蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第51話:歩いて来た道

その日の放課後、瑠璃乃は花帆とさやかちゃんに見てもらいながらダンスの練習をしていた。

 

瑠璃乃「………どうかな?」

 

花帆「凄い!瑠璃乃ちゃん凄く良くなってるよ!!」

 

さやか「必死に頑張ってきましたもんね。すごいです瑠璃乃さん!」

 

瑠璃乃「ありがとっ!まあ、ライブ中に充電が切れないかが心配だけど……」

 

花帆「じゃあ、あたしが舞台袖からパワーを送ってあげるよ!こんな風に…!頑張れ瑠璃乃ちゃん〜!頑張れ〜!ほら、さやかちゃんも!」

 

さやか「え!? せ、精一杯、やり遂げられますように〜!!」

 

瑠璃乃「アハハ!ふたりともありがとサンキュー!」

 

笑い合う1年生3人。すると、 

 

瑠璃乃「?めぐちゃん……」

 

慈「るりちゃん、ちょっと来て」

 

慈は怒った口調で、瑠璃乃を連れて行った。

 

 

 

ー 校舎内・廊下 ー

 

瑠璃乃「花帆ちゃんもさやかちゃんもびっくりしてたじゃん。急にそんな怖い顔で来るんだから……。戻ったらふたりになんて言い訳しよっかな〜?」

 

すると、慈は瑠璃乃にとある紙を差し出す。

 

慈「これ、どういうこと!? なんで私の名前があるの!こんな、勝手に!!」

 

その紙には、"大沢瑠璃乃 藤島慈 ライブ開催!"と、慈の名前までもが書かれていた。

 

瑠璃乃「ね?めぐちゃんも一緒にライブ……しよ?」

 

慈「冗談じゃ……ないんだよ?私は怪我して、踊れなくなったの!なのに……こんな、悪趣味だよ。るりちゃん」

 

瑠璃乃「でるの!ルリはめぐちゃんと一緒に、ステージに立つんだし!一緒にやろうよ!!」

 

慈「だから!!」

 

瑠璃乃「めぐちゃんだって、本当は出たいんでしょ!?めぐちゃん……っ!!ルリ、待ってるから(・・・・・・)!!」

 

慈「!! その言葉……」

 

 

ー 6年前 ー

 

慈「るりちゃん、久しぶり。転校先はどう?」

 

瑠璃乃「あんまり、馴染めてない……めぐちゃんとジュン兄ぃが居ないんだもん……」

 

慈「しょうがないなー?じゃあ、るりちゃんにプレゼントをあげようかなあ?今お家?テレビつけてみて?」

 

瑠璃乃「? うん……わあっ!!めぐちゃんがテレビ出てる!すごいすごい!!どうやったの!?」

 

慈「私が本気出したら、こんなもんってこと!!だからるりちゃん、もうメソメソするのは終わり」

 

瑠璃乃「え?」

 

慈「私、ずっとるりちゃんに見えるところに居るから!いつかまた一緒に、3人で楽しいことやろう!!待ってるから!!」

 

瑠璃乃「っ! うん!!」

 

 

 

 

ー 現在 ー

 

慈「そっか……あたしがスクールアイドルになったのは、いつかまた……ジュンとるりちゃんと、3人で楽しいことがやりたかったから……私たちとジュン、役割は違っても……3人で、世界を夢中にさせてやりたかったから。また、るりちゃんと一緒にやりたかったから、ここまで……ずっと走ってきたんだ」

 

瑠璃乃「めぐちゃん……」

 

慈「ごめんね。るりちゃん……でも、もう遅いよ」

 

瑠璃乃「な、なんでそんな……だって、まだルリが来たばかりだよ?大丈夫だよ!昔からめぐちゃんは何だってできたんだもん!めぐちゃんなら怪我くらいすぐに……」

 

慈「そんな事ないんだよ!!私はね、ずっとカッコつけてただけ。るりちゃんの前で、良いところ見せたかっただけなの!!」

 

瑠璃乃「ッ……………」

 

慈「ダンスだっていつもジュンに見てもらいながらこっそり練習してた!子役のオーディションだって、何回も何回も落ちたんだから!!!」

 

瑠璃乃「えっ………?」

 

慈「けど、るりちゃんが……喜んでくれるからって……」

 

瑠璃乃「めぐちゃん……」

 

慈「これで分かったよね、るりちゃん。私は、藤島慈は、るりちゃんに憧れてもらえるような、かっこいい子じゃないんだ。意気地なしで……弱虫で……今だってずっと、ステージに立つのが、怖いんだよ……」

 

瑠璃乃「そんな、そんなこと……」

 

慈「スクールアイドルのことだって、私がもっと早く勇気を出してるりちゃんに伝えてれば良かった。そうしたら……るりちゃんが、蓮ノ空に来る必要も、無かったのに……。るりちゃんのこと、これからも応援してるよ。蓮ノ空を、どうかよろしくね……?」

 

そして、慈は去っていってしまった。

 

 

 

 

瑠璃乃「ルリ……本当にめぐちゃんのこと、何も知らなかったんだなあ……。なのに、親友みたいな顔して……、ぜんぶ……ぜんぶ遅かったのかなぁ……」

 

瑠璃乃が部室に入ると……

 

梢「まったく、なんなの急に……」

 

綴理「なんだろうね」

 

淳平「………………」

 

瑠璃乃「あれ?先輩……」

 

淳平「ん? ルリ?」

 

瑠璃乃「先輩、その靴どうするんですか?」

 

梢「なんかさっき慈が来てね、急に私物を処分してくれって言うものだから。おかげで、大倉庫まで行く羽目になっちゃったわ……」

 

瑠璃乃「それって……めぐちゃんは、もうスクールアイドルクラブに戻ることはない、ってこと……」

 

梢「かも、しれないわ……」

 

淳平「認めたくないけどな……」

 

瑠璃乃「ルリのせいだ……ルリが、めぐちゃんを追い詰めたから……」

 

淳平「……何か、あったみたいだな」

 

瑠璃乃「うん……? あの靴……」

 

淳平「うん? ああ……」

 

瑠璃乃「気付かなかった。ルリがめぐちゃんに送った靴だ。サイズ違いで…同じ物……こんなにボロボロにして……こんなに。いっぱい練習してたんだ。知らなかった……」

 

淳平「………めぐは、誰よりも努力してる女の子だったよ。今も、昔もな……」

 

瑠璃乃「めぐちゃん……」

 

綴理「そういえば、めぐから聞いたことあるよ?なんで靴を取っておいてるの?、って」

 

梢「そしたら?」

 

 

 

慈『私、この靴を見るたびに思うんだ。ずいぶん遠くまで走ってきたんだなあって。それで、もしもこんなところまで追いかけて来てくれる子がいたら、そんなのもう、世界中を夢中にさせる無敵のユニット、組んじゃうしか、ないでしょ!!』

 

 

綴理「って……」

 

瑠璃乃「!! ルリ、ちょっと行ってきます!!」

 

瑠璃乃は、走って行ってしまった。

 

淳平「綴理……お前、またよく覚えていたもんだな……」

 

綴理「ずっと、楽しかったんだ。覚えているさ……」

 

淳平「さて、瑠璃乃のライブの衣装、念のためにめぐのも作っておいたけど、どうなることやら……」

 

ー つづく ー




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