あの後、めぐは淳平、梢、花帆の3人と勉強知識の、スクールアイドルへのこじつけを一緒に考えそれを覚えるために部屋で1人勉強していた。
―――そこへ、
姫芽「こんこん〜、めぐちゃんせんぱ〜い」
姫芽ちゃんがやって来た。
慈「ん、どーぞー」
姫芽「お勉強、お疲れ様です〜。これ、よかったら差し入れのブドウ糖です〜。チョコレートと、グミと、あと小鈴ちゃんオススメのラムネ菓子〜!」
慈「おー、うれしいー。ちょうど今、一息入れようと思ってたところだから、座って座って。軽く話し相手になってよ」
姫芽「ははあ〜!光栄です喜んで〜!」
めぐの言葉に喜びからひれ伏す姫芽ちゃん。
慈「ふふ、今お茶淹れるね」
めぐはお茶の準備をしながら、
慈「関税〜、安土桃山、井伊直弼〜」
梢に作って貰った歌を歌って隙間時間にも楽しく覚える。
姫芽「なんですかその………歌?」
慈「ああ、梢が作ってくれたんだよ。5教科の歌。スクールアイドルにどうしても関係させられないものは、もうムリヤリ関係させてしまえ、って。このやり方ならめぐちゃんも楽しく覚えられそうだし」
姫芽「すっごい力技…………さすが、梢せんぱい〜………!」
姫芽ちゃんが関心する。すると―――、
姫芽「それで、どうですか〜?お勉強、はかどってますか〜?」
慈「ん〜……………なんか、懐かしい感じする」
姫芽「懐かしい〜?」
慈「私が勉強しなくなったのって、タレントデビューしてからだからさ。それまでは、むしろけっこうやってたんだ。満点のテストとか見せびらかしたかったから」
姫芽「ほえ〜。確かにめぐちゃんせんばいって、調べ物とかお上手ですもんね〜!」
慈「ま・ね。けど、タレントデビューして、世界が広がって、他にやりたいことがわぁっと増えて。勉強なんかにうつつを抜かしてる暇、なくなっちゃったんだよね」
姫芽「はわっ。め、めめ、めぐちゃんせんぱいっ………」
慈「世界には、こんなにも楽しいことがいっぱいある。なのに、どうしてわざわざ勉強しなきゃいけないのか。無駄なことに時間を使ってる暇は、1秒だってないのに!」
慈「蓮ノ空に入れられるときも、相当やり合ったんだけど、結局、負けちゃって。『常識がないと社会で通用しないよ〜。搾取されちゃうよ〜』とかなんとか言って!――今だってそう。ママはいつまでも私のこと、子供だと思ってるんだよ」
慈「はぁ…………って感じ。いつかぜったいギャフンって言わせてやるんだから………!」
姫芽「あ、アタシは、めぐちゃんせんぱいのこと、大好きですから〜!」
慈「ありがと。私も姫芽ちゃんのこと、大好きだよ」
姫芽「はぅっ!」
姫芽ちゃんが鼻血を吹いて倒れる。
慈「姫芽ちゃん!?」
姫芽「この距離からの個レスは、死人が出ますよぉ〜………!」
慈「ふふ。見てて飽きない、面白い後輩だし」
―――すると、
瑠璃乃「めーぐーちゃーん」
慈「お?るりちゃん?おかえり!ぎゅーする?」
瑠璃乃「それはするけど」
慈「ぎゅー」
めぐとルリちゃんがお互いに抱きしめ合う。それを直視した姫芽ちゃんは………、
姫芽「るりめぐ……………尊い…」パタリ
ライフポイントを0にされて倒れる姫芽ちゃん。
慈「そんで、ママの弱点、どうだった!?」
瑠璃乃「ん〜〜…………それはちょっと、わかんなかったかも〜。お母さんとは、ちょっと話したんだけどね………」
何か言いかけるルリちゃん。
姫芽「るりちゃんせんぱい?なにかあったんですか?」
復活して起き上がる姫芽ちゃん。
瑠璃乃「あ、ううん。ぜんぜん、なんでも」
姫芽「?」
慈「しゃーなし………。地道に努力を続けてくよ……。生活力、マナー、常識テスト」
瑠璃乃「あ、でもね。お母さんに言ったら、めぐママの会社で実際に使ってる入社試験用問題データのサンプルをくれてさ」
慈「おお!」
姫芽「え〜、すご〜い。なんでそんなのもってるんですか〜?」
慈「おばさんは、ママの会社のコンサルタントやってるんだよね。たぶんそれで」
瑠璃乃「めぐちゃんが『コンサルタント』なんて言葉を覚えてる!勉強の成果……………!」
慈「おばさんのお仕事ぐらい、最初から知ってるよ!」
姫芽「つまり………これで練習しておいて〜…………」
慈「そう!そして家に帰ったらママに言ってやるの。『だったらテストしてみる?』って。それで満点取ったら、さすがに認めざるを得ないだろうね!私のことを!」
姫芽「めぐちゃんせんぱいママに、ギャフンって言わせられる〜!」
慈「そーゆーこと!やる気出てきた!るりちゃん、ありがとね!」
瑠璃乃「う、うん!……応援してるよ、めぐちゃんのこと!」
慈「がんばる〜〜!ぎゅ〜〜!」
姫芽「ブハッ!!」
抱き合う2人に、尊さが爆発して吐血する姫芽ちゃん。
姫芽「な、なんのこれしき……。でも〜、めぐちゃんせんぱいにも苦手なものって、あったんですねえ〜」
慈「おお、持ちこたえた。…………いや?ないよ」
姫芽「あれ〜!?」
慈「なにか勘違いしてるみたいだね、姫芽ちゃん。藤島慈に怖いものなんてないんだよ。いるのは道を阻むものだけ」
姫芽「つまりめぐちゃんせんぱいママも、そのひとり……!?」
慈「まあ……そうだね!だけど、私はそのすべてをぶっ飛ばして、ここまでやってきた。つまり、これもその道の途中のわけ、で………あ」
めぐが何かに気づく。
慈「…………そう、か!そうだよ!我が愛弟子!いいところに気づかせてくれた!」
姫芽ちゃんを抱きしめるめぐ。
姫芽「ふえっ!?」
慈「私はなんたって藤島慈!“敵”のご機嫌取りなんて、似合わないんだよ!」
慈「ふふふふふふふ!いつまでも手のひらの上だと思ったら、大間違いなんだからね!ママ!」
瑠璃乃「な、なに?」
嫌な予感がするルリちゃん。
姫芽「ぜんぜんわかりませんけど、顔がいい〜…………!」
めぐに抱きしめられながら、恍惚とした姫芽ちゃん。
瑠璃乃「………なんか、またろくでもないこと考えてるんじゃないかなあ……………!」
ルリちゃんが不安に駆られる中、翌日。
めぐは常識力テストを解答し、結果は―――。
淳平・梢「「………信じられない(わ)」」
梢「本番を想定した、模擬テスト。100点満点中………80点よ」
小鈴「え〜〜!すご〜〜〜〜い!」
吟子「慈先輩……………!」
淳平「よくがんばったなめぐ。お前のことを、見直した。絶対に無理だと思ってた」
慈「不可能を可能にするスクールアイドルと言えば、めぐちゃんだからね!」
「エヘン!」と、ピースするめぐ。
姫芽「うう〜!めぐちゃんせんぱぁい〜!いっぱい、いっぱいがんばったんですねぇ〜〜!」
号泣する姫芽ちゃん。ヤバい、嬉しくて俺も少し涙出てきた………。
慈「めぐちゃんが本気になれば、こんなもんだよ!」
さやか「でしたら、高校生活もっと早く本気になっていれば………あ、いえ、すばらしい巻き返しだと思います!」
花帆「慈センパイはこっち側じゃなかったんですか!?」
花帆が焦る。
慈「ごめんね、花帆ちゃん。私はもう“そっち”にはいけないから」
めぐが梢の肩に手を置くと、梢は嫌そうな顔をして手を払う。
――すると、
綴理「めぐ。鳥の照り焼き弁当の、作り方は?」
慈「鶏もも肉100グラムに市販の照り焼きソースをかけて、焼くだけ!副菜には、冷えてもおいしく食べられる切り干し大根や、ひじき煮なんかも定番だよね。材料費は……ざっと、300〜400円ぐらいかな!」
綴理「合ってる?」
さやか「おおむね合ってます………!そんな、絶対に絶対に無理だと思っていました……!」
梢「そうね……少なくともこの調子なら、あと一週間もあれば満点は夢じゃないわ。引き続き、がんばりましょう」
慈「ふう」
淳平「ん?」
瑠璃乃「めぐちゃん?」
慈「これで義理は果たしたよ、ママ。なので――」
めぐは、答案用紙をビリビリに破いた。
花帆・さやか・吟子・小鈴・姫芽「「「「「えーー!?」」」」」
慈「今まで付き合ってくれて、ありがと!きょうからは、ラブライブ!北陸大会の練習に全力を注ぐよ!」
姫芽「い、いいんですか!?だって、めぐちゃんせんぱいの未来が!」
花帆「“立派な常識人”になれなかったら、慈センパイが土蔵に閉じ込められちゃう!」
慈「そんなの………………知ったことか、だよ!」
は………?
……いや、怒る前にめぐの真意を聞かないとだめだな。
慈「確かに、中学までの私はヒヨコちゃんだったかもしれないよ!ぴよぴよしてた!そのせいでママに言い負かされて、タレントを休止!蓮ノ空に押し込められた!」
慈「けどね、私はもう18歳になるんだよ!自分の道ぐらい、自分で決められるっての!世間の常識なんてなくたって、世界が私に夢中になれば、問題なし!」
慈「私はスクールアイドル、藤島慈だよ!つべこべ言うようなら、パフォーマンスで黙らせてやる!もうなんの心配もいらないんだ、ってね!」
慈「そう――ラブライブ!北陸大会の舞台で!」
なるほど。
淳平「今の自分を誤魔化さずに、正直に、蓮ノ空で学んだこと、あの時とは違う事を正面から伝えるってことだな?」
慈「うん!」
姫芽「めぐちゃんせんぱい、かっこいい〜……」
さやか「い、今のはわたしも、ちょっとそう思いました……」
梢「それでいいの?あなた」
慈「うん。蓮ノ空で過ごした3年間で、私は変わったんだよ。泣いたり、笑ったり、本当にいろんなことがあった。――スクールアイドルが、仲間が、応援してくれる人の声が、私を変えてくれた」
慈「ママの望む私にはなれなかったかもしれないけど。でも、私は私。“これが私”」
慈「取り繕ったり、ごまかしたりする必要なんて、最初っからなかった。胸を張って、ママの前に立つよ」
慈「みんな、改めてお願い。ラブライブ!北陸大会で、私たちの全力を見せてやろうぜ!」
………まあ、自分のやる事、やった事を誤魔化さなくなっただけ、成長はしたな。
淳平(さてと、どうなるかな……)
― つづく ―
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