蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第35話:近づいていく真実

翌日、さらに去年の情報を集めるため、花帆とさやかは聞く人を交換することにした。つまり、花帆が綴理。さやかが梢に聞くことにしたのだ。その方が、パートナーが相手のときとは違う情報が聞けるかもしれないと思ったのだ。

 

昼休み・スクールアイドル部室〜

 

さやか「失礼します」

 

梢「あら、村野さんどうかしたの?綴理なら――」

 

さやか「ああいえ、綴理先輩を探しにきたわけではないんです」

 

梢「そうなの?まあ、冷静に考えてみたらお昼休みにあの子がどこにいるかなんて、予想もできないわね……。だとしたら淳を探しに?」

 

さやか「いえ、違います。えっと、とりあえず失礼しますね」

 

そしてさやかはイスに腰掛ける。

 

梢「………。それで、部室に来た理由は?」

 

さやか「えっと、そうですね。乙宗先輩がここにいると聞いて――」

 

梢「あら、私に用事だったの?」

 

さやか「用事というかなんというか!こんにちは!」

 

梢「ええ、こんにちは……どうしたの?」

 

さやか「あ、すみませんすみません!ええっとですね!その――」

 

梢「村野さん。何があったのかはよく分からないけれど、私で良ければお話は聞くから、そう緊張しないで?」

 

さやか「あっ……あー、すみませんわたしったら」

 

梢「ひょっとして綴理と何かあったの?」

 

さやか「何かあった、というわけではないんですけど」

 

さやかは座り直して姿勢を正す。

 

さやか「乙宗先輩は……その。綴理先輩のこと、どう思います?」

 

梢「そうねぇ……同い年の学友であり、同じスクールアイドルクラブの仲間であり、ライバルである、かしら。少し抜けているところはあるけれど……それは村野さんも分かっていることでしょうし」

 

さやか「はい、そうですね」

 

梢「あとは…そうねぇ。あの子、綺麗でしょう?」

 

さやか「えっ?あ、はい、それはもう」

 

梢「ふっと隣を見た時にね。ぼーっとどこかを見つめているあの子の横顔が凄く綺麗なものだから……いまでもたまに勝手に眺めていることはあるわ」

 

さやか「じゃあ、綴理先輩のことを嫌っているわけでは……」

 

梢「え?私が綴理を嫌った覚えはいちどもないわ」

 

さやか「良かった……」

 

梢「なにか気になることでもあったの?」

 

さやか「ええと、詳しくは言えないんですが少し……」

 

梢「あっ、もしかして蓮空祭での記事の資料集めで聞きに来たんじゃない?たぶん綴理のところには花帆さんが行ってるんじゃないかしら?」

 

さやか「アハハ…バレちゃいましたか……」

 

梢 クスッ「心配しないで?私は絶対に、綴理を嫌ってなんかいないから」

 

さやか「っ!はい!失礼しました!!」

 

そしてさやかは部室を出ていった。

 

 

その頃・中庭〜

 

綴理「こずのことは、好きだよ。ボクはこずを嫌ったことないからね」

 

花帆「そうなんですね。良かった……」

 

綴理「?そもそもボクは、こずが居なきゃ、スクールアイドル活動を続けていたか分かんないくらい。スクールアイドルのことを教えてくれたのもこずだしね。それに……スクールアイドルっていうものを1番好きなのも、きっとこずだから」

 

花帆「そうなんですか?さやかちゃんからは、綴理センパイもすっごくスクールアイドルが好きって聞きましたけど」

 

綴理「もちろん、ボクも好きだよ。でもボクの好きは……こずの好きとはちょっと違うからね。あれ?じゃあ比べられない……?」

 

花帆「2人共大好きなんですね!」

 

綴理「うん。それは間違いない。でも、だから…」

 

すると、綴理は暗い顔になる。

 

花帆「綴理センパイ?」

 

綴理「あ、ああごめん。で、なんだっけ」

 

花帆「梢センパイのことどう思いますか!って話です!色々聞けた気もしますけどね。綴理センパイも、梢センパイのことが好きで良かったです!」

 

綴理「ああ、うん。それは間違いないよ」

 

花帆「……………」

 

綴理「かほ?」

 

花帆「……あの、綴理センパイ。じゃあもう1個聞いていいですか?」

 

綴理「いいよ、なんでも」

 

花帆「軽い!じゃあ、一緒にステージに立つことをやめたのは、ユニットが違うからですか?」

 

綴理「……………」

 

花帆「綴理センパイ?」

 

綴理「それも、あるかもね。でも」

 

花帆「でも?」

 

綴理「半年前に、約束しちゃったから……かな」

 

そして昼休みが終わり放課後……

 

花帆「そっか」

 

さやか「仲が悪い、というわけではなさそうです。むしろ……」

 

花帆「うん。大好きじゃん。でも……梢センパイも綴理センパイも、ステージに一緒に立たないって言った時だけは、やっぱりすごく暗い顔してた。梢センパイはなんだか冷たかったし、綴理センパイは寂しそうだった」

 

さやか「半年前の約束……ですか。思えば……。ちょうど、12月くらいからでしょうか」

 

花帆「えっ?なにが?」

 

さやか「2人が一緒に映らなくなったことです。綴理先輩と、乙宗先輩が」

 

花帆「あ………。でも、じゃあきっと半年前に何かがあったんだよ!それをどうにかできればセンパイたちも――」

 

さやか「花帆さん。そもそもこれは、先輩方の記事を書くために始めたことです。確かに、私だって気になりますけど。でも、ただの好奇心で踏み込んで良い問題とは思えません。記事のためのお話は、もう十分聞けましたから。」

 

花帆「それは……」

 

さやか「ごめんなさい。私だって同じですよ。先輩方の間に少しでも問題があるなら、どうにかしてあげたいと思ってしまう。だから、2人で聞き込みもしたわけですしね。でも、中立の淳平先輩が動かないということは、先輩でもどうにも出来ないと判断した可能性が高いんです。それをわたしたちにどうにかできるとは……」

 

花帆「……そう、だね。」

 

さやか「ここまでにしておきましょうか?」

 

花帆・さやか「「……………」」

 

花帆「……ねえ、さやかちゃん。さやかちゃんの言ってることは分かってる。正しいとも思う。でも、でもさ。あたしやっぱり、嫌だな」

 

さやか「花帆さん……」

 

花帆「仲がよくてほっとした?梢センパイが綴理センパイから褒められて嬉しかった。さやかちゃんからも、梢センパイが綴理センパイを好きって聞けて嬉しかった。でも、だったらなおさら嫌じゃない?」

 

さやか「嫌か、嫌じゃないかで言えば、わたしだって嫌です。でも……」

 

花帆「あたし、綴理センパイの寂しそうな顔見ちゃったよ。梢センパイだって、絶対今のままが嬉しいなんて思ってないじゃん。2人共、大好き同士で……。だったらもう少し何かあれば……」

 

さやか「ふたりはまた、一緒にスクールアイドルができると?」

 

花帆「その、もう少し何か、何かさえ見付かれば良いのにって思うんだ。どうしたって今のままは嫌だよ。梢センパイにも綴理センパイにも、あんな顔一生しないでほしい!二人のことが好きだから!」

 

さやか「花帆さん……そうですね。どうにかしてあげたいと思うのは、先輩のことが好きだから」

 

花帆「うん。センパイたちが抱えてるものが何なのか、手掛かりさえ掴めれば!」

 

さやか「……大倉庫に行ってみますか?あそこは、いわば蓮ノ空の歴史が詰まった場所です。去年のことも、残ってるかもしれません」

 

花帆「そうだね。行ってみよう!!」

 

そして、ふたりは大倉庫に向かった。

 

 

その頃、部室〜

 

淳平「花帆とさやかちゃん、本当にそんな事を聞いたんだな?」

 

梢「ええ。たぶん去年のことを……」

 

綴理「ごめん…約束のこと話しちゃって」

 

梢「内容を言わなかったからまあそれはいいわ」

 

淳平「よし、部室は隠し終わったぞとりあえずこれで……」

 

綴理「待って?大倉庫に、何か残ってる可能性ないかな?」

 

淳平・梢「「!!」」

 

梢「急ぎましょう!」

 

淳平「ああ!」

 

綴理「あっ、ボクも行く……」

 

去年のことは、俺たちが4人(・・)の秘密にしようと決めたことだ。間に合ってくれ

 

 

ー つづく ー




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