第133話:梢のスランプ
あれから数日が経ち、蓮ノ空に戻ってきた俺たちスクールアイドルクラブ。
帰ってくるなり、花帆はセラスさんの事で協力してくれた人達にお礼を言いに各地を周りに行っていた。
―――それで無理したのか、風邪を引いてしまったのはココだけの話だ。
そして、とある日の放課後。
えな「それじゃあみんな!せーのっ!」
えな&びわこ&しいな「「「先輩、ラブライブ!優勝、おめでとうございまーす!」」」
梢「あ、ありがとうね」
梢が苦笑しながらお礼を言う。
梢「でも、あなたたち………もうラブライブ!が終わって、ずいぶん経つのに」
えな「ええ〜?嬉しいことは何度お祝いしてもいいじゃないですかぁー!ねー?」
びわこ「う、うん。だって花帆ちゃん、毎日言ってたもんね」
しいな「言ってた言ってた」
梢「まったく、もう……花帆の影響なのね」
梢は呆れながらも、フフッと笑うと、
えな「それじゃあ、きょうも部活動、がんばってください!」
びわこ「蓮華祭も、楽しみにしてます」
しいな「お騒がせしました〜」
そして去っていく花帆のクラスメイトたち。
梢「ふう。………夢が叶ったのに、まだ、夢の中にいるみたいだわ」
初めて本当に欲しかったものを手に入れたものの、実感の沸かない梢。
梢「いけない、ミーティングに遅れちゃうわ」
そして梢は部室に走っていった。
―― 部室 ――
慈「というわけで、ラブライブ!優勝校である蓮ノ空学院スクールアイドルクラブの、優勝校らしいミーティングを行います!」
瑠璃乃「優勝校って言いたいだけのやつ!」
淳平「まだ言ってるのか………」
慈「そりゃ〜言いたいじゃん!私たちは〜、せーのっ!」
綴理&小鈴&姫芽「「「ラブライブ!優勝校、蓮ノ空学院スクールアイドルクラブです!」」」
未だに喜びが冷めやまない4人。
さやか「もう、綴理先輩まで……………」
綴理「蓮ノ空さいきょー。ちょーさいきょー」
淳平「ものの見事に浮かれてんな、みんな……………」
さやか「本当ですよ……」
慈「そういや、有頂天代表のフラワーちゃんは?」
さやか「花帆さんなら、きょうはおやすみです。ちょっと疲れが出てしまったとのことで」
淳平「風邪引いたから学校休むって連絡もらった」
慈「ありゃ」
姫芽「かほせんぱい、ラブライブ!が終わった後も、毎日いろんなところに出かけてましたからねえ〜……」
小鈴「協力してくれた皆々様に、遠路はるばるお礼参りしてくれました!」
お礼参りって………。
吟子「お礼参りってそういう意味だっけ………………?」
瑠璃乃「まあまあ。なので、いったん花帆ちゃん抜きでのミーティングにはなりますけれども〜」
梢「…………」
瑠璃乃「梢先輩?」
梢「え?」
淳平「どうした?話したいことがあるって言ってたよな?」
みんなが梢を「ん?」と見る。
梢「ああ、そうね。ごめんなさい」
吟子「梢先輩も、どこか体調が………?」
梢「大丈夫よ。少し、ぼーっとしていただけ。みんなも知っての通り、来月は蓮華祭が開かれるわ。いわゆる、卒業公演ね」
さやか「……終わってしまえば、早いものですね。一年というのは」
淳平「だな」
梢「ええ、そうね。その代わり、ラブライブ!が終わっても、三年生はギリギリまで部活に参加する予定だから」
慈「なんなら蓮華祭は卒業式の後だから、3月いっぱいは居座ってあげる」
淳平「言い方………」
姫芽「嬉しいです〜……………一秒でも長くいてください〜」
慈「永遠にいなくなっちゃう人みたいなんだけど……」
軽いやりとりに部室が笑いに包まれる。すると、
梢「それでね、ここからは私からの提案。最近はラブライブ!に向けてずっと全体での練習が多かったから、蓮華祭はそれぞれのユニットごとに新曲を作るのはどうかしら、って」
綴理「おお〜」
吟子「ユニットごとの、新曲………!」
梢「いわば104期における、ユニット活動の集大成とも呼べるような曲を、ね」
姫芽「るりめぐの集大成……………!」
瑠璃乃「みらぱ!のね!?」
姫芽「や、やだなぁ、るりちゃんせんぱいわかってますよぉ〜。………でもこれが最後というのなら、歴史に残るようなるりめぐの掛け合いを……………」
小鈴「ユニットの新曲を作るのは、とても素敵だと徒町も思います!」
新曲作成乗り気の1年生たち。
綴理「ボクも思う。さやとすずとボク。この3人のDOLLCHESTRAがあったんだってことを、刻みつけようね」
綴理「―――いつでも、どこにいても、胸の中から取り出せるように。そんな曲を作ろう」
さやか「蓮華祭に向けて、これ以上ない重大なイベントですね……!」
みんながやる気に満ち溢れる。
淳平「この1年、みんな本当によくがんばってくれたよ」
梢「ええ。新入部員だった吟子さん、小鈴さん、姫芽さん。――3人は、すっかりラブライブ!優勝校の部員として、ふさわしい顔つきになってくれたわね」
吟子「そ、そんな、恐縮です……………」
小鈴「えへへ〜」
姫芽「せんぱいがたのご助力ご指導ご活躍あってのものですけど〜、そう言ってもらえるのは嬉しいですね〜」
梢「さらにさやかさん、瑠璃乃さん。それに、ここにいない花帆も、今年は先輩として大きく部を引っ張ってくれたわ」
瑠璃乃「いや〜、照れますなあ」
さやか「はい」
梢「ラブライブ!を経て大きく成長したあなたたちが、曲にどんな彩りを加えるのか、今からとても楽しみにしているわ」
そして、みんなを見渡す梢。
梢「ということでね……って」
綴理&慈&淳平「「「ジーッ」」」
梢「………なにかしら」
綴理「ボクにも」
慈「私たちにもなにか言って、梢」
淳平「俺も1年間頑張ったんだけどな〜」
梢「どうせあなたたちは、なにも言わなくてもいい曲を作るでしょう……。淳だって、言わなくても色々やってくれるじゃない」
慈「はぁ〜?ラブライブ!前はあんなにデレてたくせに〜!しょせん夢を叶えたら私たちはお払い箱なんだよ!」
綴理「悲しいね…………」
淳平「ヨヨヨ……」
俺達がわざとらしい態度をとると、
梢「うるさいわね……。とにかく、みんなそれぞれに想いがあるでしょう。この1年の集大成。蓮ノ空の歴史に、この先ずっと伝統として歌い継がれるような……そんな、最高のユニット曲を、作りましょう」
そして、そのミーティングから数日後、夜の女子寮、大浴場。
慈「お」
綴理「こずだ」
梢「あら…………ふたりとも、あれから何日か経ったけれど、ユニット曲の進捗はどうかしら」
慈「まあ、そこそこ?とりあえず案出し中かな。うちは100の案から1個を作りあげるからね!」
綴理「ボクたちは、これかなっていうイメージはできたから、作るところ」
慈「ヘー?順調だねー」
綴理「かな?」
慈「じゃ、そろそろ私はあがろうかなー」
綴理「ボクもー」
慈「よし、きょうは私が髪を乾かしてあげよう」
綴理「わーい」
二人の言葉を聞いた梢は………。
梢「……………。もしかして……なにもできていないのは、私だけ……………?そんな」
梢「睡眠だって取っているし、創作にもたっぷりと時間を使って、それなのに、歌詞のひとつ、曲の1フレーズもできないなんて……こんなの、おかしい。そんな……まさか、これってスランプなのかしら……。いや、だとしても……………」
梢「ここで曲が作れなかったら、今まで私のやってきたことは、なんだったのよ……!机にしがみついてでも、やり遂げなきゃ……!」
すると、
吟子「すみません、梢先輩、あの……」
梢「あ、…………こ、こんばんは、吟子さん、いいお湯ね」
吟子「ごめんなさい、聞こえてました」
― つづく ―
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