蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第63話:部長代理、村野さやか?!

梢が風邪を引いてしまった日のスクールアイドル部室では、これからのことを淳平も含めた全員で話し合っていた。

 

さやか「それで、どうしましょうか……?」

 

慈「竜胆祭は今週末。梢は全力で風邪を倒してくるとして……」

 

淳平「梢は俺が看病するよ……。寮母さんに言ったら、「乙宗さんの風邪が治るまでは女子寮への先生の同伴無しの入寮を許す」って言ってくれたし」

 

瑠璃乃「でも、ジュン兄ぃだけじゃあ大変じゃない?ジュン兄ぃメインにしてルリたちも交代でサポートするよ」

 

淳平「ありがとうな。ルリ」

 

俺がルリちゃんを撫でると「ふにゃ~」と猫のような声を漏らして気持ちよさそうにするルリちゃん。

 

さやか「そうすると……あとはこの数日の練習スケジュールについてと、他の部活や学校とのやり取りについてですね。全部……梢先輩がやってくれてたんですよね……」

 

こうなって初めて分かった。みんながどれだけ梢に頼り切りだったか。今更だが、みんな少し反省している。

 

花帆「あたし、これからは自分のことはなるべく自分でやって、梢センパイのことも手伝おう……」

 

綴理「ボクはできること少ないけど、ボクでもできることはきちんとやろう」

 

さやか「わたしもです。これからは、梢先輩の負担を少しでも分散できれば……」

 

瑠璃乃「ルリも協力するよ!何ができるかは分からないけど」

 

慈「私も。1年間も休んでた分、私はキッチリ働かないと!!」

 

梢……。お前の仲間は本当にいい子ばかりだな。

 

淳平「俺もだ!」

 

皆でこれからは梢にばかり仕事を負担させるのは絶対にやめようと誓ったところで、さやかちゃんが続きを切り出す。

 

さやか「それで、この書類が竜胆祭までに片付けなければならない仕事みたいで」

 

俺たちは、机の上に、20センチ近くまで積まれた書類の山を見る。

 

すると、

 

綴理「……うん、分かった」

 

淳平「綴理?」

 

綴理「ボクが、部長代理だ!」

 

花帆・さやか・瑠璃乃・慈・淳平「「「「「ええーーっ?!」」」」」

 

綴理「こずが、これまで頑張ってきたこと……ボクが全て引き継ぐ。きっとこずも、空で笑ってくれるはずだ」

 

花帆「いやいや、梢センパイが死んだみたいな言い方!!」

 

瑠璃乃「確かに綴理先輩が梢先輩とはいちばん長いけどさ……、なんか笑えないことになりそうなんだけど……」

 

ルリ、お前もけっこう言うな。だが、残念ながら俺も同意見だ。

 

そしてここで、

 

慈「待った」

 

めぐが待ったをかける。あっ、言う事分かった。ほら、ルリも「あ〜」みたいな顔してるし!

 

慈「もしも部長代理……つまり、次のリーダーが必要だと言うのなら、それは私じゃないかな!」

 

あっ、予想当たってたわ。けど、めぐか……。綴理とだったら、めぐの方がリーダーに向いてるとは思う。けど、

 

淳平「めぐ、分かってるのか?部長代理ってことは、この仕事をやるメインはお前になるんだぞ?俺たちも少しは手伝うけどさ……。他にも、他の部活や学校との交渉とか、お前にできるのか?」

 

慈「むっ、できるよそのくらい!!」

 

瑠璃乃「いや、無理だと思う……」

 

慈「るりちゃん?!」

 

めぐが味方だと思ってたるりからの言葉でダメージを負うと、

 

綴理「めぐ、負けないよ!」

 

慈「むっ、綴理もここで折れないなんて昔とは違うね」

 

綴理「うん。成長したからね」

 

淳平「おい、マジでやるのか……?」

 

花帆「じ、じゃあ!お試しってことで、2人でやってみたらどうですか?やっていくうちに、どちらのほうが向いてるのか分かっていくこともあるでしょうし!」

 

瑠璃乃「あ〜、確かにそれが一番丸いかも……」

 

綴理「いいよ。受けて立つ!」

 

慈「どちらがリーダーに相応しいか見せてあげようじゃないか!」

 

さやか「えっ!?これ勝負なんですか?」

 

 

 

そして約二名を除くみんなの不安の中、二人が仕事を始めると……

 

 

綴理「………おかしい」

 

慈「間違ってる」

 

瑠璃乃「まずめぐちゃんは、もっと漢字を読めるようになろうね……」

 

慈「漢字なんてこの世に要らないんだよ!るりちゃんだってアルファベットさえあれば良いでしょ!?」

 

淳平「おいお前日本人だろ!? 日本語が分からなくてどうすんだ!!」

 

ホント……テストになるとあれだけできるクセになんで普段はこんな漢字も読めないんだ……。

 

瑠璃乃「ホント、ジュン兄ぃって教えるの上手いんだね。こんなおバカが平均点以上の点を取れるくらいに分かるようになっちゃうんだから……」

 

慈「るりちゃん?! おバカって私のこと!?なんてこと言うの!!」

 

淳平「いや、紛うことなきバカだと思うぞ?」

 

慈「酷い!!」

 

はあ。綴理の方は……

 

さやか「綴理先輩も、さすがに練習スペースの貸し出し理由が「れんしゅう」じゃ通りません」

 

淳平「まあ確かに貸し出してもらって、そこでやることは"練習"だから、厳密には間違ってはいないけどな。ちょっと簡潔すぎるな……」

 

綴理「"しゅうれん"にするべきだったか」

 

さやか「頑張ってる感を増やせってことじゃないです」

 

瑠璃乃「っていうかさ、ジュン兄ぃが一番向いてるんじゃないの……って、そっか。梢先輩の看病任されてるんだもんね」

 

淳平「ああ。流石にそれもは無理だ」

 

慈「ぐぬぬぬ……じゃあ誰ができるっていうの!?」

 

綴理「こず、ごめん。ボクはこずの代わりにはなれないみたいだ」

 

淳平「……1人だけできそうな子はいる」

 

花帆「えっ、誰?」

 

さやか「誰ですか!?」

 

瑠璃乃「だれ?」

 

淳平「……さやかちゃん」

 

さやか「ええっ?!」

 

みんながさやかちゃんを見る。

 

花帆「確かに!さやかちゃんならしっかりしてるし、頭も良いし落ち着いてるし、一番できそう!!」

 

瑠璃乃「盲点だったぜ!!」

 

さやか「えっ、そんな!わたしですか!?」

 

慈「くっ、言われてみると……確かに向いてるかも」

 

綴理「分かった。さや……お願いします」

 

なんと綴理は1年生のさやかちゃんに頭を下げた。先輩が後輩に頭を下げる。これがどういう意味を持つのか、学生の皆さんならお分かりだろう。

 

さやか「そんな!綴理先輩、頭を上げてください!! ……分かりました。皆さんに頼る部分はあると思いますが、やってみます!」

 

淳平「うん。頼んだ!」

 

そして早速、綴理たちの(バツ)を喰らった仕事を手に付けるさやかちゃん。すると、提出したらOKをもらった。

 

綴理「さや、すごい」

 

慈「むー……。まあ、認めるしか無いね。私も頑張らないと」

 

そして放課後、花帆たちのクラスに竜胆祭の運営委員会の人が部活会議で出す書類をさやかちゃんのところに受け取りに来た。

 

瑠璃乃「さやかちゃ〜ん!委員会の人が、部活会議に出す書類できてますか?って!」

 

さやか「あっ、はい。コチラに!」

 

花帆「おお!さすがさやかちゃん!!」

 

部室での竜胆祭のステージ利用許可の書類を作成してる時は、

 

慈「竜胆祭のステージさ、それぞれのユニットのことを考えても、1時間は確保したいかな〜って」

 

さやか「なるほど。えーっと、『スクールアイドルクラブがスクールアイドルとして、部活の存在意義を示すためにも、それぞれのユニットを表現するために……』」

 

慈「ええー!? すらすら出てくるじゃん!」

 

練習時間も、

 

さやか「今日ですが、普段のメニューに加えて、竜胆祭へ向けての練習もしなければいけません。なので、普段梢先輩が組み立ててくれている練習内容に、調整を入れました」

 

花帆「はいはい!あたしどうすれば良いかな!」

 

さやか「そうですね。今日はひとまず―――」

 

綴理「スリーズブーケのこと、大変だろうから。ボクがさやとかほは見るっていうのと……」

 

花帆「おおっ! ……っていうのと?」

 

綴理「歌詞とか、曲とか。こずとやり方違うけど、できることあれば手伝うよ」

 

花帆「綴理センパイ〜!ありがとうございます!」

 

綴理「ん。さやが、かほ大変そうだからできることしたいんだって」

 

さやか「言わなくてよくないですか!?」

 

花帆「さやかちゃんもありがとー!!」

 

さやか「い、いえいえ……」

 

瑠璃乃「いやー、めっちゃばっちりって感じだね!リーダー様ぁ!」

 

慈「ま、頑張ってると思うよ私も。さやかちゃんは漢字も書けるしね……」

 

瑠璃乃「めぐちゃん……」

 

ルリちゃんは、メグを可哀想なものを見る眼差しで見ていた。

 

さやか「あの、ほんとうに!みんなでやれることをやろうというだけで!」

 

花帆「それは謙遜だよー、さやかちゃん。あとね、一応、梢先輩と淳兄ぃから伝言預かっています!」

 

さやか「えっ?」

 

花帆「『さやかちゃん(さん)なら大丈夫。困った時の相談だけ忘れないように』とのことです!」

 

さやか「あ、あはは……。お二人に、頑張りますとお伝えください……」

 

綴理「……さや」

 

さやか「はい……」

 

綴理「頼りにしてる」

 

さやか「っ、……わたし、向いてるのかな……?」

 

 

その頃〜

 

梢「淳…みんなはどうなってるかしらね?」

 

淳平「さやかちゃんがいるから大丈夫だろ?ほら、お粥作ったから食べろ。ゆっくりで良いからな?」

 

梢「ありがとう……///」

 

梢は熱で顔が紅くなっており、れんげを取るとお粥を掬って食べる。

 

梢「っ、美味しい……」

 

淳平「良かった。日野下家秘伝のお粥だからな。栄養や消化効率はもちろん、味にも追求した逸品だぜ?」

 

梢「見た目はただの卵粥なのに……。優しい味……///」

 

すると梢はお腹が空いていたのかかき込むように食べる。

 

淳平「こら、ゆっくり食べろって……」

 

梢「だって、お腹が空いてたところにこんな美味しいお粥持ってこられたらこうもなるわ……」

 

そして梢は料理を食べ終わり……

 

淳平「じゃあ薬と水用意するな?」

 

すると、

 

梢「その前に……汗拭いてくれないかしら……?///」

 

淳平「ファあッ?!」

 

梢は上の寝間着をはだけさせて背中を半分出す。

 

淳平「い、いや、そんな……///」

 

梢「お願い……///」

 

っ! ………はぁ。

 

淳平「分かったよ。けど、注意はするけど変なところに当たっても文句言うなよ?セクハラで訴えるとかなしだからな!?」

 

梢「そんな事しないわ……ゴホッ」

 

淳平「あ〜、もう!タオル貸せ!」

 

俺は梢からタオルを受け取ると、梢の背中を拭いて汗を拭き取る。

 

淳平(下着モロ見えなんだけど……)

 

そして背中を拭き終わると、

 

淳平「流石に前は自分で拭けよ!!」

 

梢「分かってるわよ。それは流石に私も恥ずかしいしね……///」

 

俺は一旦部屋から出て梢が汗を拭き終わるのを待つ。すると数分で終わり、中から声が掛かったので中に入る。

 

淳平「ほら、これ薬な?」

 

俺が手渡した薬を梢は口の中に入れ、水の入ったコップを受け取ると口の中に流し込む。

 

その後梢はベッドに横になり、俺が手を握っててやりながら眠りについた。

 

淳平(梢の今日の熱は38.4℃か。昨日よりは下がったけど、まだ高いな……)

 

 

ー つづく ー




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