蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

342 / 343
『Be Cera-fish』③

 

 

 ビッグボイス選手権が終わり、セラスは1人、八重咲ステージに立って考えていた。

 先輩たちにはお願いして、先に出てもらっている。

 

セラス「スリーズブーケ………DOLLCHESTRA………みらくらぱーく!」

 

セラス「うん、わたしのやりたいことに、素直に……。決めきる強さも、もらえた。ありがと、もう……大丈夫」

 

 

 ところかは変わり八重咲ステージ前。先輩達がセラスを待っていた。

 

 ―――すると、

 

泉「出てきたね」

 

小鈴「本当にこの時間だけでよかったの?」

 

セラス「はい……もう大丈夫です。ただ、先輩たちに気持ちを伝える覚悟をする時間だったので」

 

吟子「覚悟、ね」

 

姫芽「いいじゃんいいじゃん? せんぱい一同、みんなで受け止めよ〜」

 

淳平「みんな受け止めてくれると思うよ」

 

セラス「はい。聞いてください。わたしの……ビッグボイス選手権―――」

 

 そして、セラスちゃんは話し始めた。

 

セラス「―――強くなりたいです」

 

セラス「いつもいつも、わたしは悩んでばっかりで。瑞蓮祭のときも、瑞河が復活するかもっていうときも、迷ってばかりで……」

 

セラス「だから。たとえ不安でも、誰かのために………自分からこうしようって決めて、突っ走る勇気が欲しいんです」

 

セラス「なにもないところから……わたしや、いろんな人のことを引っ張り上げてくれるような存在になった……小鈴先輩みたいに」

 

小鈴「――へ?」

 

セラス「今日だって、そうです! ひとりでやることを一番不安に思っていたのに! わたしのために大丈夫だよって、その背中を見せてくれました!」

 

セラス「わたしはそんな小鈴先輩の強さが、欲しいんです! そしていつかきっと!『自己実現』を、果たしてみせます! ――だから、お願いします。小鈴先輩! わたしを、DOLLCHESTRAに入れてください!」

 

 セラスちゃんが選んだのは……DOLLCHESTRAか。

 

姫芽「やっぱりそうなったか〜」

 

泉「予想していたのかな?」

 

姫芽「だってもともとせらりんにとって、小鈴ちゃんってさ」

 

吟子「最初から憧れてたもんね。1年間見てきたんだもん。わかるよ」

 

セラス「ごめんなさい、吟子先輩、姫芽先輩…………」

 

 二人の言葉に、選ばなかったことを謝罪するセラスちゃん。

 

吟子「いいってば、謝らなくて」

 

姫芽「そうそう。やりたいようにやった結果でしょ? 後輩せらりんの幸せが、アタシたちせんぱいの幸せなんだから、ね?」

 

セラス「せんぱい………」

 

 セラスちゃんの目に、涙が溜まる。

 

泉「セラス。その答えなら……幸せになれそうかい?」

 

セラス「……………っ、うん! きっと、小鈴先輩を支えてみせます! こう見えても、作詞作曲は得意です! スクールアイドルへの愛なら、誰にも負けません! わたしのことも、頼りにしてください!」

 

セラス「そしてふたりで来年度、新しいDOLLCHESTRAを作りましょう!」

 

 そのセラスちゃんの宣言と同時に、始まりを告げるように風が吹き、桜の花びらが舞う。

 

セラス「わっ」

 

小鈴「あ―――」

 

姫芽「桜だね〜」

 

吟子「もう、咲いてるんだ」

 

小鈴「―――――」

 

 

 小鈴は、1年ほど前。セラスが入学してきた頃のことを思い出した。

 

 

 

小鈴『落ちてくる桜の花びらを空中でキャッチするチャレンジ、してたんだ』

 

セラス『……なんで?』

 

小鈴『なんで??』

 

小鈴『徒町がやりたいと思ったから………?』

 

セラス『えっと…………』

 

小鈴『あ、こういう話は知ってる? 蓮ノ空の生徒は、卒業するまでに四回の桜を見るんだー、っていう。去年卒業した先輩の受け売りなんだけど――』

 

セラス『…………』

 

小鈴『ん?』

 

セラス『小鈴先輩。わたし、DOLLCHESTRAに入ろうと思うんです』

 

 

 

 

 

 そして、今に戻り、

 

 

小鈴「ほんと、に……?」

 

セラス「はい………今度は、ほんとに、ほんとうです」

 

 小鈴ちゃんは俯くと、肩を震わせる。心なしか、目に涙が溜まっている。

 

小鈴「徒町……徒町ね! ずっと……ずっと、一緒にやりたいと思ってたんだ! DOLLCHESTRAを最強にする、チャレンジを! ふたりなら、どんなことができるだろうって、ずっとひとりで考えて……!」

 

セラス「やります! 絶対やります! 今度こそ………わたしが、やりたいと思ったから!」

 

小鈴「うん!!」

 

 その様子を見ていたみんなは、

 

姫芽「やっぱりいいユニットになりそうだな〜」

 

淳平「これでならなかったらウソだろ……」

 

吟子「はい! あとで他の先輩方にも報告しなくっちゃね」

 

泉「さやか先輩は喜んでくれそうだ」

 

吟子「なに言ってんの。花帆先輩だって喜ぶに決まってるよ。DOLLCHESTRAのこと、大好きだもん」

 

姫芽「それを言うなら、るりちゃんせんぱいだって〜」

 

泉「ふふ、そうか……そうだね。素晴らしい、先輩たちだ」

 

小鈴「ふたりで一緒に、すごいことをしよう!」

 

セラス「はい!!」

 

 

― つづく? ―




さて、【EPISODE1:日野下花帆編】はこれにて終了ですかね?(追加で話が出なければ)

【EPISODE2:錦上マイカ編】の再開まで、しばらくお待ちください

感想&お気に入り&評価、よろしくお願いします!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。