第5話:始動!
花帆がスクールアイドルクラブに入部した新入生歓迎ライブの日の夜、俺は規則通り、先生同伴で女子寮に住む幼馴染の部屋に向かっていた。
時折1年生からは怪訝な目で見られるが、先輩や同学年の生徒たちは1年見た光景なので特に気に留めない。
そして、目的の部屋に着いた。
先生「じゃあ待ってるから終わったら声かけろよ?」
淳平「分かりました。ありがとうございます」
そして俺は扉をノックする。
コンコン
淳平「俺だ。淳平だ」
ガチャ
すると、扉が開き、中から幼馴染が出てきた。
?「いらっしゃいジュン。なんか、アタシの部屋に来るの久し振りだね?」
淳平「そうだな。クラスでは毎日会ってるんだけどな……
すると、めぐはクスッと笑い、
慈「まぁ、立ち話も何だし、入って?」
淳平「おう、おじゃまします……」
そして、俺は幼馴染と部活の話をする。
淳平「というわけでな、新入部員は2人確保できたよ」
慈「歓迎会の動画見たからしってる。そう言えばあの花帆ちゃんって子、ジュンと同じ苗字だけど……」
淳平「ああ、従兄弟なんだよ」
慈「従兄弟?! そっか、道理でなんか雰囲気が似てると思った……」
淳平「それ、褒めてんのか……?」
するとめぐはクスリと笑い、
慈「褒めてるよ〜!」
淳平「なら、良いけど……」
そして、少しお互いに無言になり、
淳平「めぐ、やっぱり……まだ"イップス"はどうにもならなそうか?」
慈「うん。部活を休部してからも、ジュンにいっぱい手伝ってもらったけど……やっぱり、ステージに立つと、足が動かなく、なって……」
めぐは自分が情けないと思ったのか…、ポロポロと涙をこぼす。
淳平「めぐ! ギュッ! 悪い、思い出させて……大丈夫だから!そばにいるから!!」
慈「……うん」
そして、めぐはしばらく俺に身を委ねていた。
淳平「落ち着いたか?」
慈「うん。ありがとうジュン……。"るりちゃん"には見せられないや……」
淳平「めぐ、るりには見栄ばっか張ってたもんな?」ニシシ
慈「うっさい!!」
淳平「悪い悪い、じゃあ、そろそろ寮に戻るよ」
慈「うん。いつでも来てね?」
淳平「サンキュ」
そして、俺は部屋を出ると、先生と一緒に男子寮に戻っていった。
慈「ジュン……」
すると、慈のスマホの通知が鳴る。
慈「ん? るりちゃんからLINEだ……」
瑠璃乃『めぐちゃん! るり、8月くらいから日本に戻るから!また、ジュン兄ぃとめぐちゃんと一緒にいられるのが楽しみ!!絶対に一緒に、スクールアイドルやろうね!!』
慈「ッ! ………るりちゃん」
そしてその翌日、スクールアイドルクラブの朝練を終えた俺は、授業前の時間に、教室で慈と話していた。慈とは同じクラスなのだ。
慈「でね? るりちゃん戻ってくるんだって」
淳平「そっか……会えるのは楽しみ、だけど……」
慈「うん。一緒に、スクールアイドルやるのは無理だよね……。やっぱり……。あんな事故で怪我しなかったら、思う存分るりちゃんと、ジュンと、スクールアイドル……できたのに……」
淳平「めぐ……」
先生「は~い、席に着いて!ホームルームを始めますよ!!」
そしてその日も授業を終えて放課後、部室には俺、梢、綴理、花帆、さやかちゃんの5人が集まった。
花帆「改めて、本日からスクールアイドルクラブに正式加入した、日野下花帆です!どうぞ、よろしくお願いしまーす!」
梢「スクールアイドルクラブ部長の乙宗梢よ。歓迎するわ、花帆さん」
綴理「ようこそかほ。いやーよかったねえ、こず」
淳平「ホントホント」
梢「それはどういう意味かしら、綴理?淳?」
淳平「え?だって、毎日毎日、口を開けば花帆が部に入ってくれないかな〜?って」
綴理「言ってたねえ……」
梢 コホン!「ええそうね!部員が増えれば、活動の幅も広がるものね!部費も獲得しやすくなって、いいことずくめだわ!」
淳平「今更見栄張ったってムダなのに…www」
梢「煩いわよ!!」
さやか「村野さやかです。ライブはまだやったことがないので、もしかしたら心がけなどを、花帆さんに教えてもらうことになるかもしれませんね」
花帆「コツはね、『楽しもう』だよ!さやかちゃん!」
淳平「おっ!良いこと言うじゃん。もうすっかり、笑顔が輝いてるな!」
梢 クスッ「本当にね」
花帆「えっへっへー。まだつぼみですけど、すぐに花咲いてみせますからね!そしていずれは、この学校で笑顔を満開に!」
梢「ええ。でもね、この学校を楽しくするのもあなたにとっては大切なことかもしれないけれど、何事も自分が楽しんでこそ。だから、まずはあなた自身の楽しみを見出すところから始めてほしいの」
花帆「あたしの、楽しさ……!!」
花帆は少し考えると、
花帆「わ、分かりました!楽しいこと大好きですから、がんばります!あ、でも、あたし……。そしたら、淳兄ぃだけじゃなくて、梢先輩にもワガママなこと言っちゃいそうなんですけど……」
梢「平気よ。今更1人、面倒を見る子が増えたって」
俺と梢は綴理に目をやる。
綴理「どうして、ボクを見るの?」
梢「手のかかる子ほどかわいいって話」
綴理「そうなんだ。ボク、かわいい?」
梢「ともあれ、遠慮せずになんでも言ってちょうだい、花帆さん」
梢、無視したな……。
梢「それであなたの心が花咲くのなら、お安いご用だわ」
淳平「そうそう」
花帆「梢センパイ〜〜!淳兄ぃ〜〜!!」
梢「あら、まあ」
淳平「ったく、昔から甘えん坊なんだからな……」ヨシヨシ
するとすぐに花帆は離れ、
花帆「だったらあたし、やりたいこと、もう決まっています!ライブです!ライブがいっぱいやりたいです!」
梢「あら、それがあなたの『楽しいこと』?」
花帆「はい!あのライブすっごくきもちよくて、それにあたしのステージを見てくれた人たちの笑顔も、ぱーっと輝いて見えたんです!まるで笑顔のお花畑が咲き誇ってるみたいでした!」
梢「そうね、いいわ。だったらやりましょう、ライブ。スクールアイドルだものね」
花帆「はい、この学校を笑顔にしちゃいましょう!ばーっと!」
梢「それじゃあ早速、日時を決めて、中庭を予約してこなくっちゃね」
花帆「どこにお願いすればいいですか?」
梢「とりあえずは職員室で手続きをしなくっちゃいけないわ」
花帆「分かりました!行ってきます!」
そして、花帆は部室を出ていった。
淳平「ホント、走り出したら止まらない暴走特急みたいなやつだろ?」
梢「確かに……」
梢は苦笑する。
淳平「でも、小さい頃から身体が弱くて、ガマンしてた反動がきてるだけだから、大目に見てやってくれ」
梢「ええ。わかっているわ……」
しばらくして花帆が戻って来た。
花帆「戻りました!」
淳平「えっ、早いな……中庭は借りられたか?」
花帆「はい!」
梢「いいわね。それじゃあその日まで一生懸命、練習を……」
花帆「中庭だけじゃムリでしたけど!端っことか隅っことか合わせて、1週間借りて来ました!」
………は?
梢「え………?」
珍しい梢のあっけにとられた声が、部室に響いた。
ー つづく ー
名前
以下は公式プロフィール参照してください
本文中に名前がちらっと出てきた慈と淳平の1つ下の幼馴染。小学校の頃に引っ越し、今はアメリカのカリフォルニアに留学している。
後に日本に戻ってきて、蓮ノ空に入ることになる。
淳平のことをジュン兄ぃと呼んで小さい頃から慕っている。(花帆は淳兄ぃ、瑠璃乃はジュン兄ぃ呼びで記述する。)
慈とは小さい頃から淳平を巡って恋のライバル。だけどお互いに仲はとても良く、卑怯なことはせずに堂々と奪い合おうと言う、二人の間の掟がある。
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