蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第64話:第一の試練・チラシ配り

翌日、今日から竜胆祭の準備期間。蓮ノ空の学生たちは朝早くから教室や部室でそれぞれの部活や集まりの発表の準備をしていた。

 

この竜胆祭は蓮空祭とは違い、出店などは出ない。つまり本当に文化祭という感じのものだ。蓮空祭は学園祭といえば分かりやすいだろうか?

 

瑠璃乃「うぉー、人だらけ。朝ぐらい授業ギリギリに来てもいいのにねー。モチベたっけー」

 

花帆「そうか、瑠璃乃ちゃんは蓮空祭のときはいなかったもんね。うちの学校って、文化祭の準備みんなめちゃめちゃやる気なんだよ」

 

さやか「すみません、おふたりにも付き合ってもらって」

 

さやかは申し訳無さそうに2人に頭を下げる。だか2人は「気にしてないよ。むしろ手伝うのは当たり前だよ!」と、気にもしてない。

 

さやかは安心すると、竜胆祭でのライブで音楽堂のステージの利用許可を取るために生徒会室に花帆と瑠璃乃とともに向かっていた。

 

花帆「竜胆祭のステージ使用書類って、その1枚だけなんだよね?あとから別の紙も必要とかないよね?」

 

さやか「はい、それは大丈夫です。これを出すだけだと、委員会の方から伺っていますので――と」

 

3人の通りたい道は、廊下の脇に置かれた資材や通行する人でごった返していた。

 

花帆「すみません通りまーす!」

 

瑠璃乃「し、しつれいしゃーす」

 

さやか「失礼します……」

 

そして関門を抜け、3人は生徒会室に着いた。すると現在、花帆、さやか、瑠璃乃のクラスメイトのえな、びわこ、しいなの所属する合唱部が利用申請を取りに来ていた。

 

沙知「ほいおっけー。吹奏楽部のステージ許可。合唱部もこれでいいよ」

 

しいな「良かった……コンコン「失礼しまーす」あっ、花帆ちゃんに――スクールアイドルクラブのメンバーお揃いだ」

 

花帆「あっ、しいなちゃん、みんな!そっか、合唱部も利用申請?」

 

しいな「そうだよ。やっぱり、ステージ使えないと困るからねぇ」

 

瑠璃乃「変な課題とか無かった?ステージを使うためには、生徒会長を倒さなきゃいけないとか!」

 

えな「あはは、ふつうだよふつう。みんなも竜胆祭楽しもうね」

 

さやか「ありがとうございます、皆さん。ではわたしたちも」

 

沙知「おっ、話は終わったかい?」

 

さやか「はい。お待たせしてすみません」

 

沙知「ん、……おぉ」

 

来たメンツを見て、沙知先輩はイタズラを企む子供のような顔になる。

 

沙知「おや、きみたちは!」

 

花帆「はい! スクールアイドルクラブです!」

 

瑠璃乃「どもどもー!」

 

沙知「いえーい、どもどもー!」

 

花帆「どもです!」

 

さやか(生徒会長…意外とノリが良い……)

 

そんな事をさやかちゃんは3人でのやり取りを見て思っていた。

 

さやか「こ、こんにちは」

 

しかし一応挨拶は忘れないさやか。

 

沙知「はっはっは、どうしたんだい?1年生だけで生徒会に直談判なんて――謀反かな?」

 

花帆「む、謀反?!」

 

瑠璃乃「あー、意味は良く知らないけど、たぶんそうです!!」

 

さやか「ぜんぜん違いますよ!! 謀反っていうのは、この場合わたしたち1年生が2年生を裏切るということです!!」

 

瑠璃乃「なんだって〜?! じゃあぜんぜんちがうじゃん!!」

 

沙知「はっはっは。おもしろいねきみたち」

 

さやか「まったく、先輩を裏切るつもりはありません!!」

 

沙知「そっかそっか、安心安心。じゃあ要件を聞こうか」

 

花帆「はい!」

 

瑠璃乃「それじゃあリーダー!」

 

沙知(? リーダー?)

 

沙知先輩は怪訝そうな顔をする。

 

さやか「はい。こちらです」

 

さやかは書類を渡す。

 

さやか「あの、竜胆祭でのステージ使用許可の申請です。こちら、提出書類です」

 

沙知「……………」

 

沙知先輩は書類を受け取ると不備がないか一つ一つ項目を確認していく。

 

瑠璃乃「……こっからダメって言われることあり得る空気?」

 

さやか「さ、さすがに……慈先輩も大丈夫と言っていましたし……」

 

花帆「いやいや大丈夫だよ、えなちゃんはたちも言ってたじゃん。ふつうに出すだけって」

 

すると、チェックを終えた沙知先輩は気になっていたことを3人に聞く。

 

沙知「ところでさあ、梢はどうしたの?てっきりあの子が来るもんだと思ってたけど……」

 

さやか「あっ、それは……」

 

花帆「実は、梢センパイが風邪を引いちゃったんです……」

 

瑠璃乃「それで、代理のリーダーが頑張ってるってすんぽーです!」

 

さやか「だ、代理です……!」

 

沙知「なるほど、なるほどねぃ。」

 

すると沙知先輩は1つの項目に書いてあることを指して確認を取ってくる。

 

沙知「ここに書いてある、ライブを配信するっていうのはさ、ラブライブ!の予選に、竜胆祭のライブを使うってことかな?」

 

さやか「はい、そうです」

 

沙知「じゃあラブライブ!に出るわけだ!なるほどねぃ」

 

瑠璃乃「もしかして、竜胆祭に集中しろー!的な、感じ?ですか?」

 

沙知「いやいや、竜胆祭の熱が必要っていうのは分かるからね。相乗効果ってやつだよ。ラブライブ!予選がかかってれば、竜胆祭でのライブも良いものになるだろうし?」

 

瑠璃乃「そ、そーなんです!! めぐちゃん、今年こそは予選突破するって、めっちゃ燃えてて! めっちゃバーニング?でホット?な感じなんです! それに、ジュン兄ぃにもみらくらぱーくでいいとこ見せたいし!」

 

沙知「……ああ、そうだろうねぃ(この子もか……)」

 

花帆「梢センパイも、必ず竜胆祭までに体を治すって言ってて! スリーズブーケのライブを淳兄ぃにも見せたいですし!」

 

沙知「……ふむ(おっとぉ? この子もか……)」

 

さやか「わたしも、できることは全部やってあげたいです。綴理先輩も淳平先輩も去年のこと、たくさん想うところがあったと……」

 

沙知「………なるほど、なるほどねぃ。(こういう感じかぁ……ってかジュンペイどうなってんの?! メンバー全員落としちゃったのかい!?)ねぇ、1つ聞くけどさ?ジュンペイって……もしかしてチャラ男にでもなった?」

 

花帆「?いえ……むしろこっちの気持ちに全然気づいてくれなくてムカついてるくらいです!」

 

さやか「もう少しわたしのこと見てほしいなぁ……なんて」

 

瑠璃乃「たまに殴ろうかと思う時あります。鈍感すぎて」

 

沙知「そっか……(とりあえずジュンペイが変わってしまったワケじゃなくて安心かな?)えっと、花帆に、さやかに、瑠璃乃……だったよね?」

 

花帆・さやか・瑠璃乃「「「は、はい!!」」」

 

ここで沙知先輩は、先程の問いに対する答えで気になった部分を問う。

 

沙知「キミたち、なんでラブライブ!に出るんだい?」

 

さやか「え、なんで……? なんで、ですか……?」

 

瑠璃乃「そりゃあ、めぐちゃんがファイヤーしてるからで」

 

花帆「ラブライブ!は、梢センパイの夢なんです!」

 

沙知「んー……なるほど。こういう感じかぁ……。あの子たちもまぁ……」

 

さやか「? 生徒会長?」

 

沙知「っ、よし!じゃあ出そうか!!」

 

瑠璃乃「おおっ!使用許可!!」

 

沙知「いいや? このままじゃ、認められないんだぜ!」

 

花帆・さやか・瑠璃乃「「「なんだって〜!?」」」

 

沙知「出すって言ったのは――キミたちに、"3つの試練(・・・・・)"を、さ!!」

 

そしてスクールアイドルクラブは1つ目の試練を課され、3人は1年生の教室に戻ってきた。

 

瑠璃乃「どーしてスクールアイドルクラブにだけ、こんな仕打ちがあるんだー!」

 

花帆「これ全部配ってこいって……」

 

3人に課された1つ目の試練、それは……山のように積まれた竜胆祭の外部への宣伝チラシを街で配ってこいというものだった。

 

しかし、量が尋常ではない。普通にやったら4日から3日はかかってもおかしくない量だ。

 

瑠璃乃「合唱部へーきだったじゃん!! おーぼーだー!」

 

さやか「竜胆祭を学外の方たちに向けて宣伝する……確かに、必要なことではありますね」

 

瑠璃乃「そうかもしれないけどぉ! これは試練じゃなくて、ただのパシリだよ!ルリでも分からぁ!!」

 

花帆「ぐぬぬ……! 生徒会長だって、もともとはスクールアイドルクラブのセンパイのはずなのにー!」

 

瑠璃乃「え"っ?! なにそれ初知りなんだが……。じゃあ古巣だからパシっても良い的な!?」

 

二人が不満を爆発させる中、さやかだけは冷静に状況を見ていた。

 

さやか「……たぶん、きっと生徒会長には、何かの意図があるんだと思います。でなければ、「使用許可は出さない」と言うだけで終わったはずですから」

 

花帆・瑠璃乃「「……………」」

 

瑠璃乃「じゃあ、意図って?」

 

さやか「それは……、わたしもまだ分からないんですが……」

 

すると花帆はうつむくと、プルプルと身体を震わせる。

 

花帆「むむむ……! いよっし!さやかちゃんがそう言うなら分かった! こうなったら生徒会長の試練、受けて立ってやろう!!」

 

瑠璃乃「え"っ!? ………まじ?」

 

花帆「まじまじ大まじだよ! だって、使用許可が下りなきゃ、梢センパイに顔向けできないし!!」

 

瑠璃乃「それは、確かにそう。部分的にそう」

 

花帆「部分的に……」

 

瑠璃乃「ルリだって、めぐちゃんのリベンジがかかってるところで中止になんかされたくないしね!」

 

さやか「ありがとうございます、おふたりとも。……じゃあ、やりましょうか!」

 

花帆「うん! まっかせてー!街の人にチラシを配るんだったら、いい作戦があるから!!」

 

さやか・瑠璃乃「「……?」」

 

その頃、花帆たちのいる教室の外には……

 

淳平(3つの試練か……、まったく沙知先輩は。けど、さやかちゃんはやっぱり冷静に物事を判断する目があるな。俺の判断は正しかったみたいだ。頑張れよ、3人とも!)

 

この男は、沙知先輩がなんの目的もなく悪戯にこんな真似をする人ではないと知っている。なのでなにも心配はしてはいなかった。

 

そして、淳平は自分のやるべきことに戻っていった。

 

 

 

 

 

それから数十分後……

 

〜 金沢・市街地 〜

 

街では、緑色を基調とした花柄の和服のウエイトレスの衣装を着た花帆、さやか、瑠璃乃がチラシを配っていた。

 

もともとかわいい3人が可愛い衣装を着ることで相乗効果で破壊的な魅力を引き出し、道行く人はほとんどが足を止める。

 

瑠璃乃「しゃーっす! おねしゃーっす! 花帆ちゃん、さやかちゃん、あともうちょい!」

 

花帆「えっ?! すごいね瑠璃乃ちゃん、あたしまだこんなにあるのに!!」

 

瑠璃乃「あっ、違う……ルリの充電……」

 

花帆「大変じゃん!! ――あ、お願いしまーっす!蓮ノ空学院スクールアイドルクラブです! 竜胆祭、最高のライブをしますから、どうぞよろしくお願いしまーす!!」

 

さやか「う、うう……どうして、どうしてこんな、こんなぁああっ?!」

 

しかし、さやかちゃんはその衣装に加えて「わたしがリーダーです!」と、書かれたタスキを花帆に無理やり付けさせられていたために、よりいっそう注目されてしまっていた……。

 

ー つづく ー




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