スクールアイドル部の勧誘があった日の夜、
〜 女子寮・花帆の部屋 〜
花帆「はぁ……、先輩たちも、さやかちゃんも、淳兄ぃも、皆自分のやりたいことを見つけて……、あたしには眩しすぎるよ。それに比べて、あたしは……」
その翌日の昼休み、俺はスクールアイドル部の前部長で今は生徒会長の
淳平(何の話だ……? 俺なにかしたっけ?)
コンコン
俺は、生徒会室の扉をノックする。
淳平「2年の日野下です。沙知先輩に呼ばれて来ました」
沙知「ジュンペイか、入れ」
淳平「失礼します!」
俺が生徒会室に入ると、沙知先輩1人しかおらず、俺が前に進むと沙知先輩は……、
沙知「ん〜、取り敢えずいつもの頼む」
淳平「はぁ、分かりました……」
そう言って
やれやれこの人は、去年俺が入部しようとしたら反対したくせに…。
ホント、人って変わるもんだな……。
沙知「いやぁ、やっぱり良いな。今年で終わりかと思うと卒業するのが惜しいよ……」
淳平「生徒会長なんだからしっかりしてくださいよ……。で、本題は何ですか?」
すると先輩は名残惜しそうに離れると、咳払い1つし、
沙知「日野下花帆という名前に聞き覚えは?」
淳平(あっ、アイツがなんかしたんだな)
俺は全てを察した。
淳平「従兄弟です。アイツが何かしましたか?」
沙知「実はな……」
そして、生徒会長が話し始める。話を聞くと、俺は頭痛がしてきた。
その頃、
花帆「はぁ〜、絶対に皆楽しいと思うのにな〜……」
しいな「できたら確かに楽しそうだけどね……、この学校じゃあ無理だよ」
花帆「無理なのかな~、はぁ~…「花帆ォオオッ!!」バンッ!! ?! 淳兄ぃ!?」
沙知先輩との話を終え、俺はダッシュで1年生の花帆のクラスに向かう。
びわこ「えっ? 花帆ちゃんのお兄さん?」
花帆「あっ、いや……ムグッ!?」
俺は花帆の頬を抓り右に左に上に下に引っ張りまくる。
淳平「お前はアホか!? ア帆なのかやっぱり!!」
花帆「い、いひゃいよ〜〜っ!!」
えな「お、お兄さんやめてください!!」
俺が花帆の頬を離すと、花帆は頬を押えて涙目に。
花帆「うぅ〜〜…淳兄ぃ酷いよ!!」
淳平「ああん?」
俺が両手を構えると花帆はすぐさま土下座する。
花帆「すみません調子に乗りました許して下さい……」
分かればよろしい。
淳平「沙知先輩……ああ、生徒会長から聞いたぞ? なんであんなこと言ったんだ?」
花帆「だって! そうした方が皆が学校生活を楽しめると思ったんだもん!! 1年生殆どの人が自由がなくて窮屈だって言ってるよ?」
淳平「なるほどな……、お前なりに皆の希望を伝えたかった訳か。やり方はともかく」
花帆「うっ……」
やれやれ……。
淳平「確かに、他の学校と比べて規則が厳しいのは認める」
花帆「でしょ? だから……」
淳平「でも、それでも俺は、この学校はいい学校だと思うけどな」
花帆「え?」
えな「どういうことですか?」
淳平「夢中になれるものを見つけて、ここで1年間過ごせば、きっと分かるよ。俺もそうだったから」
花帆「淳兄ぃもそうだったの?」
去年は俺もアイツも絶望したからなぁ……。けど、それでも今は入って良かったと思ってる。
淳平「まぁ、手伝いの時に梢にでも聞いてみろ。たぶんあいつも当初は少なからず思ってたと思うから」
花帆「分かった……」
俺は1年生たちに頭を下げると、教室からでて自分の教室に戻る。
そして、放課後になり、部室に俺と梢、綴理、村野さん、そしてお手伝いの花帆が集まった。
花帆「失礼します」
梢「あっ、こんにちは花帆さん。早速、先日言っていたお手伝いの件なんだけれど、今日はどうかしら?」
花帆「だ、大丈夫です」
梢「それは良かったわ。それじゃあ花帆さんに説明するわね?」
梢が花帆を連れて、大倉庫の方に向かう。
花帆「はぁ……」
梢「あら、何か嫌なことがあったの?」
花帆「うえっ!? そ、それは……。あの、その……。その、実は……。クラスの子の1人が、もしかしたら学校辞めたいって思ってて……。あ、いや、思ってるみたいで」
梢「まぁ。そうなの? どうしてそんな風に思うのかしら?」
花帆「えっと……。どうも入ってみたら、ぜんぜん思ってるのと違ったみたいで。それで、他の学校のパンフレットとか取り寄せてるらしくて……」
梢「確かに、年頃の子供たちが三年間過ごすには、なかなか窮屈な環境をしているものねえ。クラスメイトさんの気持ちも、少し分かるわ」
花帆「で、ですよね……」
梢「その子は、どんな学校で過ごしたかったのかしら?」
花帆「どんな学校が、っていうか……。たぶん、どういう風に過ごしたかったのか、だと思うんです。もっと毎日が華やかで、キラキラしてて、楽しそうな友達に囲まれて、楽しそうに過ごしてて……」
梢「その子にとって、蓮ノ空はそうじゃなかった、のね。ねえ、だったらこういうのはどうかしら? 花帆さんがその子のために、この学校を楽しくして見せる、っていうのは?」
花帆「えっ、この学校を!? そ、そんなこと、ムリですよ!」
梢「あら、どうして? 案外ね、自分の好きっていう気持ちは、思ったより周りの人に伝わるものなのよ?」
花帆「好きな気持ち……。確かに、センパイのライブは、とっても素敵でした、けど……」
そして、梢と花帆は大倉庫から荷物を取って部室に戻ってくる。綴理と村野さんはもう2人で練習に行った。
このスクールアイドルクラブでは、先輩と後輩でユニットを作り、ユニットごとにお互いに切磋琢磨して自分を高めようという先人たちの意志を今でも守っている。
綴理は村野さんとユニットを組むことが決まったということだ。
梢「よいしょ、と。ああ、資材はその辺りに適当に積み上げてもらって大丈夫よ?」
花帆「これはなにに使うんですか?」
淳平「次のライブのステージで使うんだよ」
そこへ、俺が戻って来た。
梢「お帰り淳。二人の様子はどうだったかしら?」
淳平「おう、村野さん、綴理ワールドに苦労してるけど、何だかんだ気が合うみたいだな。大丈夫そうだよ」
梢「そう。それなら、良かったわ……」
花帆「淳兄ぃ、ひょっとしてスクールアイドルって全部自分たちで用意するの!?」
梢・淳平「「それは、もちろん」」
梢「歌って踊るだけじゃなくて、その周りのことだって全部するのよ。 例えば、新入生勧誘とかもね。ライブを見に来てくれる子は多いんだけど、いざ一歩を踏み出してくれる子は、案外いないのよねえ。あなたの友達の、村野さやかさんは、よく飛び込んできてくれたわ。あとは、綴理とうまくやれるかどうか、だったのだけれど……」
淳平「あの二人は大丈夫だろ」
梢「淳が言うなら間違いないわね。まあ、それはこっちのはなしとして」
花帆「あの時のさやかちゃん、確かに凄かったです」
淳平「なんか、一歩先を行かれた気分か?」
花帆「そっ、そういうわけじゃ、ない……と思う、けど」
花帆が慌てる。図星かな?
梢「ふふっ、ごめんなさい、ヘンなことを言ってしまって。というわけでね、来週の新入生歓迎ライブは、ちょっといつもより気合を入れてるの。せっかく花帆さんがお手伝いしてくれているんだもの。大大、大成功して見せないとね」
花帆「そんな、あたしなんて全然。その、新しいことを始めるまでの、途中、みたいな感じですから」
梢「そう。でも嬉しいわ。いいところを見せなくっちゃね。あなたにも、淳にも、そして。学校を辞めたがっているっていう、その子にも」
淳平「ッ! ……///」
梢の言葉に俺の頬が紅くなる。だが、花帆は少し暗い顔になった。学校辞めたいと思うほど悩んでたのか……。
すると、
花帆「はい、あの、あたし、せめて一生懸命、手伝いますね!」
梢「とっても助かるわ。まるで、スクールアイドルクラブのマネージャー、一年前の淳みたいね?」
花帆「そ、そんな、あたしなんて……」
梢「うふふ、それじゃあまたしばらく、よろしくね、花帆さん」
花帆「……はい!」
花帆は必死に笑顔を作って、梢に頷いた。
ー つづく ー
名前
以下は公式プロフィール参照してください
蓮ノ空スクールアイドルクラブの部長の2年生。淳平とはクラスは違う。
1年生の時の自分たちの入部時点では男子でスクールアイドルクラブのマネージャーをやろうとする淳平を、立場を利用してスクールアイドルに近づく不届き者かと警戒していたが、しばらくするとアッサリと警戒心を解かれ今ではスッカリ心を許している。
それどころか今は、淳平に対して淡い気持ちを抱いているとかいないとか……。
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