さやかちゃんの練習を見に、スケートリンクに一緒に来ていた俺と花帆は……
花帆「わー……!!本物のリンクだー……!!って、さむ!」
さやか「本物のリンクですからね」
するとさやかちゃんは深呼吸して、
さやか「すー……。冷たい。変わらないな……ここは……」
花帆「ねえねえさやかちゃん!」
さやか「わっ、はい、なんでしょう」
花帆「滑りに来たんだよね!早く行こー!」
さやか「……。ふふっ、そうですね。では、最初はハの字で立ってみましょう」
さやかちゃんの指導で、俺と花帆はリンクの上に1人で立つ練習をする。
淳平「……意外とできるな」
さやか「……!淳平先輩凄いです。花帆さんは……」
花帆「あだっ!」
花帆は転んでしまった。
さやか「花帆さん!?」
花帆「けっこう難しいねぇ。えへへ」
さやか「慣れれば、滑り始めるくらいまではすぐですよ」
花帆「あんな風に?」
さやか「え?」
花帆が指さした方向をさやかが見ると、淳平が試しに1人で滑っていた。
さやか「!?(凄い……滑り方がスゴい滑らか。本当に初心者?)」
当の本人はというと、
淳平(確か中継で見るスケート選手ってこんな感じだったっけ……?)
すると、
淳平(ここでっ!)
淳平が何をしようとしてるか気付いたさやかちゃんは声をあげる。
さやか「あっ!ダメ!!」
しかし声を上げた時には既に淳平は跳躍してスピンしていた。流石に何回転もするのは無理だが、淳平は一回転なら地上で普通にできる。同じようにしたのだが、
回転して着地の時、
ツルッ!
淳平「うおっ?!ととっ!!」
体勢が崩れて身体をバタバタさせるが、なんとか落ち着かせて普通に立つ。
淳平「せ、セーフ!!」
転ばなくて良かった。
さやか「セーフじゃないですよ!なに危ないことしてるんですか!!」
さやかちゃんが飛んできて怒られてしまう。凄い剣幕だ。
淳平「ご、ごめんなさい……(怖い怖い怖い!!)」
その後、素人があんな事をする危険さをしっかりと説かれ、俺はロビーで反省させられた。去り際に、
さやか「淳平先輩と花帆さんが親戚だってこと忘れてましたよ……」
と、言われてしまった。
すると、
?「ねえ、君?」
淳平「はい?」
俺はとある女性に話しかけられた。
?「あなた、さやかちゃんの学校の方ですか?」
淳平「あ、はい。さやかちゃんの入ってる蓮ノ空スクールアイドルクラブでマネージャーやってます。日野下淳平です」
?「日野下淳平さん……私は、村野つかさと言います」
淳平「はあ……」
ん?村野?
淳平「ひょっとしてさやかちゃんのお姉さんですか?」
つかさ「さやかちゃんから聞いてたんですか?」
淳平「ああ、お姉さんがいるってことだけ。名前までは聞いてなかったですけど、村野っていう苗字でもしかしてと」
つかさ「そうですか……。スケートしてるさやかちゃん、綺麗ですよね……」
淳平「ええ。そうですね……」
つかさ「ふふっ、ほんと…でなんていうかー。さやかの几帳面な感じとか、繊細な感じが出てるというかー」
淳平「今のさやかちゃんは誰の代わりでもない、"村野さやか"として立ってますから……」
つかさ「……それなら、良かった」
淳平「それに、さやかちゃん楽しそうですし」
つかさ「確かに……。ほんと、変わったなー。そう言えば、さっきさやかに怒られてましたよね?なにかやったんですか?」
ゔ……。
淳平「実は……今日スケート初めて滑ったのに一回転とはいえ見様見真似でジャンプしてしまいまして……」
つかさ「!! そんな危険なこと!!怪我とかはしなかったですか?」
淳平「ええ……体勢は崩しましたが倒れはしませんでした」
つかさ「………そんな危険なこと二度とやらないでくださいね?」
淳平「は、はい」
つかささんには、有無を言わせぬ迫力があった。やっぱ姉妹なんだな。
その後、つかささんとさやかちゃんのことをしばらく話した後、つかささんは帰って行った。
すると、そこでさやかちゃんと花帆が戻ってきた。
花帆「ふ〜楽しかったぁ!!」
さやか「花帆さん、慣れてしまえば凄く楽しそうに滑ってましたね」
淳平「そっか……」
そしてさやかの練習が終わり、
花帆「んー!楽しかったー!最後の方は柵にも触らずに一周できたし……ひょっとしたら次はもっと滑れるようになるかも!またさやかちゃんと一緒に来たいなあ。梢センパイと、綴理センパイも呼んだりして」
淳平「良いなそれ……」
すると、
さやか「すみません、遅くなりました!」
花帆「んーん、全然待ってないよー!でも、凄い囲まれてたね、さやかちゃん!」
さやか「そ、そうですね。やっぱり久々に顔を出したからというのもありますが……大会に出るのかどうかを聞かれてしまって」
花帆「そっかぁ……」
さやか「なかなか踏ん切りがつかず、今日まで引っ張ってしまったのはわたしですから」
花帆「そ、それはスクールアイドルの練習が忙しくて、とか……?」
さやか「いえ。むしろ、あのスクールアイドルとしての楽しい毎日が無ければ、わたしはここに来るこもできなかった……。だから、花帆さん、淳平先輩。今から、あまり良くないことを言います」
花帆「えっ、あ、はい。なんでしょう……?」
さやか「わたし、今日うまく滑れないと思っていました。もうわたしの身体はフィギュアから離れてしまっていて、大会なんて夢のまた夢なんじゃないか……そんな風に思っていました。そして……それならもう、諦めもつくのではないか、とも」
淳平「でも、滑れたよな…?凄く綺麗に……」
さやか「ありがとうございます。……実はそうなんですよね」
花帆「え?」
さやか「こんなにブランクが空いたのに、今日のわたしを見たみんなが、前よりもずっと良いと言ってくれました。だから、ぜひ大会に出てみないか、とも。これはひとえに、スクールアイドルとして培った経験のおかげです」
花帆「そっ……か!そっか!そっかぁ、スクールアイドルで頑張ったから……。じゃあ、本当に良かったね、さやかちゃん!」
さやか「はい!だから、出てみます。大会。わたし、頑張りますね!」
花帆「そうだね!うん、応援してる!さやかちゃん、こんなに綺麗なんだもん。きっとすごい結果残せるよ!」
さやか「ありがとうございます。では、帰りましょうか。淳平先輩、大会のある週末まではスケートの練習に専念したいので、お願いできますか?」
淳平「ああ、分かったよ。応援してる。試合、スクールアイドルクラブの皆で観に行くな?」
さやか「それは緊張しますね……けど、ぜひ見に来てください!!」
そしてその大会はなんとさやかは優勝し、以前とは比べ物にならない結果を残した。
ー つづく ー
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