Edel Noteとみらくらぱーく!がそれぞれ話している頃、女子寮の共用キッチンでは……。
さやか「…………」
小鈴「わっとっと……おっとっと………よし、だいじょぶ。いっぱい練習したんだ……よし!」
小鈴「さやか先輩! できましたー!」
さやか「待ってましたよ」
小鈴がさやかに食べてもらいたいと、とある料理を作っていた。
さやか「…………これは」
小鈴「はい。徒町……いつか、いつかさやか先輩にちゃんと胸を張って作れる料理を覚えたくて…。使うのたまごだけだから、簡単だと思ってたんですけど。徒町、これも時間かかっちゃいました」
エヘヘと苦笑する小鈴。だが、
さやか「こんなきれいなオムレツを作れるのは、本当にがんばった人だけなんですよ?」
小鈴「えへへ、はい!」
さやか「それでは、いただきます」
小鈴「はい! 召し上がってください!」
さやかがフォークを使い、小鈴の作ったオムレツを口に運ぶ。
さやか「美味しい」
小鈴「やった!」
さやか「このオムレツは、小鈴さんそのものですね」
小鈴「へ?」
さやか「大したことないだろうと思って突っ走るそのきらめきが、どんなものよりも美しく映る」
小鈴「わ、わあ…………。ありがとうございます、さやか先輩! そう言ってもらえるものを最後に作ることができて……よかった!」
さやか「はい。……ごちそうさまでした。最後に本当に素敵な贈り物でした。う、泣かないんですね」
小鈴「はい! だって……徒町、先輩になるんです。さやか先輩みたいに、今度は、後輩を導くんです!」
さやか「…………そうですね。そうでしたね」
小鈴「はい」
さやか「後輩を導くのは、すごく大変です。後輩に心配をかけて、たくさん不安にさせて、困らせてしまうこともあるかもしれません。でもね――それでも……信じてくれるんです。だから、いつでも、胸を張って……わたしは先輩なのだと、あなたのまっすぐさを見せてあげてください」
小鈴「はい!」
さやか「バッジは、どのくらい埋まりましたか?」
小鈴「あ、バッジですか!?ちょ、ちょっと待ってくださいね!」
小鈴は急いで自分の鞄を持ってきて、さやかに渡す。
それを見たさやかは――
さやか「もう、こんなに………わかってはいたことですが。埋まるそのときを、わたしが見ることはない。………………来年度も、がんばってくださいね! 同じペースで進めないと、目標達成できませんよ!」
小鈴「は、はい!! がんばります! あ、でもさやか先輩!」
さやか「はい?」
小鈴「全部埋めたら、いのいちばんにさやか先輩に見せますからね!! だから……またいつか、です!!」
さやか「つ。そうですね。心から、楽しみにしていますよ」
― 花帆の部屋―
吟子「花帆先輩、本当に大丈夫ですか?来月からひとり暮らし、ちゃんとできます……? ご飯だって作らなきゃですし、お洗濯やお掃除だって自分でやらなきゃいけないんですよ……」
花帆「できるってば。もー、そんなに心配なの? 吟子ちゃん」
吟子「そりゃそうですよ……。もう花帆先輩の身の回りの面倒を見てくれる人は、いなくなっちゃうんですからね。朝だって起きれるかどうか心配ですし………友達に関しては、まあ、花帆先輩のことですから、大丈夫だと思いますけど………」
花帆「………………ねえ、吟子ちゃん。アルバムツリーは完成して、離れていても一緒だって、そう思えるようになった。でもあたしは寂しがり屋だから、きっとしばらくは寂しいと思うんだ」
花帆「だから……吟子ちゃんがよかったら、連絡してもいいかな?」
吟子「そ、それは……もちろん、です」
花帆「ふふふ。ごめんね、吟子ちゃん。ありがとね。吟子ちゃんと出会えて、よかった」
花帆は吟子の頭を撫でながら、優しく話しかける。
花帆「あたしの高校生活は、吟子ちゃんのおかげで、こんなにも華やいだよ。最後にひとつだけ、お願いしてもいいかな?」
吟子「……なんですか?」
花帆「あたしね、寮母さんにお願いして、花壇のひとつを借りてて……そのお花の面倒をね、誰かに見てもらわなくっちゃいけなくてさ。園芸部の子に頼んではいるんだけど、よかったら吟子ちゃんにも、時々様子を見てもらっていいかな?」
吟子「私……お花とか、花帆先輩のお手伝いでしか、お世話したことありませんけど……」
花帆「枯らしてもいいんだよ。なにかを育てた経験ってきっと、吟子ちゃんのためにもなると思うから」
吟子「……ずるい、です」
花帆「え?」
吟子「花帆先輩、最初から友達のつもりでいいって私に近づいて…………。でも結局、最後まで花帆先輩は……私にとって、先輩、でした」
花帆「そうかな? あたし、先輩できてた?」
吟子「………これ以上、ないくらい」
花帆「えへへ、やったあ」
吟子からの言葉。花帆にとっては、自分のやってきたことが何も間違っていなかった証明にほかならない。
嬉しそうな笑顔を浮かべた。
吟子「……………私からも、連絡しますから」
花帆「うん、楽しみにしてる」
吟子「お花だって、完璧にお世話してみせます」
花帆「ムリはしないでね」
吟子「部長として、106期スクールアイドルクラブを盛り上げてみせます!」
花帆「吟子ちゃんなら、きっとできるよ」
吟子「……だから。私のことは、できればでいいので、時々は、思い出してくださいね」
花帆「忘れないよぉ。あたしの大好きな仲間で、後輩で、親友のこと。ずっとずっと、忘れないよ。離れていても、繋がっているんだから」
吟子「……はい。ありがとうございました」
吟子「私の、先輩」
花帆「うんっ!」
― 次回・最終回 ―
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