1年生たちが編集してくれた俺たちのライブ動画を見終わった俺たちは―――、
綴理「ん、ありがと」
梢「素晴らしい、催しだったわ」
慈「すごく心に響いたよ☆」
淳平「うん」
吟子「ありがとうございます。そう言っていただけると……」
俺達が話していると、花帆が手を挙げて……、
花帆「あの、さ」
さやか「はい」
花帆「なんか………あたしの出番多くなかった?」
そう。普通であれば、3年生に送る動画で花帆単独の出番が多かったのだ。
――だが、
さやか「それは、そうでしょう。わたしたちの軌跡をなぞったら、あなたの果たした役割は大きすぎます」
花帆「ええっ!?」
驚く花帆。
さやか「……………と言いつつ。実は、あなたに見てもらいたかったのは、それです」
小鈴「徒町は、《DEEPNESS》がどうして今の形になったのかを聞いて………本当に感動しました」
吟子「私はあのオープンキャンパスで降り出した雨の中、これからどうするんだろうって不安だった。でも、綺麗な傘の空は、私たちの不安も晴らしてくれた」
姫芽「……ね、かほせんぱい。アタシ……繋がる力がなかったら、ここに居ることすらできなかったんですよ。ゲームでの一芸入試ができたのは、去年のかほせんぱいたちの活躍によるものだったんですから」
花帆「つ――」
さやか「分かりますか、花帆さん。――あなたがこれまで、どんなに落ち込んでも立ち上がってきた………諦めなかったおかげで、広がったこの未来が」
瑠璃乃「きっと、瑞河の子たちだってそうだよ。花帆ちゃんが諦めなかったから、あの子たちは最後に笑ってステージに立てた」
吟子「………あたしは。……私たちはただ、花帆先輩に、自分には何もできないって思ってほしくないだけ」
小鈴「今も、これからも、花帆先輩の気持ちを、塞ぎこまずに全力で叩きつけてほしいです!」
姫芽「それが、かほせんぱいにもらったものに対する、恩返しかなって」
花帆「うん。……うん」
皆の言葉に、花帆は涙を流しながら頷く。
瑠璃乃「これまで花帆ちゃんは、たっくさんのことを頑張ってきたよ。どんなにつらいことがあっても、どんなに難しいことがあっても」
瑠璃乃「だから………これからだって、もっともっと頑張れるはず。そう思って……ちょっと一年生と相談して、手を加えさせてもらったんだ」
梢「ふふ。まったく……突然、先輩たちに贈る映像に、ちょっと花帆ちゃんへの励ましを入れていいですか……ですもの」
慈「ダメなわけないじゃんね」
綴理「今まで、さんざんかほに励ましてもらってきたんだから」
淳平「俺だって、花帆の明るさには何度も助けられてきたんだからさ?」
花帆「あ……うう……………みんな………!ありがとう!センパイたちも、本当にありがとうございます!」
花帆はここで笑顔を浮かべて頭を下げる。
吟子「花帆先輩?」
花帆「そうだね……分かったよ!あたしがこれまでやってこられたこと………!やりたいと思って、乗り越えてきたこと……全部全部、どうにかしたいって思ったことを……ひっくり返してきたこと!」
花帆「うん……この気持ちだ。温かくて、強く、やりたいって言葉が、うるさいくらいに………!」
花帆「梢センパイ、淳兄ぃ!!」
梢・淳平「「花帆?」」
花帆「綴理センパイ!慈センパイも!」
慈「どしたの、花帆ちゃん」
綴理「なにか面白いことかな」
何かまた思いついたのかな?
花帆「まず………聞かせてください!」
花帆「またいつか、ライブしたいですか!」
梢・綴理・慈・淳平「「「「!」」」」
俺たち四人の顔が暗くなる。
梢「それは………でも」
花帆「あ………………良かった。その顔が見られたら十分です!!」
淳平「花帆、なにをするつもりだ?」
花帆「さやかちゃん、瑠璃乃ちゃん、アルバムだよ!」
さやか「えっ?」
瑠璃乃「でも花帆ちゃん、アルバムは最後の調整がまだ完了してなくて――!」
花帆「うん!だからいいの!諦めない、仕方ないで終わらせない、新しい未来……………!」
花帆はアルバムをめくり、最後のページにMagicで何かを書き始めた。
花帆「センパイたちがスクールアイドルじゃなくなって、もう一緒にライブができないって言うんなら!それを……あたしは、変えたい!」
花帆「できた!!」
――そこに書かれていたのは、
さやか・瑠璃乃・梢・綴理・慈・淳平・吟子・小鈴・姫芽『“いつかまた、みんなで………”!?」
花帆「そう!!確かに……センパイたちは卒業する。卒業したら、スクールアイドルじゃなくなる……のかもしれないけど!」
花帆「でもさ!なりたいと思ったらなれるのがスクールアイドルなら、センパイたちがなりたいと思ってくれたら、その時は……センパイたちは、その時だけは……スクールアイドルに戻れるんじゃないかって!」
花帆「ううん、戻れるんだ!戻れるんだって、言いたい!」
花帆「――だから!このアルバムの空白、最後のページには、未来の写真を入れるんです!」
花帆「戻ってきて、そしてまたライブをしたときに!一緒に撮りましょう!」
はあ。コイツは………こんなに、大きくなってたんだな。
梢「きれいにお別れしようと、思ったのに」
淳平「………最後の最後まで」
綴理「かほは、ずっとかほだね。出会った時からずっと、かほのまま。……でもこんなに、大きくなった」
梢「………そうね。花帆」
花帆「あたしのわがままでしかないけど……!どうでしょうか!」
慈「卒業してもスクールアイドル、ね」
綴理「なりたいと思ったら、いつだって、戻れる……………」
梢「つまりこれは」
花帆「はい!願えば、叶います!必ず!」
梢「まるで夢みたいな話だわ」
花帆「そうですよ!夢を叶えるのが、スクールアイドルですから!」
淳平「そうだな。ずっと、そうしてきたもんな。梢」
梢「わかりました。戻ってくるわ。“いつかまた”、みんなで、ライブをやりましょう」
花帆「――!やっ、たああああああああ〜!」
瑠璃乃「花帆ちゃん!」
さやか「花帆さん!」
姫芽「いや〜。かほせんぱいはわがままだって言いましたけど。こんなの、嬉しいわがままに決まってますよね〜」
小鈴「姫芽ちゃんだけじゃないよ!徒町も!」
吟子「うん。ありがとう、花帆先輩」
花帆「またライブをやりたいか聞いた時のセンパイたちの……やりたいけど、でも、って顔を見て、あたし気付いたんだ。あたしは、そんな顔をした人を、みんなみんな花咲かせたいんだって!」
花帆「あたしのやりたいことは、スクールアイドルができない人でも、スクールアイドルがやれる場所!スクールアイドルをやりたいと思った人なら、だれでも花咲ける場所を作りたい!!」
瑠璃乃「こずこずセンパイとまた一緒にライブしたいだけじゃなくて〜?」
花帆「それももちろんあるけど〜〜!でも、まだまだやりたいんだったら、やればいいじゃん!寂しいからって諦めること、ないんだよ!」
花帆「決まったことだって、みんなが願えば変えられる。それって、ここにいるみんなと一緒だったから、できたことだったんだよ!」
花帆「またやろうよ、みんな!新しいステージ……みんなが花咲ける、新しい夢の舞台を!作ろうよ!」
瑠璃乃「どう、めぐちゃん、ジュン兄ぃ?」
慈「たまに戻ってきてちゃちゃっとライブやるだけかなーって思ったら、ずいぶん大きな話になってきたねえ。でも、ま、めぐちゃんの凱旋ライブとなれば、それぐらいでっかい舞台じゃないとね」
瑠璃乃「ふふふっ、うん………嬉しいよ、ルリも」
すると、さやかちゃんと、ルリちゃんはアルバムを手に持ち、
瑠璃乃「それでこれが……はい。ルリからの、アルバム」
慈「ありがと、るりちゃん。大切にするね」
瑠璃乃「ん!」
綴理「ねえ、さや」
さやか「なんでしょう、綴理先輩」
綴理「さやは、ボクが戻ってきたら、嬉しい?」
さやか「………そんな当たり前のことに、答えなきゃだめですか?」
綴理「答えてほしいな」
さやか「綴理先輩を応援してくれた人も全員、喜ぶと思います。………その中でもわたしが、いちばん喜ぶかもしれませんが」
綴理「ふふ。アルバム、ありがとう」
さやか「はい」
綴理「毎日見るね」
さやか「は、はい。さて―――瑠璃乃さん、花帆さん」
花帆・瑠璃乃「「うん!」」
3人は、残っていた一冊のアルバムを手に取る。
花帆「淳兄ぃ、これ、アタシたちから!」
さやか「淳平先輩、3年間お疲れ様でした!」
瑠璃乃「ルリたちは、これからもジュン兄ぃの事大好きだから!」
淳平「………うん、ありがとう!大切にするよ!」
――すると、
花帆「ねえみんな!あたし、今この気持ちを、歌にしたい!」
花帆「みんなで作ろう!また会おうね、って約束の歌を!それをセンパイたちに贈るの!」
さやか「みんなって………………三年生も一緒にですか!?」
瑠璃乃「本末転倒じゃね!?贈るんでしょ!?」
花帆「でも、みんなで作るんだよ!だって、みんなの曲なんだもん!」
綴理「ん。作ろう」
慈「人使い荒い後輩ちゃんだなぁ、もう」
淳平「花帆らしいけどな」
梢「もう驚き尽くしたと思ったのに。それが花帆だものね」
吟子「すごい人です」
姫芽「せんぱい方と、まだ共同作業できるんですね〜!」
小鈴「がんばります!104期最後の曲ですもんね!」
花帆「うん!いつかまた、みんなで!そんな、104期最後で……最高の曲を、作りましょう!」
その後、下校して寮に戻る途中、
淳平「まったく、すごいことになったな」
慈「ほんとだよ」
綴理「楽しいこと、また増えちゃったね」
梢「……………ねえ、3人とも。10人で曲を作ることが決まったばかりなのに、この期に及んでさらにタスクを増やそうとするのは、忍びないのだけれど」
綴理・慈・淳平「「「ふふっ」」」
梢「………さ、さんにんとも?」
慈「わかってるわかってる。"Dream Believers."のことでしょ」
梢「う」
綴理「あの時は、あれが一番良いと思ったんだ。でも、今の気持ちはそうじゃない。そうだよね?ふふ、一緒だ」
淳平「当然、かなり力を入れたし、これまでのスクールアイドルクラブの先輩たちも喜んでくれるようなものにはした。でも、それだけじゃ足りなくなったからな!」
梢「その通りだわ。だから……。もう一度、作り直しましょう。今度こそ、私たちが後輩に遺すにふさわしい、Dream Believersを」
綴理「うん、やろう」
淳平「よし!」
慈「よっしゃ、やってやろうじゃん!にしても、一年の頃の梢だったら、真っ先に『時間がないんだから無理よ』なんて言いそうだったのに」
淳平「誰の影響だろうな?」
綴理「かほの影響だね」
梢「そんなこと…………いいえ、そうかもしれないわね。だからこそ、私たちが彼女たちからもらったものを、ちゃんと、歌に込めて贈りたい」
綴理「うん。『見守ってるよ』だけじゃない」
淳平「『ありがとう』そして、『またいつか』の曲」
慈「あの子たちの曲も、私たちの贈る曲も、完璧に仕上げて!私たちが最強の世代だと、蓮ノ空に刻んじゃおう!」
綴理「さいきょーの蓮華祭を作ろうね」
梢「がんばりましょう。最後のライブを」
淳平「最後じゃないんだろ?」
梢「…………そうね。じゃあ、改めて言うわ。未来へと続く約束のステージ。104期スクールアイドルクラブ、最高のライブを、がんばりましょう」
綴理・慈・淳平「「おーー!」」
― つづく ―
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