蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第107話:ナメてる………?

― 10年前 ―

 

その日、るりちゃんとめぐ、俺は、お母さんたちの帰りがそろって遅くなるということで、めぐの家で3人で一緒にいてくれとお母さんたちから言われていた。

お母さんたちが大学の同級生だから、仲もいいしお互いに信用してるんだ。

 

 

 

慈『まあまあ、るりのちゃん。今は私たちがついてるでしょ?ね?』

 

瑠璃乃『う、うん……』

 

淳平『しばらくおかあさんに会えなくてさみしいのは、わかるけど。 ほら!おれのかあさんもお仕事で、いえに帰ってくるの、いっつもおれが寝たあとだったりするし』

 

俺とめぐで励ますが、るりのちゃんは寂しそう。

 

瑠璃乃『………めぐみちゃんも、じゅんぺいくんも、、さみしい?』

 

淳平『まあ、あまりかまってもらえないからね。でも、そこまで寂しいとは思わないかな』

 

慈『私も、あんまり、かな?』

 

俺たちがそう答えると、

 

瑠璃乃『やっぱり、2人はオトナ、だから………?』

 

オトナだから……かぁ。まだおれたちも子供なんだけどね。

 

――すると、

 

慈『っていうより〜……あ、そうだ!だったら、いいもの見せてあげる!』

 

めぐが走って部屋を出ていくと、しばらくして戻ってきた。

 

瑠璃乃『なーに?』

 

慈『ふふふ、じゃーん!』

 

瑠璃乃『おお?お、おおお………?』

 

めぐが持ってきたのは、宝石のネックレスだった。

 

淳平『めぐ、みつかったらおばさんにおこられるよ?』

 

瑠璃乃『ピカピカだ!』

 

慈『きれいなネックレスでしょ。“ジュエリーアクセサリー”っていうんだよ。ママが作ったの』

 

瑠璃乃『すげー………!魔法こうげき力とかあがりそう……!』

 

 

魔法攻撃力……。るりのちゃんゲームとか好きなのかな?だが、

 

慈『るりのちゃん、やっと笑ったね』

 

淳平『うん』

 

瑠璃乃『え?』

 

慈『このむらさき色の宝石は、12月……私の生まれた月の、たんじょう石なんだ。キラキラしてて、きれいで、みんなが夢中になっちゃうような。私がいちばん好きな宝石なの。うちのママはね、夜遅くまでがんばって、こんなにきれいなものをいっぱい作ってるんだ』

 

めぐのお母さんはジュエリーデザイナー、おれのおかあさんはめぐのおかあさんの会社の宣伝とかをする部署で働いているるらしい。

だから、企画の交渉とかで偶に海外に行くこともある。

 

慈『ママががんばればがんばるほど、世界にきれいなものが増えてくんだよ!』

 

慈『だから、ちょっとぐらいさみしくても……ガマンできるの!こんなにすごいママは、私の自慢のママだから!るりのちゃんのママも、こんさるたんと?なんでしょ?たくさんの人が助けてもらってるって、うちのママに聞いたことあるよ』

 

るりのちゃんのおかあさんはコンサルタント。相手のことを考えてあげられる優しい人じゃないとできないよな。

 

淳平『そうだね。俺たちは外でがんばってるおかあさんたちのこと、応援してあげなきゃ!』

 

瑠璃乃『……うん!…………ね、ひょっとしてこれ、ラピスラズリ?』

 

淳平『るりのちゃん知ってるんだ?』

 

瑠璃乃『うん。ええっと…………、ルリの名前…………“瑠璃”って、ラピスラズリのことなんだって』

 

淳平『そうなの!?』

 

この時の俺は、それを知らなかった。

 

慈『じゃあこれ、るりのちゃんってこと!?』

 

瑠璃乃『ルリはこんな風に、ピカピカだったりはしにゃいけどぉ………』

 

すると、

 

慈『ラピスラズリちゃん!』

 

瑠璃乃『外国人みて一!』

 

慈『じゃあ、“るりちゃん”!』

 

淳平『ふふっ、いいじゃん。るりちゃん……。すっごくきれいな響きだ』

 

瑠璃乃『う〜…///』

 

顔を赤くするるりちゃん。可愛いな……。

 

慈『そっかぁ。るりちゃんは、いつかママが作ったアクセサリーみたいに、いろんな人を夢中にさせちゃうんだね』

 

瑠璃乃『なんかあんまり、想像つかないけど〜…………。ルリは、めぐみちゃんみたいに、かわいくないし……』

 

そうかな……?すごくかわいいと思うけど……。

 

―すると、

 

慈『……………ね、るりちゃん。宝石って、ただそれだけじゃだめなんだよ。ママが言ってたんだ。石を支える土台とか、いしざ?っていうのがあって、初めてミリョクをハッキするんだ、って。それと、その2つが輝くためには光も必要だって。3つの力が組み合わさったら、みんなが夢中になる。きれいな宝石を、もっともっと輝かせることができる。だから自分は、ジュエリーデザイナーが大好きなんだ、って。だからね!私たちといっしょなら、大丈夫だから!』

 

瑠璃乃『ええっ!?』

 

慈『プラチナみたいに輝く私と、ラピスラズリのるりちゃんと、私たちを照らすジュン!さんにんそろえば無敵!さいきょー!そしたらさ、もうずっと!一生さみしくないよ!みんながるりちゃんのこと、大好きになるんだもん!』

 

めぐ………。

 

慈『世界中が、私たちに夢中になっちゃうよ!』

 

淳平『世界中が…………』

 

瑠璃乃『それは………楽しそうかも!』

 

慈『でしょ!』

 

瑠璃乃『この、ピカピカなアクセサリーみたいに…………』

 

慈『うん!ふふっ……………すごいでしょ?ママの作ったアクセサリーは』

 

瑠璃乃『うん。ありがとうね、めぐみちゃん。ジュンペイくん』

 

慈『めぐちゃん』

 

瑠璃乃『え?』

 

慈『ふたり合わせてルリめぐ!だから、今度からそう呼んで!ジュンの事は好きに呼んで良いから』

 

瑠璃乃『えっと、じゃあ……ジュンペイお兄ちゃんだから、ジュン兄ぃ!ダメ?』

 

淳平『ふふっ。いいよ。るりちゃん!』

 

瑠璃乃『う、うん……。ルリも……ルリもがんばるからね。"めぐちゃん"』

 

慈『3人で、世界に羽ばたいていこ!』

 

瑠璃乃『うんっ』

 

淳平『おう!』

 

 

 

 

 

 

 

そして、時は現在。

 

慈「zzz……」

 

慈、現在お休み中。そこへ――、

 

瑠璃乃「めぐちゃん、めぐちゃん。開けて。ルリだよ〜」

 

淳平「入るぞ〜」

 

勝手に開けて中に入る。

 

姫芽「いや勝手に開けてますね〜!?」

 

瑠璃乃「まあ、一声はかけるけど、だいたいそーゆーもんだからね!」

 

淳平「そうそう。それに万が一着替えてたりしたら開けようとした段階でストップ絶対にかかるから。それが無い時点で大丈夫」

 

姫芽「さすが幼馴染の関係性……心のドアのカギを共有してる〜……………!」

 

瑠璃乃「あ、起きてた?」

 

慈「ちょっと寝てた〜。なんか、昔の夢見た」

 

姫芽「なんの夢ですか〜?」

 

瑠璃乃「ん〜、かわいいるりちゃんが、かわいい夢」

 

姫芽「え〜!?さらにかわいく〜!?」

 

慈「あんなに寂しがりだったるりちゃんが、今やソロでキャンプいっちゃうような子に育っちゃって……嬉しいやら寂しいやら…………」

 

淳平「めぐ、まだ寝ぼけてる?」

 

慈「夢見てる最中なのは、間違いないかな」

 

やれやれ……。

 

瑠璃乃「んじゃ、そんなドリーミンなめぐちゃんに、お出前。抹茶ドーナッツいかがっすか〜?」

 

慈「わ、ありがと!」

 

姫芽「めぐちゃんせんぱい、曲の進捗のほうはいかがですか〜?」

 

慈「そっちは順調。やっぱ私はこれだわって感じ」

 

姫芽「作詞も作曲も、授業よりよっぽど難しいのに〜〜……………!」

 

淳平「ほんっと、能力値をスクールアイドルに全振りしてるよな」

 

慈「良いじゃんそれで。途中で切り替えてほんとによかったよ。あのままじゃ危なかった。梢やジュンみたいにお勉強しかできないやつになるところだった」

 

淳平「あ"?」

 

喧嘩売ってんのかコノヤロー。

 

瑠璃乃「こずパイは、作詞も作曲も勉強もできるんだよなあ…………」

 

慈「あ一……。だけど、ごめんね?急に『私に曲作らせろー!』なんてワガママ言って。北陸大会でママを倒すためには、どうしても新しい曲が必要でさ」

 

姫芽「いえいえ、ぜんぜん〜!」

 

淳平「めぐのワガママなんて今更だし」

 

瑠璃乃「もともと新しい曲作らなきゃーって話はしてたからねえ。それに、今回のワガママはいいワガママだから、ヨシ!」

 

慈「うーん私のるりちゃんが抹茶ドーナッツより甘い!」

 

瑠璃乃「はいはい」

 

あしらうの上手いなぁ。るりちゃん

 

慈「ま、梢と綴理も手伝ってくれてるし、いいものはできるはず!ていうか今回はね、もうやばいよ。かなり自信ある。私の3年間の集大成になりそう」

 

姫芽「おお………!全宇宙に響き渡るような超大作……!?」

 

慈「イントロ流しただけで北陸大会突破するかも……」

 

姫芽「いけちゃいますね〜!」

 

瑠璃乃「ムリだよ!」

 

淳平「去年突破したからって、調子に乗ってると足元掬われるぞ!」

 

まったく………。

 

慈「あはは、ごめんごめん。でも、やっぱ勉強途中で打ち切ってよかったよ。おかげで自分のやりたいことに、1000パーセント打ち込めるもん」

 

姫芽「楽しみです楽しみです〜!アタシ、めぐちゃんせんぱいの作る曲、大好きなんですよ〜。なんていうか、気持ちがほんとウルトラストレートに伝わってきて〜!」

 

慈「それが私のウルトラいいところだからね!ていうか聞いて!北陸大会の話をしたら、ママがさ!『慈ちゃんってば、まだ反抗期なの〜?子供っぽーい☆』とかなんとか言いやがって!私のことほんとナメてる!」

 

姫芽「倒してやりましょう〜!」

 

慈「そうだよ、ぶっ飛ばしてやるんだよ!スクールアイドルの力で、あのわからずやを!」

 

ナメてる………か。そうとは思えないけど………。

 

瑠璃乃「…………。でも、おばさんは、一応めぐちゃんのことを心配してたりするんじゃないかなー、なんて思ったりもするけど」

 

俺もそう思う…。悪いけど見てて心配になるもん。

 

慈「いいや違うね。あの人は、いつだって自分のやることが正しいと思ってるだけ!私を蓮ノ空に押し込んだのが、いい証拠だよ!そりゃ、ママの作ったアクセサリーはすごいから、自信満々になるのもわかるけど!経験も実績も今はまだ敵わないかもしれないけど!」

 

慈「だからって、私の夢を奪わせたりはしないよ!これから一生、避けては通れない相手に、ここで完全勝利して……私は、自由をつかみ取る!そしてひとり暮らしもする!」

 

瑠璃乃「めぐちゃん…………」

 

ん?

 

淳平「るりちゃん?どうしたの?なんだか、こないだから言いたいことがありそうな感じだったけど……………」

 

慈「え?そうなの?」

 

瑠璃乃「ルリは、ただ………」

 

慈「ん?るりちゃん………………?」

 

瑠璃乃「ルリは………、……あ。もおだめかも…………」

 

すると、るりちゃんはパタリと倒れてしまった。

 

姫芽「るりちゃんせんぱい〜!?」

 

淳平「るりちゃん!?」

 

慈「は?えっ、うそでしょ?まさか、充電切れ…………!?」

 

慈「私とジュンと一緒にいるのに!?」

 

 

― つづく ―




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