蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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ようやく配信に追いついた……。

始まります!!

※プロローグの後書きに淳平の容姿イメージ画像を載せました。興味ある方は見てみてください。(苦手な方は無理しないでくださいね)


幕間 (十一章 ⇦⇨ 十二章)
第61話:蓮ノ大三角と太陽☆


市内ライブから数日後、いよいよ季節は秋に入り始めていた。

 

蓮ノ空校舎内・2年生廊下〜

 

慈「さって、次は移動教室、っと。音楽の授業だけは、まあまあ好きっかなー」

 

淳平「ほんと、勉強!っていう科目じゃなければ成績は素でもそこまで悪くないもんな」

 

慈「まあねー」

 

梢「あ、慈…淳。2人一緒ならちょうど良かった」

 

淳平「? 梢?どうした……?」

 

梢「今日の放課後、練習終了後ふたりとも部室に残ってくれないかしら」

 

慈「え、いいけど……?」

 

梢「それじゃあ、また後でね」

 

そして梢は行ってしまった。

 

慈「う、うん。……え、なに?呼び出し……?」

 

淳平「俺なにかしたっけ……?」

 

 

中庭〜

 

綴理はベンチに座って空を見上げていた。

 

綴理「今日は風が柔らかいから、雲ものんびりさんだね。夜は星たちも、きっとご機嫌。夜……うーん……暗い……暗い暗い……消灯……うーん……お布団……。なんだかボクも眠くなってきちゃった」

 

梢「綴理、ちょっといいかしら?」

 

綴理「ん。こずもお昼寝?」

 

梢「部活が終わったあと、話があるから」

 

綴理「え………?」

 

梢「それだけ。じゃあ、よろしくね」

 

そして梢は去っていった。

 

綴理「……ボク、またなにかした……? あ、風、ちょっと冷たくなってきた……かも……」

 

 

 

 

 

そして練習終了後、梢に呼び出され俺、綴理、慈の3人は梢の前に座っていた。

 

梢「3人とも、居残ってくれてありがとうね。………ところで、なんでそんな遠くに座ってるの?」

 

慈「いや……」

 

淳平(なんかしたっけ、なんかしたっけ……?)

 

綴理「お説教、心当たりがない……」

 

梢「説教? 私があなたたちに? どうして?」

 

慈「そりゃ、あんな呼び出し方されたら!そう思うよ!」

 

梢「ええっ……。私は普通に声をかけたつもりだったけれど……」

 

慈「いいや、完全に生活指導の先生だったね!」

 

綴理「良く似てたよ」

 

淳平「……おまえら、そんなしょっちゅう生活指導されてるのか?」

 

梢「いえ、そうじゃなくて。今日は少し、あなたたちにとっても愉快ではない話をしようと思って……」

 

綴理「やっぱりお説教なんだ……」

 

梢「ここに、2枚の紙があるわ」

 

そして、梢は2枚の紙を机の上に置く。

 

慈「……まさか私と綴理の退部届け!?……ハッ!素行不良の部員を追い出して、クリーンな部を作るつもり!?」

 

綴理「ごめんなさい。明日からまじめに授業を聞きます。教科書全部忘れてきても、まあいっか、って思ったりせず、寮に取りに行きます」

 

淳平「おい綴理、お前今とんでもないこと言ったぞ?」

 

梢「……そうね。それは是非そうするべきだと思うけれど……。というか、違うの、誤解しないで。今日話そうと思った事はね――」

 

梢は紙の1枚を見せる。

 

綴理「これ、4人での約束……」

 

慈「……全国大会の出場辞退と、これ以上関わらないようにしようっていうのと、ジュンは中立の立場で絶対に深く踏み込まないっていう、不干渉条約」

 

梢「北陸大会を突破したその後、4人で決めたこと。文面を慈が作って、私たちがみんなでサインをした。去年は、そうすることが一番いいと、信じていた。」

 

梢は言葉を続ける。

 

梢「慈が怪我をして、沙知先輩がいなくなって。私は部を守りたくて、地方大会の決勝で、綴理と、支えてくれたジュンを傷つけた」

 

綴理「……………」

 

淳平「……………」

 

梢「何度も意見を衝突させて、信念とは決して呼べないようなエゴをぶつけ合った。これは私たちが未熟だった証拠、さしずめ……若木証明書。……一度、ちゃんと話をしたいと思って。三人がまだ、私になにか言い足りないことがあるなら、それも全て受け止めるつもり。私がもう少し、色々なことが上手に、できていたら……」

 

淳平「上手にできていたら、慈は怪我をしなかった、って?1年間くすぶった時間を過ごすこともなかったっていうのか?」

 

梢「それは」

 

慈「ほんと。梢って傲慢だよね」

 

綴理「ジュン、めぐ」

 

慈「私が怪我をしたのは、ただ私が怪我をしたから。踊れなくなったのも、私が踊れなかったから。それだけ。そこに意味なんてない。なのに、ふたりはいつまでも私のリハビリに協力して、自分の練習時間も、それ以外の時間も削ろうとした。だから、私はスクールアイドルを辞めることにした。それは、私が決めたこと。見えない?ここに4人のサインが書いてあるのが」

 

淳平「今の梢は部長だけど、俺達にとってはあの頃の梢も今の梢も、ただ周りの人より少ししっかりしてるだけの同級生だよ。それなのに、何でもかんでも自分で背負い込もうとするんだもんな。ほんと、バカじゃねえかって思うぜ」

 

梢「慈……、ジュン……」

 

綴理「ボクには、ふたりみたいに言う資格はないと思う。だって、こずが無理をしてたのは、ボクのせいだったから。去年の今ごろを思い出すと、今でも体が沈んでいく。海の中で、だんだん光が見えなくなってくるみたいに。それが後悔という名前なら、ボクはずっと後悔してるよ。もっとこずと、ちゃんと話せればよかった。もちろんめぐと、ジュンとも」

 

慈「ん」

 

淳平「だな」

 

綴理「そしたら今はボクが部長を代わってあげられてたかも」

 

慈・淳平「「いや、それは無理!!」」

 

ふたりの声がハモる。

 

梢「……さんにんとも」

 

慈「はい、これで辛気臭い話は終わり!4人とも若かったし、やなこと続いちゃってたよね!以上!文句ある!?」

 

梢「でも……」

 

慈「なんか嫌なの!だってこれからもことあるごとに『あの頃はごめんね……』って言われそうじゃん!?今の私は幸せなんだから、蒸し返さなくていーの!」

 

綴理「こずはもうちょっと軽い人を見習ったほうが良いと思う。雲とか」

 

慈「人間関係も、勉強も、スクールアイドルも、梢にとっては同じなんだよね。出来ないことがあるなら、できるようになるまでやる」

 

淳平「できないのは自分の努力が足りないからだ…ってな」

 

梢「そ、それは……なんだって、そういうものでしょう?」

 

慈「私が梢だったら1時間で心折れてる」

 

綴理「ボクなら5秒」

 

淳平「一週間ならなんとか……」

 

梢「でも……私も、嫌なのよ。私の力が及ばなかったばかりに、誰かが悲しい顔をするのは。私は、できるなら、音楽のように完璧なものになりたい。五線譜の上、たったひとつでも構成要素が欠けていたら、それはもう完璧ではなくなってしまうの」

 

慈「……ジュン、梢のほっぺをひっぱっちゃえ」

 

淳平「了解」

 

俺は梢のほっぺを掴んで上に下に横にと動かしまくる。

 

梢「ひょっほ!?(ちょっと!?)」

 

慈「これで完璧じゃなくなったね!理想から遠ざかったよ!」

 

梢「もう!人がせっかく真面目に話しているのに! ……まったく……ふふ。……でも、ありがとう。少し、心が軽くなったわ」

 

綴理「少しだけなんだ」

 

慈「しょうがない。梢は結局、背負いこむのも好きなんだから」

 

梢「そ、そういうわけじゃ……ないと、思うわ」

 

淳平「そこは断言しろよ……」

 

綴理「それじゃあ、この若木証明書?ってやつ、どうしよう」

 

慈「んー、ビリビリに破いて捨てちゃう?残しておいたら、梢が自室に飾って『戒めよ』とか言いそうだし」

 

淳平「同感」

 

梢「で、でも、過去に犯した過ちに向き合うのは、成長のために必要なことで……」

 

慈「ほんとにやるつもりだったの!?自罰的も行き過ぎるとそういう趣味の人みたいなんだけど!」

 

梢「別にやりたくてやっているわけじゃないわ!」

 

綴理「ん。とりあえず、持って帰ろうか」

 

 

 

そして寮に向かう途中

 

慈「周りになにもない学校だから、星だけは綺麗なんだよね〜」

 

梢「私は好きよ。春夏秋冬、色んな星が見られて」

 

綴理「あれ?そういえば紙って2枚あったよね?もう1枚は?ボクの想像にしかいなかった?」

 

梢「……忘れていたわけじゃないわ。見せるタイミングがなくて」

 

慈「っ! ラブライブ!のエントリーシート!」

 

綴理「去年も見たやつだ」

 

梢「もちろん、去年とは違うわ。去年出場したのは、私と綴理だけだったけれど」

 

淳平「今年は6人、3ユニット!」

 

綴理「DOLLCHESTRAで出れるんだ」

 

梢「そういうこと。本当にやりたかったことが、できるようになるわ。いえ、もちろん、綴理と出場したラブライブ!も、あれはあれで勉強になったけれど………そうじゃなくてね」

 

綴理「なんかその言い方、さやみたい」

 

慈「みらくらぱーく!で、世界を塗り替える日が来たかー!」

 

梢「私たちスリーズブーケならきっと、最高のスクールアイドルに手が届く。そう、あの日に夢見たような」

 

淳平「今年は、みんなのライブが見れるのか!!」

 

慈「誰が勝っても負けても、恨みっこなしだからね」

 

梢「ええ、もちろん」

 

綴理「でも、ボクとさやがいちばんだよ」

 

慈「それって勝利宣言かー!? この天才がー!」

 

梢「うふふっ。あなたたちって、仲がいいんだか悪いんだか……。……でも、きっとかけがえのない関係なのよね。だって、誰が欠けても成り立たない。『蓮ノ大三角と太陽』ですもの」

 

綴理「蓮ノ大三角と太陽」

 

慈「綴理――?」

 

綴理「いいこと考えた。星を折ろう」

 

梢・慈・淳平「「「ん?」」」

 

 

 

そして翌日早朝・部室・・・・

 

花帆「今日も頑張りましょーー!」

 

瑠璃乃「じんこーみつどが低い!居心地ヨシ!」

 

さやか「おはようございます。今日もよろしくお願いします」

 

 

すると、

 

花帆「あれ?なんですか、この折り紙のお星さま」

 

瑠璃乃「ほんとだー。昨日はなかったよね?」

 

綴理「それは、もともと若木だった。でも今は、お星さまなんだよ」

 

瑠璃乃「さやかちゃん、翻訳ぷりーず!」

 

さやか「えっ、すみません、わかりません!」

 

綴理「そして名を、蓮ノ大三角と太陽と言う」

 

花帆「星1個だけなのに!?」

 

慈「………なんか、楽しそうだけど」

 

淳平「まあ、これでいいんじゃないか?」

 

梢「そうね。あの頃の思い出が星になるなんて、破くよりもよっぽどいいわ」

 

慈「……まっ、そーかもね」

 

梢「ええ。それじゃあ……みんな!今日も練習、頑張りましょうね!」

 

花帆・さやか・瑠璃乃・綴理・慈・淳平「「「「「「はーーい!!」」」」」」

 

 

ー つづく ー




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