蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第141話:最後の思い出(スリーズブーケ)

翌日、女子寮の梢の部屋。俺も寮母さんに許可をもらって部屋にお邪魔していた。

 

花帆「それでは、どこにいきましょうか、梢センパイ、淳兄ぃ!」

 

吟子「卒業アルバムに残すための写真を撮りに行く、ですよね」

 

花帆「そうじゃないよ、吟子ちゃん!」

 

吟子「ええっ?そういう話だったでしょ?」

 

花帆の言葉に戸惑う吟子ちゃん。すると―――、

 

花帆「梢センパイと淳兄ぃがアルバムを振り返ったときに、もう楽しくて楽しくて仕方なくて、おひさま色の笑顔になっちゃうような写真を、撮りに行くんだよ!」

 

吟子「言い方を変えただけ!」

 

花帆「意気込みだよ!」

 

あはは……まったく花帆は……。

 

梢「なんだか、私よりも花帆のほうがいっぱいやりたいことがありそうね」

 

淳平「まあ花帆らしいけどな」

 

梢「そうね」

 

花帆「どういう意味ですか〜!そうですね。例えばアタシのやりたいことは、『乙宗梢・日野下淳平:三十六景』とか……」

 

梢「なにそれ」

 

花帆「日本各地、津々浦々の名所をバックに、雅やかな梢センパイと、カッコいい淳兄ぃを写真に収めるんです。そうすればほら、日本全国のどこにいっても、梢センパイと淳兄ぃとの思い出が胸に蘇ってきて…………!」

 

淳平「スケールでけぇな……………」

 

俺と梢が若干引いてると、

 

吟子「………ええかもしれん」

 

淳平「ええ!?」

 

あの吟子ちゃんまで!?

 

梢「吟子さんまで」

 

――だが、

 

花帆「はっ、でも違いますよ。これは梢センパイたちのやりたいことを叶えるための写真撮影ツアーなんですから!」

 

花帆「あたしのわがままはいつも叶えてもらっているんですから!きょうからは、梢センパイたちのやりたいことをやりましょう!」

 

ふむ………。

 

梢「そうね。日本全国よりは、少しスケールダウンしちゃうかもしれないけれど」

 

花帆「本州ですか!?北陸ですか!?」

 

梢・淳平「「蓮ノ空で写真を撮りたいな(わね)」」

 

花帆「えっ?」

 

 

そして、まずは部室に向かうスリーズブーケ+俺の一行。

 

 

― 部室 ―

 

花帆「えっと………。吟子ちゃん、もしかして南の島とかに『ハスノソーラ』っていうリゾートがあったりしないよね……?」

 

吟子「ないと思うけど………。でも、いいのかな。お出かけとかじゃなくて」

 

梢「それじゃあ、まずは部室で撮ってもらえる?」

 

淳平「まずは俺と梢のツーショットで頼む」

 

花帆「あ、はい。もちろん!」

 

そして俺と梢のツーショットを写真に収め、

 

梢「ほら、今度は花帆や、吟子さんも一緒に」

 

吟子「は、はい。あ、でも。先輩方とこういう日常生活を撮る機会って、意外と少なかったかも………?」

 

花帆「言われてみれば、確かに!」

 

梢「そうなのよね。同学年同士で撮ったりしているのはよく見るのだけれど、吟子さんが私に『写真撮りましょう』と言ってきたりは、しないでしょう?」

 

淳平「右に同じ」

 

吟子「うっ。それはなんだか、恐れ多かったので………」

 

梢「もう」

 

花帆「じゃあ、さんにんとも、はいチーズ!」

 

そして何枚か撮ったあと最後に俺と梢、吟子ちゃんの3人の写真を収めた。

 

梢「部室は、こんなところかしら」

 

淳平「だな」

 

吟子「もういいんですか?」

 

淳平「ひとまずは、な。それじゃあ、次は廊下で撮るか」

 

梢「そうね」

 

花帆「もしかして………ほんとに、蓮ノ空ぜんぶ撮るんですか!?」

 

梢「ええ。制服だけじゃなくて、練習着姿も」

 

淳平「それに、学校の周りだってな」

 

梢「私たちの3年間が満たされていたのは、蓮ノ空のおかげよ。だから、朝も昼も夕暮れも。そのすべてを、収めておきたいの。もちろん……誰よりも大切な、あなたたちと一緒に、ね」

 

花帆・吟子「「はい!」」

 

そして校舎を周り時刻は夕方になってしまった。今は3年生の俺たちの教室に来ていた。

 

花帆「はい、チーズ!」

 

カシャ!

 

花帆「はぁ…………。窓の外を眺める梢センパイたちも、絵になりますねぇ〜……………」

 

淳平「はは、ありがと花帆」

 

吟子「あ、ほら。じゃあ花帆先輩も、隣に座ってみたら?」

 

花帆「でもここ、三年生の教室だよ?」

 

吟子「いいからいいから。梢先輩の隣に花帆先輩。その前に私と淳平先輩が隣で座るから」

 

梢「ええ。いいわよ」

 

淳平「いらっしゃい」

 

花帆「えへへ。それでは失礼して……」

 

席に座る花帆

 

花帆「こうしてると、まるでクラスメイトみたいですね」

 

梢「そうね。もう、花帆。また教科書忘れたの?」

 

花帆「うぇっ?」

 

吟子「ふふっ」

 

梢「仕方ないわね……見せてあげるから、ほら」

 

花帆「ありがと梢ちゃん!大好き!」

 

吟子「じゃあ、私も失礼して……」

 

よし、

 

俺は机に突っ伏して寝るふりをする。

 

吟子「も、もう、淳平も……居眠りなんかして……。花帆も梢に頼り切ってちゃダメだよ……?」

 

花帆「んんー?」

 

梢「吟子。なにか言った?」

 

淳平 ムクリ「ん、悪い吟子」

 

吟子「もう!そ、そんなんじゃ花帆、梢が卒業しちゃったら、どうするの!」

 

花帆「えー?あたしと梢ちゃんと吟子ちゃんと淳平は、同学年だもーん。みんなで一緒に卒業するんだよ〜?」

 

梢「ふふ、そうね。花帆、吟子、淳」

 

吟子「だからって、いつまでも梢に甘えてちゃ」

 

花帆「いいんだよ。あたしは、いつまでも梢ちゃんと吟子ちゃんと淳平に、甘えるんだもん〜」

 

すると、花帆の顔が暗くなり――、

 

花帆「………いつまでも」

 

淳平「……………」

 

梢「さ。きょうはこんなところかしら。さんにんとも、付き合ってくれてありがとうね」

 

吟子「あ、いえ、そんな。こちらこそです」

 

梢「もしこんな風にあなたたちと一緒に授業を受けることができたら、きっと楽しかったでしょうね」

 

吟子「はい。私も、そう思います。梢先輩と淳平先輩が同学年だったら、なんだか自信なくしちゃいそうですけど」

 

梢「なにを言っているの。私のほうこそ、強力なライバルの出現に、気を引き締めなくっちゃいけなくなるわ」

 

淳平「吟子ちゃんは初期の梢ほどではなさそうかな〜」

 

梢「もう!」

 

淳平「悪い悪い……」

 

吟子「……………花帆先輩は」

 

梢「そうね、花帆は」

 

淳平「あんまり、変わらないかもな」

 

花帆「………え?」

 

梢「ええ。きっと今と同じように、仲良くなれたでしょうね」

 

花帆「梢センパイ………。もう、それどういう意味ですか〜?」

 

吟子「誰とでも仲良くなれて、羨ましいな〜、って話です」

 

梢「そうそう。私たちは、少し人見知りしてしまうから。憧れだわ」

 

花帆「えへへ。入学初日から声をかけて、大親友になっちゃうんですからね〜?」

 

吟子「あはは」

 

花帆「あはは」

 

梢「ふふっ」

 

淳平「ははっ」

 

梢「……ねえ。日本全国を、というわけにはいかないけれど。明日から、どうかしら。なるべく、金沢の名所を、回ってみる?」

 

花帆「え!?いいんですか!?」

 

梢「ただし、『乙宗梢・日野下淳平:三十六景』はだめよ?『スリーズブーケ(&日野下淳平)三十六景』なら、喜んで付き合うわ」

 

花帆「! はい!吟子ちゃん、金沢の名所だって!」

 

吟子「う、うん!任せて!きょうの夜には、リストアップしとくね!」

 

花帆「わーい!明日からも、お出かけだ〜!」

 

喜ぶ花帆。その様子を見ていた俺たちは、

 

吟子「……………でも、あの、梢先輩、淳平先輩。それって、花帆先輩のために…………?」

 

淳平「違うよ」

 

梢「あくまでも、私たちのためよ。私たちは………花帆の笑顔が、大好きなの」

 

淳平「ああ……」

 

吟子「……………それは。わかります。だって、私もですから」

 

梢「やっぱり私たち、いいお友達になれたかもしれないわね」

 

淳平「うん」

 

吟子「今からでも遅くありませんよ。……………梢、淳平」

 

梢「ふふっ、吟子。楽しいお出かけにしましょうね」

 

吟子「はい!」

 

淳平「俺は……明日はさやかちゃん達と約束してるから行けないけど、楽しんできてな?」

 

吟子「はい!」

 

梢「あら、残念。でも仕方ないわね。私たちで独り占めなんかしたら怒られちゃうし」

 

花帆「〜〜♪」

 

― つづく ―




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