始まります!!
※プロローグの後書きに淳平の容姿イメージ画像を載せました。興味ある方は見てみてください。(苦手な方は無理しないでくださいね)
第61話:蓮ノ大三角と太陽☆
市内ライブから数日後、いよいよ季節は秋に入り始めていた。
蓮ノ空校舎内・2年生廊下〜
慈「さって、次は移動教室、っと。音楽の授業だけは、まあまあ好きっかなー」
淳平「ほんと、勉強!っていう科目じゃなければ成績は素でもそこまで悪くないもんな」
慈「まあねー」
梢「あ、慈…淳。2人一緒ならちょうど良かった」
淳平「? 梢?どうした……?」
梢「今日の放課後、練習終了後ふたりとも部室に残ってくれないかしら」
慈「え、いいけど……?」
梢「それじゃあ、また後でね」
そして梢は行ってしまった。
慈「う、うん。……え、なに?呼び出し……?」
淳平「俺なにかしたっけ……?」
中庭〜
綴理はベンチに座って空を見上げていた。
綴理「今日は風が柔らかいから、雲ものんびりさんだね。夜は星たちも、きっとご機嫌。夜……うーん……暗い……暗い暗い……消灯……うーん……お布団……。なんだかボクも眠くなってきちゃった」
梢「綴理、ちょっといいかしら?」
綴理「ん。こずもお昼寝?」
梢「部活が終わったあと、話があるから」
綴理「え………?」
梢「それだけ。じゃあ、よろしくね」
そして梢は去っていった。
綴理「……ボク、またなにかした……? あ、風、ちょっと冷たくなってきた……かも……」
そして練習終了後、梢に呼び出され俺、綴理、慈の3人は梢の前に座っていた。
梢「3人とも、居残ってくれてありがとうね。………ところで、なんでそんな遠くに座ってるの?」
慈「いや……」
淳平(なんかしたっけ、なんかしたっけ……?)
綴理「お説教、心当たりがない……」
梢「説教? 私があなたたちに? どうして?」
慈「そりゃ、あんな呼び出し方されたら!そう思うよ!」
梢「ええっ……。私は普通に声をかけたつもりだったけれど……」
慈「いいや、完全に生活指導の先生だったね!」
綴理「良く似てたよ」
淳平「……おまえら、そんなしょっちゅう生活指導されてるのか?」
梢「いえ、そうじゃなくて。今日は少し、あなたたちにとっても愉快ではない話をしようと思って……」
綴理「やっぱりお説教なんだ……」
梢「ここに、2枚の紙があるわ」
そして、梢は2枚の紙を机の上に置く。
慈「……まさか私と綴理の退部届け!?……ハッ!素行不良の部員を追い出して、クリーンな部を作るつもり!?」
綴理「ごめんなさい。明日からまじめに授業を聞きます。教科書全部忘れてきても、まあいっか、って思ったりせず、寮に取りに行きます」
淳平「おい綴理、お前今とんでもないこと言ったぞ?」
梢「……そうね。それは是非そうするべきだと思うけれど……。というか、違うの、誤解しないで。今日話そうと思った事はね――」
梢は紙の1枚を見せる。
綴理「これ、4人での約束……」
慈「……全国大会の出場辞退と、これ以上関わらないようにしようっていうのと、ジュンは中立の立場で絶対に深く踏み込まないっていう、不干渉条約」
梢「北陸大会を突破したその後、4人で決めたこと。文面を慈が作って、私たちがみんなでサインをした。去年は、そうすることが一番いいと、信じていた。」
梢は言葉を続ける。
梢「慈が怪我をして、沙知先輩がいなくなって。私は部を守りたくて、地方大会の決勝で、綴理と、支えてくれたジュンを傷つけた」
綴理「……………」
淳平「……………」
梢「何度も意見を衝突させて、信念とは決して呼べないようなエゴをぶつけ合った。これは私たちが未熟だった証拠、さしずめ……若木証明書。……一度、ちゃんと話をしたいと思って。三人がまだ、私になにか言い足りないことがあるなら、それも全て受け止めるつもり。私がもう少し、色々なことが上手に、できていたら……」
淳平「上手にできていたら、慈は怪我をしなかった、って?1年間くすぶった時間を過ごすこともなかったっていうのか?」
梢「それは」
慈「ほんと。梢って傲慢だよね」
綴理「ジュン、めぐ」
慈「私が怪我をしたのは、ただ私が怪我をしたから。踊れなくなったのも、私が踊れなかったから。それだけ。そこに意味なんてない。なのに、ふたりはいつまでも私のリハビリに協力して、自分の練習時間も、それ以外の時間も削ろうとした。だから、私はスクールアイドルを辞めることにした。それは、私が決めたこと。見えない?ここに4人のサインが書いてあるのが」
淳平「今の梢は部長だけど、俺達にとってはあの頃の梢も今の梢も、ただ周りの人より少ししっかりしてるだけの同級生だよ。それなのに、何でもかんでも自分で背負い込もうとするんだもんな。ほんと、バカじゃねえかって思うぜ」
梢「慈……、ジュン……」
綴理「ボクには、ふたりみたいに言う資格はないと思う。だって、こずが無理をしてたのは、ボクのせいだったから。去年の今ごろを思い出すと、今でも体が沈んでいく。海の中で、だんだん光が見えなくなってくるみたいに。それが後悔という名前なら、ボクはずっと後悔してるよ。もっとこずと、ちゃんと話せればよかった。もちろんめぐと、ジュンとも」
慈「ん」
淳平「だな」
綴理「そしたら今はボクが部長を代わってあげられてたかも」
慈・淳平「「いや、それは無理!!」」
ふたりの声がハモる。
梢「……さんにんとも」
慈「はい、これで辛気臭い話は終わり!4人とも若かったし、やなこと続いちゃってたよね!以上!文句ある!?」
梢「でも……」
慈「なんか嫌なの!だってこれからもことあるごとに『あの頃はごめんね……』って言われそうじゃん!?今の私は幸せなんだから、蒸し返さなくていーの!」
綴理「こずはもうちょっと軽い人を見習ったほうが良いと思う。雲とか」
慈「人間関係も、勉強も、スクールアイドルも、梢にとっては同じなんだよね。出来ないことがあるなら、できるようになるまでやる」
淳平「できないのは自分の努力が足りないからだ…ってな」
梢「そ、それは……なんだって、そういうものでしょう?」
慈「私が梢だったら1時間で心折れてる」
綴理「ボクなら5秒」
淳平「一週間ならなんとか……」
梢「でも……私も、嫌なのよ。私の力が及ばなかったばかりに、誰かが悲しい顔をするのは。私は、できるなら、音楽のように完璧なものになりたい。五線譜の上、たったひとつでも構成要素が欠けていたら、それはもう完璧ではなくなってしまうの」
慈「……ジュン、梢のほっぺをひっぱっちゃえ」
淳平「了解」
俺は梢のほっぺを掴んで上に下に横にと動かしまくる。
梢「ひょっほ!?(ちょっと!?)」
慈「これで完璧じゃなくなったね!理想から遠ざかったよ!」
梢「もう!人がせっかく真面目に話しているのに! ……まったく……ふふ。……でも、ありがとう。少し、心が軽くなったわ」
綴理「少しだけなんだ」
慈「しょうがない。梢は結局、背負いこむのも好きなんだから」
梢「そ、そういうわけじゃ……ないと、思うわ」
淳平「そこは断言しろよ……」
綴理「それじゃあ、この若木証明書?ってやつ、どうしよう」
慈「んー、ビリビリに破いて捨てちゃう?残しておいたら、梢が自室に飾って『戒めよ』とか言いそうだし」
淳平「同感」
梢「で、でも、過去に犯した過ちに向き合うのは、成長のために必要なことで……」
慈「ほんとにやるつもりだったの!?自罰的も行き過ぎるとそういう趣味の人みたいなんだけど!」
梢「別にやりたくてやっているわけじゃないわ!」
綴理「ん。とりあえず、持って帰ろうか」
そして寮に向かう途中
慈「周りになにもない学校だから、星だけは綺麗なんだよね〜」
梢「私は好きよ。春夏秋冬、色んな星が見られて」
綴理「あれ?そういえば紙って2枚あったよね?もう1枚は?ボクの想像にしかいなかった?」
梢「……忘れていたわけじゃないわ。見せるタイミングがなくて」
慈「っ! ラブライブ!のエントリーシート!」
綴理「去年も見たやつだ」
梢「もちろん、去年とは違うわ。去年出場したのは、私と綴理だけだったけれど」
淳平「今年は6人、3ユニット!」
綴理「DOLLCHESTRAで出れるんだ」
梢「そういうこと。本当にやりたかったことが、できるようになるわ。いえ、もちろん、綴理と出場したラブライブ!も、あれはあれで勉強になったけれど………そうじゃなくてね」
綴理「なんかその言い方、さやみたい」
慈「みらくらぱーく!で、世界を塗り替える日が来たかー!」
梢「私たちスリーズブーケならきっと、最高のスクールアイドルに手が届く。そう、あの日に夢見たような」
淳平「今年は、みんなのライブが見れるのか!!」
慈「誰が勝っても負けても、恨みっこなしだからね」
梢「ええ、もちろん」
綴理「でも、ボクとさやがいちばんだよ」
慈「それって勝利宣言かー!? この天才がー!」
梢「うふふっ。あなたたちって、仲がいいんだか悪いんだか……。……でも、きっとかけがえのない関係なのよね。だって、誰が欠けても成り立たない。『蓮ノ大三角と太陽』ですもの」
綴理「蓮ノ大三角と太陽」
慈「綴理――?」
綴理「いいこと考えた。星を折ろう」
梢・慈・淳平「「「ん?」」」
そして翌日早朝・部室・・・・
花帆「今日も頑張りましょーー!」
瑠璃乃「じんこーみつどが低い!居心地ヨシ!」
さやか「おはようございます。今日もよろしくお願いします」
すると、
花帆「あれ?なんですか、この折り紙のお星さま」
瑠璃乃「ほんとだー。昨日はなかったよね?」
綴理「それは、もともと若木だった。でも今は、お星さまなんだよ」
瑠璃乃「さやかちゃん、翻訳ぷりーず!」
さやか「えっ、すみません、わかりません!」
綴理「そして名を、蓮ノ大三角と太陽と言う」
花帆「星1個だけなのに!?」
慈「………なんか、楽しそうだけど」
淳平「まあ、これでいいんじゃないか?」
梢「そうね。あの頃の思い出が星になるなんて、破くよりもよっぽどいいわ」
慈「……まっ、そーかもね」
梢「ええ。それじゃあ……みんな!今日も練習、頑張りましょうね!」
花帆・さやか・瑠璃乃・綴理・慈・淳平「「「「「「はーーい!!」」」」」」
ー つづく ー
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