部室で花帆の言った言葉を聞いた俺と梢は呆気にとられていた。
淳平「い、今なんて言った?一週間借りてきたって言ったか?」
花帆「うん!!」
淳平「なんでそんなに借りてんの?!」
ああ、頭痛がしてくる……。
花帆「これで、明日から毎日ライブできるよ!!」
梢「はい?! 明日から!?」
花帆「はい!」
梢「あ、明日からで……1週間……?そんなにずっとライブするの?」
花帆「はい!」
いや、はい!じゃなくて!!
梢「どうして1週間も……?」
花帆「それはもちろん!楽しそうだからです!」
そして次の日、練習も詰んで無い状態で、花帆の一週間のライブ期間が始まった。
確かに初めてにしては上手いとこの間は思ったけど、梢のフォローが無ければ今の状態では全然実力が足りない。
観客はいるし、見ていて楽しそうではあるのだが……、
淳平(せめて練習詰んでからやれよ……)
俺はそれを見ながら呆れていた。だが、
淳平(まだ2回目なのに、ステージで緊張してないんだよな……。普通だったら緊張するものなんだけどな。舞台度胸があるんだな、花帆は……。いや、失敗したときをまったく考えてないだけか?)
まぁ恐らくは後者の気はするが……。するとそこへ、
梢「ライブが『いっぱいやりたい』って言うのは、とにかくいっぱいやりたいって、そのままの意味だったのね……」
淳平「梢……。大丈夫か?」
梢「……どう指導したものかしらね。私とはまったくタイプが違うみたいだから、私のやり方では合わない可能性も……」
淳平「梢、お前の考える通りにやればいいさ。たとえそれで合わなくても、あいつならお前が考えてそうしてることくらいはわかるから。考えなしだけど、そういうのには敏感なんだよ。言う事聞かないこともあるけどな」
梢「……頭が痛くなってくるわね」
淳平「同感だ。けどさ、楽しそうだろ?あいつ……」
梢「ええ。本当にね……」
そして、とあるひの放課後……
さやか「うーん…、うーん……?」
花帆「さーやかちゃん。部活行こっ」
さやか「あ、はい。すみません、今準備しますね」
花帆「どうかした?」
さやか「いえ……あ、そうだ、花帆さん。わたしのスマホで、写真を一枚撮ってもらえますか?」
花帆「え?うん、いいけど」
花帆はさやかからスマホを受け取る。
花帆「はい、笑って笑って。フラワー!」パシャッ!
そしてスマホをさやかに返す。
さやか「ありがとうございます。うん、いいですね。プロフィール写真は、これにしようと思います」
花帆「プロフィール?なんの?」
さやか「はい、スクールアイドルのアプリの、なんですが」
花帆「スクールアイドルのアプリ?」
さやか「わたしも、夕霧先輩に言われて、自分のチャンネルを作ったんですよ。でも、そこに載せる写真がなかなかうまく撮れず。そもそも自分の写真を撮るのに、あまり慣れていないものでして……」
花帆「ま、待って!チャンネルってなに?」
さやか「え?ええと、こういうのです」
花帆「これって、さやかちゃんのチャンネル……?え、誰でも作れるの?あたしでも?」
さやか「たぶん。詳しくは知らないんですが、主に配信活動をするためのアプリだそうです。ライブを配信したり、雑談や練習風景を配信して、多くの人に自分を知ってもらえるそうで。スクールアイドルを始めたばかりのわたしにとっては、いい機会だと思って、始めてみようかと」
花帆「なにそれ!楽しそう!やりたい!やっていい!?」
さやか「きょ、興味があるなら、乙宗先輩にやり方を聞いてみると、いいのではないでしょうか……!」
花帆「分かった!さやかちゃんありがとう!いってくるね!」
そして、花帆は教室を飛び出していった。
さやか「暴走特急……」
その頃、部室では……
梢「どの紅茶にしようかしら。今日もこの後ライブだから、喉に良いものがいいわね」
淳平「ん? 花帆にか?」
梢「ええ。少しリラックスさせようかと思って……」
淳平「優しいな……やっぱり」
梢「そ…っ//そうかしら……?///」
すると、
花帆「梢センパイ!スクールアイドルのアプリってなんですか!?」
淳平「うおっ?!」
花帆が弾丸のように飛び込んできた。
梢「きゃっ。ど、どうしたの?そんな勢いで」
花帆「さやかちゃんにちょっと聞いたんですけど、なんだか楽しそうだったので、始めてみたいなーって思って!」
淳平「…ハァ、知っちまったか」
梢「そ、そう。でも、花帆さんはまだライブを始めたばかりだから、もう少し後で教えようかと思っていたのだけれど……」
花帆「えっ、やめたほうがいいですか…………?」
花帆が悲しそうな顔をする。この顔は梢には一撃必殺だ。
梢「い、いえ、そういうわけじゃないのだけれど。……そうね、自分のライブを見直せば、なにか新しい発見があるかもしれないわねえ。わかったわ。ライブまではまだ時間があるから、今説明してあげる」
花帆「やった!ありがとうございます!」
梢「……その前に、お茶をいれても構わないかしら?」
花帆「はい、どうぞ!じゃなくて、あたしも手伝いますよー!」
そして、綴理とさやかちゃんも揃ったところで、梢はアプリの説明を始める。
梢「というわけで、これが"スクールアイドルコネクト"。みんなは通称として、スクコネとも呼ぶわ。主にはスクールアイドルが、配信をするためのアプリね。本当は、花帆さんがもう少し慣れた頃にお話ししようと思っていたのよ。インストールしたら、スマホを貸してもらえる?」
花帆「はい!」
梢「……ええと……」
花帆「……梢センパイ?」
梢「ちょっと待っていてね、操作が複雑で……」
花帆「えっ、梢センパイが手こずるようなものなんですか!?」
淳平「……梢は機械苦手なんだよ」
花帆「えっ、そうなんですか!?」
梢「ちょっ、後輩に間違ったことを教えないように、淳!私に苦手なことなんてないわ。これは得意になる途中なの!」
花帆「梢センパイ…カワイイ」
梢「花帆さん?!違うって言ってるでしょ!」
綴理「そして、認めようとしないんだ。ほら、かほ、登録したよ」
花帆「綴理センパイのほうが機械苦手そうなのに!」
さやか「それは失礼じゃないですか花帆さん!?」
花帆「確かに!すみません!」
綴理「ううん、いいよ。できることはできるんだ、ボク。できないことはぜんぜんまったくできないんだけどね」
梢「……ありがとうね、綴理。コホン……では、少し手こずってしまったけれど、これで使えるようになったわ。スクコネはね、近隣のライブや、イベントもチェックできるのだけれど、メインはさっきも言った通り、配信機能よ。」
さやか「配信は、まだわたしもやったことないんですよね。なんだか大変そうで……」
梢「大丈夫よ、そんなに難しいものじゃないわ。そうね、だったら花帆さん、試しに動画を撮ってみましょう」
花帆・さやか「「ええっ!?」」
花帆「あたし、なにをすれば!?」
梢「簡単な自己紹介で構わないわ」
淳平「それじゃあ俺が撮影してやるから。行くぞ?」
そして、アプリを立ち上げてスマホのカメラを起動する。
淳平「3、2、1、スタート!」
花帆『あのっ、初めまして!蓮ノ空学院、日野下花帆です!まだスクールアイドルを始めたばっかりの新一年生ですけど、みんなを笑顔でいーっぱいにしてみせちゃうから、応援よろしくお願いします!ぴーすぴーす、みんなで一緒に花咲こうねっ!』
そして、撮影は終わった。
綴理「おー……」パチパチ
淳平「花帆…、すごいなお前。可愛かった……///」
花帆「えっ!そ、そうかな……?///」
さやか「はい!花帆さんすごいです!とってもかわいかったです!」
綴理・梢((!! 淳(ジュン)、デレデレしてる))
淳平「痛てっ! 何二人して足踏んでんだ!?」
梢・綴理「「ふんっ!」」プイッ!
淳平「何で!?」
何で急に怒ったんだ?!訳がわからん!!
花帆「へへっ、こんな感じで大丈夫ですか?梢センパイ!」
梢「驚いたわ。ライブのときもそうだったけれど、あなたは本当に物怖じしないのね」
花帆「えへへ、そうなんです!あたし、楽しいと思ったことはなんでもできちゃうんです。それ以外はなんにもできないんですけど!」
梢「そ、そう。なるほど、モチベーションの管理が、いちばん大事なのね……」
淳平「みたいだな…」
花帆「淳兄ぃ?」
淳平「いや、こっちの話。花帆は配信向いてそうだな」
花帆「えーへへ。そうかも!あたし、配信向いてるのかも!」
淳平「ほら、すぐそうやって調子に乗らない!」
花帆「うっ、はい……」
まったく……。
綴理「スクコネのことで質問があったら、なんでもボクに聞いてね?」
梢「大丈夫よ、ちゃんと答えられるから。私だって先輩からしっかりと教わったもの」
綴理「確かに、みっちりとメモ取っていたよね。勉強熱心で偉いなあ……」
梢「……あなたの言葉が皮肉じゃないことはわかってるけれど、なんだか釈然としないわ。って淳、なにを笑っているのかしら?」
淳平「い、いや……、www」プルプル
梢「……今度淳には私のトレーニングに付き合ってもらおうかしら?」
淳平「すみませんでした」
さやか「あはは……」
花帆「あたし、もしかして学校だけじゃなくて……。全世界で笑顔を咲かせることができちゃうってこと!?」
淳平「とりあえずは、学校のみんなを笑顔にできるようにがんばろうな?」
花帆「うん!!私、ライブ頑張ってくるよ!!」
そして、花帆は今日のライブ会場に向けて飛び出していった。
ー つづく ー
名前
以下は公式プロフィール参照してください
今作の主人公である淳平の、同い年の幼馴染。同じ日に、同じ病院で産まれ、そして家も隣という産まれたときからのお隣さん。
幼馴染にはひとつ下に瑠璃乃がいるが、2人で正々堂々淳平を奪い合おうと誓いを立てている。
後にスクールアイドルクラブに復帰することになる。時々腹黒い策略をみせるが、その根本にあるのは全て仲間や応援してくれる人のため。
本当は心の優しい女の子。
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