第112話:いざ!瑞河へ!
数日後、花帆と吟子ちゃん。そして淳平の3人は花帆の院友、"せっちゃん"のいると言う、瑞河女子へと偵察(?)に向かっていた。
事前に花帆から行くことを伝えており、俺は本来入れないのだが、特別にお客様として入れる事になった。
― 新幹線の中 ―
花帆「せっちゃん………。オッケーしてもらえたのは嬉しかったし、ライブ見せてくれるのも楽しみだけど……。なんかこれ、偵察みたい」
吟子「みたいじゃなくて、偵察なんですよ」
花帆「あっ、吟子ちゃん」
淳平「なんか複雑か?」
花帆「うん……」
吟子「皆さんも言っていたじゃないですか。この時期に行くことをオッケーしてくれるのは挑戦状に決まってる〜、って」
花帆「うう、やっぱりそうかなあ」
淳平「でも、相手がどうであれ、俺たちは負けるわけにはいかないしな」
花帆「うん……それは、そう!」
花帆「一緒に来てくれて、ありがとうね、吟子ちゃん、淳兄ぃ」
吟子「それは、まあ……。花帆先輩だけ行かせて、感想が『楽しかった!」の一言じゃ、意味ありませんし」
否定できないのがな〜………。
そして、最寄り駅に到着し、そこからバスを乗り継ぎ――、俺たちは瑞河女子に到着した。
さっきもうすぐ着くと連絡していたから、校門の所で"せ っちゃん"こと、セラスさんが待っててくれていた。
花帆「せっちゃん!」
セラス「駅から遠かったでしょ?」
花帆「それはお互い様!」
セラス「確かに。蓮ノ空も駅から12時間ぐらいかかるもんね」
花帆「それじゃ、スクールバスが夜行バスになっちゃうよ!」
花帆・セラス「あはは(ふふふ)」
笑い合う2人。すると、セラスさんは俺の方を見て、
セラス「あなたが淳兄ぃさんですね。入院してた時に花ちゃんからいっぱい聞かされてました。すごく優しくてカッコいいお兄ちゃんだって」
花帆「ちょっと!?せっちゃん!!」
慌てる花帆。
淳平「あはは……それは光栄かな」
セラス「こちらを首からかけてください。特別入校許可証です」
淳平「ありがと」
セラスさんから入校許可証を受け取り首にかける。
吟子「私もこの目で見たかったですから。同年代、ナンバーワンスクールアイドルと評判の、桂城泉の実力。べ、別に、花帆先輩が心配だったとか、そういうわけじゃ、ありませんからね」
吟子ちゃん、それ、典型的なツンデレの台詞……。
花帆「うん、そうだよね。やっぱりせっちゃんの学校のライブ、楽しみだよね!」
吟子「だから――遊びに行くんじゃないって、言ってるでしょ!」
花帆「あ、そうだ、紹介するね。この子は、あたしの後輩」
吟子「百生吟子です。よろしくお願いします」
セラス「あんみつ作ってた人だ」
吟子「あ、その節は、どうも……」
セラス「瑞河に来てくれてありがとうね。わたしはセラス。中学三年生だよ」
吟子「中学三年生、ってことは……セラスさんは、スクールアイドル部の方じゃないんですか?」
疑問に思った吟子ちゃんが聞くと――、
泉「一緒にステージに立つことはできないけれど、彼女もれっきとしたスクールアイドル部の一員だよ」
そこへ、瑞河のスクールアイドル部のスクールアイドル。桂城泉がやって来た。
吟子「うわ、出た……」
泉「久しぶり、吟子さん。どうやら私のアドバイス通り、弱点を克服できたみたいだね。よかったよかった。私のアドバイス通り、ね」
吟子「おのれ……!その節は、どうもありがとうございました!」
淳平「やり方はともかく礼は言わないとな。ありがと。でも、まあ、ライバルだったならあれでも優しいほうか」
泉「マネージャーさんは良く分かってるじゃないか」
セラス「こら、泉。お客様を煽らないの」
たしなめられる泉。年上じゃねぇの?
泉「いや、ごめんごめん」
セラス「あと、わたしはまだ正式な部員じゃないからね」
泉「とはいえ、なにも知らなかった私にスクールアイドルのことを教えてくれたのは、セラスだろう。トレーニングにも付き合ってくれている。ステージの活動以外は、ほとんどセラスに頼っているんだ」
花帆「そうなの!?」
セラス「まあ……好きだから、スクールアイドル」
泉「日野下花帆さん。ようこそ、瑞河へ。同じラブライブ!決勝大会で競い合うあなたたちが遊びに来てくれて、嬉しいよ」
花帆「うん、負けないよ、あたしたちも」
セラス「ふふふ」
――すると、
セラス「ね、ライブまではまだ時間があるんだ。花ちゃんに、校内を案内してあげたい」
花帆「え、いいの!?」
セラス「うん」
吟子「では、泉さん。せっかくですから、ライブの準備をお手伝いしますよ」
淳平「俺もやる」
泉「おや、いいのかな?」
吟子「ええ、私は花帆先輩についてきただけですから、それぐらいはしないと」
淳平「貸しを作ったままはやだからな」
泉「義理堅い人たちだね。じゃあ頼むよ。それじゃあ、また」
セラス「じゃあ、いこ、花ちゃん「」
花帆「……………うんっ」
そして、俺達が校内に入っていく。
――花帆Side
アタシがせっちゃんと一緒に瑞河を歩いていると、他の生徒の皆がせっちゃんに次々声をかけてくる。
瑞河生徒A「お、スクールアイドル部、がんばってねー!」
セラス「うん、ありがと」
花帆「冬休みなのにみんな、ライブのために集まってきてくれたんだ。人気者だね、スクールアイドル部」
セラス「全国大会進出だから、泉」
花帆「すごいんだねえ」
セラス「すごいよ泉は」
花帆「ううん、せっちゃんも」
セラス「わたし?」
花帆「さっき、泉さんが言ってたけど、スクールアイドル部の活動を手伝ってるんでしょ?」
セラス「まあ一応。もともと、音楽がやりたかったんだ。こう見えても習ってたんだよ、ヴァイオリン」
花帆「ええー!?知らなかった!」
初耳!
セラス「言わなかったから。子どもの頃はね、ずっと、体が弱くて。レッスンも、あんまり通えなくって。入院した後は、もう、音楽もできなくなっちゃって」
花帆「あ……それで」
セラス「でも、かわいそうな子だって思われるのは、なんかいやだったから、わざと明るく振る舞ってたんだ」
花帆「……その気持ち、あたしもわかるよ。同じ立場だったもん」
セラス「ふふっ。そうだね。でも、花ちゃんがいた頃は、楽しかったよ」
セラス「年の近い友達がいて、一緒に本を読んだり、お歌を歌ったり。病院の中であんなに楽しかったの、初めてだった」
セラス「だけど……だから、かな。花ちゃんが退院した後は………ますますひとりになっちゃったような、気がして」
花帆「せっちゃん………………」
セラス「でも、そんなわたしを救ってくれたのが、この、スクールアイドル部なのです。……花ちゃんが退院した後しばらくしてから、病院訪問でね、スクールアイドルのお姉さんたちが来 たの」
花帆「へええ!」
セラス「明るくて、優しくて、どこか抜けてるお姉さんたち。みんなの前でね、ちょっとしたライブを開いてくれたんだ」
花帆「じゃあもしかして、それで!?」
セラス「………うん。わたしはちょっと生意気で、最初は、ツンツンしてたんだけど………。でも、お姉さんたちは、毎週顔を見せてくれて……『夢を諦めるなとか、夢は大事って言いますけど。でもわたし、今からがんばっても、同世代の子にヴァイオリンで追いつくことはもう、できません。夢を見ようとしても見れない人もいます。だから、好きじゃないです、お姉さんたちの歌』……なんて言っちゃって。…………今、思うと、高校生のお姉さん方に、ひどいこと言ってたような気がする」
花帆「あはは、その気持ちもわかるなあ……………」
セラス「でもね、言ってくれたの。『だったら、一緒にスクールアイドルやろうよ!』って。スクールアイドルは、誰だって夢を見れる。始めようと思えば、いつだって始められる。お姉さんたちは、みんなの夢を叶えたいって言ってた。それが、瑞河女子スクールアイドル部の、モットーなんだって。そして今の……わたしの、新しい目標」
花帆「うん……すごい、素敵な話だったよ!」
感動しちゃった……。
セラス「……花ちゃんに聞いてほしくて、喋りすぎちゃった。ごめんね、三日間も話し続けて」
花帆「30分も経ってないよ!?」
セラス「ふふっ。花ちゃんにツッコミ入れてもらうの、好き」
もう……!
花帆「だってせっちゃんって、構ってほしくて、わざと大げさに言ってるんだもんねー」
セラス「む」
花帆「わかるよ、せっちゃんのこと。寂しかったんだよね、ずっと。そのうちそれが癖になっちゃったりして」
セラス「……………さすが、花ちゃん」
花帆「院友、ですから」
セラス「うん。でもね、今はもう、大丈夫だから。……わたしもね、来年こそぜったいに、スクールアイドルになるんだ。瑞河の、みんなの夢を叶える、スクールアイドルに」
花帆「応援してるよ、せっちゃんのこと!」
セラス「……うん。あ……………そろそろ、時間」
花帆「あ、もうそんな時間?」
セラス「花ちゃんに、見てほしい。今のわたしたちの、実力。瑞河の、スクールアイドル部を」
花帆「うん!」
泉「やあ、おかえり」
花帆「あ、泉さん」
泉「うん。それより……あの淳平って人何者なのかな?手伝ってくれていた皆にアドバイスくれてたんだけど、それを聞いた皆の準備の手際がどんどん良くなっていったんだけど……。今までに無い程のステージになりそうだよ……」
セラス「へえ……」
花帆「さすが淳兄ぃ!ここでも教える力は健在だね」
セラス「ん?どういうこと?」
花帆「淳兄ぃはね、人に教えるのがすごく上手いんだよ。例えばなんだけど、淳兄ぃって全国模試で全国1位なんだけど……」
セラス・泉「「え?」」
花帆「うちの学校の赤点常連みたいな人が、淳兄ぃに教えてもらってテストを受けると、赤点を大幅に超える点数取れちゃうくらい上手い。私もテスト期間にお世話になってる」
セラス・泉「「…………………」」
花帆「これからライブ、がんばってね!」
泉「あ、ああ。うん、ありがとう」
吟子「……ねえ。あなたは、どうしてスクールアイドルを目指したんですか?」
泉「どうして?……って言うと?」
花帆「吟子ちゃん?」
淳平「あ〜俺も思った。ステージの設営、手伝ったけど……皆さん、 熱意がっていうか、鬼気迫るような雰囲気を感じたんだよな……。俺が有用だと思うや否や、次々とアドバイス迫られたし」
吟子「うん。すごく、本気なんだな、って。だから、聞いてみたくなって……夢、とか」
泉「………私はね、勝つためにやっているんだ」
吟子・淳平・花帆「「「え?」」」
泉「もっと言えば、ラブライブ!で優勝するために、スクールアイドルを始めたんだよ。セラスにスカウトされてね。とはいえ、私はスクールアイドルについては素人だ。短期間で実力を付けるために、実戦で力を磨くことにしたんだよ」
吟子「実戦?」
セラス「コンテスト形式のフェスとか。そういうスクールアイドルの大会。ラブライブ!以外にも、各地で行われてるから」
泉「セラスは厳しくてね。この9ヶ月で20もコンテストに挑まされたよ。いや、骨が折れた」
セラス「そんなこと言って。涼しい顔でぜんぶ勝ってきたくせに」
花帆・淳平「「ぜんぶ!?」」
泉「とんでもない。毎回、必死で掴んだ勝利だったさ。ただ――。私は優勝請負人。負けはひとつも許されない。練習であったとしても。そういう覚悟を、胸に秘めていたかな」
花帆・吟子・淳平「「「……………」」」
セラス「泉。花ちゃんたちを脅かさないで」
泉「これは失礼」
セラス「ごめんね。でも、泉が話したのは本当のこと。わたしと泉は『戦って勝つこと』を追い求め、走り続けてきた。どうしても、ラブライブ!で優勝したいから」
泉「だからね、吟子さん。私に夢はないんだ。あるのは『勝つ』という使命だけ。それが、セラスとの約束だからね」
吟子「そんなスクールアイドルの形が……」
泉「それじゃあ、見ていってくれ。幾多の勝ちを積み上げて、練り上げてきた、 私のパフォーマンスが、どんなものであるかを」
そして、泉さんは衣装を着てステージに向かう。
泉「きょうは、私たちのライブに来てくれて、ありがとう。ラブライブ!全国大会も、必ず優勝する。そのためにみんな、応援よろしく」
泉「それじゃあ――行くよ!『Edelied!』」
花帆「―!!」
淳平(凄ぇ………)
吟子(っ!!)
そして、ライブが終わり俺たちも帰る時間になった。
セラス「きょうは、来てくれてありがと。いっぱいお喋りできて、嬉しかった」
花帆「うん……あたしも。こんなライブ見たの、初めてだった…………。始まった途端に「呑まれた」みたいな感じがして………。泉さんの目とか、動きに惹きつけられて、いつの間にかあたし、動けなくなってた………」
花帆「それくらい、迫力があったよ。これが勝つためのスクールアイドル……なんだね………!」
泉「光栄なことだね」
セラス「ねえ、花ちゃん。次に会うときは、ラブライブ! 全国大会の舞台だね」
花帆「え?あ……そ、そうだね!」
セラス「泉は負けないから。ラブライブ!優勝。わたしの……わたしたちみんなの夢をかけて。正々堂々、戦おうね」
花帆「う、うん。」
花帆(…………………)
― つづく ―
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