蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第九章 みらくる・ざ・ゆにばーす!
第102話:藤島慈 "祝!留年回避"


蓮ノ空がスキー合宿から帰ってきて数日後、テスト期間を迎えていた。

蓮ノ空生徒たちはテストを受けて全科目を終了し、今日はテスト返却日……だった。

 

― 女子寮 ―

 

姫芽「それじゃあ、めぐちゃんせんぱい〜」

 

瑠璃乃「せーのっ!」

 

花帆・さやか・瑠璃乃・吟子・小鈴・姫芽「「「「「「留年回避、おめでとうございます〜!」」」」」」」

 

クラッカーを鳴らしてみんなが祝う。うん。留年しないのって当たり前なんだけどな……。

 

慈「あーっはっは!ジュンの力があれば余裕だったわ!もうこれで3月まで、なんの心配もナシ!」

 

声高々に笑うめぐ。

 

淳平「疲れた………」

 

梢「本当に……お疲れ様。ジュン。慈もよかったわね、本当に……」

 

労ってくれる梢の優しさが身に沁みるぜ……。

 

慈「いやあ、今回ばっかりはもうだめかと思ったんだよ。めぐちゃん史上最悪のピンチだったね」

 

花帆「慈センパイががんばるのは当たり前じゃないですか……」

 

さやか「がんばってこなかったツケを払っただけですよね?でも、確かに今回のテストは過去最高レベルに難しかったらしいですが……」

 

慈「なんだとこらー!」

 

花帆・さやか「きゃー!」

 

瑠璃乃「はぁ……ともあれこれで、ルリのいちばんの懸念は解決した……肩の荷が下りたぜ……………」

 

淳平「ホントだよ……」

 

ため息を吐く俺とるりちゃん。

 

瑠璃乃「ビッグボイス選手権まで聞いたのに、めぐちゃんが学校に残ったら、なんかもういろいろ台無しだったもんね………」

 

慈「本っ当に学校は!! ジュン対策で難しくするなんて!!おかげで赤点の生徒がかなり増えちゃったじゃん!!」

 

吟子「確かに。……まあ…慈先輩の留年も………華やかで楽しそうだな、とは思いますけど……」

 

小鈴「でもこのままじゃ、二年後は徒町もあんな風に……!?」

 

吟子「大丈夫だよ。少なくとも小鈴は、ちゃんと真面目に授業受けてるし。提出物も、間に合わないときはけっこうあるみたいだけど、ちゃんと出してるし」

 

小鈴「確かに!徒町は取り組み方と要領が悪いだけでした!」

 

吟子「そんな悲しいこと笑顔で言わないで!」

 

すぐさま突っ込む吟子ちゃん。ツッコミがキレッキレだ。

 

姫芽「ううう、でもでもやっぱり寂しいですよぉ〜……。どこにもいかないでくださいい〜!」

 

慈の卒業を実感し、寂しくなる姫芽。

 

姫芽「アタシ、めぐちゃんせんぱいとユニットを組む楽しさを、もう知っちゃったんです〜!」

 

瑠璃乃「ひめっち……………」

 

姫芽「だから、もっと思い出作りたいです〜!1年と言わず、2年!あと2年留年してください〜!一緒に卒業しましょ〜!?」

 

瑠璃乃「ぜったいやだよ!そんなめぐちゃん見たくないよ!」

 

淳平「なにとんでもない事言ってんの?!」

 

姫芽ちゃんに突っ込む俺とるりちゃん。

 

――すると、

 

慈「…………姫芽ちゃんの気持ちはわかるけどね。でもね、私もやりたいことがあるからさ」

 

めぐは高校に入ってからの事を思い出す様に語る。

 

慈「これまで、いろんなことがあったよ。蓮ノ空にやってきて、監獄に閉じ込められて………もう勉強なんかするもんかと決めた一年生の4月………!」

 

花帆「早っ!?」

 

さやか「まるで最初はやる気があったみたいな言い方ですね……」

 

慈「なのに、周りは勉強しろ勉強しろと、自分たちの都合を押し付けてくる…………。そのたびに私は抗って、「自分の道」を貫いたんだ!」

 

淳平(……自慢げに言う事かよ)

 

俺が呆れていると、

 

小鈴「慈大先輩、かっこいい〜!」

 

吟子「騙されてるよ小鈴」

 

淳平「真似しちゃだめだよ?」

 

俺たちの注意喚起を他所に、得意げな顔で自慢するめぐ。

 

慈「スクールアイドル。動画編集作業。テスト前の配信!私は、やりたいことをやりきった!最後まで屈しなかった!」

 

慈「人は私を、好き勝手に呼ぶかもしれないけど!私は、間違いなくこの3年間をいちばん楽しんでやったんだよ!後悔なんてないね!」

 

慈「見たか蓮ノ空!全寮制のシステムも、めぐちゃんには勝てなかったみたいだね!あーっはっはっは!」

 

高笑いするめぐ。うん。凄い小者感。

 

綴理「やっぱり、めぐってすごいよね」

 

梢「もうなんでもいいわ」

 

淳平「俺が面倒見るから……」

 

梢「苦労するわよ?」

 

淳平「分かってるよ。昔からだし今更だから」

 

――すると吟子が、

 

吟子「あの、さっき言ってた、慈先輩の"やりたいこと"って、なんですか?」

 

慈「ん〜?やりたいことは、 いろいろあるよ。まず車とバイクの免許は取りに行きたいしー。ジュンとあちこち旅行に行きたいし。そのためにも、一人暮らししながらまずは仕事かな?自由って言ったら、これっしょ!」

 

花帆「ひとり暮らしって……寮生活もひとり暮らしみたいなものじゃ?」

 

さやか「うーん………だいぶ違うと思いますよ……?」

 

梢「そうね……身の回りのことはすべて自分でやらなきゃいけないものね」

 

淳平「………めぐ?ほんとに大丈夫か?」

 

瑠璃乃「生きてく分には、いけそうとルリ思う。最低限」

 

慈「ま、言ったようにちゃんと暮らしてくためにも、その分お仕事もがんばらなきゃ、ってことで……!」

 

慈「藤島慈、タレント復帰します!」

 

綴理・花帆・さやか・吟子・小鈴・姫芽「「「「「「おお〜」」」」」」

 

慈「もともと所属してた事務所から、熱烈なオファーをもらっててね。『高校卒業したらぜひすぐにでも!』って。私のスクールアイドル活動も追いかけてくれてたみたいなんだよ。ありがたいことに」

 

花帆「えーすごーい!」

 

淳平「それならある程度の心配は減らせそうだな……」

 

めぐが働ける場所があるのか心配だったし………。

 

吟子「そっか。慈先輩、もともとタレントだったんですよね」

 

小鈴「徒町、お部屋にテレビありませんけど、 実家に連絡してぜんぶ録画してもらいますね!」

 

慈「ふふふっ。つまり、私のミライは予想外どころか、バラ色!全世界が私の卒業を祝福してるんだよ!いつか世界中を夢中にするために!もう怖いものなんて、なんにもなーい!」

 

うわぁ〜、過去最高に調子乗った笑顔。

 

姫芽「うう……寂しいです〜。寂しいですけど〜……めぐちゃんせんぱいの明日を、アタシも応援しなきゃ、ですよね〜〜……」

 

瑠璃乃「ん。大丈夫だよ、めぐちゃんはどこにいってもめぐちゃんだから。いつだってルリたちに、がんばってるところを見せてくれるよ。ねっ?」

 

るりちゃんが姫芽ちゃんに優しく諭す。

 

ホント、るりちゃんって付き合う(人付き合い的な意味)なら、バッテリーが切れなければ理想だよな……。

 

姫芽「るりちゃんせんぱい〜………はい〜!」

 

すると、めぐのスマホが鳴る。

 

慈「お、事務所からの連絡かな?もう少しでラブライブ!北陸大会だから、面談はその後にしてもらわないと、っと……………?」

 

 

画面を見ためぐが固まった。

 

 

綴理「めぐ?」

 

慈「……ママだ」

 

梢「………………慈の、お母様?」

 

淳平「叔母さんがどうしたって?」

 

慈「うわああああああ!ど、ど、どどどどどうしよう!」

 

姫芽「め、めぐちゃんせんぱい!?いったいなにが〜!?」

 

慈「だから―――。――ママとの約束、忘れてたんだよ!!」

 

 

ー つづく ー




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