蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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EXストーリー第9話:106期新部長!

 

 

 2年生と1年生を見届けた淳平は部室に戻ってきた。戻ったころには花帆たちは梢たちと話して気持ちの整理がついたようだった。

 

淳平「ただいま…」

 

慈「おかえり。どうだった?」

 

淳平「大丈夫。みんなホントにしっかりしてたよ。そろそろ戻ってくると思う」

 

 淳平がそう言うと、ドアの向こう側からみんなの話し声が聞こえてきた。

 

淳平「噂をすれば……」

 

 ガチャ!

 

 ドアが開き、みんなが入ってくる。

 

姫芽「戻りました〜」

 

吟子「ほら、小鈴」

 

小鈴「あ、あの、皆さま……ご心配を、おかけしましたぁ〜……」

 

 申し訳なさそうに頭を下げる小鈴ちゃん。けど、みんな気持ちは分かっていた。

 

さやか「……おかえりなさい」

 

小鈴「も、もう徒町は、大丈夫です! さっきは気持ちがワッて押し寄せてきちゃって……で、でも! ちゃんと、落ち着きましたので!」

 

小鈴「セラスちゃんと、みんなのおかげで………」

 

 うん。みんなに支えられながら頑張ってたよな。小鈴ちゃん。

 

吟子「うん……」

 

姫芽「がんばったよね、小鈴ちゃん」

 

小鈴「だってやっぱり……最後には、笑顔で見送りたいから……」

 

セラス「最後…………」

 

小鈴「あっ、だ、だめだよ、セラスちゃん! 笑顔、笑顔………」

 

 シュンとしたセラスちゃんに、慌てる小鈴ちゃん。

 

 ―――すると、

 

花帆「……さやかちゃん」

 

さやか「ええ」

 

花帆「瑠璃乃ちゃん」

 

瑠璃乃「うん」

 

 頷きあう3人。

 

淳平(ん………?)

 

花帆「あのね、小鈴ちゃん。それに吟子ちゃん、姫芽ちゃん。せっちゃん、泉ちゃん……」

 

花帆「あたしたちも、寂しいよ!!」

 

泉「え……?」

 

 花帆の口から出たのは、紛れも無く、3人の本心だった。

 

花帆「あたしも、みんなと離れたくない! ずっと一緒にいたい!」

 

さやか「わたしもですよ、小鈴さん。あなたが卒業するその瞬間まで、ずっと隣で見守っていたい。これは慰めではありません。わたしの本心です」

 

小鈴「さ、さやか先輩……………?」

 

瑠璃乃「ねえ、姫芽。ルリたち、無敵のコンビだったよね。この1年間、ほんとに楽しかった。だから、これからもそばにいたいって、本気で思ってる」

 

姫芽「るりちゃんせんぱい……。でも、だって……」

 

花帆「あたしたちも、センパイに話を聞いてもらってたんだ」

 

 花帆、さやか、るりちゃんの3人がそれぞれ梢、綴理、めぐを見る。

 

花帆「そんなことムリだとわかってても………でも、ほんとのことを押し殺したまま卒業しちゃったら、 きっと後悔するって……。そう、思ったから!」

 

梢「ええ」

 

淳平「寂しいときは寂しいって言えばいいよ。みんなは、俺たちと違って、天邪鬼じゃないんだから…」

 

綴理「ボクはいっぱい言ってたよ?」

 

梢「………どうしてふたりとも、私を見るのかしら」

 

淳平「高校生の時を思い出してみろ」

 

慈「ま、先輩だからって、一足先にオトナにならなくったっていいってこと」

 

小鈴「でも……でも、だけど……。先輩たちは、卒業しちゃう……」

 

吟子「…………あのさ。きれいだよね、アルバムツリー。花帆先輩が言ってくれた通り、ここには私たちの思い出が詰まってる。―――でもさ、やっぱりこれはまだ、完成じゃないよ」

 

花帆「えっ?」

 

吟子「だってこれが105期まで続く軌跡なら、私たちの105期はまだ終わってない。その総決算として、いちばん大事な――、"Bloom Garden Party"が残ってる」

 

花帆「あ」

 

吟子「みんなで作った"Bloom Garden Party"を大成功させて! そのときの気持ちを、感動を、情熱を、分かち合って……。そしてそれを、みんなで持って帰ろうよ!」

 

淳平「持って帰るって……、どういうこと?」

 

吟子「それは。このツリーに飾られた写真とその花を、それぞれが持ち帰るんです! アルバムツリーが私たちの思い出そのものなら、同じ樹から咲いた花を持つ私たちは、離れていても繋がってるって、きっとそう、思えるはずだから!」

 

さやか「離れていても…………」

 

小鈴「繋がってる…………」

 

吟子「うん。どこまでも広がる同じ空の下よりも、確かな証を……。いつだって、この手に……私たちの思い出を!」

 

泉「なるほど、そうか、そういうことか………」

 

姫芽「……だったら、まずはアルバムツリーを完成させなきゃ、だよね〜?」

 

セラス「"Bloom Garden Party"で、わたしたちの写真を…………!」

 

吟子「ううん、それだけじゃダメ。アルバムツリーを本当に完成させるために、まだ足りないことが、あるから」

 

淳平「足りないこと……?」

 

吟子「それは―――」

 

 そして、吟子ちゃんは意を決して口を開く。

 

吟子「106期スクールアイドルクラブ部長、百生吟子として、お願いします! 102期生の皆さんも、私たちと一緒に、ユニット楽曲を歌ってください!」

 

花帆「えっ――」

 

花帆&瑠璃乃&小鈴&セラス「「「「えーー!?」」」」

 

姫芽「待ってました〜!」

 

小鈴「ちょ、ちょっと待って! 吟子ちゃんが106期の部長になるの!?」

 

吟子「う、うん。……その話は、今は置いといて!」

 

小鈴「置いとくにしてはおっきすぎるよぉ!」

 

梢「ええと………。だとすると、私たちよね……」

 

慈「一度断ったつもりだけど……。このライブの主役は、在校生なんだから、って」

 

吟子「はい。ですが、それがアルバムツリーを完成させるためには必要なんです。私たちは最後にもう一度、先輩たちと一緒にユニットをしたい。その悔いを残したままじゃ、すべてを映したとは言えません」

 

吟子「――確かに、本来はお行儀のいいことではないのかもしれませんけど……。それでも、願えば未来は作れるんだって、変えられるんだって、そう教えてくださったのは、先輩方です。もしそれでも、まだ断られたら、そのときは……」

 

吟子「私は部長命令を使って、みなさんに、ユニットに参加してもらいますからね!!」

 

花帆「わあ!」

 

さやか「これは、なんという、ワガママ……」

 

瑠璃乃「やるう」

 

 うん。感心することなのかな?

 

吟子「部長はこういうものであると、先輩方に教えてもらいましたから!」

 

 おい、お前ら何教えたんだ……。

 

吟子「…………ね、小鈴。どうかな、これなら。ひとりきりのDOLLCHESTRAでも、独りじゃないって、そう思えるかな……?」

 

小鈴「あ……吟子、ちゃん……」

 

小鈴「うん! 徒町は、やりたいです! さやか先輩と、綴理先輩と、最後にもう一度、ステージに立ちたいです!」

 

小鈴「お願いします! 徒町からも、お願いします!」

 

姫芽「めぐちゃんせんぱい、るりちゃんせんぱい。3人でやりましょうよ〜! 最強のライブ、作っちゃいましょうよ〜!」

 

吟子「あ、あともう一つ」

 

梢「?」

 

吟子「"Bloom Garden Party"の大トリを飾る曲では、私たちだけでなく、淳平先輩にもステージで歌ってほしいです!」

 

淳平「え?」

 

 吟子ちゃんの言葉に、騒然となるみんな。だが、騒ぎになってるのは歓迎の意味だった。

 

花帆「それ良い! やろうよ淳兄ぃ!」

 

さやか「やりましょう淳平先輩!」

 

淳平「ちょっ、俺ぇ!? スクールアイドルの曲を踊ったことなんか練習指導でちょこっとしか無いんだぞ!?」

 

吟子「やはり、私たちの集大成に、先輩が居ないなんて嫌なんです。沙知先輩の卒業の時に、ちらっと歌ったことは聞いてます。ダンスも……淳平先輩ならきっと大丈夫です!」

 

淳平「ええ〜……」

 

 悩む淳平。正直断りたい。――けど、

 

小鈴「やりましょうよ淳平先輩!」

 

瑠璃乃「ジュン兄ぃ、ルリからもお願い!」

 

さやか「お願いします!」

 

梢「淳……どうするの?」

 

綴理「ワクワク……」

 

セラス「先輩方!わたしからも、お願いします。小鈴先輩と、吟子先輩と、姫芽先輩の、ために」

 

泉「……これが、新たな部長を含め、残された蓮ノ空生の総意なら、 断る道理はないはずだけどね?」

 

花帆「……淳兄ぃ!」

 

 ……ったく、

 

淳平「いいか? 梢、綴理、めぐ」

 

綴理「嬉しい」

 

慈「嫌なわけないじゃんね」

 

梢「…………今から急遽、もう一曲を覚えるのね。わかったわ、吟子部長。きっと、間に合わせてみせる」

 

吟子「つ!」

 

綴理「やろう、すず。もう一度、DOLLCHESTRAを」

 

小鈴「やっ……ったぁ―――!!」

 

慈「でもホントにいいの? みんなが私のことしか目に入らなくなっちゃうけど?」

 

姫芽「願ったりかなったりです! あ、いや! アタシだって負けないようにがんばりますよ〜!」

 

淳平「不安だ……」

 

泉「あなたなら、きっと大丈夫だと思うよ?」

 

セラス「私たちがみっちり指導してあげますから!」

 

吟子「……ということに、なりましたけど」

 

花帆「うん…………うん! これが吟子ちゃんの見せてくれた、最初の未来の形。あたし、今すっごく嬉しい!」

 

さやか「部長はその夢で、部員を引っ張っていけるひと……。でしたら、吟子さんは間違いなく、部長としてふさわしい」

 

瑠璃乃「またフォーメーション組み直しかー、キリキリ動かなきゃ、ね!」

 

姫芽「それだって楽しみのひとつですよ〜。ね〜? 吟子部長〜☆」

 

吟子「あ、うん…………」

 

吟子「っていうか、ほんとに今さらだけど……その、みんなは、ほんとに私が部長で………」

 

小鈴「来年もよろしくね、吟子部長!」

 

セラス「吟子部長! 就任おめでとうございまーす!」

 

泉「いやあお似合いだと思うよ本当に、吟子部長」

 

吟子「泉と姫芽は、なんだか含みがある気がする」

 

泉「おやおや」

 

姫芽「盛り上げていこうぜ〜、106期スクールアイドルクラブ〜☆」

 

吟子「まったくもう………」

 

花帆「ね、吟子ちゃん。それじゃあ、部長としての、初仕事、だよ」

 

さやか「ええ。皆さんに気合入れの言葉を、お願いします。吟子部長」

 

吟子「わ、わかりました……!」

 

 みんなで円陣を組む俺たち。

 

吟子「それじゃあ"Bloom Garden Party"に向けて、最後の大詰め、がんばっていきましょうね! イベントフィナーレの"Fes×LIVE"もみんなでぜったいに成功させて、そして……!」

 

吟子「アルバムツリーを、完成させましょう!!」

 

全員『お〜〜〜〜!!!』

 

― つづく ―




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