蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第34話:2年生の過去

蓮空祭に向けて、新聞記事を書くことになった花帆とさやかは、去年の梢、綴理、淳平のことを調べ始める。

 

花帆「さやかちゃーん!梢センパイも綴理センパイも、入学したばかりの頃から凄かったみたい!」

 

さやか「でも、淳平先輩が最初は入部を断られていたということは驚きましたね」

 

花帆「うん。当時の部長が、女の子目的だと思って断ったんだって。でも結局間違いに気づいて認めたらしいけど……」

 

さやか「まったく……先輩に対して失礼にも程があります!」

 

花帆「ホントだよ!」

 

さやか「それで、乙宗先輩は体育の成績がすごく良かったと……学級委員も務めていたそうですね。皆さん乙宗先輩のことを話す時は凄く誇らしげでした」

 

花帆「そうそう!綴理センパイったら入学式の時に1人だけ寝ちゃっておんぶされて教室に戻ったみたい。やったのは淳兄ぃじゃないらしいけど」

 

さやか「それは良かったです」

 

花帆「でもその時から、すっごい綺麗な人がいるって言われてたって!」

 

さやか「あと、去年の新入生の代表挨拶は淳平先輩だったそうです。首席入学だったみたいですね」

 

花帆「さすが!」

 

さやか「梢先輩と綴理先輩は最初からスクールアイドルとしてとても人気だったみたいで、蓮空祭も凄く盛り上がったそうですよ。淳平先輩も含めて、去年の1年生の中でも、凄く目立つ3人だったとか」

 

花帆「うん、3人ともスクールアイドルクラブだったから、ライブの時はみんな見に来てたって。梢センパイと淳兄ぃ、いつも綴理センパイを会場まで連れて行ってあげてたみたい」

 

さやか「休日はたまに近江町市場でお手伝いをしていたみたいで、外で3人に会えたらラッキー、みたいな願掛けのようなことまでされていたみたいです」

 

花帆「大人気じゃん……!!よーっし、この調子でもうちょっと色々去年のこと探ってみよう!」

 

さやか「そうですね、逸話には事欠かない3人ですし。きっとすぐにいろんな事が聞けますよ!」

 

 

そしてもうしばらく先輩たちに話を聞いた花帆とさやかは情報を纏めるために部室に戻ってきた。

 

さやか「ふう、これでだいたい一通り、話を聞くことができました」

 

花帆「おつかれさまー!やー、センパイたち凄かったねえ」

 

さやか「そうですね。それこそ、夏のライブで凄い人数が応援に行ったとか。乙宗先輩の水着風の衣装がとても綺麗だったそうですよ」

 

花帆「……淳兄ぃ、鼻の下伸ばしてないよね?」

 

さやか「さあ、そこまでは……。まあ、一応淳平先輩も男性ですし、仕方ない部分はあるかと」

 

花帆「さやかちゃんが大人だ……」

 

さやか「わたしはいちいち嫉妬をぶつけて淳平先輩を困らせたり、嫌われたくないだけです!重い女は苦手っていう男性多いですし」

 

花帆「さやかちゃんも十分重いと思うけどなあ……」

 

さやか「何か?」ギロッ

 

花帆「いや何も!!」ブンブン

 

さやか「はあ、話を戻すと、乙宗先輩を一番自慢してたのが綴理先輩でだったらしくて、素敵な関係だなと思いました」

 

花帆「そうだねえ。綴理センパイが清掃ボランティア中に、気がついたら色んな人に囲まれてライブになっちゃったって話も凄かったよ!」

 

さやか「梢先輩と淳平先輩が急遽会場整理をやったって言ってましたね……」

 

花帆「梢先輩はね、冬の時期にたくさん色んな部活から助っ人頼まれて、みんなから凄く頼りにされたって」

 

さやか「綴理先輩も、冬の時期にたくさんライブをしていたそうですね……他にも色々、綴理先輩が雪の中でライブしている写真ですとか――」

 

花帆「こっちも梢センパイがライブやってるやつあったよ!雪だるまの隣で!」

 

さやか「本当ですね。かわいい」

 

すると、画像を見ていた花帆がなにかに気づく。

 

花帆「…………………」

 

さやか「花帆さん?」

 

花帆「あ、ごめんごめん。いや、なんか……あれ?……なんか、思ったんだけど」

 

さやか「どうかしましたか?」

 

花帆「最初の頃はいつも一緒にいた感じしない?」

 

さやか「……言われてみれば。でも、ソロでやるのも、所属のユニットが違うのですから――あれ、そもそもユニットっていつ決めたんでしょう」

 

花帆「……分かんない。分かんないけど、秋くらいに決めたのかなあ。それからずっと、ソロっぽい?」

 

さやか「ふむ……」

 

 

そして翌日の放課後、それぞれの練習が始まる前。

 

花帆「あ。梢センパイ、お疲れ様です!」

 

梢「ええ。昨日はごめんなさいね」

 

花帆「会議、大変でした?」

 

梢「それはもう大変だったわ。やっぱり、みんなステージの枠が欲しいから……戦いよ」

 

花帆「た、たたかい……」

 

梢「花帆さんも、お願いしていたことは進められたかしら?」

 

花帆「あ、はい!さやかちゃんと一緒に、記事のためのいろんな……情報収集してました!」

 

梢「あらあら、頼もしいわね。楽しみだわ。じゃあ、今日は準備運動したら、ライブの合わせをしましょうか」

 

花帆「はい!」

 

梢「とはいえ、簡単に終わらせるだけでも良くないし……蓮空祭に向けて、配信をしましょう」

 

花帆「わ、練習配信ですね!」

 

花帆はやる気充分だ。

 

梢「ええ。いつも配信を見てくれている皆さんも、心待ちにしているはずだから。スリーズブーケが、蓮空祭のステージに立てるということを、ちゃんとお伝えしないとね」

 

花帆「あ、そっか……立てない可能性があったんですね……!」

 

梢「全体部活会議は、要はステージの利用枠争いだったから」

 

花帆「た、戦いのすえにもぎ取った成果……!」

 

梢「ふふっ。だからいっそう、胸を張って報告しないとね。えーっと、これをこうして……」

 

梢は自身のスマホをいじってスクコネの配信モードを立ち上げようとするが、

 

花帆「あ、あたし!あたしがやります!梢センパイはどうぞごゆるりと準備運動を!」

 

梢「いやねえ、私だって配信くらいできるのに……」

 

花帆「そ、そういうのは1年生がやりますから!ね!?」

 

梢「……まあ、そういうことにしておきましょうか」

 

花帆「じゃ、始めまーす!」

 

そして花帆はスイッチを押す。

 

 

 

そして練習が終わり、配信終了の挨拶。

 

梢「ふぅ。……というわけで、今日の練習配信は以上です。今度蓮ノ空学院で行われる蓮空祭では、ちゃんと私たちスリーズブーケの出番もありますので、どうぞ応援よろしくお願いしますね」

 

花帆「お願いします!!きっとすっごいライブにします!梢センパイの後輩として、1年生として、精一杯頑張りまーす!じゃあ、配信切りますね。みんな、またねー!!」

 

そして、配信は終わった。

 

花帆「………ん?」

 

すると、花帆はとあるコメントを見つけた。

 

『もう綴理ちゃんと梢ちゃんのステージは見られないのかなあ』

 

花帆「…………」

 

梢「花帆さん?配信終わったの?それとも……ええと、故障?」

 

花帆「そう簡単に故障なんてしませんよ!?そうじゃなくて……今ちょっと気になるコメントがあって」

 

梢「コメント?」

 

花帆「梢センパイって、去年は綴理センパイと一緒にステージに立ってたんですよね?」

 

梢「っ!」

 

花帆「もう二人は一緒にやらないのかなーって、そういうコメントがあってですね。確かに梢センパイが綴理センパイと一緒にやるなら、それはそれですっごく見てみたいなーというか……」

 

梢「それは申し訳ないわね」

 

花帆「えっ?」

 

梢「コメントをしてくれた人に申し訳ないと思ったのよ」

 

花帆「(あれ?なんか…怒ってる?)えっと……それはつまり、やっぱりもうやらないっていう……?」

 

梢「そうね。もう二度と綴理と2人でステージに立つことはないわ」

 

花帆「え……、それは、どうしてですか?」

 

梢「今の私には花帆さんが居るもの。あなたと一緒に、スクールアイドルとして磨きをかけるのに精一杯よ。頑張りましょうね、花帆さん?」

 

花帆「わ、わー!それは、その、がんばりまーっす!」

 

 

その日の夜、女子寮浴場

 

さやか「そうですか。そんなことが……」

 

花帆「うん……。確かにあたしも、梢センパイと一緒に頑張りたいんだけどね!でも、なんというか。さっきの梢センパイの言い方が、ちょっと気になって」

 

さやか「………わたしも」

 

花帆「え?」

 

さやか「わたしもさっき、綴理先輩と少し話したんです。記事にするにあたって、去年の話に触れた時……」

 

花帆「そ、そっか。……それで、綴理センパイなんて言ってた?」

 

さやか「はぐらかされちゃいました」

 

花帆「そっか……でも、たぶん淳兄ぃに聞いたらだめなことだよね。これ……」

 

さやか「はい。頭のいい先輩のことです。先回りされて証拠を消されてしまう可能性があります」

 

花帆「やり方を変えてもう少し調べてみようか?」

 

さやか「そうですね……」

 

ー つづく ー




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