翌日、早速花帆は自分のライブを配信しながらやっており、その日の夜。
花帆「配信しながらライブするのって、もっと緊張するかと思ったけど……でも、いろんな人に見てもらえるのって、楽しいなあ……。梢センパイも淳兄ぃも、あたしには配信の才能があるかもって言ってくれたし……えへへ……。あたしの気持ち……ちょっとずつみんなに、広がっていって……。スクールアイドル始めて、よかったなあ……」
すると、花帆のスマホが鳴った。
花帆「またお母さんかな?はい、もしもし―――」
?『あっ、もしもし、お姉ちゃん?』
花帆「あれ、ふたば?どうしたの?」
ふたば『んー……。なんとなく、お姉ちゃんの声が聞きたくて』
?『みのりもいるよ!』
花帆「ふたりとも、あたしがいなくても、ちゃんとお利口さんにしてる?おうちのお手伝い、できてる?」
ふたば『してるよ!今はふたばが毎日、お風呂掃除してるんだから!』
みのり『みのりも、ちゃんとお花の手入れできてるよ』
花帆「ええーっ、偉い!ちゃんとやっているんだね。そっかそっかー」
ふたば『あたりまえだもん!お、お姉ちゃんこそ、ふたばたちがいないから、寂しがってないかなーって思って!電話してあげたんだよ!』
花帆「ありがとうね、ふたば、みのり。お姉ちゃんもね、新しいこと始めたんだ。かわいい衣装を着て、歌を歌ったり、踊ったりしているんだよ?淳兄ぃにも手伝ってもらいながら」
ふたば『それって、お姉ちゃん』
みのり『まるで、スクールアイドルみたい』
花帆「えっ、ふたりは知っているの?うん、そうなんだ。スクールアイドル始めたの!」
ふたば『お姉ちゃんが!?』
みのり『お姉ちゃん、すごい』
花帆「えへへ……」
みのり『あのね、お姉ちゃん。ほんとは離れ離れになって、少し寂しかったんだけど』
花帆「みのり……」
みのり『でもね、お姉ちゃんがなんだか楽しそうで、みのりも嬉しい。ね、ふたば』
ふたば『う、うん……。お姉ちゃんがスクールアイドルって聞いてちょっとびっくりしたけど、でも、似合ってると思う!』
花帆「あはは、そっかなあ」
ふたば『ライブって、見れないの?』
みのり『見たい見たい!』
花帆「あ、それじゃあ、スクールアイドルコネクトっていうアプリがあって――」
そして2人にアプリのことを教えて、通話は終わった。ふたばもみのりも、凄く喜んでいた。
花帆「……ふたば、みのり。お姉ちゃん、長野にも伝わるくらい、おっきな花を咲かせてみせるからね」
―――――――――――――――――――――――
翌日……
部室では梢が机に頬杖をついて考え込んでいた。
綴理「やぁ、こず。そういえば、話って?」
梢「………。」
淳平「そのノートを広げている時、だいたい難しい顔してるよな」
梢「……。ねえ、綴理。一曲、踊ってもらってもいい?」
綴理「うん、わかった」
そして、綴理が踊り始める。その様子を最後まで見た梢は、
梢「お見事。それだけ踊れる人は、全国にもそういないでしょうね。この曲は"一度も練習したことがない"くせに」
綴理「何度も見たからね……」
梢「見ただけで覚えられるのが、あなたの能力が卓越している証拠なの。小憎らしいほどに上手なんだから、もう」
綴理「褒められてない気がする」
梢「正直に話すと、花帆さんの指導方針に少し迷っていて」
綴理「うん」
梢「彼女のライブ、見てくれたでしょう?」
綴理「よかったよ。とても楽しそうだった」
梢「それは、わかっているわ。でも、むしろそれが問題っていうか……」
淳平「どういうことだ?」
梢「……ああ、もう!花帆さんね、スクールアイドルを始めたばかりで、すぐにライブをやったり、配信にも手を出したり……。楽しそうだからって、あんなにいっぱいいろんな事をして、大丈夫なのかしら……!」
淳平「あ〜……」
梢「ねえ、綴理!あなたの指導している村野さんは、今も堅実に基礎トレーニングを積み重ねているわよね!?」
綴理「う、うん」
梢「私も、そういうタイプだったから、わかるの!ひとつの目標を定めて、そこに向かって一歩一歩と歩を進めてゆくその感じよね!納得できるし、今まで歩んできた自分の軌跡を振り返れば安心するの!」
淳平「ようは、楽しいのは結構だけど、努力によって得られるものが加わればそれが自信にもなるって事をわかってもらいたいのか?あいつ本格的な練習せずにライブばっかりやってるし……」
梢「そう!!」
ふむ、それは確かに気にはなってたな。なら……、
淳平「梢、こんなのはどうだ?」
梢「え?」
俺の出した案は―――――、
花帆「今日のライブもすっごく楽しかったー!」
梢「お疲れ様、花帆さん。」
花帆「センパイこそ、お疲れ様です!毎日毎日付き合ってくださって、ありがとうございます!」
梢「いいのよ。私もライブが好きだから。……ねぇ、花帆さん、毎日ライブをしているけれど、他のスクールアイドルたちはどれくらい上手いのか気にならない?」
花帆「それは…凄く気になります!」
梢「なら良かった。スクコネのアプリを使って、他の学校のスクールアイドルのライブや、村野さんの練習動画を自分のライブと見比べてみるといいんじゃないかしら?見て学ぶことも、時には必要よ?」
花帆「なるほど!分かりました!!帰ったらやってみます!!」
梢(ごめんなさい花帆さん。心苦しいけど、あなたのためだから……)
そんなふうに、梢は心のなかで思っていた。
梢「まぁあなたのやり方もあるでしょうし、一週間のライブが終わったら、また考えましょう?」
花帆「はい!!」
そしてその日の夜、女子寮のロビーで花帆とさやかが並んで座っていた。
花帆「なんだかあたし、少しずつ蓮ノ空のいいところがわかってきた気がする……!」
さやか「ええっ、あんなに蓮ノ空を嫌がっていた花帆さんが!?」
花帆「まず一個!ごはんが美味しい!」
さやか「確かに、それはありますね。朝夜で寮でのごはんが楽しめますし」
花帆「そうだね。山の幸も海の幸も、とにかく食べ物が美味しくて。ナスそうめんっていうのがおかずとして出てきたときはびっくりしたけど……」
さやか「そうですね。私も、ナスそうめんが全国でポピュラーな食べ物ではないと聞いて、びっくりしました。」
花帆「他にもあります!寮が学校の敷地内にあるから、ギリギリまで寝坊できる!」
さやか「それは蓮ノ空というより、寮生活の利点なのでは……」
花帆「他にもええと、寮母さんがそこまで怖くない……。消灯時間まではスマホを使っても怒られない……。Wi-Fiも繋がる……。お風呂掃除しなくていい……。とかなんかそんな感じ!ね、さやかちゃんはスクールアイドルコネクト、どう?」
さやか「あ、配信していますよ。といっても、わたしは引き続き、練習風景だけですけど……」
花帆「へええ、あっ、そういえばさやかちゃんや他の学校のスクールアイドルを見て学ぶのもいい勉強になるって言われてたんだった。さやかちゃんの動画見てもいい?」
さやか「いいですよ?」
そして、私はスマホを操作してさやかちゃんのチャンネルを見る。
花帆「ほんとだ。毎日欠かさずアップしてる!すごい!えっ、あれ?!いつの間にかさやかちゃんのチャンネル登録者数がすごいことになってる!みんなに今年注目の新人って言われてるよ!?さやかちゃん、実はあたしに隠れてライブしてた……!?」
さやか「し、していません!練習だけです!というか……注目を浴びているのは、わたし自身の力ではなく……。夕霧先輩とユニットを組んだから、だと思いますし……」
しばらくさやかちゃんの練習動画を見ていると、
花帆「さやかちゃんって、……もしかして……なんか、ダンス、すごい……?」
動画を見ていたら、すぐに私とのレベルが違ってきている事に気がついた。
さやか「えっ?そ、そうですか?」
花帆「うん……。なんか、すごくキレがあるっていうか。手も足もピンと伸びてて、きれいな感じ、する……。さやかちゃん、すごい!」
さやか「それは、その、私はフィギュアをやっていたので、ゼロからのスタートというわけではありませんから。でも、わたしぐらいの1年生なら、他にもいくらでもいますし……」
花帆「……あたし、確かに他の人のチャンネルって、あんまり見たこと無かったかも」
さやか「先輩の言う通り、勉強になりますよ?」
すると、花帆は立ち上がり、
さやか「あの、花帆さん?どうしたんですか、急に立ち上がって。あっ、もう消灯時間ですね。お部屋に戻らないと」
花帆「……うん」
さやか「ええと……。おやすみなさい、花帆さん」
花帆「うん……おやすみ」
そして、花帆は暗い顔で自室に戻っていった。
さやか「……花帆さん?」
ー つづく ー
名前
以下は公式プロフィール参照してください
スクールアイドルクラブの前部長で今は蓮ノ空学院の生徒会長。
去年、梢、綴理、慈、淳平が入部してきた時、淳平の入部に対して反対した。食い下がる淳平にならばと条件に課題を出し、達成できたら入部を認めると約束した。
沙知は女目当ての男にできるわけ無いと思っていたが、真剣に課題に向き合う淳平の姿に徐々に興味を持ち始め、淳平が課題を達成した時には「女目当てだと決めつけてしまっていたのかも」と思い直す。
それからは4人の後輩を厳しく、時折優しく指導。時折自分を支えてくれる淳平に、好きという感情は抱いていないが、たまに自分が甘えるくらいには心を許した。
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