第102話:藤島慈 "祝!留年回避"
蓮ノ空がスキー合宿から帰ってきて数日後、テスト期間を迎えていた。
蓮ノ空生徒たちはテストを受けて全科目を終了し、今日はテスト返却日……だった。
― 女子寮 ―
姫芽「それじゃあ、めぐちゃんせんぱい〜」
瑠璃乃「せーのっ!」
花帆・さやか・瑠璃乃・吟子・小鈴・姫芽「「「「「「留年回避、おめでとうございます〜!」」」」」」」
クラッカーを鳴らしてみんなが祝う。うん。留年しないのって当たり前なんだけどな……。
慈「あーっはっは!ジュンの力があれば余裕だったわ!もうこれで3月まで、なんの心配もナシ!」
声高々に笑うめぐ。
淳平「疲れた………」
梢「本当に……お疲れ様。ジュン。慈もよかったわね、本当に……」
労ってくれる梢の優しさが身に沁みるぜ……。
慈「いやあ、今回ばっかりはもうだめかと思ったんだよ。めぐちゃん史上最悪のピンチだったね」
花帆「慈センパイががんばるのは当たり前じゃないですか……」
さやか「がんばってこなかったツケを払っただけですよね?でも、確かに今回のテストは過去最高レベルに難しかったらしいですが……」
慈「なんだとこらー!」
花帆・さやか「きゃー!」
瑠璃乃「はぁ……ともあれこれで、ルリのいちばんの懸念は解決した……肩の荷が下りたぜ……………」
淳平「ホントだよ……」
ため息を吐く俺とるりちゃん。
瑠璃乃「ビッグボイス選手権まで聞いたのに、めぐちゃんが学校に残ったら、なんかもういろいろ台無しだったもんね………」
慈「本っ当に学校は!! ジュン対策で難しくするなんて!!おかげで赤点の生徒がかなり増えちゃったじゃん!!」
吟子「確かに。……まあ…慈先輩の留年も………華やかで楽しそうだな、とは思いますけど……」
小鈴「でもこのままじゃ、二年後は徒町もあんな風に……!?」
吟子「大丈夫だよ。少なくとも小鈴は、ちゃんと真面目に授業受けてるし。提出物も、間に合わないときはけっこうあるみたいだけど、ちゃんと出してるし」
小鈴「確かに!徒町は取り組み方と要領が悪いだけでした!」
吟子「そんな悲しいこと笑顔で言わないで!」
すぐさま突っ込む吟子ちゃん。ツッコミがキレッキレだ。
姫芽「ううう、でもでもやっぱり寂しいですよぉ〜……。どこにもいかないでくださいい〜!」
慈の卒業を実感し、寂しくなる姫芽。
姫芽「アタシ、めぐちゃんせんぱいとユニットを組む楽しさを、もう知っちゃったんです〜!」
瑠璃乃「ひめっち……………」
姫芽「だから、もっと思い出作りたいです〜!1年と言わず、2年!あと2年留年してください〜!一緒に卒業しましょ〜!?」
瑠璃乃「ぜったいやだよ!そんなめぐちゃん見たくないよ!」
淳平「なにとんでもない事言ってんの?!」
姫芽ちゃんに突っ込む俺とるりちゃん。
――すると、
慈「…………姫芽ちゃんの気持ちはわかるけどね。でもね、私もやりたいことがあるからさ」
めぐは高校に入ってからの事を思い出す様に語る。
慈「これまで、いろんなことがあったよ。蓮ノ空にやってきて、監獄に閉じ込められて………もう勉強なんかするもんかと決めた一年生の4月………!」
花帆「早っ!?」
さやか「まるで最初はやる気があったみたいな言い方ですね……」
慈「なのに、周りは勉強しろ勉強しろと、自分たちの都合を押し付けてくる…………。そのたびに私は抗って、「自分の道」を貫いたんだ!」
淳平(……自慢げに言う事かよ)
俺が呆れていると、
小鈴「慈大先輩、かっこいい〜!」
吟子「騙されてるよ小鈴」
淳平「真似しちゃだめだよ?」
俺たちの注意喚起を他所に、得意げな顔で自慢するめぐ。
慈「スクールアイドル。動画編集作業。テスト前の配信!私は、やりたいことをやりきった!最後まで屈しなかった!」
慈「人は私を、好き勝手に呼ぶかもしれないけど!私は、間違いなくこの3年間をいちばん楽しんでやったんだよ!後悔なんてないね!」
慈「見たか蓮ノ空!全寮制のシステムも、めぐちゃんには勝てなかったみたいだね!あーっはっはっは!」
高笑いするめぐ。うん。凄い小者感。
綴理「やっぱり、めぐってすごいよね」
梢「もうなんでもいいわ」
淳平「俺が面倒見るから……」
梢「苦労するわよ?」
淳平「分かってるよ。昔からだし今更だから」
――すると吟子が、
吟子「あの、さっき言ってた、慈先輩の"やりたいこと"って、なんですか?」
慈「ん〜?やりたいことは、 いろいろあるよ。まず車とバイクの免許は取りに行きたいしー。ジュンとあちこち旅行に行きたいし。そのためにも、一人暮らししながらまずは仕事かな?自由って言ったら、これっしょ!」
花帆「ひとり暮らしって……寮生活もひとり暮らしみたいなものじゃ?」
さやか「うーん………だいぶ違うと思いますよ……?」
梢「そうね……身の回りのことはすべて自分でやらなきゃいけないものね」
淳平「………めぐ?ほんとに大丈夫か?」
瑠璃乃「生きてく分には、いけそうとルリ思う。最低限」
慈「ま、言ったようにちゃんと暮らしてくためにも、その分お仕事もがんばらなきゃ、ってことで……!」
慈「藤島慈、タレント復帰します!」
綴理・花帆・さやか・吟子・小鈴・姫芽「「「「「「おお〜」」」」」」
慈「もともと所属してた事務所から、熱烈なオファーをもらっててね。『高校卒業したらぜひすぐにでも!』って。私のスクールアイドル活動も追いかけてくれてたみたいなんだよ。ありがたいことに」
花帆「えーすごーい!」
淳平「それならある程度の心配は減らせそうだな……」
めぐが働ける場所があるのか心配だったし………。
吟子「そっか。慈先輩、もともとタレントだったんですよね」
小鈴「徒町、お部屋にテレビありませんけど、 実家に連絡してぜんぶ録画してもらいますね!」
慈「ふふふっ。つまり、私のミライは予想外どころか、バラ色!全世界が私の卒業を祝福してるんだよ!いつか世界中を夢中にするために!もう怖いものなんて、なんにもなーい!」
うわぁ〜、過去最高に調子乗った笑顔。
姫芽「うう……寂しいです〜。寂しいですけど〜……めぐちゃんせんぱいの明日を、アタシも応援しなきゃ、ですよね〜〜……」
瑠璃乃「ん。大丈夫だよ、めぐちゃんはどこにいってもめぐちゃんだから。いつだってルリたちに、がんばってるところを見せてくれるよ。ねっ?」
るりちゃんが姫芽ちゃんに優しく諭す。
ホント、るりちゃんって付き合う(人付き合い的な意味)なら、バッテリーが切れなければ理想だよな……。
姫芽「るりちゃんせんぱい〜………はい〜!」
すると、めぐのスマホが鳴る。
慈「お、事務所からの連絡かな?もう少しでラブライブ!北陸大会だから、面談はその後にしてもらわないと、っと……………?」
画面を見ためぐが固まった。
綴理「めぐ?」
慈「……ママだ」
梢「………………慈の、お母様?」
淳平「叔母さんがどうしたって?」
慈「うわああああああ!ど、ど、どどどどどうしよう!」
姫芽「め、めぐちゃんせんぱい!?いったいなにが〜!?」
慈「だから―――。――ママとの約束、忘れてたんだよ!!」
ー つづく ー
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