蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第117話:決戦前

あのあと、花帆と吟子ちゃんはみんなを部室に集めて、ラブライブ!優勝当時の部長が遺したと言うスカーフをみんなに見せた。

 

花帆「じゃーん!」

 

さやか「かつてのスクールアイドルクラブの部長が遺したスカーフ………ですか」

 

花帆「うん!『いまを頑張ることが楽しい』あたしたち、今までずっとそうやってきたから!」

 

笑顔でそう話す花帆。

 

花帆「あたしたちもこれ、やろうよ!スカーフに書いて、ステージで身に付けるの!」

 

姫芽「いいですね〜!こういうの、チームの一体感が高まってとてもいいと思います〜!」

 

梢「それはいいけれど………私たちは別に、制服のままステージに立つわけではないでしょう?」

 

瑠璃乃「それは確かに…………」

 

淳平「そこは吟子ちゃんがアイディアあるらしいよ」

 

俺の言葉に、皆が吟子ちゃんを見る。

 

吟子「はい。その……、全国大会に出場する衣装に、リボンをつけませんか?」

 

綴理「できるの?」

 

吟子「はい。いくつか考えていた改良案のひとつに、リボンつきのものがあります。蓮ノ空の制服を参考にしようと思ってて」

 

綴理「おお〜……………百万点」

 

吟子「あ、ありがとうございます」

 

慈「だったらさ、それにジュエリーアクセサリーをつけたり、できないかな?実はママが早速、みんなの分の宝石を送ってくれるって言ってて」

 

瑠璃乃「ほ、宝石!?」

 

慈「イミテーション。つまり偽物だけどね。さすがに」

 

瑠璃乃「よ、よかった。めぐちゃんがまた散財したのかと……」

 

だとしても、本物の宝石を人数分揃えるだけの金はさすがに持ってないと思う。

 

慈「本物の宝石のほうが0.01%でも優勝確率が高くなるんだったら、それもありかな…………」

 

瑠璃乃「やめよ!?ね!?」

 

花帆「ね、どうかな、小鈴ちゃん。たぶんこれが、あたしの答え」

 

小鈴「花帆先輩……………」

 

花帆「がんばるってつらいことだけど、でも、がんばることが楽しければ……きっとね、どんなステージだって『楽しい』に変わると思うんだよ」

 

花帆「ねえ、小鈴ちゃん。最高のステージが、待ってるんだよ。みんなに気持ちを、届けようよ!」

 

小鈴「徒町は…………。徒町は、失敗することばかりを恐れていました……………。でも今までどんなライブだって、失敗したかったことは、一度もありません!いつだって、全力で…………」

 

小鈴「だから今回も……がんばりたいです!うまくできなくたって!今の徒町にできることを、精一杯!」

 

花帆「できるよ、この10人なら!ううん、この10人だから!」

 

花帆「小鈴ちゃんが『情熱』を、あたしたちにくれた」

 

花帆「姫芽ちゃんが『憧れ』を―――」

 

花帆「吟子ちゃんが『愛情』を―――」

 

花帆「瑠璃乃ちゃんが『優しさ』を―――」

 

花帆「さやかちゃんが『強さ』を―――!」

 

花帆「梢センパイと、綴理センパイと、慈センパイと、淳兄ぃが支えていた………。そして、沙知センパイが守ってくれたスクールアイドルクラブに、こんなにも素敵なものが集まったんだから。

 

花帆「あとはこの気持ちを、届けるだけだよ!」

 

梢「ふふ。あなたの『笑顔』も一緒に、ね」

 

みんなが笑い合う。

 

淳平「それじゃあ、みんな。ラブライブ! 決勝大会まであと少し。大切な日々を全力で、楽しんで過ごそう!」

 

全員『おー!!』

 

そして、その日は解散し、寮まで帰る時、3年生は4人一緒にいた。

 

慈「いよいよ明日から、ラブライブ! 決勝大会に向かうのかあ」

 

淳平「長いようで、あっというまだったな」

 

慈「ホントにね。きょうは早めに寝よっと」

 

綴理「ボクも」

 

梢「ねえ、3人とも。ひとつだけ、いいかしら」

 

梢・綴理・慈・淳平「「「「ありがとう」」」」

 

梢「…………あなたたち?」

 

綴理「ありがとう、こず、めぐ。ボクにスクールアイドルを教えてくれて」

 

慈「ありがと、梢、綴理。あんたたちが一緒だったから、私の高校生活、楽しかったよ」

 

淳平「ありがとう。梢、綴理、めぐ。男の俺を、スクールアイドルクラブの仲間だと認めてくれて。めぐは大丈夫だったけど、梢と綴理は最初警戒してたから……」

 

梢「まあ、ね……」

 

綴理「うん」

 

慈「で、梢は?」

 

梢「………ありがとう、3人とも。私の……友達に、なってくれて」

 

4人が、お互いに笑い合う。

 

綴理「ラブライブ!、優勝しよう」

 

慈「ん」

 

淳平「とーぜん!」

 

梢「ええ!」

 

『蓮ノ大三角と太陽』と呼ばれる4人は、決勝に向けて覚悟を決め合った。

 

 

――その頃。

 

セラス「ね。見て、泉」

 

泉「これは?」

 

セラス「今まであなたがコンテストで戦ってきたスクールアイドルのみんなが、応援メッセージを送ってくれたの」

 

泉「へえ……こんなに。私にとっては、自分が強くなるための大会。――ただ、それだけのつもりだったんだけどね」

 

セラス「きっと、伝わってたんだよ。どんな対戦相手にも決して手を抜かず、勝負に敬意を払う泉の態度が」

 

泉「面映ゆいね。ただ、悪くはない気分だ」

 

セラス「……気になることが、あるとすれば」

 

泉「うん?」

 

セラス「泉のステージを見た花ちゃんは、すっかり自信を失ってるみたいだったけど。でも、それだけで終わる花ちゃんじゃないから。きっと乗り越えて、前よりずっとすごいライブを見せてくる」

 

セラス「昔から、いつもそうだった。花ちゃんは落ち込んでも、すぐ明るく笑って、わたしの手を引いてくれてたから」

 

泉「……………へえ、ずいぶん信頼しているんだね。少し、妬けちゃうな」

 

セラス「――だから、その上で。勝つのは、わたしの泉だよ。そうでしょう?」

 

泉「ああ」

 

セラス「瑞河のお姉さんたちが目指した……、夢に見たラブライブ!の舞台。こんな形で来ることになるとは思わなかったな」

 

泉「ほう、以前にも瑞河は挑戦したことがあるんだね。その時の結果は?」

 

セラス「決勝大会には、出られなかったよ。あの時はわたしも泣いたなあ」

 

泉「ならば私はその夢も預かろう。あなたが私に夢を託してくれる限り、私は飛ぶよ。どこまでも。それが私の存在理由なんだから」

 

セラス「うん……………。行こ、最高の舞台へ」

 

泉「最高の舞台へ」

 

歪な、従者と主人の関係の2人も、決勝大会に向かおうとしていた。

 

― つづく ―




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