蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

268 / 339
第106話:これが私だ!

あの後、めぐは淳平、梢、花帆の3人と勉強知識の、スクールアイドルへのこじつけを一緒に考えそれを覚えるために部屋で1人勉強していた。

 

―――そこへ、

 

姫芽「こんこん〜、めぐちゃんせんぱ〜い」

 

姫芽ちゃんがやって来た。

 

慈「ん、どーぞー」

 

姫芽「お勉強、お疲れ様です〜。これ、よかったら差し入れのブドウ糖です〜。チョコレートと、グミと、あと小鈴ちゃんオススメのラムネ菓子〜!」

 

慈「おー、うれしいー。ちょうど今、一息入れようと思ってたところだから、座って座って。軽く話し相手になってよ」

 

姫芽「ははあ〜!光栄です喜んで〜!」

 

めぐの言葉に喜びからひれ伏す姫芽ちゃん。

 

慈「ふふ、今お茶淹れるね」

 

めぐはお茶の準備をしながら、

 

慈「関税〜、安土桃山、井伊直弼〜」

 

梢に作って貰った歌を歌って隙間時間にも楽しく覚える。

 

姫芽「なんですかその………歌?」

 

慈「ああ、梢が作ってくれたんだよ。5教科の歌。スクールアイドルにどうしても関係させられないものは、もうムリヤリ関係させてしまえ、って。このやり方ならめぐちゃんも楽しく覚えられそうだし」

 

姫芽「すっごい力技…………さすが、梢せんぱい〜………!」

 

姫芽ちゃんが関心する。すると―――、

 

姫芽「それで、どうですか〜?お勉強、はかどってますか〜?」

 

慈「ん〜……………なんか、懐かしい感じする」

 

姫芽「懐かしい〜?」

 

慈「私が勉強しなくなったのって、タレントデビューしてからだからさ。それまでは、むしろけっこうやってたんだ。満点のテストとか見せびらかしたかったから」

 

姫芽「ほえ〜。確かにめぐちゃんせんばいって、調べ物とかお上手ですもんね〜!」

 

慈「ま・ね。けど、タレントデビューして、世界が広がって、他にやりたいことがわぁっと増えて。勉強なんかにうつつを抜かしてる暇、なくなっちゃったんだよね」

 

姫芽「はわっ。め、めめ、めぐちゃんせんぱいっ………」

 

慈「世界には、こんなにも楽しいことがいっぱいある。なのに、どうしてわざわざ勉強しなきゃいけないのか。無駄なことに時間を使ってる暇は、1秒だってないのに!」

 

慈「蓮ノ空に入れられるときも、相当やり合ったんだけど、結局、負けちゃって。『常識がないと社会で通用しないよ〜。搾取されちゃうよ〜』とかなんとか言って!――今だってそう。ママはいつまでも私のこと、子供だと思ってるんだよ」

 

慈「はぁ…………って感じ。いつかぜったいギャフンって言わせてやるんだから………!」

 

姫芽「あ、アタシは、めぐちゃんせんぱいのこと、大好きですから〜!」

 

慈「ありがと。私も姫芽ちゃんのこと、大好きだよ」

 

姫芽「はぅっ!」

 

姫芽ちゃんが鼻血を吹いて倒れる。

 

慈「姫芽ちゃん!?」

 

姫芽「この距離からの個レスは、死人が出ますよぉ〜………!」

 

慈「ふふ。見てて飽きない、面白い後輩だし」

 

―――すると、

 

瑠璃乃「めーぐーちゃーん」

 

慈「お?るりちゃん?おかえり!ぎゅーする?」

 

瑠璃乃「それはするけど」

 

慈「ぎゅー」

 

めぐとルリちゃんがお互いに抱きしめ合う。それを直視した姫芽ちゃんは………、

 

姫芽「るりめぐ……………尊い…」パタリ

 

ライフポイントを0にされて倒れる姫芽ちゃん。

 

慈「そんで、ママの弱点、どうだった!?」

 

瑠璃乃「ん〜〜…………それはちょっと、わかんなかったかも〜。お母さんとは、ちょっと話したんだけどね………」

 

何か言いかけるルリちゃん。

 

姫芽「るりちゃんせんぱい?なにかあったんですか?」

 

復活して起き上がる姫芽ちゃん。

 

瑠璃乃「あ、ううん。ぜんぜん、なんでも」

 

姫芽「?」

 

慈「しゃーなし………。地道に努力を続けてくよ……。生活力、マナー、常識テスト」

 

瑠璃乃「あ、でもね。お母さんに言ったら、めぐママの会社で実際に使ってる入社試験用問題データのサンプルをくれてさ」

 

慈「おお!」

 

姫芽「え〜、すご〜い。なんでそんなのもってるんですか〜?」

 

慈「おばさんは、ママの会社のコンサルタントやってるんだよね。たぶんそれで」

 

瑠璃乃「めぐちゃんが『コンサルタント』なんて言葉を覚えてる!勉強の成果……………!」

 

慈「おばさんのお仕事ぐらい、最初から知ってるよ!」

 

姫芽「つまり………これで練習しておいて〜…………」

 

慈「そう!そして家に帰ったらママに言ってやるの。『だったらテストしてみる?』って。それで満点取ったら、さすがに認めざるを得ないだろうね!私のことを!」

 

姫芽「めぐちゃんせんぱいママに、ギャフンって言わせられる〜!」

 

慈「そーゆーこと!やる気出てきた!るりちゃん、ありがとね!」

 

瑠璃乃「う、うん!……応援してるよ、めぐちゃんのこと!」

 

慈「がんばる〜〜!ぎゅ〜〜!」

 

姫芽「ブハッ!!」

 

抱き合う2人に、尊さが爆発して吐血する姫芽ちゃん。

 

姫芽「な、なんのこれしき……。でも〜、めぐちゃんせんぱいにも苦手なものって、あったんですねえ〜」

 

慈「おお、持ちこたえた。…………いや?ないよ」

 

姫芽「あれ〜!?」

 

慈「なにか勘違いしてるみたいだね、姫芽ちゃん。藤島慈に怖いものなんてないんだよ。いるのは道を阻むものだけ」

 

姫芽「つまりめぐちゃんせんぱいママも、そのひとり……!?」

 

慈「まあ……そうだね!だけど、私はそのすべてをぶっ飛ばして、ここまでやってきた。つまり、これもその道の途中のわけ、で………あ」

 

めぐが何かに気づく。

 

慈「…………そう、か!そうだよ!我が愛弟子!いいところに気づかせてくれた!」

 

姫芽ちゃんを抱きしめるめぐ。

 

姫芽「ふえっ!?」

 

慈「私はなんたって藤島慈!“敵”のご機嫌取りなんて、似合わないんだよ!」

 

慈「ふふふふふふふ!いつまでも手のひらの上だと思ったら、大間違いなんだからね!ママ!」

 

瑠璃乃「な、なに?」

 

嫌な予感がするルリちゃん。

 

姫芽「ぜんぜんわかりませんけど、顔がいい〜…………!」

 

めぐに抱きしめられながら、恍惚とした姫芽ちゃん。

 

瑠璃乃「………なんか、またろくでもないこと考えてるんじゃないかなあ……………!」

 

ルリちゃんが不安に駆られる中、翌日。

 

めぐは常識力テストを解答し、結果は―――。

 

淳平・梢「「………信じられない(わ)」」

 

梢「本番を想定した、模擬テスト。100点満点中………80点よ」

 

小鈴「え〜〜!すご〜〜〜〜い!」

 

吟子「慈先輩……………!」

 

淳平「よくがんばったなめぐ。お前のことを、見直した。絶対に無理だと思ってた」

 

慈「不可能を可能にするスクールアイドルと言えば、めぐちゃんだからね!」

 

「エヘン!」と、ピースするめぐ。

 

姫芽「うう〜!めぐちゃんせんぱぁい〜!いっぱい、いっぱいがんばったんですねぇ〜〜!」

 

号泣する姫芽ちゃん。ヤバい、嬉しくて俺も少し涙出てきた………。

 

慈「めぐちゃんが本気になれば、こんなもんだよ!」

 

さやか「でしたら、高校生活もっと早く本気になっていれば………あ、いえ、すばらしい巻き返しだと思います!」

 

花帆「慈センパイはこっち側じゃなかったんですか!?」

 

花帆が焦る。

 

慈「ごめんね、花帆ちゃん。私はもう“そっち”にはいけないから」

 

めぐが梢の肩に手を置くと、梢は嫌そうな顔をして手を払う。

 

――すると、

 

綴理「めぐ。鳥の照り焼き弁当の、作り方は?」

 

慈「鶏もも肉100グラムに市販の照り焼きソースをかけて、焼くだけ!副菜には、冷えてもおいしく食べられる切り干し大根や、ひじき煮なんかも定番だよね。材料費は……ざっと、300〜400円ぐらいかな!」

 

綴理「合ってる?」

 

さやか「おおむね合ってます………!そんな、絶対に絶対に無理だと思っていました……!」

 

梢「そうね……少なくともこの調子なら、あと一週間もあれば満点は夢じゃないわ。引き続き、がんばりましょう」

 

慈「ふう」

 

淳平「ん?」

 

瑠璃乃「めぐちゃん?」

 

慈「これで義理は果たしたよ、ママ。なので――」

 

めぐは、答案用紙をビリビリに破いた。

 

花帆・さやか・吟子・小鈴・姫芽「「「「「えーー!?」」」」」

 

慈「今まで付き合ってくれて、ありがと!きょうからは、ラブライブ!北陸大会の練習に全力を注ぐよ!」

 

姫芽「い、いいんですか!?だって、めぐちゃんせんぱいの未来が!」

 

花帆「“立派な常識人”になれなかったら、慈センパイが土蔵に閉じ込められちゃう!」

 

慈「そんなの………………知ったことか、だよ!」

 

は………?

 

……いや、怒る前にめぐの真意を聞かないとだめだな。

 

慈「確かに、中学までの私はヒヨコちゃんだったかもしれないよ!ぴよぴよしてた!そのせいでママに言い負かされて、タレントを休止!蓮ノ空に押し込められた!」

 

慈「けどね、私はもう18歳になるんだよ!自分の道ぐらい、自分で決められるっての!世間の常識なんてなくたって、世界が私に夢中になれば、問題なし!」

 

慈「私はスクールアイドル、藤島慈だよ!つべこべ言うようなら、パフォーマンスで黙らせてやる!もうなんの心配もいらないんだ、ってね!」

 

慈「そう――ラブライブ!北陸大会の舞台で!」

 

 

なるほど。

 

淳平「今の自分を誤魔化さずに、正直に、蓮ノ空で学んだこと、あの時とは違う事を正面から伝えるってことだな?」

 

慈「うん!」

 

姫芽「めぐちゃんせんぱい、かっこいい〜……」

 

さやか「い、今のはわたしも、ちょっとそう思いました……」

 

梢「それでいいの?あなた」

 

慈「うん。蓮ノ空で過ごした3年間で、私は変わったんだよ。泣いたり、笑ったり、本当にいろんなことがあった。――スクールアイドルが、仲間が、応援してくれる人の声が、私を変えてくれた」

 

慈「ママの望む私にはなれなかったかもしれないけど。でも、私は私。“これが私”」

 

慈「取り繕ったり、ごまかしたりする必要なんて、最初っからなかった。胸を張って、ママの前に立つよ」

 

慈「みんな、改めてお願い。ラブライブ!北陸大会で、私たちの全力を見せてやろうぜ!」

 

………まあ、自分のやる事、やった事を誤魔化さなくなっただけ、成長はしたな。

 

淳平(さてと、どうなるかな……)

 

― つづく ―




感想・評価宜しくお願いします!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。