花帆「せっちゃんの夢……。あたしたちの、夢………。夢を、信じる、こと…………」
花帆は、自分がまだ蓮ノ空に入学したばかりの時、スクールアイドルクラブに入ったばかりの時に梢から言われた事を思い出す。
花帆『これが、どりーむびりーばーず……………!』
梢『ええ、花帆さん。かつてこの蓮ノ空学院が、ラブライブ!を優勝した伝統の曲よ。蓮ノ空でいちばん有名な曲なの』
花帆『すごいすごい!とっても素敵な曲ですね!!』
梢『ふふふ。でしょう?』
花帆『あたし、特にこの、『Dream Believers You believe!』ってところが、特に、好きです!』
梢『あら、どうして?』
花帆『だってこれ『夢を信じる人を信じてる』って意味ですよね?だったらきっと、誰かを花咲かせるってことと、同じですもん!』
梢『言われてみれば、そうかもしれないわね』
花帆『もしかして……あたしのための歌かもしれません!』
淳平『それは少し、言い過ぎかもな』
綴理『やほー』
さやか『あら、なんの話をしていたんですか?』
花帆『あ、聞いて聞いて綴理センパイ、さやかちゃん、淳兄ぃ!今、どりーむびりーばーずって曲を教えてもらってね―――』
花帆「『Dream Believers You Believe.』…夢を信じる人を、信じてる………」
花帆「いつだって、あたしを勇気づけて、励ましてくれた歌………。だけど………、でも…………」
花帆「だったら…………もう、夢を諦めちゃった人は、どうすれば………。―もう、夢を叶えられない人に、あたしは……」
花帆「あたしは……」
花帆はこの間の、まだ希望を持っていた頃のセラスの笑顔を思い出した。
セラス『……………わたしもね、来年こそぜったいに、スクールアイドルになるんだ。瑞河の、みんなの夢を叶える、スクールアイドルに』
花帆「………そうだよね。叶わなくたって、どんなに遠くたって………、それでも諦められないから、夢なんだ。そうだ、せっちゃんも、同じなんだ。――みんなと」
花帆「あたしの、大切な人たちと……!」
花帆の脳裏に、蓮ノ空での2年間が次々と蘇ってくる。
さやか『先に皆さんに謝っておきます。すみません………!』
花帆「想いが溢れて……」
綴理『ボクは、ボクがおかしいんだって、 ボク自身に言い聞かせるのが、痛いよ………』
花帆「どうしようもなくたって」
瑠璃乃『ごめん、ふたりに嫌な思いさせたくなくて、言えなかった……』
花帆「勇気が出なくても」
慈『だって!だって…………ずっと悔しいんだ………』
花帆「それでも!」
吟子・小鈴・姫芽『『『蓮ノ小三角!』』』
花帆『えー!?』
花帆「前に進もうって!もがいて、もがいて!」
梢『一緒に、夢を信じてくれる………?』
花帆「あたしは、そんな人たちの」
淳平『お前らに……勝って…欲しかった…からっ……』
花帆「あたし、決めた。あたし――もう、逃げないから!背中を押したいって、思うから!」
花帆「やるんだ!」
花帆は、セラスを追いかけた。
花帆「せっちゃん!」
セラス「…………花ちゃん」
花帆「やってみようよ、せっちゃん。最後まで!」
セラス「……………たとえ、奇跡が起きても、叶わないよ」
花帆「奇跡なんかじゃないよ!諦めたくないだけ。今この瞬間は、今しかないんだから――」
花帆「わかったんだよ、あたし。本当にやりたかったこと……わかったんだ!」
セラス「……………それは、ラブライブ!優勝じゃ」
花帆「そうだけど!でも、そうじゃなくて!あたしは――、"みんなを花咲かせる"って、決めたんだ」
花帆「あたしがスクールアイドルになったのは、みんなを花咲かせたいから!それが、あたしの夢だから!せっちゃんが泣いたままなんて、そんなの、やだ!」
セラス「……………眩しいね、花ちゃんは」
花帆「もうちょっとだけ、もがいてみようよ。ねえ、一緒に。大丈夫だよ。ぜったい、どうにかなるよ!だって、スクールアイドルは、そのためにいるんだから!」
花帆「夢を見るのが、スクールアイドルなんだから!」
セラス「………ありがとう、花ちゃん」
――そして、翌日の蓮ノ空スクールアイドルクラブの部室では、
花帆「というわけで……帰ってきました!蓮ノ空に!」
小鈴「久しぶりの我が家のような気がしてとても落ち着きます!」
吟子「というか、なんで泉さんまで、ここに」
姫芽「なんか馴染んでるし〜」
泉「もちろん力を貸すに決まっているよ。セラスの夢のために、協力してくれるんだろう?」
さやか「そうですね。そういうことに、なりました」
花帆「うっ、プレーオフ前に時間がないのに、すみません…………」
瑠璃乃「時間がないからこそ、急がなくっちゃでしょ!」
慈「花帆ちゃんの暴走は、いつものことだしねえ」
淳平「めぐ、お前が言うか……」
さやか「もちろん、一言ぐらいは言ってほしかったですけど」
花帆「ご、ごめん……」
さやか「いいんですよ。花帆さんなので」
綴理「甘やかしだ」
さやか「そうです甘やかしです」
花帆「うう、ありがとう……。それでね、あたしも考えてみたんだ!」
花帆「ラブライブ!は高校生の大会だけど……!でも、みんなが応援してくれるんだったら、もしかしたら、せっちゃんが出ることだって!」
花帆「みんなに話して、お願いしてみるんです。せっちゃんをラブライブ!に出させてください、って!すべてのスクールアイドルと、そしてスクールアイドルが好きなみんなに!」
慈「なんか壮大な話になってきたねえ!「」
綴理「スクールアイドルを好きなみんな…………。じゃあ、全人類ってことだ」
淳平「それは言い過ぎだな」
梢「そうね……違うかもしれないわね…………」
花帆「キチンとお話してみたら、きっと大丈夫ですよ!」
さやか「でもそれって………皆さんを説得するってことですよね……?瑞蓮祭を開くよりも、はるかに大変ですよ……?」
小鈴「説得すれば、できるんですか?」
淳平「…………」
慈「まあ、ムリだよ。基本的には、絶対。そもそもルールはルールだし」
泉「なかなか手厳しいね」
慈「客観的な意見も必要でしょ」
淳平「いや、そうとも言い切れない」
ここで、俺が声を上げると、視線が俺に集まる。
慈「そうとも言い切れないってどう言う事?」
淳平「そもそも、ラブライブ!に中学生が参加したっていう前例は、もう既にあるんだよ」
花帆「えっ!?」
花帆が驚きの声を上げる。――すると、
梢「4年前の、Liella!に加入する前のウィーン・マルガレーテさんのことね?」
淳平「うん」
慈「え、どういう事?」
みんなよく分からないようなので説明する。
淳平「ウィーン・マルガレーテさんっていうスクールアイドルが4年前から去年の3月まで活動しててね。当時中学生だった彼女は、中学生ながらその圧倒的な実力が認められて、その流れで高校生に混じってスクールアイドルの大会やラブライブ!に出場した事があるんだよ」
瑠璃乃「じゃあ!」
淳平「でも、今回と彼女で違う点がある。ウィーンさんは、中学生でも高校生と渡り合える実力だと認められたからラブライブ!に出られたと言うこと。そして、彼女は東京大会で敗れはしたものの、それまで予選もキッチリと出場して勝ち残っている」
淳平「対してセラスさんはまだ実績が無い。中学生だから、当たり前と言ったら当たり前だけど、ラブライブ!の予選にも出て無くて決勝から突然参加。――それを良いと言うかどうか……」
梢「そうね。淳の言うとおりだと思うわ」
小鈴「そんなぁ………………」
梢「…………常識的に考えれば、実現不可能であることは慈の言うとおり。でも、前例があることも、淳の言う通り。それとは違う方向で、可能性があるとすれば――」
梢「セラスさんを出場させることが、スクールアイドルの総意と見なされれば、かしらね。本当に、大雨の夜に、ひとつの星を見つけるような話だけれど…………でも、もし本当にスクールアイドルのみんなが後押しをしてくれるのなら、ラブライブ!はきっと応えてくれるわ」
花帆「だったらうまくいきますよ!」
花帆が笑顔で叫ぶ。
花帆「あたしの大好きなスクールアイドルと、それを応援してくれるみんななら、必ず!」
花帆「だって、あの輝くステージは、光のおとぎ話なんですよ!おとぎ話なら、ハッピーエンドで終わらなくっちゃ!」
綴理「うん、やろう」
姫芽「ですね〜!やりましょう〜!」
みんなの気持ちが高まっていく。でも、ここで吟子ちゃんが質問する。
吟子「でも、どうするの?みんなの総意を集める、って………、今度は日本全国を回るつもり……?」
花帆「それもやるけどね!」
吟子「やるんだ…………」
呆れる吟子。
花帆「ふっふっふ。言ってくれましたよね、梢センパイが。花帆は、配信が得意だ、って」
梢「え、ええ。それはもちろん、今でもそう思っているけれど……………」
さやか「まさか」
花帆「そのまさか!だよ!配信で、世界中の人に、呼びかけるんだよ!」
慈「梢の言葉を信じすぎない方がいいよ、花帆ちゃん!梢は、花帆ちゃんのやることならなんでも褒めるんだから!」
梢「そんなことないわよ!?」
梢とめぐのコントは置いといて……
梢「置いとかないで!!」
地の文読まれた。
さやか「せ、せめて台本などを、作った方が………。
泉「決められた言葉を喋るより、内側から湧き出た想いのほうが、より多くの人の心を動かせると思うけれどね」
瑠璃乃「でもぜったいに失敗できないやつじゃん!」
淳平「失敗すると思うか?」
綴理「うん。こういうときのかほは、無敵だよ」
吟子「………………花帆先輩、信じて、いいんですね?」
花帆「あたしに、任せて」
花帆「なんたって………花帆は配信が得意、なんですから!!」
― つづく ―
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