あれから数日が経ち、いよいよさやかちゃんのお姉さんの引退、そしてライブイベントの日がやって来た。
スケートリンクには、綴理が見に来ていた。
綴理「……さやの出番までもうちょっとか」
するとそこへ、
花帆「あっ、いたいた。綴理センパ〜イ!」
花帆と梢、そして淳平がやって来た。
綴理「かほ?」
梢「こんにちは、綴理。村野さんの応援なら、一緒に来れば良かったのに」
綴理「……え、でも今日、2人はライブ」
淳平「忘れたのか?今日のライブはオンラインだ。17時までに配信でパフォーマンスを映せば問題ない」
綴理「そっか。……そうだったね」
梢「……村野さんが間に合わないのは残念だけれど。私たちは後で撮影するわ」
綴理「ん」
淳平「おい、……あの後さやかちゃんとは」
綴理「……始まるよ」
いいタイミングで始まって逃げやがったなコイツ。
花帆「!凄い歓声!みんな、さやかちゃんを観に来たんだ……。あ、出てきた!!さやかちゃーん、頑張れー!」
綴理「……さや」
そしてさやかちゃんの演技は無事に終了。美しく華麗な演技に、会場は大歓声に包まれていた。
梢「観に来られて良かったわ。本当に綺麗ね」
花帆「すごいすごいすごーい!さやかちゃーん!」
淳平「さやかちゃん良く頑張ったー!」
梢「ふぅ。さて、私たちはそろそろ行かないとね」
花帆「あ、時間!!でも、さやかちゃんのスケート見られてほんとに良かった!……綴理センパイ!どうでした!?」
綴理「そうだね。本当に綺麗だったと思う」
花帆「で、ですよね!えーっと……!」
淳平「……なあ、綴理?」
綴理「なんだい?」
淳平「お前はいつも俺や梢に言ってたよな?さやかちゃんのスクールアイドルとしてのパフォーマンスには"水色のきらめき"があると。よく自慢してたよな?」
綴理「…………」
淳平「フィギュアスケートで培ったものが、さやかちゃんのスクールアイドルとしてのきらめきを生み出していたんだとしたら、今のさやかちゃんのフィギュアスケートの演技には―――」
その瞬間、会場の照明が全て落ちた。
花帆「えっ!?何?」
梢「停電……?」
すると、リンクの中心部にスポットライトが当たり、さやかちゃんが立っていた。
さやか「あー、あー、マイクてす……マイクてす。本日はたくさんの人にお越しいただき、ありがとうございます!姉妹ともども、本当に嬉しく思っております。そして、こうしてお時間いただけたことに感謝します」
さやかちゃんは言葉を続ける。
さやか「無理にお願いしてしまったのてすが、快くみなさんが背中を押してくれました。なので少し、聞いてください」
梢「無理にお願い……あの村野さんが……」
さやか「わたしは、誇らしいお姉ちゃんを持って、幸せで、それだけでした。でも、だからこそ、お姉ちゃんがリンクに立たなくなって、わたしがお姉ちゃんの分まで頑張らなきゃって思ってからは、本当に大変だったんです。1年以上なかなか結果が出ないまま、何をどうすればいいのかも分からないまま。お姉ちゃんの分まで頑張るって言ったのに、そのお姉ちゃんに合わせる顔がないくらい、だめだめでした。」
そして、「でも……」と続ける
さやか「素敵な出会いがわたしを変えてくれました。こうして、みなさんの前に胸を張って村野つかさの妹だと自己紹介できる、そんなフィギュアスケーターになれたのは……あなたのおかげ。あなたに、あの日会えたから、頑張ろうって思えたんです。あなたが教えてくれたから、わたしは今ここにいる。でも……」
さやか「……わがままになっていいってなんですか?フィギュアを続けることは無理ですか?スクールアイドルを辞めることが、わがままなんですか?フィギュアも楽しい、スクールアイドルも楽しい!どれが正しいわがままかなんて、あなたが隣に居なきゃ、もう分かるものも分からない!」
綴理「さや、何を……」
さやか「わたしをこの場に立たせてくれたあなたは、わたしにわがままになれと言ってこの場に置き去りにした!」
綴理「ちが、ボクは」
さやか「もしも違うと言うならこの場に出てきて!!ここで!!わたしと!!ライブをして!!スクールアイドルの大会に、わたしとあなたで出してください!!
淳平「……さやかちゃんにここまで言わせたんだぞ?行かないのか?」
花帆「いってらっしゃい!」
綴理「……うん。行ってくる!」
そして、綴理はリンクに出ていった。
さやか「ぁ……本当に居た……」
綴理「居ない想定があったかぁ……。……ごめんね、さや。置き去りになんて、してないよ。ボクはただ、キミのきらめきを見ていたかった。ボクにとって、キミが一番のきらめきだから。どんな
さやか「っ……!じゃあ……特等席、空いてます」
綴理「隣……でいいのかな」
さやか「他に、席はありません」
綴理「……ねえ、さや」
さやか「……はい」
綴理「さやの、水色のきらめきは……このリンクにあるものだと思ってた」
さやか「…………」
綴理「でも、それだけじゃなかった。いつの間にか、ボクたち2人でやって来たスクールアイドルのきらめきが、フィギュアスケートに映りこんでいたんだね」
さやか「っ……はい!」
綴理「キミのわがままを聞こう」
さやか「……フィギュアも、スクールアイドルも、やめません。あなたと、ここで、アイスショーです」
綴理「わかった。リンクに立つのなんて初めてなのに不思議なんだけどさ。ボク、今なら―――」
さやか「―――凄いことが、できそうですね!」
そして始まった、2人のライブ。氷の上で踊るその様子は比喩でも何でも無く、まさに氷上の妖精だった。
そしてライブが終わり、
さやか「皆さん、ありがとうございます!!わたし、フィギュアもスクールアイドルも、両方頑張って、凄い人になるので!これから大会とか、スケジュール融通利かせてくださーい!」
綴理「……わぁ、凄いわがままだ」
さやか「もっとわがままになって良いんだって言ったのは、夕霧先輩ですよ?」
綴理「……綴理でいいよ」
さやか「え?」
綴理「苗字はいちいち呼ばなくていい」
さやか「えっ……いや、それは」
綴理「ダメ?」
さやか「分かりました……照れくさいですけど…綴理先輩!」
綴理「先輩……要る?」
さやか「さすがに要ります!!」
綴理「………ふ、そっか」
すると、
つかさ「凄かったねー」
さやか「お姉ちゃん!」
綴理「お姉ちゃん」
つかさ「はいはーい!お姉ちゃんでーす!」
さやか「綴理先輩にお姉ちゃんって言われたことに突っ込みなよ……」
つかさ「2人共、凄かったね……また元気貰っちゃった!」
綴理「ありがと。ボクも見たよ?キミの動画」
つかさ「昔の?ちょっと照れるなー。あははー」
さやか「初対面の会話のテンポじゃない……」
つかさ「あのさ……ありがとね!すごいパフォーマンスだった。……こんな事言うとあれだけど……2人を見ててわたし、もう一度滑ってみようかなと思った!!」
さやか「えっ?でも……」
つかさ「リハビリ重ねてー……アイスダンスに転向しようかなって。今日の2人を見てたら、それもすっごくいいなって!」
さやか「お姉ちゃん……!うん、応援するよ、わたし!」
綴理「アイスダンスって、2人でやるやつだよね?」
つかさ「そう!だから本当に……あなたたちに負けないくらいの選手になりたいって、そう思えたんだー」
綴理「そっか。ボクたちも頑張らないとだ」
さやか「はい。頑張りたいから、頑張りますよ?」
綴理「ん」
つかさ「ふふっ。本当に……良い人たちに会えたね、さやか」
さやか「うん!…ん?たち?ッ!!お姉ちゃん!!」
つかさ「ごめんごめん!それじゃあ、わたしみんなに伝えてくる!もう一度、復帰目指して頑張るって!!アイスダンスでーーあなたたちに負けないくらいのステージを作る!」
綴理「おー」
さやか「気が早いんだから……」
つかさ「あ、そうだ!」
さやか「?」
つかさ「あなたたちのことも……これから応援したいなって。良かったら、ユニットの名前教えてほしいな」
綴理「ボクたちの名前は―――」
綴理・さやか「「
そして、綴理とさやかちゃんは和解し、ステージは大成功で幕を閉じた。
ー つづく ー
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