その後、淳平が慈と綴理と分かれて男子寮に入っていったあと、女子寮のお風呂では梢を合わせて慈と綴理の3人で話していた。
梢「……なるほど。綴理が実行委員になった理由は分かりました」
慈「一応、梢にも話しておこうと思ったのと、それなら知ってるのは4人でいいじゃんって」
梢「私は綴理が持ってきたアイディアを見て、あまり心配しすぎるのもよくないと反省したところなのだけれど」
綴理「……ひょっとしてボク、2人に心配させてた?」
綴理の言葉に、慈はクスッと笑い……、
慈「まーねー。ちゃんと話してくれたからホッとしてるけど」
梢「……さやかさんに置いていかれるかも、ね。いえ、それで状況を変えるために頑張ろうという姿勢は、素敵なことだと思うわ」
梢も感心したように言う。
慈「それで、さ。綴理が実行委員としてやりたいことは分かったけど、それは実行委員になってから思いついたことでしょ?そもそも、実行委員やりたいですーって言ったのは、たまたまタイミングが良かったから?」
慈の言葉を聞いた綴理はバツが悪そうな顔をして……
綴理「……ごめんなさい。そうです」
慈「謝る必要はないんだけど。……でも、綴理は分かってるのかなって、私たちは気にしてたんだ」
梢「この企画、生徒会の主導なのよ。学校説明会をオープンキャンパスにしたのは、沙知先輩」
綴理「………………そっか」
慈「竜胆祭のとき、綴理ってば沙知先輩のやったことに……その、微妙な顔というか。こう、ピキっとしてたじゃん?だから、沙知先輩の下で頑張ることになるのは、不本意かなーみたいな」
綴理「……ありがと、めぐ。こず」
2人にお礼を言ったあと、綴理は自分の気持ちを話し始める。
綴理「ボクは……嫌い、なんだと思う。生徒会長……ボクを置いていったひとのことは。……でも、それとボクのやりたいことに変わりはないから」
慈「……そ」
綴理「でも、めぐこそ、どうなの?」
慈「……私?」
綴理「生徒会長と話すの、平気そうだから」
慈「平気……平気かあ……。なんていうか、私は綴理と違って、今になってどうこうっていうのはもう、あんまりないんだよね。私にはるりちゃんがいるし、そのおかげでまた踊れるようにもなったし。それにほら。沙知先輩が辞めたのって、私の怪我の直後だったでしょ?その時、死ぬほどキレたからさ。私はもう吹っ切れたというか」
綴理「そっか。……こずは?」
梢「私は……あの時沙知先輩が説明したことで少し納得できてしまったから。『生徒の自由を守るために生徒会長にならなければならない。それは、理事長の孫である自分にしかできない』――そして、『この学校では、生徒会長は他の部活に入れない。だからスクールアイドルクラブを辞めなきゃいけない』」
慈「……うん、そんな話だったね」
梢「もちろん寂しかったけれど、あの人の立場も分かってしまった。それに去年は私自身も、沙知先輩を責められる立場ではなかったし……。だから割り切れているつもりよ」
綴理「そっか。すごいね。ボクはたぶん、むりだ」
目に見えて落ち込む綴理。すると、
梢「……ねえ、綴理。私が割り切れたのは、あなたのおかげでもあるのよ?」
綴理「ボクの……?」
梢「正確には、あなたと、花帆さんと、さやかさん。みんなのおかげで、私は前に進むことが出来たと思うの。慈にとって、瑠璃乃さんが居ることが支えになっているように。だから私だけが凄いなんてことは、無いわ」
綴理「ボクにも割り切れるってこと?……ごめん、それは分かんない」
梢「……綴理」
慈「でも……それで言うんだったら、ジュンは去年から今もずっと沙知先輩を慕ってるよね?」
梢「……もしかしたら、淳には沙知先輩の……私たちには見えてない部分が見えてるのかもしれないわね」
綴理「……………」
慈「まあとにかく、私は綴理が沙知先輩の手のひらの上なんて嫌だー!ってならなくて、安心したよ。オープンキャンパスを成功させるのは、綴理自身がやりたいから。それで十分!」
綴理「ん」
慈「よーっし。だったら、今回の件は私が焚きつけたみたいなもんだし――。全力で綴理に協力してあげようじゃん!ね、梢!」
梢「……そうね。未来の後輩のためにスクールアイドルとして頑張りたい。そういうことなら、私だって他人事ではないもの。頑張りましょう」
綴理「ありがと、ふたりとも!」
そして、風呂から上がった後、慈と梢、綴理は淳平に電話し、スマホのLINEから〈蓮ノ空スクールアイドルクラブ2年生ズ〉の欄をいじり、それぞれの部屋からテレビ通話を始めた。
慈『もしも〜し、ジュン今大丈夫かな?』
淳平『ん〜平気』
綴理『こんばんわ~』
梢『え~っと、もう始まってるのかしら?』
慈『梢〜、ちゃんと始まってるよ?』
梢『そう。なら良かったわ』
そして4人でテレビ通話を始めると、梢が先程女子寮のお風呂で3人で話した内容を教えてくれた。
淳平『なるほどなあ……。まぁ、綴理が分かってなくて気付いた途端にじゃあやめる。とか言わなくて安心したわ』
綴理『……ボクがやるって言ったのに、それは無責任すぎる』
淳平『だな、悪い。さすがに失礼だったな』
慈『それでさ、気になったんだけどジュンはなんで沙知先輩と今もあんな良い感じなの? 凄く信頼してるじゃん』
淳平『まあ、短い間だったけど……沙知先輩がどういう人かはよく分かったつもりだし。竜胆祭のときだって、試練と言いつつ1年生たちに色々と教えてくれてたみたいだしな。花帆とルリちゃんは気付いてなかったけど、さやかちゃんは沙知先輩が伝えたかったことに気付いてたよ。あの人は照れ隠しで憎まれ口で誤魔化してたけど……』
綴理『さやが………』
淳平『他にも、色々と裏で助けてくれてたしな。スクールアイドルクラブ辞めてからも、気にかけてはくれてたし。めぐが辞めてからも、部長になった梢のために色々と学校の方に掛け合ってくれてたしな』
梢『えっ?』
淳平『めぐのときだって、色々とスポーツ医学の本とか読んだりネット使って対処法調べてくれてたし。まあ、どれも残念ながら効果は無かったけど。因みに去年俺が発案したのは殆ど沙知先輩から教えてもらった治療法だ』
めぐ『!! 嘘でしょ!?』
淳平『ほんとほんと。それに綴理は、綴理がスクールアイドルになるのを見届ける前に、最後の最後まで置いていかなければならないのを心残りにしてたよ。だから今回綴理のパートナーになったさやかちゃんにラブライブで勝ち抜くうえで分かっていないといけないことを教えたんだ。俺から言わせれば綴理が一番気にかけられてたぞ?』
綴理『っ! そんな……ことは……』
淳平『分かるよ。あの人のやること分かりづらいからなあ。オマケに態度がこっちをおちょくる態度だし?あっ、因みにいまいったのはあんまり人には言わないでな?特に沙知先輩には。バレたら怒られるから。俺が』
3人は黙り込んでしまう。
梢『なんで淳だけがそれを教えられたのかしら?』
淳平『直接本人たちに伝えずに、間接的に伝えるのにマネージャーを経由するのが最適だっただけだろ?』
慈・梢・綴理(((本当に、そうなのかな(かしら)……ジュン(淳)が一番沙知先輩に信頼されてたからじゃ……)))
3人がそんな事を思う中、その日は通話を終了し、それぞれ就寝した。
ー つづく ー
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