蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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EXストーリー第6話:次の世代は…

 

 

 "Bloom Garden Party"を明後日に控えた蓮ノ空学院。今年度最後の授業が終わり、2年生の教室では…。

 

泉「やあ、揃っているね」

 

 泉が吟子、小鈴、姫芽に話しかける。揃うまで待っていた事が伺えた。

 

吟子「泉が、放課後待っててほしいって言うから」

 

泉「ああ。ちょっと3人と話したいことがあってね」

 

小鈴「話したいことって?」

 

 改まる泉に、小鈴が首をかしげる。

 

泉「次期部長の件だ」

 

姫芽「あ〜……そういえば今まで何度か話に出てたけど、"Bloom Garden Party"があるからって、ずっと後回しにしてたねぇ〜」

 

泉「うん。先輩たちが卒業した後に改めて話してもいいんだが……、一度コンセンサスは取っておきたくてね」

 

小鈴「先輩たちが卒業したら、小四辺形の誰かが部長になるんだもんね。先輩たちが、卒業したら……」

 

 暗い顔になり、今にも泣きそうになる小鈴。

 

姫芽「……こらこら、しんみりしない〜」

 

小鈴「ご、ごめんね」

 

吟子「次期部長、ね。去年みたいにするんだったら、一応は先輩からの推薦、って形になるのかな?」

 

泉「そこでだ」

 

セラス「話は聞かせてもらいました! 実はここに、7枚の推薦書があります」

 

小鈴「推薦書…………!? 7枚!」

 

吟子「……大三角と太陽の先輩たちにも貰ったの?」

 

泉「ああ。あの4人はいまの部員に任せるべきだと言ってたけどね……スクールアイドルクラブにあの4人は外せないだろ?」

 

吟子「まあね……」

 

セラス「あらかじめわたしと泉で、先輩方とお話をして、次期部長に誰を推薦するか、書いてもらったのです」

 

吟子「い、いつの間に……!?」

 

姫芽「いずみんも〜?」

 

泉「私は、もとから部長になるつもりはなかったからね。辞退させてもらうついでに、お話を聞いてきたのさ」

 

小鈴「ふぇ? そうなの?」

 

姫芽「蓮ノ空では一年後輩だから〜、とかは気にしなくていいんじゃない〜?」

 

泉「それはもちろんあるけれど、どちらかというとこれは私の勝手な都合かな。来年、私はソロで活動する。自身の心と向き合って、スクールアイドルに心血を注ぐつもりだ。だから、部長としてみんなをまとめるのは、少し荷が重くてね」

 

小鈴「なるほど……! そういうことなら、徒町はもちろん応援するよ!」

 

姫芽「どちらかというと、いずみんのそれは、覚悟って感じだね〜」

 

泉「そうだね。自分への言い訳は、なるべく断ち切っておこうと思ってさ」

 

吟子「泉はわかったけど、なんでセラスがメッセンジャーに……?」

 

セラス「なに言ってるんですか、吟子先輩。来年の部長ですよ? 部長と言えばスクールアイドルクラブの代表。つまり、もっとも後輩から慕われている人格者……」

 

小鈴「うん………………うん?」

 

セラス「唯一の後輩であるこの、セラス・柳田・リリエンフェルトが、いちばんの決定権を有すると言っても過言ではない! ということですよ! ほらほら、部長になりたくば、わたしのご機嫌を取ってください! わたしを存分に甘やかしてください! さあ!」

 

 

吟子「……先輩方からの推薦状をまず見よっか」

 

姫芽「そだね」

 

セラス「ああっ」

 

小鈴「先輩たちからの推薦は……なんと……!」

 

姫芽「小鈴さん、すず。吟子ちゃん、吟子さん。姫芽、姫芽ちゃん!」

 

吟子「ぜんぶユニットの後輩! 先輩たち親バカなん!? って、あれ? 淳平先輩のは?」

 

泉「ああ、淳平からは要望があってね。部長が決まったあとでお楽しみで見てくれと。たぶん何も言わなくてもそうなると思うと言ってたよ?」

 

吟子「むむ…」

 

姫芽「お〜…」

 

泉「まあ、触れ合う時間が長いということは、 それだけ良い面を知っているということだからね。淳平も、1年とはいえみんなの事を本当によく見てくれていたんじゃないかな? でも、大三角と太陽や三連華の先輩たちは、私たちの意見よりも、今いるメンバーで話し合って決めてもらいたい。ようだったよ? ちなみに、部長はひとりに限らなくてもいい、とは言っていたね。ふたりでも、あるいは3人でも」

 

姫芽「トリプル部長はさすがに、今となんも変わらないっていうか〜」

 

泉「正直私は、あなたたちのうち誰が部長になったとしても、異存はないかな」

 

セラス「……つまり、わたしでも…!?」

 

泉「そんなわけないだろう」

 

 泉が真顔で言い放つ。

 

セラス「がーん」

 

泉「どうせあなたは、待っててもそのうち部長になるんだから……。転校生でもやってこない限りは」

 

小鈴「……泉ちゃんは、部長になるつもりがない、んだよね?」

 

泉「ああ、さっき言った通りだ」

 

小鈴「だったら徒町も、推薦したいひとがいて、さ」

 

泉「ほう?」

 

小鈴「姫芽ちゃん!」

 

姫芽「おおっ?」

 

小鈴「と、吟子ちゃん!」

 

吟子「私も?」

 

小鈴「うん。やっぱりふたりとも出会った頃からすごく成長してるなって思ったし、姫芽ちゃんも吟子ちゃんも、自分で開いたイベントを大成功させたでしょ?」

 

小鈴「あれを見たときから、なんとなくね、ふたりが部長になってくれたらいいなって、徒町は思ってたんだ」

 

吟子「イベントを成功させたのは、小鈴もだと思うけど…」

 

姫芽「………………でもね、小鈴ちゃん。それを言うなら、アタシにも考えがあるよ〜? 実はアタシも、この子が部長になってくれたらいいな〜って、思ってる子がいてさ」

 

小鈴「え、誰々!?」

 

姫芽「ん〜。でもまあ、プレッシャーになるといけないからね。自分から『やりたい』って言ってくれるのを待ってる、みたいな〜」

 

泉「……なるほどね」

 

泉「さて、それじゃあ吟子さんは?」

 

小鈴「吟子ちゃん?」

 

吟子「私、やっぱり今はちょっと、考えてる余裕ないかも。"Bloom Garden Party"が目前で、オープニングライブの準備をしたり、アルバムツリーを作るのも楽しいけど。……………部長を決めるってことは、時を未来に進めるってことだから」

 

小鈴「あ」

 

泉「……………確かに、そうだったかもしれない。先人たちに託されたものを抱きしめて、来年へと繋ぐ。それは言わば、別離のその先の話だ」

 

小鈴「うう………」

 

姫芽「ん、そっか…………今は、先輩たちとのかけがえのない今を、悔いなく楽しまなくちゃって、思っちゃうのは仕方ないよね〜……」

 

泉「じゃあ、この話はまた今度にしておこうか」

 

小鈴「……………ね! これからさやか先輩と一緒に、ごはんの準備をするんだけど、よかったらみんなも一緒にどうかな?」

 

吟子「あ、そうなんだ?」

 

姫芽「12人分〜? 大変だね〜。手伝おうよ〜」

 

泉「私たちもお邪魔させてもらおうか、 セラス」

 

セラス「……うん」

 

泉「みんなに発破をかけるつもりだったんだけど、 あまりうまくいかなかったかな」

 

セラス「……………うん。でも、仕方ないよ。先輩方にとっては、それだけ大事なことなんだから」

 

泉「…………さて、このメンバーから、誰か立候補する人は出てきてくれるのかな」

 

セラス「……大丈夫だよ! もし誰もいなかったそのときは、わたしがやるから!」

 

泉「その気持ちは、ありがたく受け取っておくよ」

 

セラス「ん!」

 

 

 

― つづく ―




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