瑞河がプレーオフに出れることが決まり喜ぶ花帆とセラス。今、瑞河の生徒会室から2人が出てきた。
花帆「ありがとうございましたー!」
セラス「ましたー」
花帆「えへへ。生徒会長さん、泣いてたね」
セラス「うん。でも、よかった。たくさんの人が集まってくれたおかげで………、スクールアイドル部だけじゃなくて、ぜんぶの部が、ちゃんとお別れできる」
――お別れ、その言葉に、花帆はしんみりする。
花帆「そっか、そうだよね。学校は、なくなっちゃうんだよね」
セラス「…………うん」
花帆は、窓から瑞河のグラウンドを見る。
花帆「部活動してるみんな、喜んでるね」
セラス「廃校までのタイムリミットの中、過ごしてたはずなのに。わたし、これが当たり前の景色だと思ってた」
セラス「先輩と、後輩。同級生。みんなで放課後、いっぱい練習して。へとへとになって、木陰で風に当たったり。水飲み場に、走っていったり。ずっと変わらない、続いていく当たり前のもの」
セラス「――でも、それがどんなに自分にとって大事なのか、よくわかった、気がする。ありがとう、花ちゃん」
セラスは、花帆に頭を下げてお礼を言う。
花帆「そ、そんなぁ……あたしは別に、ぜんぜん。みんなの力だよ。みんなの」
セラス「蓮ノ空の人だけじゃなくて、みんなに言いたいんだ。力を貸してくれた全員に、ありがとうって。――花ちゃんは、その最初のひとり」
花帆「そっか……。だったら、どういたしまして」
セラス「うん」
花帆がスマホのスクコネを見て瑞蓮祭の反応を見ると、凄い量のコメントが書き込まれていた。
花帆「わ、見て見て!蓮ノ空のスクコネポストにも、こんなに反応が!ほらほら、こんなにたくさんの人が、瑞河のプレーオフを喜んでるよ!」
花帆が画面をスクロールしていくと、
セラス「あ、お姉さん」
セラスがとあるアイコンを見つけて声を出す。
花帆「え?せっちゃんのお姉さん!?どれどれ!?」
セラス「じゃなくて。わたしをスクールアイドル部に誘ってくれた、お姉さん方」
花帆「あ、病院に来てくれたっていう?」
セラス「うん。見ててくれたんだ……」
花帆「えへへ、どれどれ〜?」
セラス「うっ……目の前で読まれるの、ちょっと、恥ずかしい、かも……」
花帆「そう?じゃあ、後で帰ってから読もうっと。ん?」
花帆は気になる言葉が目に入った。
花帆「……………『瑞河の廃校と、セラスちゃんの夢は残念だったけど』?」
セラス「っ………」
花帆「せっちゃんの、夢………………?これって、どういう?」
セラス「…………さあ」
花帆「でも、メッセージに………」
セラス「なんだろうね。わたし、なにか言ったのかな?よく、覚えてないや」
花帆「………………」
そして、蓮ノ空に戻るために瑞河を後にしようという所で、泉とセラスが見送りに来てくれた。
泉「それじゃあみんな、気を付けて」
セラス「プレーオフまで、体調崩したりしないようにね。
淳平「ああ、もちろん」
綴理「また、会おうね」
慈「決着の舞台で〜!」
そして、帰りの電車に乗るために駅へと歩く俺たち。すると、花帆が立ち止まった。
花帆「………………」
吟子「花帆先輩?」
花帆「あのね、えっとね、えっと………、せっちゃんの夢……もしかしたら、プレーオフじゃなくて……、せっちゃんの夢は、他に…………」
瑠璃乃「どしたん?」
花帆「ねえ、みんな。ちょっと、お願いがあるんだけど」
さやか「どうしたんですか?」
花帆「あのね、えっとね、えっと………」
吟子「お願いが先にあって、内容を今考えてるの………?」
花帆「例えばあたしなら……花咲きたいって夢…………」
花帆「さやかちゃんは、期待に応えたい」
さやか「え、ええ」
花帆「瑠璃乃ちゃんと慈センパイと淳兄ぃは、世界中を夢中に」
瑠璃乃「?」
慈「なになに」
淳平「どうした?」
花帆「綴理センパイは、スクールアイドル」
綴理「うん」
花帆「吟子ちゃんは金沢の伝統を世界に。小鈴ちゃんは、なにものかになりたい。姫芽ちゃんは、ゲームの布教」
小鈴「はい!」
姫芽「どうしたんですか〜?」
花帆「梢センパイは、ラブライブ!優勝…………」
皆の夢を挙げていく花帆。
梢「花帆?」
花帆「知りたいんです!せっちゃんの、本当の夢を!」
花帆「それで、だから、どうやったら調べられるかな、って………」
さやか「プレーオフ以外の夢、ですか」
慈「廃校を救う、じゃなくて?」
花帆「それ以外の……たぶん、もっともっと、前の……」
すると、ルリちゃんがスマホを取り出した。
瑠璃乃「これは、どうかな。テレビに出て話題になったから、昔の瑞河の配信がネットにたくさんアップされてるんだよね。もしかしたら、そこにセラスちゃんが映ってるものも、あるかも」
花帆「そ、それだー!」
花帆がルリちゃんに抱きつく。
梢「大事なことなのね?」
花帆「はい!」
花帆「お願いします、みなさん!手分けして……探すの、手伝ってください!」
そして、みんなでそれぞれアップロードされている過去の瑞河の配信を見ていく。
――すると、
スクールアイドルA「それでは、新入部員のご挨拶で〜す」
スクールアイドルB「緊張してる〜」
スクールアイドルC「かわいい〜」
セラス「セラス、です。今年から瑞河女子の中等部に入りました」
セラス「中学生なので、まだスクールアイドルじゃないです」
スクールアイドルA「えー、いいじゃんべつに一」
スクールアイドルB「セラスちゃんは、私たちがスカウトしたんだよ〜」
スクールアイドルC「では、セラスちゃん。ずばり、スクールアイドルとしての夢は?」
セラス「それは………。わたしは、先輩に誘われて、この学校にやってきました。わたしは、瑞河女子のスクールアイドル部が大好きです。――だから。瑞河女子の一員として、いつかラブライブ!のステージに上がるのが、わたしの夢です!」
スクールアイドルA「ようし、それじゃあみんなで!」
セラス「はい!」
スクールアイドルA・B・C「「「ラブライブ!優勝一!!!」」」
セラス「お、おー」
そこで、動画は終わった。
花帆「コレが、せっちゃんの夢だったんだ………!スミマセン!先に帰っててください!!」
そして花帆は、急いで来た道を戻っていった。
― 瑞河・校舎 ―
セラス「………………」
花帆「せっちゃん!」
セラス「え? えっと……どうしたの?忘れ物?」
花帆「見つけたよ、せっちゃんの夢」
セラス「…………わたしの、夢?」
花帆「うん。せっちゃん、瑞河のスクールアイドルになって、ラブライブ!に出たかったんだよね」
セラス「………!」
花帆「それが、せっちゃんの本当の夢なんだよね?」
セラス「…………花ちゃん、なにを見たのかわからないけど、たぶん、勘違いしてるよ」
花帆「でも!」
セラス「わたしの夢は、瑞河のラブライブ!優勝。その夢はきっと、泉が叶えてくれる。学校を救えなかったのは、残念だけど。でも、それだけ」
花帆「違うよ!だって、配信の中のせっちゃんは、あんなに楽しそうに夢を語ってて………。 せっちゃんは………夢を、諦めたの?」
セラス「っ、それは………」
泉「もういいだろう、セラス」
そこへ、泉がやって来た。
泉「これ以上あなたを見ているのは、さすがの私でもね、胸が痛むよ」
セラス「泉……余計なことは言わないで」
泉「花帆さん。セラスの気持ちはあなたが見た頃と、なにも変わっていないよ」
セラス「泉!」
セラスが怒鳴る。
花帆「やっぱり…………」
泉「セラスは絶対に、この学校を廃校から救いたかった。そうでなければ、瑞河女子がなくなってしまうから。自分がこの学校のスクールアイドルとしてラブライブ!に出場するという夢が、叶わなくなるから。プレーオフは、セラスにとっては夢じゃなかったんだ」
泉「ただスクールアイドルに憧れたひとりの少女として、ラブライブ!に出たいだけだったんだよ」
花帆「せっちゃん……………」
セラス「つ。……………そうだよ。でも、わたしの夢は、もう叶わないの。今、中学生のわたしじゃ……廃校が決まった時点で、ぜったいに」
花帆「だったらどうして、プレーオフのために、こんなにがんばってくれて………」
セラス「…………それは」
泉「そんなの、決まっている。あなたのためだ。日野下花帆さん」
花帆「え……?あたし、の?」
セラス「違う。わたしは、応援してくれる人みんなのために、がんばってただけ………」
泉「そうじゃないだろう。私はあなたの夢を叶えるために、瑞河に来たんだ。言ったじゃないか、私にすべてを捧げると。自分を取り繕うな。セラス」
セラス「――もう、叶わないんだよ。わたしはこの学校のスクールアイドルには、なれないんだもん!だったらせめて、みんなに瑞河のことを覚えていてほしかった……」
セラス「泉に、最後まで悔いなく戦い抜いてほしかった………」
セラス「花ちゃんやみんなに……笑ってほしかったんだもん……」
花帆「そんな、せっちゃん…………」
セラス「……ウソついてて、ごめんね、花ちゃん……………」
そして、2人は行ってしまった。
花帆「…………ああ、そうだったんだ。あたしじゃなかったんだ………。せっちゃんが、あたしたちの想いを、叶えようとしてくれてたんだ…………。あたしを花咲かせてくれようとしてたんだ………」
花帆「あたし、そうと気づかずに……プレーオフをしても、せっちゃんの願いは叶わなかったのに………」
花帆「夢を信じてたのは、あたしたちだけだったんだ………」
― つづく ―
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