花帆の案で、みのりちゃんとふたばちゃんを真似して梢と綴理はそれこそいつも一緒にくっついていることを課せられた。
梢は少しうっとおしそうにしながらも、「これもライブのため!」と我慢していたが、練習中に少し危険なところがあった。
くっついて走っていたため、梢が走っている最中に解けた靴紐を結び直そうと止まるとぶつかりそうになったのだ。
梢「……絶対違うわ」
淳平「俺も違うと思う……」
花帆「だめかー!!」
さやか「速やかに次の作戦を考えなくては……」
花帆「そうだねさやかちゃん。頑張ろう!」
梢「はぁ……」
梢の口から溜息が出る。
綴理「こず、嫌だった?」
梢「い、嫌ではないけれど……」
淳平「さすがにずっとくっついてるのは危険もあるって分かったしな……」
さやか「それは淳平先輩の言う通りだと思います……」
花帆「ふむ……。分かりました、許可します」
おい、何だその謎の上から目線……。
梢「あ、ありがとう……?」
さやか「肝心のダンスレッスンが、疎かになってもいけませんしね」
綴理「難しい……」
さやか「まあ、くっつくのはちょっとアレですけど」
花帆「ちょっとアレだった!?」
淳平「だいぶな……」
さやか「ですが、足並みが揃うように、もっと仲を深めてほしいというのは本当です」
綴理「どうしたらいい?」
さやか「そうですね……。たとえばですけど、色々話せたりとか、相談できたり、今までできなかったことができる……とかでしょうか。今まではそういう役割は淳平先輩がやってたと思うんですが、女の子同士でしか話せないようなことありますし」
綴理「……ふむ」
梢「…………」
さやか「わたし自身、綴理先輩に言えなかったお話がたくさんありましたから。フィギュアのことで悩んでいたお話だとか」
綴理「こず。何か悩みある……?」
梢「スクールアイドルと関係ない話でもいいなら…私の気持ちに気付いてくれない人が若干1名いるくらいかしらね」
綴理「あ、それボクも……」
花帆「それを言ったらあたしもですよ」
さやか「あはは……。それは全員共通かと……」
淳平「? 何の話だ?」
梢・綴理・花帆・さやか「「「「……はあ」」」」
淳平「?」
さやか「まあ、それはおいおいとして。頑張ってくださっているお二人に、お話ししたいことがあります」
梢「何かしら。記事の相談とか?」
さやか「あっ、それはもう終わってます。乙宗先輩にも蓮空祭までに確認してほしいのですが、今はそれよりもお二人の事のほうが大事です」
花帆「そんなわけで、こちら」
花帆は近所で開かれる街の祭りのポスターを取り出す。
綴理「お祭り?」
梢「夏も近いし、神社の催し物も増えてくる時期ね。みんなで行こう、ということかしら?」
さやか「いいえ。実は今朝、れいかさんと会いまして」
綴理「ああ、れいかさん。久しぶり」
さやか「アルバイトの人数が足りないみたいで、手伝ってほしいそうなんです。なので――」
花帆「お二人で、お手伝いに行ってきてください!」
梢「お二人で、って」
花帆「はい!もう、梢センパイと綴理センパイで行きますってお返事しちゃいましたので!」
梢「もう話が纏まってるの……!?」
さやか「はい。楽しみにしてる、と言ってくれて」
梢「そう………」
さやか「えっと……」
花帆「勝手なことしてごめんなさい!」
二人は揃って頭を下げる。
梢「……いいえ。むしろ、お礼を言わなきゃよね」
綴理「そうだね。ふたりとも、ありがとう」
さやかちゃんと花帆は顔を見合わせると笑い合う。
さやか「ではでは!」
花帆「行ってらっしゃい!梢センパイ、綴理センパイ!二人で楽しんできてください!」
そして祭りの当日、梢と綴理は祭りの会場となる神社にやって来た。
梢「あの子たち、ちゃっかり私たちの外出許可まで……。初めて見る手際だわ……」
綴理「こず…」
梢「あっ、ごめんなさい。何かしら」
れいか「おーい!こっちこっち!」
梢「あっ、居たわね。行きましょう綴理」
綴理「うん」
そしてふたりは今日のお手伝い相手のれいかさんの屋台に到着した。
れいか「というわけで三つの屋台を掛け持ちしてるので!ふたりはここを基本お願いさせてほしいの!」
梢「ど、どうしてそんなことに?」
れいか「どこも人手不足で頼られちゃってねえ。気づいたらあたし自身も大変だったのよー!」
梢「れいかさんは、変わりませんね。じゃあ、任されました」
れいか「ありがとう梢ちゃん!!!綴理ちゃんも、ごめんねえ!」
綴理「ん。店番、得意」
れいか「ありがとう、ありがとう!それじゃあ、行ってくる、か、ら……?どうしてそんなにくっついてるの?」
梢「そ、れは……」
綴理「ん。試練」
れいか「んー?ふたり一緒に見るのも久しぶりだし、面白いからいっか。それじゃあ今日はお世話になるわ!ごめんねえ、ちょくちょく見には来るから!」
そしてれいかさんは行ってしまった。
綴理「ところでこず、何のお店?」
梢「知らずに任されたのね……」
そして"かき氷"の屋台でかき氷を作り売り始める梢と綴理。客足は少なめお客さんは少なかった。
梢「はい、おまちどおさま。また来てくださいね」
綴理「ばいばーい。こず、ボク、これでいいの?」
梢「とはいっても、こんな狭い場所にふたりで作業するのも危ないし。そこまでしなきゃいけないほど、忙しくもないのよね……」
綴理「そっか」
するとそこへ、
淳平「おっ、やってるな……」
梢「あら、淳。ひとりかしら?」
淳平「いや……「ジュン〜!わたしを置いてかないでよ!!」悪い悪い……」
梢「!! 慈……」
綴理「めぐ……」
慈「……なんか、久しぶりだね。ふたりとも」
梢「ええ。それよりも淳はデートかしら?」ニコッ
慈「なんか笑顔が黒いんですけど…!?」
淳平「デートっていうか……去年から慈とは部活で関わらなくなっただろ?その埋め合わせしてる」
慈「私だってあの怪我さえ無ければ今もスクールアイドルクラブにいたんだから!」
梢「………そうね。じゃあ今日は楽しんでって?」
慈「? やけにあっさりしてるわね?」
梢「慈は特別よ。それに私の中ではあなたは今も仲間だもの」
綴理「うん」
慈「……そっか。ごめんね。ありがとう」
暗い雰囲気になっちまったな。
淳平「かき氷ブルーハワイといちご1つずつもらえるか?」
梢「分かったわ。少し待っててね」
そして梢の作ってくれたかき氷を受け取り、屋台を去る俺と慈だった。
綴理「こず、お客さんあまり来ないね」
梢「そうね。ねえ、綴理、「お客さん少なかったです」とれいかさんに伝えるのもしのびないし、どうせなら盛況にしたいのよね」
綴理「ん?うん」
梢「少し、お客さんを集める方法を……相談してもいいかしら。こういう屋台のお手伝いをするの、私は初めてだから、どうせなら忙しくしてみたいの」
綴理「!分かった、頑張って考えるよ。こずはお客さん来た時のために構えてて」
梢「構える、はちょっと違うけれど……。分かったわ。準備しておくわね」
綴理「よし……なにかないかな」
綴理はお客さんを呼び込む方法を考え始める。すると、
梢「〜♪」
梢が鼻歌を歌いながら作業しているのを見た。
綴理「……あ」
梢「ん?なにか思いついた?」
綴理「うん。……音楽は、そのままで」
梢「……音楽?」
しばらくして、
れいか「ぜえ、ぜぇ。梢ちゃーん、綴理ちゃーん、応援に来たわ……よ?」
れいかさんの眼の前には、大盛況のかき氷屋の屋台の姿が。
れいか「やだ、凄い盛り上がり。あれは……」
綴理「これがボクたちの全力」
梢「はーい、お買い上げありがとうございます」
その秘密は、かき氷をペンギンなどの動物風にデコレーションして販売していた。これにより、今流行りの"映え"も狙えるというわけだ。
れいか「…………。……は、いけないいけない。梢ちゃーん、綴理ちゃーん!!追加の氷は本部にたくさん用意しておくから、思う存分やっちゃってねー!!でも……ふふ。本当に、あのふたりに頼めて良かったわ」
そしてしばらくして氷が足りなくなり、梢が本部に氷を取りに行った。
梢「ふふ。こんなに大盛況になるなんて……。綴理のアートのおかげだわ」
?「っ、もし、そこの方」
梢「?」
他校のスクールアイドル「乙宗梢さんとお見受けしましたが」
梢「……あなたは」
他校のスクールアイドル「ああ、やっぱり。良かった。……っとと、いけない。梢さんは今、お仕事中でしたよね。これだけ受け取ってください」
梢「これは――」
他校のスクールアイドル「忙しそうですし、お返事はまた後日お伺いさせていただきます。今日は素敵な屋台……頑張ってくださいね。それでは」
梢「あ、ありがとうございます……」
そして、他校のスクールアイドルの人は去っていった。
梢「今の人はやっぱり……。いえ、それよりも私にお手紙って。……え?」
ー つづく ー
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