一年前、淳平やめぐ、梢に綴理たちが1年生で、まだ沙知先輩がスクールアイドルクラブの部長だった頃。とある雨の日……。
沙知「〜♪」
慈「沙知せんぱーい。なんか機嫌よくないですか?」
沙知「ん?ああ、慈か。まーね。ほら、窓の外」
窓の外では、小降りにはなってきたが、雨がまだ降り続いていた。
慈「雨嫌いじゃなかったっけ?」
沙知「嫌いというと強い言葉だなー。得意ではない、くらいだよ。ほら、湿気がね。髪をべたんと……」
慈「ああ、余計にちっちゃくなるから」
沙知「ちっちゃいゆーな!くっ、あたしがもっと背が高ければ……!!」
沙知先輩が自身の背の低さを忌々しそうに言う。
淳平「大丈夫ですよ。沙知先輩はちいさくても頼りになりますから」
沙知「淳平ぇ………、フォローに見せかけて背中から刺したな……?」
俺の言葉に沙知先輩はジト目で睨みながら返してくる。
淳平「へへっ、どうでしょうね?」
梢「ふふっ」
綴理「………雨でちっちゃくなるのに、雨でご機嫌?」
沙知「ちっちゃくなるわけじゃないんだが!? むしろ、そろそろ止みそうなんだよねい」
窓の外に目をやった沙知先輩は、そう答える。
慈「? なんか午後、外出る予定ありましたっけ?」
綴理「市場」
梢「あなたは市場好きねえ」
淳平「ホントにな?」
沙知「あっはっは。予定があるわけじゃないよ。ただ、そうだな。せっかくだし、キミたちにもあたしの好きなものをシェアしようじゃないか。……ほら、もうすぐだ」
沙知先輩が窓の外に目を向けると、
綴理「わ」
沙知「あたしはさ。この、雨が止む瞬間が一番好きなんだよねい………」
―――――――――――――――――――――
突如の雨に中学生たちを屋内に避難させて部室前に集まるようメッセージを飛ばしたスクールアイドルクラブ。
梢「あ、慈!」
慈「なにがイベント日和だよー! さっきまで晴れてたじゃん!!」
梢と慈が早くに合流し、2人で話していた。
梢「急に雲行きが変わったみたいね。なんて間の悪い……」
慈「どうしよっか……。天気予報も晴れだったし、私の六号車グループは、傘なんて誰も持ってないよ!」
梢「それは私のところも同じね……。あら、みんな!」
そこへ、スクールアイドルクラブの面々が合流した。
花帆「中学生のみんなは一応、屋内に案内終わりました!」
さやか「実行委員さんたちが先導してくれて、今は繋ぎのために体育館のスクリーンで学校説明会の動画を流してくれてます」
瑠璃乃「でも、どーするこのあと?実行委員の人たちも、なんかノープランらしいよ!」
淳平「さやかちゃんのグループの子たちは傘持ってたか?」
さやか「いえ、それが……」
梢「なるほど……どうすれば良いのかしらね」
淳平「困ったな……」
さやか「あの、綴理先輩は――」
梢「っ! 綴理……」
ここで、綴理が合流した。
綴理「みんなここに居たの。良かった。今日来た子たちに聞いたらね? 一日ずっと、すっごく楽しかったって。案内してくれた人のおかげって言ってたから……みんなが凄かったんだ」
梢「……それは嬉しいお話ね。でも、今はそれより――」」
綴理「そうだね。ライブの準備をしないとね」
花帆「わ、ライブできるんですか!?」
綴理「するよ?」
瑠璃乃「うおー、まじか。それならそれで気合入れ直さないとだ一」
淳平「綴理。……大丈夫なのか?」
綴理「うん。このオープンキャンパスは、絶対に成功させる」
慈「……そ。分かった。じゃあどうすればいい?」
綴理「色々、探したいんだ。どうにかして、予定通りライブするための、なにか」
慈「ん、おっけ。悩むより行動だね。ちょっと実行委員の人たちに話してみようか。行こう、るりちゃん」
瑠璃乃「分かった、最後までやりきりたいもんね!」
梢「……ライブがしたいのは、私も同じ。体育館とか、他に使える場所がないか聞いて回りましょう」
花帆「あたしも行きます。それから、綴理先輩!」
綴理「ん?」
花帆「今日、みんなと色んな話が出来ました。凄く楽しかったし、ライブのことを楽しみにしててって言ったら、みんな本当に期待してくれて……。あたし、約束したんです! みんなの心に、おっきなお花を咲かせるって! だから、最後まで絶対に成功させましょうね!」
綴理「うん」
花帆「行きましょう、梢先輩!」
梢「ええ!」
そして、花帆と梢は臨時の会場を探しに行った。
淳平「………綴理」
さやか「綴理先輩……」
綴理「絶対に、成功させるんだ……」
俺とさやかちゃんの呟きが、綴理にはこの至近距離で聞こえていなかった。
ー つづく ー
綴理ちゃん、暴走しかけてますね。
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