花帆やさやかたちが第一の試練を突破した翌日、再び生徒会室に足を運んでいた。
沙知「なーはっはっは! 諸君!第二の試練の時間がやってきたぞ!」
花帆「楽しそうだなあ、この人!」
沙知「あっはっはっはっは!キミたちがライブ会場を欲する以上、吾輩を避けては通れない! さあ、試練を突破するのだ!」
瑠璃乃「がるるるるる……!」
沙知「おおっとぉ? あたしを食い破ろうとしてる子いない?貫くのは試練だぜ??? えっと、ダンボール要る?」
瑠璃乃「そんなもんより欲しいものがルリにはある……!」
沙知「そりゃそーだ。ん、まーみんな気力十分って感じだねぃ。おーし、では試練の内容を言い渡す!」
身構える3人。出される試練は、
沙知「第二の試練は――"スクールアイドルコネクト"だ!」
花帆「スクールアイドルコネクト……って、スクコネ?」
さやか「あのスクコネでしょうか?いつも配信で使ってる……」
沙知「そう。キミたちがいつも使っている……そうか、いつも使っているのか。いいねぃ。そのスクコネを使って、蓮ノ空学院スクールアイドルクラブの宣伝動画を作るのだ!」
花帆「動画ですか。配信じゃなくて?」
沙知「動画の良いところは、要点を短く伝えられることさ。生配信と何を変えれば人の心に響くのか――よくかんがえることだな!」
さやか「悪役みたいな言い方なのに、至極真っ当なことを……!」
沙知「ふはははは、どうだ!竜胆祭に向けても、宣伝動画は必要だろ?頑張るがいい!」
瑠璃乃「そもそもその竜胆祭出場が誰かさんの試練でピンチなんですけどね!」プイッ
瑠璃乃はフン!と言わんばかりにそっぽを向く。
沙知「なーっはっはっは! 悔しかったらやってみろー! 竜胆祭の熱が無ければ、今のキミたちがラブライブ!の予選を突破するのは、かなり厳しいぞ〜?」
挑発するような感じで3人を煽る沙知先輩。
さやか「わ、分かりました……やるだけ、やってやります」
花帆「そうだよ! 絶対負けませんから!」
瑠璃乃「おぼえてろよー!!」
花帆「瑠璃乃ちゃん!さすがに敬語敬語!!」
沙知「……ふっ。あたしもお仕事、頑張るかー」
そして生徒会室を出て校庭に出てきた3人。早速三脚にスマホをセットして動画を撮る準備をする。
花帆「これでよし、と。見えてるー?」
さやか「はい、バッチリです。ここで固定しておけば、大丈夫そうですね」
瑠璃乃「よーっし、さっさか撮っちゃうかー! ……と、言ってもなあ」
さやか「瑠璃乃さん?」
瑠璃乃「いやあ……竜胆祭ライブの宣伝動画かーってさ。ぶっちゃけ、動画で何言ったら良いか分からんね!」
花帆「そうだよね。生配信と動画の違い……って、あんまり考えたことなかったかも」
さやか「ライブの動画なら、ライブだけを撮るので悩まないんですけど……」
花帆「瑠璃乃ちゃんは、文化祭初めてっていうのもあるしねぇ」
さやか「じゃあ、先に花帆さんと私でやってみますか? 私は一応、話すことそのものは決めています。花帆さん次第ですけど、瑠璃乃さんも最後なら、わたしと花帆さんのを参考に何か思いついてるかもですし」
瑠璃乃「お、助かるー。べりべりせんきゅー! よーうぇるかむ!」
さやか「よーうぇるかむ、自分で言っちゃうんですか?っとと、じゃあ順番ですけど――」
花帆「よし、じゃあさやかちゃんどうぞ! よ、リーダー代理!」
さやか「……なんかそうなる気はしてました!」
そしてさやかはカメラの前に立ち、録画を始める。
さやか「皆さんこんにちは。蓮ノ空学院スクールアイドルクラブ一年、村野さやかです」
まずは定石通り自己紹介から入るさやかちゃん。
さやか「今日は、きたるわたしたちの学校の文化祭、竜胆祭でのライブについて、告知させていただければと思います」
そして内容を先に簡潔に述べておく事で目的を視聴者に分かりやすく明らかにしておく。
花帆「さやかちゃーん、笑って笑ってー!」
少しも笑顔が硬かったのか、花帆から指示が飛ぶ。
さやか「は、はい。今回は"みらくらぱーく!"も揃っての全ユニットが参加となりますので、ぜひ皆さんに来てほしいです。見どころとしては、やはりパフォーマー6人のスクールアイドルクラブをお披露目できる機会であるということと――、ラブライブ!に向けて気力十分なわたしたちを見てほしい、というところでしょうか」
そしてスクールアイドルクラブのライブの見どころを伝える。そして次はさやか自身の目標を述べる。
さやか「わたしもひとりのスクールアイドルとして、精一杯大会に臨みたいと思っています!」
そして数秒開けて
さやか「花帆さん、終わりです。こんな感じでしょうか? たぶん間違いは無いと思うのですが……
花帆「おっけー、撮れたよ! さやかちゃんはぴしっとしててかっこいいよねえ。すごく良かったと思う!」
さやか「よ、良かったです。じゃあ、代わりますね」
そして次は花帆の番だ。
花帆「蓮ノ空学院スクールアイドルクラブ一年、日野下花帆です!こんにちはー!! ……、こんにちはー?」
花帆は挨拶の後、カメラの方に耳を傾けるような仕草をする。花帆は視聴者の直ぐ目の前に自分がいるかのような、間接的に視聴者が参加しているような告知にするようだ。
さやか「え、わたしがやるんですか!?ど、どうもこんにちは……」
花帆「はいこんにちは!竜胆祭に向けて、頑張っているあたしたちですが――なんと!ついにスクールアイドル半周年のあたしも、ラブライブ!に挑戦します!」
花帆はまずこのライブの目的について話す。
花帆「予選にはすっごくたくさんのスクールアイドルが出てくるから、その中でもすっごく魅力的なスクールアイドルなんだよーってことをみんなにアピールしなきゃいけなくって、とってもとっても大変です!」
花帆は自身の今の気持ちを述べる。視聴者の共感を誘うような言い方だ。
花帆「でも、だからこそあたしは花咲きたい! 竜胆祭っていう、蓮ノ空学院の伝統行事の場をお借りして、できる限りのことをやろうと思っています! どうかみなさん、応援に来てください!」
そして花帆の撮影は終了する。
花帆「……どうかな!」
さやか「とても良かったと思いますよ! そうですね、ラブライブ!のためにも、蓮ノ空学院の伝統行事の場を借りる……確かにその通りです」
花帆「やったー!じゃあついに瑠璃乃ちゃんだけど、行けそう?」
瑠璃乃「やー……ふたりはすげー……って思ってたよー。全然おもいついてないけど、勇気だけは分けてもらった!」
さやか「そんなに心配しなくても大丈夫ですよ、瑠璃乃さん。撮り直せばいいんですから」
瑠璃乃「それもそっか。すー……ふー……よし、やるかー!失敗したら撮り直すぞー!」
花帆「気合すごいけど志が低い!」
そして瑠璃乃がカメラの前に立つ。
瑠璃乃「あー……えっと。スクールアイド、じゃなかった。蓮ノ空学院スクールアイドルクラブ一年、大沢瑠璃乃でっす!」
出だしでつまずいたがまずは自己紹介から入る瑠璃乃。
瑠璃乃「……で、なんだけど。おっかしいなあ、苦手じゃないはずなのに、上手く言葉が出てこないぞぅ?」
花帆「がんばれー」
さやか「頑張ってくださーい」
ふたりから声援が飛ぶ。しかしこれはこれでスクールアイドルも自分たちと変わらない高校生だと親近感が湧く方も居るのではないだろうか?そのことに3人が気づいているかは分からないが。
瑠璃乃「あ、あはは、おっけーおっけー!そだよね、花帆ちゃんもさやかちゃんもいるんだし!ルリもルリなりに、竜胆祭ライブに向けてのことを話そうとルリ思う。ゆえに、ルリ在り。うん」
そして気を取り直し、
瑠璃乃「宣伝ってほど大したことは言えないけど、そだなあ。みらくらぱーく!として、ステージに立ちます!絶対に許可をもらう!そんで、めぐちゃんのリベンジを、一緒に果たす!」
瑠璃乃の意気込み。それは伝わってくる。
瑠璃乃「で……ラブライブ!予選、なんどけど。ルリは正直、スクールアイドルのことは良くわかってない。だからどういう気持ちでラブライブ!に挑むのが正解なのかも、あんまし分かって……うーん。……ごめん、やっぱりめぐちゃんのことしか考えられないや。スクールアイドルの楽しさって、まだたぶん100分の1も分かってないだろうしさ。ちょっと撮り直していじってもらって――あ」
ここで瑠璃乃が何かに気づく。
瑠璃乃「そっか。」
さやか「瑠璃乃さん?」
瑠璃乃「や、なんか分かったかも!ルリ、動画の編集もめぐちゃんの後ろで見てて、一度やってみたかったんだよね!」
そして瑠璃乃は自身のスクールアイドルの根幹の部分を話す。
瑠璃乃「なんていうかさ、ルリは楽しそうなことが好き!後でどうやって動画いじれば楽しくなるかなってわくわくしてるし、それならスクールアイドルだっておんなじことだ! めぐちゃんを理由にするのは良くないのかもしれないけど、自分の気持ちに嘘はつけん!」
瑠璃乃のスクールアイドルをする理由
瑠璃乃「めぐちゃんのリベンジに付き合いたい!今のルリには、めぐちゃんのやってることが楽しそうに見えてるから、色々やってみたいんだ!ラブライブ!だっておんなじこと!"その方が楽しそうだから"やる!ルリはいつも、そうやって生きてる!」
瑠璃乃「ラブライブに出るのは、そのほうが楽しそうだから!!」
花帆「おっけえええい!!」
瑠璃乃「うお、まじ!?」
花帆「めっちゃ良かったよ!」
さやか「楽しそうだから、やる。スクールアイドルクラブに入ってきたときも、同じことを言っていましたよね」
瑠璃乃「あっ! そーそー、その通り!そかー、ルリは何にもブレねーなー」
さやか「ふふっ、そうですね。そういうところが、魅力なんだと思います」
花帆「楽しそうだからやるんだ!って、生徒会長にもぶつけてこようよ!」
瑠璃乃「それもそうだ! へへ、めぐちゃんの見よう見まねで、動画をぐちゃぐちゃに編集してやるぜ……!」
さやか「慈先輩はぐちゃぐちゃにしてるわけじゃないと思うんですが」
花帆「……あっ!」
瑠璃乃「? 花帆ちゃんどうしたの?」
花帆「いや、動画の作り方、慈センパイにアドバイス貰えばよかったんじゃと思って。その道のベテランだし」
さやか・瑠璃乃「「あ"っ!」」
その後、慈のところに行き編集のやり方を教えてもらい、編集作業自体は一年生3人だけでやりアップロードした。
沙知『よしっと。しかし、梢が風邪なんてねえ。珍しいこともあるもんだ。……竜胆祭に間に合わない、なんてことはないだろうけど。早く良くなってね。みんな待ってるんだからさ。しっかし、口を揃えて「二年生のためだ」なんて。愛されてるねえ、ちみぃ。良い子たちを見つけたもんだ。あたしも中々良い子たちをスカウトしたと思ってたけど、なかなかやるじゃないか。……楽しみにしてるからね。梢のラブライブ!優勝』
梢(……ん、沙知…先輩?)
梢が眠りから覚め身を起こすと、部屋には綴理と慈がいた。
慈「あっ、起きた?」
梢「慈。……今、何時かしら」
慈「午後4時ってとこ。にしても……」
綴理「誰の夢見てたの?」
梢「……沙知先輩、来てなかった?」
綴理「? 知らないけど」
慈「あの人、ほんと猫みたいだから。気まぐれに来たかもしれないし、私も知らない」
梢「………そう」
慈「沙知先輩って言えば、今一年生たちに色々ちょっかいかけてるみたいだよ。試練、とか言って。沙知先輩が、一年生に色々課題出してる」
梢「…………」
慈「私は一応放置派。聞かれたことには答えるけど、深く手出しはしないつもり。さっきも動画の編集のやり方聞かれたし。けど、梢の意見も聞いておこうかなと思ってさ」
梢「そう、ね。私は――」
綴理「本当に任せていいの?」
ー つづく ー