蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第八章 あの日のこころ、明日のこころ
第37話:蓮空祭での曲


花帆とさやかがそれぞれ梢と綴理の部屋に突撃してしばらくした夜中、梢は寮の外のベンチに腰掛けていた。

 

梢「……沙知先輩、慈、綴理、淳。私は……どうするのが正しいの……?」

 

そこへ、さっき連絡をもらった淳平が梢のところにやって来た。

 

淳平「梢……」

 

梢「淳……」

 

淳平は梢の隣に座る。すると……

 

綴理「眠れないの?」

 

淳平「綴理……こんな時間に起きてるなんて珍しいな」

 

綴理「うん……。さっきね、さやが来た」

 

梢「そう。私のところにも、花帆さんが来たわ」

 

綴理「そっか……」

 

淳平「……たぶん、言われたこと同じじゃないか?」

 

梢は、先程のことを思い出す。

 

梢「綴理は、どう返したの?」

 

綴理「なにも……。ただ、お礼は言ったかな。2人はボクたちのことを心配してくれてたから」

 

淳平「そっか……」

 

綴理「で、こずは?」

 

梢「……それが分からなくて、ここに居るのよ」

 

綴理「……こずが決めればいいんだと、思う」

 

梢「どうして?」

 

綴理「――スクールアイドルは、やらされるものじゃないから」

 

梢「綴理……」

 

淳平「確かに、あの時お前たちはもう2人ではステージには立たないって約束した。けど……4人っていうのは考えたこと無かったな」

 

梢「そう、そうなのね。あとは、私次第」

 

淳平「俺は、あの時の自分への誓いを果たせない寸前だったからな……」

 

梢「もう二度と自分の前で怪我でスクールアイドルをできなくなる子を出さない……だったかしら?」

 

淳平「ああ……」

 

綴理「あの時は、ボクも焦った……」

 

淳平「まあ、梢が決めたことに、俺も綴理も従うよ」

 

綴理「うん」

 

梢「……あの時の…曲。"あの時の曲"を、もう一度私が頑張れたら……あなたにも、顔向けできるかしら」

 

綴理「顔向け?顔なんて、そんなのいつもこっちに向いててほしいけど。でも、あの曲は……」

 

梢「ちゃんと……次こそ、ちゃんとした振りで」

 

綴理「……そ、っか。そっか」

 

梢「何?」

 

綴理「確かに、前とは違うから。きっと前よりも良くなるはずだ」

 

淳平「だな。3人共あの時よりも成長してるし、今は後輩も居る」

 

梢「そう、ね。今の私たちと、昔の私たちは違うって……教えてもらったから。私も、あの2人の気持ちに、応えてみたい」

 

綴理「そうだね。もしそれができたら、今度こそボクはキミとも、スクールアイドルになれるのかもしれない」

 

淳平「じゃあ……!」

 

梢「ええ。やってみましょう!」

 

梢・綴理・淳平「「ふふっ(ははっ)!」」

 

そして翌日、スクールアイドルクラブ部室

 

梢「やりましょうか、4人ライブ!」

 

花帆「わあっ……!」

 

さやか「やりましたね、花帆さん!!」

 

花帆「うん!」

 

梢「そこで1つ、2人にはお願いがあるの」

 

花帆・さやか「「お願い?」」

 

梢「ふぅ……実は、この蓮空祭でやる曲を私に決めさせてほしいの」

 

花帆「どんな曲なんですか?」

 

俺たちは顔を見合わせる。

 

梢「その曲はね、凄く難しいの。去年のラブライブ!予選で、私と綴理が踊った曲。そして、去年のもう一人のメンバーはその練習中に怪我をした。それほどの難易度の曲なの」

 

綴理「だからジュンは、もう絶対に自分の目の届く範囲にいる人は、そんな怪我をさせないって自分を戒めたんだ……」

 

花帆「っ!じゃあ……」

 

淳平「ああ、あの時の花帆は、俺に花帆の気持ちが分からないって言ったけど……俺はよく理解してたつもりだ……」

 

花帆「ご、ごめん……」

 

花帆は項垂れる。

 

淳平「そのことはもう終わったことだ。それに、もうやらないんだろ?」

 

花帆「っ、うん!もう二度とあんな無茶はしない!」

 

淳平「なら良いよ……」

 

梢「そして、情けなくも私が綴理の隣に立てるほどのパフォーマンスができなくて……。二度と一緒にやらないって決めた曲。だから――」

 

花帆「じゃあ、リベンジですね!!」

 

梢「えっ!?」

 

花帆「分かりました。任せてください!あたし、センパイたちのために精一杯サポートします!」

 

梢「花帆さん……」

 

花帆「やりましょう!ね、さやかちゃん!!」

 

さやか「はい!先輩方のために、頑張ったんですから」

 

梢「花帆さん……村野さん……。ええ、私……頑張るわ。けど、練習中は淳の言うことは聞いてね?くれぐれも無理はしないこと!もう仲間を失いたくないから」

 

花帆「はい!淳兄ぃも、あたしとさやかちゃんが疲れてそうとか動きに違和感あるとか思ったら、すぐにストップかけてくれていいから!あたしもさやかちゃんも従うから!」

 

さやか「はい!」

 

淳平「2人共……分かった!!」

 

綴理「……ありがと。4人でライブしようって言ってくれなかったら……リベンジもしようって思わなかったから」

 

花帆「はい!よーっし、頑張りましょー!」

 

さやか「ですね!……綴理先輩」

 

綴理「うん?」

 

さやか「曲を教えてください。先輩たちの仲間を怪我に追い込み、乙宗先輩でも難しいと言った曲を」

 

綴理「そう、だね。じゃあ、始めようか。こず、振りは覚えてる?」

 

梢「……もちろん。花帆さん、村野さん、見ていてね」

 

そして練習着に着替えて練習場に移動。曲をかけて2人は踊ってみせる。

 

 

梢「ふぅ……と、こんな感じ」

 

花帆「わあ……!」

 

さやか「すごく……独創的というか。もしかしてこれ、綴理先輩の作曲ですか?」

 

綴理「うん」

 

花帆「ふへー……すっごくかっこいい曲ですね!!」

 

綴理「そう?なら嬉しい」

 

淳平「去年、急に綴理が持ってきたんだよな。曲ができたかも、って」

 

梢「そうだったわね……」

 

さやか クスッ「綴理先輩らしいですね」

 

綴理「あの時は、こずと一緒に頑張るんだって……それしか考えてなかったから」

 

梢「その期待に、私は応えられなかったけれど……」

 

淳平「俺も、あいつの不調を見抜けなかった……」

 

梢「でも、だからこそもう一度やりたいの」

 

さやか「大きい振りなのに、凄く繊細で……。とても難しいパフォーマンスなのは、よく分かりました」

 

花帆「えっ?さっきのでダメだったんですか!?」

 

梢・綴理「「ええ(うん)」」

 

花帆「即答!」

 

さやか「足並みが合わない、ですか。確かに、おふたりの動きは雰囲気が違うというか……」

 

淳平「凄いな……一目でそこまで見抜いたか」

 

梢「とにかく、この曲を完成させられなかったことが、私の後悔なの」

 

綴理「……………ん」

 

梢「だから、今度こそ頑張りたいのよ」

 

花帆「いいですね。分かりました!じゃあまずはその足並みですね!さやかちゃん!やるよ!」

 

さやか「は、はい。もちろんなんでもやりますけど、花帆さんはもう何か考えが?」

 

花帆「うん。じゃあ、あたしから!」

 

梢と綴理は顔を見合わせる。

 

花帆「梢センパイ、綴理センパイ、足並みが合わなかった、って言いましたよね?」

 

梢「え、ええ、言ったけれど」

 

綴理「ん」

 

花帆「だったら――足並みが揃うまで、くっついてましょう!」

 

梢「え?!」

 

あー…これは。

 

淳平「もしかして、ふたばちゃんとみのりちゃんか?」

 

花帆「おお!さすが淳兄ぃ!!」

 

さやか「?誰ですか?」

 

花帆「ふたばとみのりはあたしの年の離れた妹!2人はいつも一緒に居て、だから大の仲良しなんです!」

 

さやか「つまり?」

 

花帆「梢センパイと綴理センパイの足並みが揃うまで、ずっとくっついてましょう!」

 

梢「ええ?!」

 

綴理「ん」ピトッ

 

梢「ちょっ、綴理!? ……分かったわ。やってやるわよ!」

 

花帆「よーし、じゃあ練習行きましょう!2人ずっとくっついててくださいね?」

 

梢「練習中も!?」

 

花帆「はい!」

 

さやか「乙宗先輩、綴理先輩は手がかかりますけど、頑張ってください」

 

梢「えーー……」

 

そして、梢と綴理はご飯を食べるときも、移動中も、練習中も、常にべったりくっつき生活することになった。

 

ー つづく ー




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