりに書きましょうか!?」

 

瑠璃乃「そ、それはまかり通らないっしょ……」

 

淳平「さやかちゃん、甘やかさないで……?」

 

さやかちゃん、去年からだけども綴理のことになると過保護なんだよな……。

 

綴理「卒業後の……進路」

 

綴理「卒業……しなきゃダメ?」

 

さやか「えっ……」

 

淳平「綴理、お前……」

 

綴理「ごめん、なんでもないや」

 

綴理「――昨日の夜、隣の部屋が空いたんだ。早期卒業、だって。ボクはここから、離れたくない」

 

小鈴「徒町は……徒町は、卒業してほしくないです!!」

 

吟子「こ、小鈴!?」

 

吟子ちゃんが慌てる。すると花帆も……、

 

花帆「してほしいか、してほしくないかって話だったら……そりゃ、綴理センパイにも、慈センパイにも、淳兄ぃにも、ずっといてほしいに決まってますけど…………」

 

梢「ええっと………?」

 

淳平「それは………」

 

姫芽「卒業がなければ……るりちゃんとめぐちゃんもずっと一緒…………?」

 

瑠璃乃「おーい、ひめっち帰ってこーい」

 

姫芽「え、絶対嫌ですけど!めぐちゃんとるりちゃんが離れ離れなんて!」

 

めぐるり推しとして頭を抱える姫芽ちゃん。

 

瑠璃乃「そんなこと言われても……………!!」

 

綴理「えっ、いける………?」

 

梢・淳平「「いけません…………」」

 

梢「卒業……しなくていいとは言えないわ。でも、あなたの気持ちは、私たちも分かるはず。同じ三年生だもの」

 

淳平「ああ……」

 

綴理「…………こずとジュンも、寂しい?」

 

梢「あまりにも当たり前すぎて、口に出すのは少し恥ずかしいのだけれど………」

 

綴理「………………」

 

梢「そうね、スクールアイドルでいられる時間が、あと半年もないというのは、とても寂しいわね」

 

淳平「寂しくない訳ないよ……」

 

綴理「でも、卒業はするんだね」

 

綴理の言葉に、梢は苦笑し、

 

梢「………それは、そういうものだもの。区切りがあるからこそ、がんばれる。3年という月日を、たったの1日だって無駄にはしないように。私はそう思って、過ごしてきたつもりだわ」

 

綴理「……………そっか」

 

綴理「……………」

 

するとさやかちゃんが、

 

さやか「綴理先輩。たとえばなんですけど。、去年、オープンキャンパス頑張ったじゃないですか」

 

綴理「え、うん。頑張った」

 

さやか「はい。だからたとえば、中学三年生が、高校に希望を持ってくるように……きっと、高校を卒業したあとも、綴理先輩もこの先で楽しいこと、たくさんありますよ」

 

考え込む綴理。すると小鈴ちゃんが――

 

小鈴「綴理先輩!……徒町、良いこと思いつきました!いや、徒町なので的外れかもしれませんが!」

 

綴理「? ううん、聞きたい」

 

小鈴「はい!綴理先輩も、オープンキャンパスをやればいいんです!」

 

小鈴ちゃんの言葉に、一瞬頭に?が浮かぶ。――が、

 

綴理「やったよ?頑張った」

 

さやか・淳平「「ああ、そういうことか(ですか)」」

 

淳平「綴理、蓮ノ空のオープンキャンパスじゃなくて……」

 

さやか「綴理先輩自身が、将来やってみたいことを探してみればいいのではないかと」

 

俺とさやかちゃんの説明で理解するみんな。

 

姫芽「それは良い考えかもです〜!アタシの場合は偶然でしたけど……やることなくなって燃え尽きてる時に、みらくらぱーく!に出会えたおかげで、この先が楽しみになったんです〜!」

 

瑠璃乃「……………面白いかもですよ、つづパイセン。やっぱ、新しいことって、自分から探してみないと見つからないもんですし。ルリも、スクールアイドルクラブが楽しそうだと思ったから、ここに入ったんです」

 

綴理「新しいやりたいこと………」

 

小鈴「梢先輩は、どう思いますか!?」

 

梢「えっと………そうね。いいんじゃないかしら、卒業した後の、やりたいこと探し。どうかしら、綴理」

 

みんなの言葉を聞き、少し考えた綴理は……

 

綴理「そっか。その方が、いいんだね」

 

綴理「ちょっと、考えてみたい」

 

小鈴「そしたら、やること探すチャレンジです!徒町も色々、探してみますね!」

 

綴理「ん……ありがと、すず」

 

 

 

― つづく ―




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