スクールアイドルクラブがスクールアイドルコネクト、スクコネを使って定期的に行っている配信。今日は花帆がセラスさんのことでファンの皆にお願いをするために配信する。
スクールアイドルクラブのメンバーは、それぞれ部屋でスクコネを開いて見守っていた。
――そして、花帆の配信が始まった。
花帆「……どうかな、ちゃんと始まってるかな。あっ、みんな『こんばんは』って、ありがとうね。お休みの中、初めましての人もいるかな?始めまして!私は蓮ノ空学院スクールアイドルクラブ2年生の日野下花帆っていいます。今日はね、みんなにお願いしたいことがあって。だから、ちょっと特別な配信なんですよ」
花帆「なのでね、いつもみたいに、After配信はありません。それはね、また今度でね」
すると、配信のコメント欄にコメントが流れてくる。
花帆「あっコメントありがとうねうん。それとね、L Tubeの方でもね今日は同時配信してます。L Tubeのみんなもこんばんは」
花帆「コメントもいっぱいありがとうね。お願いしたいこと。そうなんだ。それじゃ早速だけどね、まずちょっと昔話を聞いてほしいんだ」
そう言って、画面の中の花帆は話し始める。
花帆「『――昔々、あるところに1人の女の子がいました。その子は体が弱くて、よく病院に入院していました。窓の外を眺めながら、毎日元気になったら、あんなこともこんなこともしたい』って思っていました――」
すると、コメント欄に『花帆ちゃんのこと?』、『花帆ちゃんかな?』と流れてくる。
花帆「皆、そうかもしれないけど、昔話ってことで聞いてね」
花帆は話を続ける。
花帆「『その女の子には、夢がありました。それはいつか花咲きたいという夢。花咲くっていうのはね、いろんな意味があって、多分人によって違うんだけど。ある人は『もらった期待に応えたい』だったり、ある人は『落ち込んでいる人に手を差し伸べてあげたい』だったり、ある人は、『目指せラブライブ!優勝!!』だったりなんかもうね、いっぱい、いっぱいいろんな意味があって……ごめんね。纏まってなくて」
またコメント欄にみんなの言葉が流れてくる『大丈夫だよ〜』とか、絵文字も大量に流れてくる。
花帆「あっ、いっぱい絵文字もありがとうね。うん大丈夫だよ。みんな優しい……ありがとうね。多分ね、夢を叶えたいってだけの意味じゃなくて……もちろんそれもあるんだけど、もっともっと大きな……なんだろう。自分らしく生きたいとか」
花帆「―――ずっと花咲きたいって気持ちを抱えていた女の子は、ようやく体も良くなって、そして猛勉強して憧れの蓮ノ空学院に入学して、スクールアイドルになったんだ」
花帆「スクールアイドルになってからの毎日は、本当に楽しくて、毎日が、もう夢みたいでつらいことがあっても、苦しいことがあっても、朝練とか筋トレとか、大変なことがいっぱいあったけど、でも、ずっと楽しくて!友達ができて、先輩ができて!」
花帆「ライブを開いて!夜遅くまで練習して!またステージを作ったり、衣装を作ったり!そのうちね、自分で作詞作曲したり、あとは後輩ができちゃったりしてそんな夢みたいな日々を過ごしてるうちにわかったんだ!その子にとって、花咲くっていうのは、自分だけのことじゃないんだって。大好きな友達が!大好きな先輩が!大好きな後輩が!みんなで夢を叶えて笑っていてくれる。それがその子にとって花咲くってことなんだって、スクールアイドルになってわかったの」
花帆「かけがえのない2年間と、そしてね。大切な人たちが教えてくれたんだ。―――あのね、みんな。私には今、もう1人どうしても……花咲かせたい子がいるんだ。その子の名前は――、"セラス柳田リリエンフェルト"ちゃん」
花帆「病院で知り合った私の友達の、せっちゃん。瑞河女子高等学校附属中学校の3年生そう。ラブライブ決勝大会のプレーオフに残った瑞河の生徒でね、せっちゃんの夢は、"瑞河の生徒として、瑞河の名前を背負って、ラブライブに出場する"こと………」
花帆「せっちゃんもね、私と同じように瑞河に入って、スクールアイドルに憧れて、先輩たちに囲まれて、自分は絶対ラブライブ!に出るんだって夢見て。――でもね。ラブライブの参加資格は、高校生であること。せっちゃんは、まだ中学生だから、ラブライブには出場できない」
花帆「みんなもね、知ってると思うんだけど瑞河女子は今年で廃校になることが決まっちゃって……このままじゃ、せっちゃんの夢は叶わないんだよ」
花帆「夢を叶えられないまま、瑞河を離れることになっちゃう。私ね、私、どうしても、諦めたくないんだ。諦めたくなくて、このまま終わっちゃうなんて、嫌だよ!」
花帆「無茶な事を言ってるっていうのはわかってるんだ。ルールに決まってること。―――それをどうにかしたいって言ってるんだから………」
花帆「他にも、たくさんラブライブ!で負けちゃった人がいて、出たくても出られなかった人がいっぱいいるのに、せっちゃんだけ特別扱いするなんて――こんなの、私の勝手なわがままで、ホントは……ダメな事だと思う」
花帆「世界中の全ての人の夢が叶うなんて、そんなの、おとぎ話の中だけだって、分かってるけど―――。でも、私は………叶えばいいなって思う。おとぎ話でもいいからみんなの夢が叶ってほしいよ!私はせっちゃんに、花咲いて欲しいんだ!!もしも、みんながわたしと同じように思ってくれるんだったら、私の送るメッセージに名前を書いて欲しいんだ」
花帆「ルールはルールだから常識的に考えたらそんなことしても全部無駄になっちゃうのかもしれないけど。けどね、私の大好きな先輩が、それでも可能性があるとすれば、『せっちゃんを出場させることが、スクールアイドルの総意とみなされること』だ。って、言ってくれたんだ!スクールアイドルと、応援してくれるみんなの声が合わされば、ラブライブ!は、きっと応えてくれるって!!」
花帆「だって、ラブライブ!のためにスクールアイドルがいるんじゃなくて、スクールアイドルのために、ラブライブ!があるんだから!……少しでも可能性があるなら私はそこに賭けてみたい!」
花帆「この配信を見てくれてるみんなに改めてお願いするねラブライブ!に憧れた女の子を、ラブライブのステージに上げるためにどうか」
花帆「日本中の、ううん。世界中の声を集めたら、きっと届くって、信じてるから!私達みんなで、その子の笑顔を一緒に、一緒に!花咲かせようよ!!」
コメント欄に次々とファンの声が流れていく。それは、ファンからの温かな応援の声だった。
花帆「あっ、『応援します』、『協力するよ』、『やりましょう』『協力する』いっぱい!こんなに応援してくれる人がいてくれて……。嬉しいよ!みんなありがとうね」
花帆「私の話したい事は、これでおしまいです。聞いてくれて、どうもありがとうございました!もしよかったら、みんなも他の人にね、この話を教えてあげてほしいな。いーっぱい、いろんな人の協力があれば、その分だけきっと夢に近づいていくハズだから。うんうん。『みんなに届きますように』、『応援するよ』、『いろんな人人に広めるよ』わあ!ありがとう!!」
こんなにも、応援してくれる人たちがいる。その事実が、花帆に大きな力を与えてくれていた。
花帆「本当にありがとう!それじゃあ、今日の配信は、ここまでです。私の話を聞いてくれて、ありがとうね。私もね、今日はぐっすり寝て、明日の朝からいろんな学校を回ってくるね。そ、全国の学校を回って、スクールアイドルの子に『お願いします!』って言ってくるんだ!私達、いっぱいいっぱい頑張るから、みんなも、宜しくお願いします!」
花帆「それじゃ、今日はおやすみなさい、またね。みんな!ラブライブ!、決勝大会のプレーオフみんなまた会おうね。笑顔でね!じゃあね!ポチッ!」
そして、花帆の配信は終わった。
梢・淳平「「……………」」
その様子を、俺は梢と一緒にスマホの画面越しに見ていた。
淳平「本当に、成長したな…………」
梢「ええ。花帆をみてると、勇気が湧いてくるのよね」
淳平「次の部長、迷ってる?」
梢「ええ。さやかさんと花帆で迷うわね………」
淳平「そっか………」
― つづく ―