部室から飛び出した小鈴を追いかけてきた2年生4人とセラス。
見失わない様に必死に追いかけ、蓮ノ湖の湖畔に来ていた。
吟子「小鈴ー!」
セラス「小鈴先輩ー!」
姫芽「小鈴ちゃん!」
泉「…あ、いた!」
泉の声にそちらを振り向くみんな。そちらには、備え付けのベンチに小鈴が座っていた。
小鈴「あ、みんな…………」
淳平「えっと……みんなは…!」
辺りを見回して5人を見つけた淳平。遠くで足を止めて、話には加わらない形でみんなを見守ろうと、5人が見えて会話が聞こえる位置の茂みに隠れた。
小鈴「ご、ごめんね、変に飛び出して。みんなびっくりしちゃったよね」
泉「あなたにびっくりさせられるのは、いつものことさ」
小鈴「そ、それは褒められてるのかなぁ。あはは…よく、わかんないや」
苦笑する小鈴ちゃん。だが、明らかに空元気で顔は暗い。
小鈴「すぐ戻るから、先に行っててくれないかな。徒町、ちょっと気が動転しちゃったというか、やっぱり先輩たちに出会ってくれてありがとうなんて言われたら、ほんとうに、ほんとうにもう終わりなんだなって思っちゃったってやり返さいうか……」
セラス「小鈴先輩……………」
小鈴「ご、ごめんね、勝手に出るの、困っちゃうねえ。なかなか、その、止めるチャレンジ、うまくいかなくて」
吟子「……いいよ、小鈴」
小鈴「ふえ」
吟子「いいよ。今は何を言ったって先輩たちを困らせたりしない。吐き出すものは全部吐き出して。涙は、そのうち勝手に止まるから」
小鈴「…………ごめん」
吟子「謝らなくていいよ。先に戻れなんて言わずに、話してくれれば」
小鈴「………………何度もね。がんばったんだ。アルバムを作るための写真を集めてる時も。先輩たちが卒業って言葉を口にした時も。…………一緒に最後の思い出写真を撮ろうって言われた時も」
小鈴「乗り越えなきゃって。何度も何度も、思ったんだぁ…」
小鈴ちゃんの目から、ボロボロと涙がこぼれ落ちる。
淳平(……………)
その様子を、淳平は茂みに隠れながら聞いていた。
小鈴「でもダメなんだ……。どうしたってダメなんだ!! さやか先輩がいなくなることが、本当にいやだ!!」
小鈴「がんばったって笑えない! 卒業はお祝いするものなのに!! 『嫌だ』って気持ちしか出てこない!!」
小鈴「徒町には、さやか先輩の卒業をおめでとうって思う気持ちなんて、どこにもないんだ!!!」
姫芽「……………」
小鈴「もう一度、もう一度一年生になりたい! やり直したい!! 春の桜が咲くのと一緒に!!」
吟子「………」
小鈴「徒町は、ここでいかだを作って!! もう一度、先輩たちと会うところからやり直したい!!」
小鈴「……無理だよお」
涙でグシャグシャになる小鈴ちゃんの顔。淳平は出ていきそうになるが、ぐっと堪える。
小鈴「DOLLCHESTRAは……かっこよくて、すごいユニットなんだ……。綴理先輩と、さやか先輩が、ふたりで、ほんとうに、ほんとうにあこがれた……」
小鈴「徒町がひとり残ってどうしろって、いうんだ……」
姫芽「小鈴ちゃん……。そうだね…そうだよね……。大好きで入ったユニットを……背負うことになる……」
吟子「私だって、寂しいけど……! 私たちはそれでも、受け継いで、進んでいかなきゃ、いけなくて………」
小鈴「わかってる…わかってるんだ……。でも……つらいよぉ……。時間…、止まらないよぉ……」
そんな小鈴を見つめる4人。
淳平(…………)
―――すると、
セラス「小鈴先輩! わたしも、寂しいです………!」
セラスちゃんが、口を開いた。
セラス「病院から先に退院しちゃったときみたいに……また先に、花ちゃんがいなくなっちゃう……。さやか先輩とも、瑠璃乃先輩とも、この一年で、すごく仲良くなれて……! なのに、別れなきゃいけなくて……つらいです……」
小鈴「セラス、ちゃん……………」
セラス「先輩たちのやり取り、ずっと大好きで……。ずっとずっと、ユニットの仲良い姿も、見てたくって………」
セラス「だけど! わたしは……小鈴先輩が一年生に戻るのは、嫌です! だってわたしだって、小鈴先輩のこと、大好きだから!」
セラス「小鈴先輩とも、未来に向かいたいって、思ってるから……!」
小鈴「未来……」
セラス「Edel Noteだって、今年いっぱいで解散です……!でも、だけど! 来年からはまた、楽しいことがいっぱいいっぱい、待ってるんだって!そう、思いたいです……わたしは……!」
ハッキリと言い切るセラスちゃん。だが、
セラス「でも、寂しい……。寂しいよ〜〜〜〜!!」
セラス「うわあああああああああん!!」
大声を上げて号泣するセラスちゃん。やれやれ……けど、感謝だな。
吟子「ちょ、ちょっと! なんであんたがいちばん泣くん!」
姫芽「いいこと言ってたのにぃ〜」
2人も、貰い泣きなのか涙ぐむ。
小鈴「ううう……セラスちゃん………」
小鈴「セラスちゃん〜〜〜…………!!」
セラス「小鈴先輩い〜〜〜!」
淳平(……大丈夫そうだな)
それを見届けた淳平は、何も言わずにそっとその場を立ち去り、部室へと戻った。
― つづく ―
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