蓮ノ空スクールアイドル録   作:松兄

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第79話:綴理の心境

翌日の朝、授業前のHRの時。梢と綴理のクラスでは…、

 

先生「みんなも知っての通り、今年からウチの学校説明会はオープンキャンパスに変更になった。中学生たちにこの学校の雰囲気を肌で感じてもらうためにな。そこで、オープンキャンパスの実行委員を各クラスから選ぶことになった。誰かいないか?」

 

教室内がざわつき始める。

 

綴理「さやに、置いていかれないために、ボクも……。はい。ボク、実行委員やります!」

 

梢「え"っ!?」

 

同じクラスに居る梢は綴理の言葉に目を見張る。

 

先生「え? 夕霧さんやる?」

 

綴理「はい!」

 

先生「じゃあ夕霧さんが実行委員お願いね?今日の昼休みに実行委員の集まりがあるから時間になったら視聴覚室に集合でお願いね?」

 

夕霧「分かった」

 

先生「はい!じゃあ授業始めるわよ!!」

 

梢(綴理………?)

 

そしてそのまま昼休みになり、実行委員の集まりに顔を出した綴理。

その時間、俺とめぐは梢からこの事を聞いていた。

 

淳平・慈「「はぁ?!」」

 

驚く2人。

 

慈「綴理が実行委員!? できるの?」

 

淳平「不安だけど、本人がやる気になってるんだからやらせてみよう……。あいつは今までこんなこと無かったからな、何か思うことがあったのかもしれないし……」

 

慈「ゔっ、そう言われると……心当たりが」

 

淳平「たぶんそれだと思う」

 

梢「まあ、危なかったら助けてあげましょう」

 

淳平・慈「「ああ(うん)………」」

 

そして、その日は無事に授業が終わり放課後……スクールアイドルクラブ部室では、

 

花帆・さやか・瑠璃乃「「「ええーーーっ!?」」」

 

花帆「綴理センパイが……実行委員!?」

 

綴理「意外でしょ?」

 

淳平「なんで得意げなんだよ……」

 

綴理「昼休みに集まったんだ。座ってただけだったけど……」

 

梢「まあ、今日は顔合わせだったでしょうから……」

 

梢は額に手を当てて不安そうな顔。

 

瑠璃乃「綴理先輩、実行委員で何したい感じですか?」

 

綴理「ん、凄いことする」

 

瑠璃乃「お、おー……それは、胸に秘めた野望…的な感じですかね?」

 

綴理「? 言ったよ?」

 

 

顔合わせのとき……

 

綴理『夕霧綴理です。凄いことをします』

 

 

 

綴理「って……」

 

淳平「はぁ……」

 

梢「不安だわ……」

 

俺と梢は二人して頭が痛くなってくる。

 

 

すると、

 

瑠璃乃(っ! ジュン兄ぃ……)ヒソヒソ

 

ルリちゃんが静かに俺の腕の袖を引っ張ってくる。

 

淳平(ん? どうした?)ヒソヒソ

 

瑠璃乃(充電……切れた。しばらく充電していい?)ヒソヒソ

 

淳平(ああ。分かったよ)ヒソヒソ

 

瑠璃乃(ありがとう……)スゴスゴ

 

ルリちゃんはこそこそと段ボール箱の中に入って外界と遮断。充電を始めた。

 

 

慈「綴理、綴理としては、実行委員とスクールアイドルの両立はできるの?今までそんなのやったことないじゃん」

 

綴理「ん、やったことはないけど……頑張る!」

 

さやか「っ………、あの! 綴理先輩!もし大変だったらお手伝いしますよ?」

 

綴理「ッ!! ……だ、大丈夫。1人でやれる……」

 

さやか「え!? ………そんな、」

 

一発で分かるほどに落ち込んださやかちゃん。そんなに!?

 

さやか「……慈先輩、何もやる気が起きなくなった時は、どうすればいいですか?」ドヨーン

 

慈「え!? ええっと……るりちゃんはよく段ボールに入って充電してるけど……」

 

さやか「じゃあ、わたしもそうします……」トボトボ

 

見るからに足取りが重いさやかちゃん。頼ってもらえないだけでこんなになるか?

 

そしてさやかちゃんが段ボールに近づくと、

 

瑠璃乃『入ってます……』

 

さやか「段ボールにも拒絶された……!!」

 

慈「何やってんだか……」

 

淳平「あ、あはは……」

 

梢「これは、重症ね……」

 

慈「でも、綴理分かってんのかな?」

 

淳平「というと?」

 

慈「実行委員の上にあるのは何?」

 

梢「生徒会……沙知先輩ね」

 

慈「このあいだの竜胆祭のときも綴理、沙知先輩のやったことにピキってたじゃん。大丈夫なのかな?」

 

梢「……一応、二人が顔を合わせる事はほとんど無いはずよ?忙しくて手が回らないからこそ、沙知先輩が実行委員を組織した訳だし」

 

淳平「まあ、俺達も一応気にしておこうぜ?」

 

慈・梢「「うん(ええ)………」」

 

そして更に翌日から綴理はオープンキャンパス実行委員で働き始めた。

 

 

ー 放課後・会議中 ー

 

綴理「……会議って、中々進まないんだね」

 

綴理は、面識のある花帆やさやかちゃんたちのクラスからの実行委員であるえなちゃんに話しかける。

 

えな「そうですね。私はこういう実行委員やるの初めてなので、他の時はどうなのかは分かりませんけど……何も知らない中学生にこの学校の良さを知ってもらう……って、やっぱり難しいのかもしれませんね」

 

綴理「そっか………。ねえ、えなからさやに伝えて欲しい。ボクは今から凄いことをするって」

 

えな「はい? 伝えるのは良いですけど……綴理先輩?なにする気ですか?」

 

すると綴理は立ち上がり、

 

綴理「みんな、聞いて欲しい。ボクの歌を!」

 

えな「ここで!?」

 

 

そしてその会議の終了後の1年生教室。

 

さやか「え?! 綴理先輩が!?」

 

えな「そうなの! もう、大活躍!! 滞ってた時に、こうしたら良いんじゃない?って、色々とアイディア出してくれたの。歌で!!」

 

さやか「そ、そうですか……。綴理先輩、実行委員の経験なんて無かったハズですけど……? 今何か変なこと言いませんでした?歌!?」

 

えな「でも大活躍!! 出してくれたアイディアが、どれもすっごく良くて!!一気に会議が進んだくらい!!」

 

さやか「そ、そうですか……ならいいんですけど」

 

さやかちゃんは浮かない顔をする。

 

えな「? あんまり嬉しくなさそうだね。綴理先輩の話なのに……」

 

さやか「いえ、綴理先輩がちゃんとやれてるならそれに越したことはないんです。けど、」

 

えな「けど?」

 

さやか「最近、割けられてるような気がして……朝にやってた着替えの手伝いとかも、しなくていいって言われて……」ハァ

 

えな「いや、着替えの手伝いなんかしてたの……? それはむしろ良いことなんじゃ…?」

 

さやか「ええ。綴理先輩が自分のことを自分でやろうと頑張り始めてるのは、凄く素晴らしいことなんですけど……」

 

えな「けど?」

 

さやか「なんというか……さびしいなぁって。高校生になって、それでも手伝ってる側の私がこんな気持ちになるのは、誠に遺憾なのですが……」

 

えな「そっか……まぁ、綴理先輩も成長しようとしてるんじゃないの?見守ってあげようよ?」

 

さやか「……そうですね。いずれは1人で出来るようになってもらわねばならないことですし」

 

えな「なんか、さやかちゃん綴理先輩の親みたい……」

 

さやか「……あはは。ハァ……」

 

 

その頃、部室では……

 

梢「えっ?」

 

梢は、綴理から渡された書類を読んで眼を丸くしていた。

 

梢「ちょっ、綴理? これ、本当にあなたが考えたの?」

 

綴理「ボクの自信を打ち砕かないでよ……」

 

梢「あっ、ご、ごめんなさい…あまりにもちゃんとしてて……正直驚いたの」

 

綴理「ボクの記憶が確かかなんて、ボクが一番不安だよ……」

 

梢「打ち砕かれたのは記憶の自信だったのね……。でも凄いわ。どれもよく考えられてるし…これなら見に来てくれる中学生たちにも楽しんでもらえるわ」

 

綴理「ん、こずにそう言ってもらえるなら安心だ。それに、実行委員の人たちもみんな優しい。いっぱい助けてもらった」

 

梢「……綴理、それはたぶん、あなたに人望があるのよ」

 

綴理「え?」

 

梢「あなたが、慣れないことなのに、必死に自分の頭を働かせて考えて頑張ってるのがみんなにも伝わってるから、色んな人が助けてくれるのよ」

 

綴理「……ボク、ちゃんとやれてる?」

 

梢「これ以上無いほどにね。安心したわ」

 

綴理「そっか……。じゃあ、ボクは今日は寮に戻るね?」

 

梢「あっ、さっき淳と慈があなたを探してたわよ?一緒に戻ったら?」

 

綴理「そっか。分かった」

 

そして綴理が部屋を出ようとすると、

 

ガチャ!

 

淳平「梢、綴理……あっ、居た」

 

慈「ホントだ」

 

綴理「あっ、ジュン、めぐ。探してたって聞いて探しに行こうとしてたんだ」

 

淳平「そっか、なら良かった。一緒に帰ろうぜ?」

 

綴理「うん」

 

 

そして、寮に戻る途中……

 

慈「綴理」

 

綴理「なに? めぐ」

 

慈「あのさ、綴理が今実行委員を頑張ろうとしてるの、私のせいだったり?」

 

綴理「う…………」

 

慈「私が、「蓮ノ空はさやかちゃん6人居れば良い」とか言っちゃったからかなあ?って。考えすぎだったらアレだけど……」

 

綴「う、…………、はい。そうです」

 

慈「やっぱりか。でも、綴理のそういう正直なところ、好きだよ?」

 

淳平「でも、何で急に実行委員やろうと思ったんだ?」

 

綴理「さやは、約束してくれたんだ。ボクの隣を歩いてくれるって。でも、今はもう、さやはどんどん成長して先に行っちゃって……今はもう、背中が小さい」

 

なるほど……。

 

淳平「成長するさやかちゃんを見て、取り残されてるように感じたわけか。だから自分の現状を変えたいと思って、挑戦してみたんだな……」

 

綴理「うん……」

 

慈「その、ごめんね? まさか綴理もそんなふうに思うなんて思わなくてさ。まあ、はたから見たり、さやかちゃん自身はそんな風には思ってないだろうけど、綴理はそう感じてたんだね。まあ確かに、最近さやかちゃん凄いからね……」

 

淳平「それは同感……」

 

綴理「うん……。だから、ボクもさやに追いつきたかったんだ」

 

淳平「そっか……なら、手伝えることあったら俺達も協力するから何でも言えよな?」

 

慈「うん。手伝ってほしいことがあったら、協力するよ。これはさやかちゃん本人には頼みづらいでしょ?」

 

綴理「っ!ありがとう二人とも!」

 

淳平「友達だろ?」

 

慈「そうそう!」

 

綴理「……素直なめぐ、珍しい」

 

慈「もう!真面目な話ししてる時にそういう事言う! 綴理のそういうところは嫌いだな!」

 

すると綴理はショックを受け、

 

綴理「ッツ!嫌い……!」

 

慈「ああ、違う違う!照れ隠しみたいなものだから!って説明させるなぁあぁあああっ!!」

 

淳平(ったく……)

 

綴理も、成長してない訳じゃないんだけどなあ。まあ、今の綴理には、「実行委員をしっかりと自分の力でやり切る」っていう、だれが見ても分かる結果が必要だな。

 

自分の慣れないことをやり切るっていうのは、自信にも繋がる。今の綴理にはなんでも良いから、自身の成長を実感できる自信が必要なんだ。

 

淳平(できるだけ綴理にやらせて、ダメなところは助けてやる感じで良いかな。何でもかんでも助けてたら、綴理の自信にはならないからな)

 

 

 

ー つづく ー




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