さやかちゃんが恋のきっかけを話してくれた翌日、俺は朝早くに目が覚め、寮の朝食もまだできていない時間だったので、ジャージに着替えて少し外を走りに行くことにした。
淳平「う〜寒……」
流石に季節が11月にもなれば、日本海側に位置する石川県はかなり寒くなってくる。特に蓮ノ空は山の中にあるのだから尚更だ。
淳平(まあ走ってりゃあ暖かくなるだろ……)
そして俺が走り出そうとすると、
瑠璃乃「あれ?ジュン兄ぃ! こんな時間にめずらしーじゃん! どったの!?」
淳平「あっ、ルリちゃん……早くに起きすぎたからちょっと走ってこようと思ってさ。ルリちゃんは?」
ルリ「ルリもランニング。まあ、ルリは日課だけど……」
淳平「日課?! えっ、毎日やってんの!?」
瑠璃乃「そだよー!」
驚いた……ルリちゃん毎日みんなが起きないような時間に自主練してたのか……。
瑠璃乃「ルリのパートナーはめぐちゃんだからね! ルリはいっぱい頑張らないと、すぐにおいてかれちゃうしね……」
淳平「ルリちゃん……」
そんなに頑張ってたんだな……知らなかった。
淳平「じゃあ、今日は一緒に走る?」
瑠璃乃「おっ!いいじゃんいいじゃん! ジュン兄ぃと一緒だったら、すげーたのしく走れそう!!」
淳平「じゃあ行こうか!」
瑠璃乃「あいあいさー!」
そして、ルリちゃんと一緒に普段ルリちゃんが走っているコースを一緒に走る。着いては行けるけど、思ったよりもハイペースで距離もあったので驚いた。
そして走り終わり、俺とルリちゃんはグラウンド脇の水飲み場で一緒に給水していた。
淳平「ルリちゃんすごい体力あるな。驚いた」
瑠璃乃「ジュン兄ぃこそ! そんなに走らないんでしょ? なのにいきなり着いてこれるなんて……自信なくすなー……」
淳平「まあ俺は男だからな……」
流石に体力差あるだろうし、体力で負けるのは恥ずかしすぎる。
瑠璃乃「ふぃ〜……」
ルリちゃんは水飲み場脇の体育館の出入り口の階段に腰掛ける。俺もルリちゃんの隣に腰掛ける。
瑠璃乃「ジュン兄ぃ、覚えてる? ルリが小学1年生の夏休み、ルリの家とジュン兄ぃの家、あとめぐちゃんの家の三家揃って一緒にキャンプ場にキャンプ行ったよね……」
淳平「あ〜懐かしい……あったあった」
ルリちゃんが引っ越す前、よく家族ぐるみで一緒に旅行とか行ったっけ……。
瑠璃乃「それで夜にさ、ルリが「めぐちゃんとジュン兄ぃと一緒のテントで寝たい!!」って、すっごい駄々こねちゃったよね……」
淳平「あ、思い出した……。もうワンワン泣いてな……」
瑠璃乃「うっ、ちょっと恥ずかしくなってくるけど……、ルリが夜中にトイレ行きたくなって、でも、外はトイレのある場所まで真っ暗だし……怖くてジュン兄ぃを起こして着いてきてもらったよねえ」
淳平「ホントよく覚えてるね……あっ、そういえばあの時……」
俺は右腕に今も刻まれている傷を見る
瑠璃乃「あっ、思い出した?それが……ルリの恋の決め手だったんだ……」
そう。あの日、ルリちゃんをトイレに連れていき、テントまで一緒に戻る途中で、大型の野良犬に襲われたんだ。
ルリちゃんは怖がって動けなくて、「俺がルリちゃんを守らないと」って……。
応戦したけど、俺はこの傷を負わされて、噛みつこうとしてきたところに、左手で土を掴んで顔に投げつけてやったらキャンキャン言いながら逃げてったんだよな。
その声や音を聞いて、他のお客さんやルリちゃんやめぐ、俺の両親が何事かと出てきて……。
俺はすぐに病院に連れて行かれて……、ルリが落ち着いてから事情を聞かされた父さんやおじさんからは、「よくルリちゃんを守った!」とか、「娘を守ってくれてありがとう」って、褒められたり感謝されたりでくすぐったかったっけ……。
淳平「そっか、ルリちゃんは……あれからずっとアピールしてたんだ……」
瑠璃乃「うん。めぐちゃんもジュン兄ぃのことが好きなのは一目瞭然だったから、めぐちゃんとも話し合ってさ? 「お互いに卑怯なことはしないで、正々堂々正面から奪い合おう!」ってことになったんだあ……」
淳平「そうなんだ……」
瑠璃乃「にしても、ジュン兄ぃには本当に何度も殴ってやろうと思ったかんね! こっちがすごいアプローチしてるのに、全部勘違いやからかってるの言葉で片づけられて……怒りの炎がメラメラファイヤーだったことは数えきれないぜ!」
淳平「その……ごめん」
するとルリちゃんは笑い、
瑠璃乃「いーの! こうして気づいてくれたから!でも、めぐちゃんに言われなかったら気づかなかったんだよねえ……。やっぱり引っ叩いたほうが良いかな?」
ん、それも良いかもな。
淳平「頼むルリちゃん、引っ叩いて」
瑠璃乃「え"?! 何?ジュン兄ぃってM?」
淳平「違うから! 今までみんなに辛い思いさせていたんだから、全員から引っ叩いてもらおうと思ってさ……」
瑠璃乃「ん〜と……、反省するのはすごくいいと思うんだけど……ちょっと引くかなぁ……?」
淳平「なんで?!」
瑠璃乃「たぶん、みんなこれからジュン兄ぃがちゃんと自分たちに向き合ってくれればそれで許してくれると思うよ? それにさ、できれば自分の好きな人を叩きたくないし……///」
淳平「っ///」
まぁ、言われてみればそうなのかな……。
淳平「分かった。後悔の無い様に真剣に考える。約束するよ」
瑠璃乃「うん!! じゃあ、戻ろっか?」
淳平「おう……」
そして俺が寮に戻ると、もう何人か朝ご飯を食べていた。
淳平「おはよ……」
亮「おっ、淳。走って来たのか?」
淳平「ああ。はぁ~……」
亮「何そんな溜息ついてんだよ……」
淳平「いや、スクールアイドルクラブのみんなが俺のこと好きだったって知って、想い返してみるとなんで気づかなかったんだろうって……」
亮「あ〜……やっと気付いたんだ?」
淳平「!! 亮まさか知ってたのか!?」
亮「おう。だってめちゃくちゃあからさまだったし。アレで気づかない方がおかしいぜ?」
淳平「うぐっ!!」
「何言ってんの?」と、心をえぐられて俺のライフは消し飛ばされた。
ー つづく ー
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